ProxyLogon|サイバーセキュリティ.com

ProxyLogon

ProxyLogonは、Microsoft Exchange Serverに存在した重大な脆弱性を悪用する攻撃手法であり、2021年に世界中で大規模なサイバー攻撃を引き起こしました。この脆弱性を利用することで、リモートの攻撃者が認証なしでExchangeサーバーにアクセスし、リモートコード実行(RCE)を行うことが可能になります。これにより、攻撃者はサーバー上のメールにアクセスしたり、システム内にバックドアを設置したり、さらなる攻撃の足がかりを築くことができるため、非常に深刻なリスクをもたらします。

ProxyLogonという名称は、Exchange Serverのプロキシ機能を通じてリモートでログオンし、システムにアクセスすることが可能になる脆弱性に由来しています。この脆弱性は、特に大規模な組織や企業のメールサーバーを狙った攻撃で利用され、セキュリティ業界では大きな注目を集めました。

ProxyLogonの脆弱性に関する詳細

ProxyLogonは、以下の2つの主要なCVE(Common Vulnerabilities and Exposures)番号に関連する脆弱性を悪用することで成立します。

  1. CVE-2021-26855 – SSRF(Server-Side Request Forgery)脆弱性
    この脆弱性により、攻撃者はExchange Serverに対して不正なリクエストを送信し、認証をバイパスすることが可能になります。これにより、Exchange管理インターフェースへの不正なアクセスが可能になります。
  2. CVE-2021-27065 – リモートコード実行(RCE)脆弱性
    認証をバイパスした後、攻撃者はサーバー上に任意のファイルを作成および実行することが可能になります。これにより、攻撃者はExchangeサーバー内で任意のコードを実行でき、システム全体を制御することが可能です。

これらの脆弱性を組み合わせて使用することで、攻撃者は外部からExchangeサーバーに対して完全な制御を確立し、システム内でさまざまな攻撃を展開することができます。

ProxyLogonの影響

1. 情報漏えいのリスク

ProxyLogonを利用することで、攻撃者はExchangeサーバー内のメールボックスにアクセスすることが可能となり、組織内の機密情報や個人情報が漏えいするリスクが生じます。

2. ランサムウェア攻撃の温床

Exchangeサーバーを制御されることで、攻撃者はランサムウェアを拡散させたり、他のマルウェアを設置することが可能です。このため、企業のシステム全体がランサムウェア攻撃の標的となる可能性があります。

3. バックドアの設置

ProxyLogonを利用した攻撃では、攻撃者がサーバー内にバックドアを設置することが一般的です。これにより、攻撃者は持続的なアクセスを維持し、さらなる攻撃の準備を整えることができます。

4. システムの完全な制御

ProxyLogonによる攻撃は、サーバー内で任意のコードを実行することが可能であるため、攻撃者がシステムを完全に制御するリスクがあります。これにより、データの削除、改ざん、外部への不正な通信の発信などが行われる恐れがあります。

ProxyLogonへの対策

1. セキュリティパッチの適用

Microsoftは、ProxyLogonの脆弱性に対するセキュリティパッチをリリースしています。Exchange Serverを使用している組織は、速やかに最新のパッチを適用し、脆弱性を修正することが最も重要な対策です。

2. ネットワークアクセスの制限

Exchangeサーバーへの外部からのアクセスを制限し、セキュリティを強化することで、攻撃のリスクを軽減できます。例えば、VPNを利用して内部からのアクセスのみを許可するような設定が推奨されます。

3. セキュリティ監視とログ管理

サーバーのログを監視し、不審なアクセスや行動を検知することで、脅威に対する早期対応が可能です。特に、過去に攻撃が試みられた形跡がある場合、速やかな対応が必要です。

4. 多層的なセキュリティ対策の導入

アンチウイルスソフトウェアの利用やネットワーク監視ツールの導入、ファイアウォールの設定を見直し、包括的なセキュリティ対策を実施することが望まれます。

まとめ

ProxyLogonは、Microsoft Exchange Serverに影響を与える深刻な脆弱性を悪用した攻撃手法であり、情報漏えいやリモートコード実行のリスクを伴います。企業や組織においてExchange Serverを使用している場合、最新のセキュリティパッチの適用と適切なセキュリティ対策を講じることで、脆弱性の悪用を防ぎ、セキュリティリスクを最小限に抑えることが重要です。迅速な対応と継続的な監視を行うことで、被害の拡大を防ぐことが求められます。


SNSでもご購読できます。