MITRE|サイバーセキュリティ.com

MITRE

MITRE(マイター)は、アメリカ合衆国に本部を置く非営利組織であり、主に国家安全保障、公共安全、ヘルスケア、サイバーセキュリティといった分野で研究開発や技術支援を行っています。MITREは、政府機関や民間企業と連携して、公共の利益を促進するためのプロジェクトを推進しています。

特に、サイバーセキュリティ分野では、攻撃手法や脅威情報のフレームワークであるMITRE ATT&CKや脆弱性管理支援ツールCVE(Common Vulnerabilities and Exposures)の管理で有名です。

MITREの主な特徴

1. 非営利かつ公共利益に特化

MITREは、政府や非営利団体と協力し、商業利益ではなく公共利益を目的としたプロジェクトに取り組みます。

2. 幅広い分野での活動

サイバーセキュリティ、航空宇宙、医療、通信、国家防衛など、技術や政策に関連する広範な分野で活動しています。

3. FFRDC(Federally Funded Research and Development Center)の運営

MITREは、アメリカ政府が資金提供する研究開発センター(FFRDC)を複数運営しており、政策研究や技術開発を支援しています。

MITREの主な取り組み

1. MITRE ATT&CK

MITRE ATT&CKは、サイバー攻撃の戦術(Tactics)、技術(Techniques)、手順(Procedures)を体系化した知識ベースで、セキュリティの専門家が攻撃者の行動を理解し、防御策を強化するために使用します。

  • 目的:攻撃パターンを分析し、より効果的なセキュリティ対策を提供。
  • 活用例:インシデントレスポンス、脅威ハンティング、セキュリティ製品評価。

主な構成要素

  • 戦術(Tactics):攻撃者が達成しようとする目的(例:初期アクセス、データの盗難)。
  • 技術(Techniques):目的を達成するために攻撃者が使用する具体的な手法。
  • 手順(Procedures):技術の実行方法や具体的な例。

2. CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)

MITREは、世界中のセキュリティコミュニティと協力し、既知のセキュリティ脆弱性を一意に識別するCVEシステムを管理しています。

  • 目的:脆弱性情報を共有しやすくすることで、セキュリティ製品やプロセス間の統一性を向上。
  • 特徴:各脆弱性にはユニークな識別番号(例:CVE-2024-XXXX)が割り当てられる。

3. CWE(Common Weakness Enumeration)

CWEは、ソフトウェア開発における一般的な脆弱性や弱点を体系化したリストです。

  • 目的:セキュリティリスクを軽減するために、開発者や運用者に具体的な指針を提供。
  • 使用例:セキュリティツール評価、リスク管理。

4. ENGAGE

サイバー犯罪者の行動を操作し、システムの保護や攻撃者の特定を支援する手法を提供するフレームワーク。

  • 目的:防御側が積極的に攻撃者の行動を導き、攻撃を無力化する戦略を提供。
  • 活用例:デコイ技術やディセプション技術の構築。

MITREの活動分野

1. サイバーセキュリティ

  • サイバー攻撃の検出、防御、対応策の研究。
  • セキュリティフレームワーク(MITRE ATT&CK、CVEなど)の提供。

2. 国家安全保障

  • 防衛機関向けの技術開発と分析。
  • 航空宇宙技術、通信インフラの強化。

3. 医療と公共健康

  • 医療システムの効率化と安全性向上。
  • パンデミック対応やヘルスケア技術の研究。

4. AIとデータ分析

  • AIやビッグデータ技術を活用した意思決定支援。
  • データプライバシーとセキュリティ対策。

MITREの貢献と意義

  1. サイバー脅威の理解と防御強化 MITRE ATT&CKやCVEを通じて、企業や政府が最新の脅威に対抗するためのリソースを提供。
  2. オープンなコミュニティ貢献 MITREは、非営利組織として、多くの成果を公開し、セキュリティ業界全体の進歩に寄与。
  3. 国家レベルのプロジェクト支援 FFRDCを通じて、国家安全保障や公共インフラの保護を支援。

まとめ

MITREは、サイバーセキュリティを含む幅広い分野で重要な役割を果たす非営利組織です。特に、MITRE ATT&CKやCVEのようなフレームワークは、セキュリティ業界で広く利用され、攻撃者の行動を理解し、防御を強化するための基盤となっています。

MITREの活動は、企業、政府、研究機関にとって貴重なリソースであり、サイバー脅威の進化に対抗するための強力なツールとして、今後もその重要性を増していくと考えられます。


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