SBIホールディングスは10月30日、海外の暗号資産交換業者Binanceで起きた不正流出事案について、グループへの影響を公表した。子会社各社のBinanceに対するエクスポージャーは現時点で限定的で、連結業績への影響はないとしている。流出規模は約63億ドル(約1兆円)で、暗号資産の盗難として過去最大規模とみられている。
概要
Binanceは10月30日、セキュリティ上の問題により推定約63億ドルの被害が出たと発表した。TRM Labsの調査では、10種類のブロックチェーン上で計約63億6,000万ドル相当がBinanceのウォレットから攻撃者側に移され、大半が約20分間に集中したという。SBIHDの発表は、この事案が自社グループに及ぼす影響を説明するものである。
SBIHDのリリースに記載された日付は10月30日のみである。以下は、各社の発表と報道で確認できた経過である。
日本時間10月30日早朝、約1兆円規模の暗号資産がBinanceから不正に引き出された。
Binanceは同日、推定約63億ドルの被害が出たと発表した。初期調査の内容も同時に公表している。
Binance Japanは日本時間12時22分のお知らせで、30日未明からBinanceの取引システムでセキュリティ事案が確認されたと説明した。
SBIHDは同日、子会社への影響を公表した。
原因について、Binanceの初期調査ではDevOpsエンジニアのノートPCが侵害され、攻撃者がサービスコンテナにアクセスして不正な出金を実行した可能性があるとされる。Binanceは、ウォレットの秘密鍵が漏えいした証拠は見つかっていないとしている。その後の調査では、ほかにも侵害された箇所が見つかったという。
TRM Labsは北朝鮮系のTraderTraitorが関与した可能性が高いとみているが、Binanceは実行者を特定したとは発表していない。
被害・影響の範囲
SBIHDによると、子会社各社のBinanceに対するエクスポージャーは限定的で、連結業績への影響はない。エクスポージャーの具体的な金額は公表されていない。
国内の暗号資産交換業者であるSBI VCトレードとビットバンクは、お客さま向けサービスを通常どおり提供している。両社とも、お客さまの資産への影響はないとしている。今回の発表は、両社に不正アクセスが発生したというものではない。
Binance側では、予防措置として全ての入出金を停止している。Binance Japanは顧客資産への影響は確認されていないとしつつ、取引は継続できる一方で暗号資産の入出庫を一時停止した。Binance JapanはSBIグループの会社ではない。
利用者情報の漏えいの有無や件数は、現時点で公表されていない。二次被害も確認されていない。
企業・団体の対応
SBIHDは、現時点で判明している状況として今回の内容を公表した。国内2社はサービスを通常どおり提供している。
Binanceは複数の措置を取っている。入出金の一時停止、影響を受けたアドレスの承認の取り消し、法執行機関やブロックチェーン分析会社との連携による資金の追跡と回収である。損失は全額補償する方針で、流出資産の一部はすでに凍結されている。
Binanceは、復旧後に準備金証明を更新して公開し、調査完了後に詳細な技術報告を示すとしている。
編集部コメント(読者企業が取るべき対策)
今回の事案では、取引所の暗号技術そのものではなく、エンジニアの端末が侵入の起点になった可能性が示された。自社に影響がなくても、取引先の事故が事業に波及する場合がある。開発・運用担当者の端末管理と、取引先への依存度の把握を見直す機会としたい。
取引先エクスポージャーの棚卸し
暗号資産や決済サービスを扱う企業は、海外取引所への預託残高や送金経路を洗い出す。停止時に影響を受ける業務と金額を、あらかじめ数値で把握しておく。
開発・運用担当者の端末対策
特権を持つ担当者のPCには、EDRの導入と最小権限の徹底を求める。署名や出金に関わるシステムは、端末からの到達経路を分離し、承認を多段化する。
取引先への確認事項
取引先に、停止時の補償方針と資産の分別管理の状況を書面で確認する。事故時の連絡体制と報告時期も、契約や運用手順に明記する。
フィッシング対策
大規模事案の直後は、便乗した偽サイトや偽の連絡が増えやすい。Binance Japanも不審なURLや連絡に反応しないよう呼びかけている。従業員と顧客に、公式サイトからのアクセスを徹底するよう周知する。
顧客への情報提供
自社サービスへの影響の有無を、早い段階で明確に伝える。SBIHDのように、影響がない範囲とその根拠を分けて示すと、問い合わせの混乱を抑えられる。
なお、侵入経路の全容、流出資産の行方、Binance Japanの入出庫再開時期は現時点で明らかになっていない。今後の続報に注意されたい。
出典
- Binanceにおける暗号資産の不正流出事案による当社グループへの影響について
|SBIホールディングス - Binance公式X
- ITmedia NEWS
- CNET Japan(Yahoo!ニュース)
- Jinacoin





















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