個人情報保護委員会は10月28日、2026年4月1日から10月16日までに報告された不正アクセスによる個人情報の漏えい、または漏えいの恐れがある事案について、対象者数が延べ約2億6000万人だったと発表した。期間中の報告件数は合計2,094件だった。10月は16日までの半月で830件に達し、報告ペースが急速に高まっている。
概要
個人情報保護委員会は、同日に開いた第374回委員会の参考資料2「最近の不正アクセスによる個人データの漏えい等の傾向」として、この集計を公表した。9月は303件と急増し、10月は16日時点で830件と、半月で9月の約2.7倍に達した。1日当たりの報告件数は約52件で、9月の約10件に比べて5倍以上に増えている。
個人情報保護委員会の発表によると、時系列は次のとおり。
月別の速報受付件数は、4月166件、5月163件、6月185件、7月212件、8月235件、9月303件と推移した。
10月は16日までで830件となった。10月の報告件数は、期間全体の約4割を占める。
10月28日、第374回委員会で、4月1日から10月16日までの集計が公表された。
今回の確認範囲では、個別事案の原因や侵入経路は集計資料の内容として示されていない。件数は、各月に不正アクセスが発生した数ではなく、報告を受け付けた件数である。
関係組織の発表も確認した。個人情報保護委員会は10月7日、大規模な漏えい等事案を踏まえた対応について注意喚起を発表した。
JPCERT/CCは10月8日付の注意喚起で、複数の製品やサービスで被害が発生している一方、技術的な情報の共有が不足しており、把握している情報は限定的かつ断片的だとしている。BIツールや従業員向け管理システムなど、不特定多数の利用を想定しないシステムが被害に遭うケースもあるとされる。
被害・影響の範囲
約2億6000万人は重複を含む延べ人数であり、同数の個人が被害を受けたことを意味しない。集計には、実際に漏えいした事案のほか、漏えいのおそれがある事案も含まれる。
委託先に取り扱いを任せている場合、委託元と委託先が同じ事案をそれぞれ報告することもある。
本人数別の内訳は、10万人以下が1,681件、10万人超から100万人以下が62件、100万人超から1,000万人以下が35件、1,000万人超が6件、不明が310件だった。
集計対象は民間事業者から直接報告された事案に限られ、金融業や電気通信業など委任先の省庁を経由した報告や、行政機関などからの報告は含まれない。
漏えいした情報の項目別の内訳や、二次被害の有無は、確認できた範囲では公表されていない。
企業・団体の対応
個人情報保護委員会は10月7日、事業者に向けた注意喚起を行い、アクセス者の識別と認証などの安全管理措置の周知と、不要になった個人データの消去を要請した。あわせて、過去の漏えい事案を分析した資料「WARNING」も改訂した。
技術的安全管理措置としては、アクセス制御、アクセス者の識別と認証など5点が挙げられている。不正アクセスの検知では、平時から早期に検知する措置を講じ、被害拡大を防止できるよう運用することが求められている。
10月28日の第374回委員会では、ガイドライン(通則編)等に関する意見募集が議題の一つとなった。
編集部コメント(読者企業が取るべき対策)
今回の集計は、特定の1社の事案ではなく、国内の事業者全体で不正アクセスが急増している実態を示している。自社が標的になる前提で、保有データの整理と検知体制の点検を進める必要がある。委託先を含めた全体像の把握も欠かせない。
保有する個人データの棚卸し
個人情報保護委員会の注意喚起は、保管している個人データの必要性を、法令等の根拠とともに確認することを求めている。不要なデータは消去し、漏えい時の影響範囲を小さくしておく。
管理系システムの公開状況の確認
JPCERT/CCは、BIツールや従業員向け管理システムも被害に遭っているとしている。外部から到達できる管理用システムを洗い出し、アクセス制御と認証を見直す。
ログの保存と不正アクセスの検知
個人情報保護委員会は、通信記録の保存期間を定めて定期的に分析するなど、事業者が講じるべき対策の例を更新した。ログの保存期間と分析の担当者を決め、異常を早期に検知できる体制を整える。
委託先管理の見直し
委託元と委託先の双方が報告する場合があるため、委託先で漏えいが起きた際の連絡経路と報告分担を事前に決めておく。契約で、事故時の通知期限と調査への協力範囲を明記する。
顧客への情報提供の準備
漏えい発生時に、顧客へ速やかに注意喚起できる文面と連絡手段を用意する。二次被害を防ぐため、パスワード変更やフィッシングへの注意を案内する内容を含めておく。
なお、各事案の確報に基づく件数と人数の確定は現在調査中とされている。今後の続報に注意されたい。
出典
- 第374回 個人情報保護委員会(個人情報保護委員会)
- 「大規模な漏えい等事案を踏まえた対応について(注意喚起)」の公表(個人情報保護委員会)
- ITmedia NEWS
- CNET Japan(Yahoo!ニュース)
- ビジネス+IT(Yahoo!ニュース)




























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