9月入学制度案の愚、サマータイム騒動同様"プロセスフロー"が理解できない大人たち|サイバーセキュリティ.com

9月入学制度案の愚、サマータイム騒動同様”プロセスフロー”が理解できない大人たち



コロナ騒動の中、新たな問題が発生しました。学校の「9月入学制提案」です。これを自治体トップである知事のうち17名も賛同したという忌々しき事態。しかも総理も”選択肢の一つ”と言い出したそうです。文部科学大臣が慎重な姿勢なのが、一筋の光明ですね。

今回はこの「突然の9月入学制導入提案」について触れていきたいと思います。

2020年9月の入学制度導入が不可能な理由

2年程前に「サマータイム制度導入問題の本質、プロセスフローを理解していない大人たち」という記事でも同じようなこと書きましたが、今回も一応、”2020年9月の入学制度導入ができない理由”を書いておきますね。

「システム対応が間に合わないから」

以上。

コロナ禍が終わるかどうか等関係ありません。期限が短すぎてできない。それだけでボツです。

懲りていない政治家たち

本当に呆れかえってしまいます。サマータイム制度導入騒動はもう忘れ去られてしまったのでしょうか。あの時も多くの有為の方々が無謀な企てを止めるために、無駄な時間を費やす羽目になったのに。

今回、提案に名を連ねた17名はあの時のJOCの方たちと同レベルの「古き悪しき人たち」です。気が付いて反省していただければ良いですが、そうでなければこれだけの愚にもつかない提案をしたことは、各都道府県民の方はしっかりと覚えておきましょう。ただでさえ大変なコロナ禍の中で、社会の足を思いっきり引っ張る行為に他ならないのですから。

9月入学制度が悪いわけではない

ただし、言い出した人たちに問題があるからといって、9月入学制度自体が悪いわけではありません。筆者個人的には、5~6年の時間をかけて制度移行をすることは賛成です。世界的な人材交流のためには、学制を一致させた方が学生も企業も動きやすいからです。

ですから、今回のコロナ禍での「思い付きパフォーマンス」ではなく、長期ビジョンで考えることは是非進めていただきたいと思っています。

実施のために必要なもの

一方で、この突然の提案では制度変更の影響が全く洗い出されている素振りが見えません。自治体と学校だけで対応できるわけがないのに。

業務プロセスや情報システムに影響が出てくるものは、部外者がぱっと思いつくだけでも沢山あります。公的・半公的なものでも児童手当、奨学金制度は関係しますよね。教科書検定も影響するでしょう。学習塾等習い事関係も関係するでしょう。卒業式を考えれば着物の業界もありますね。「学割」のある業種は全て影響するでしょう。採用時期が変わるわけですから人事採用制度も影響しますね。新卒採用に取り組む全ての企業に影響します。さらに筆者がすぐ思いつかないだけで、他にもいろいろとあることでしょう。

それら全てをあと3か月程度で対応する?もう寝言は寝て言えとしか。いえ、こんな提案するくらいなら、いっそ寝ていてくれた方が害がありません。

ただでさえ情報人材は人手が足りない上に、自粛要請でテレワーク整備等、追加の仕事も入ってるんですよ。いったい誰がやると思っているんでしょう。自分で達成までの道筋を考えて動く方なら、こんなこと不可能なのはすぐわかります。また、自分で思いつかなくても関係すると思われる分野の方に意見を聞けばわかるでしょう。

こんな発想ができる人は、今までの仕事も部下に「何とかしろ」で何とかなってきた方なんでしょう。そして周囲の方の意見にも耳を貸さない方、ということなんでしょう。

知事として”リーダーの資質”が問われている

サマータイム導入騒動の記事でも書きましたが、リーダーに必要な能力は「目標達成までのフローを描くこと」です。自分だけで描けなければ他の人に協力して貰っても構いません。思い付きだけで結論を出して、「何とかしろ」というのはリーダーの有り様ではありません。

とりあえず、他の知事にも賛同が広がる、などという目も当てられない状態にならないことを祈るばかりです。日本の有為の方々の頭脳労働時間を奪った、馬鹿げたサマータイム騒動の二の舞になりませんように。


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