WPA2とは?仕組みやWPA3との違い・脆弱性・設定方法を解説|サイバーセキュリティ.com

WPA2とは?仕組みやWPA3との違い・脆弱性・設定方法を解説



「WPA2って何のこと?」「WPA3と何が違うの?」「まだWPA2で大丈夫?」——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)とは無線LAN(Wi-Fi)の通信を暗号化して保護するためのセキュリティ規格で、現在も世界中のルーターやデバイスで標準的に使われています。

本記事ではWPA2の仕組み・PersonalとEnterpriseの違い・脆弱性・WPA3との比較・設定方法まで初心者向けにわかりやすく解説します。

先に結論を言うと
WPA2はAES暗号化を採用した現在の主流Wi-Fiセキュリティ規格ですが、2017年のKRACK攻撃など脆弱性も発見されています。WPA3対応のルーターであればWPA3への移行が推奨されますが、WPA2でも適切な設定と強力なパスワードで十分な安全性を確保できます——これがポイントです。

WPA2とは

WPA2の意味と概要

WPA2(Wi-Fi Protected Access 2:ワイファイ・プロテクテッド・アクセス・ツー)とは無線LAN(Wi-Fi)上で通信を暗号化して保護するための技術規格の一つです。WEPの後継として広く普及した方式で、業界団体のWi-Fi Allianceが運用しています。

また通信機器などが同規格に準拠していることを認定する認証制度でもあり、業界団体のWi-Fi Allianceが運用しています。WPA2対応製品同士はメーカーや機種の違いによらず共通の方法で暗号化機能を利用できます。

暗号化の方式として新たにAES(Advanced Encryption Standard)暗号を用いたCCMP(Counter mode with CBC-MAC Protocol)を採用しています。最長256ビット(AES256)までの強力な暗号鍵を利用できます。

WPA2の歴史(WEP→WPA→WPA2→WPA3)

Wi-Fiセキュリティの規格はセキュリティ上の問題が発見されるたびに強化されてきました。1997年に登場したWEP(Wired Equivalent Privacy)はRC4暗号を採用した最初のWi-Fiセキュリティ規格ですが、暗号化の欠陥が発見されて現在は使用が推奨されていません。

2003年にWEPの脆弱性への緊急対応として登場したのがWPA(Wi-Fi Protected Access)です。TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)を採用し、一時的な対策として普及しました。

2004年にWPAの後継として登場したのがWPA2です。AES/CCMP暗号化を採用したWPA2は現在も最も広く普及しているWi-Fiセキュリティ規格です。

IEEE 802.11iの完成版を元にしており、2006年からはWPA2に対応しなければ無線LAN機器の「Wi-Fi CERTIFIED」認証を得られないようになっています。2018年にWPA2の後継として発表されたWPA3は最新規格です。

SAE(Simultaneous Authentication of Equals)という新しい認証方式を採用し、WPA2の脆弱性を大幅に改善しています。

WPA2-PersonalとWPA2-Enterpriseの違い

WPA2にはPersonalとEnterpriseの2つのモードがあります。WPA2-Personal(WPA2-PSK:Pre-Shared Key)は事前共有鍵方式で、アクセスポイントに接続するすべての端末が同じパスワード(事前共有鍵)を使用します。

設定が簡単で追加のサーバーが不要なため、家庭・小規模事業所・個人向けに広く使われています。WPA2-Enterprise(802.1X方式)はIEEE 802.1X標準に基づくRADIUSサーバーにより、利用者や端末ごとに個別の認証情報(IDとパスワードや証明書)で認証を行う方式です。

ユーザーごとに異なる認証情報を使用するため、退職者のアクセスを即座に停止できるなど管理性が高く、大規模企業・大学・組織向けのソリューションです。

WPA2の仕組み

AES暗号化(CCMP)とは

AES(Advanced Encryption Standard)とは米国国立標準技術研究所(NIST)が標準暗号として採用した対称鍵暗号方式です。128ビット・192ビット・256ビットの鍵長に対応しており、現在でも最も安全な暗号方式の一つとして政府機関・金融機関・企業で広く使われています。

WPA2ではAESを用いたCCMP(Counter mode with CBC-MAC Protocol)というモードを採用しています。CCMPは暗号化・改ざん検知・認証をすべてAESで実現するため、WEPやTKIPより大幅に安全性が向上しています。

TKIPとAESの違い

WPAで採用されたTKIPとWPA2で採用されたAES/CCMPの主な違いを整理します。

比較項目 TKIP(WPA) AES/CCMP(WPA2)
暗号化アルゴリズム RC4(WEPと同じ) AES(より安全)
鍵の長さ 128ビット 128〜256ビット
安全性 中程度(既に非推奨) 高い
処理速度 比較的遅い 高速(ハードウェア対応)

現在のWPA2設定ではAES/CCMPの使用が標準となっており、TKIPは後方互換性のためのみ残されています。セキュリティのためにAES(CCMP)のみを使用する設定にすることを推奨します。

WPA2の認証プロセス

WPA2-Personalの認証プロセスは「4ウェイハンドシェイク」と呼ばれる手順で行われます。アクセスポイント(ルーター)とクライアント(端末)が4回のメッセージ交換を行い、双方が事前共有鍵を持っているかを確認しながら実際の通信に使う一時的な暗号鍵(PTK)を生成します。

この仕組みにより、パスワードそのものをネットワーク上に送信することなく認証が完了します。

WPA2の脆弱性

KRACK攻撃とは

KRACK(Key Reinstallation Attack:鍵再インストール攻撃)は2017年にセキュリティ研究者のMathy Vanhoefが発見したWPA2の脆弱性です。

4ウェイハンドシェイクの仕組みを悪用して暗号鍵を再インストールさせることで、暗号化された通信を解読したり改ざんしたりできる可能性があります。KRACK攻撃を実行するには攻撃者が標的のWi-Fi電波の届く範囲にいる必要がありますが、発見当時はWPA2を使用するほぼすべてのデバイスが影響を受けました。

現在は各デバイスメーカーがセキュリティパッチを公開しており、ファームウェアとOSを最新の状態にしておけば大部分の脅威に対処できます。

ブルートフォース攻撃・辞書攻撃のリスク

WPA2-Personalの事前共有鍵(パスワード)が短い・単純な場合、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)や辞書攻撃によって解読されるリスクがあります。攻撃者はアクセスポイントとの認証時に交換されるパケットをキャプチャし、オフラインで大量のパスワード候補を試すことができます。

8文字以下の単純なパスワードは短時間で解読される可能性があります。12文字以上の英大文字・英小文字・数字・記号を組み合わせた複雑なパスワードを設定することが重要です。

PMKID攻撃

2018年に発見されたPMKID攻撃は、アクセスポイントから取得できるPMKID(Pairwise Master Key Identifier)を解析することで事前共有鍵を解読しようとする攻撃です。

従来のブルートフォース攻撃はクライアントとの接続を傍受する必要がありましたが、PMKID攻撃はクライアントなしにルーターから直接情報を取得できるためより実行しやすい点が問題です。この攻撃への対策は強力なパスワードの設定とWPA3への移行です。

脆弱性への対策

WPA2の脆弱性に対する主な対策は以下のとおりです。ルーター・デバイスのファームウェアとOSを常に最新の状態に保つことでKRACK等のパッチを適用できます。12文字以上の複雑なパスワードを設定することでブルートフォース攻撃・辞書攻撃・PMKID攻撃のリスクを大幅に低減できます。

またWPA3対応のルーターであればWPA3に移行することで、これらの脆弱性の多くを根本的に解消できます。

WPA2とWPA3の違い

WPA3で改善された点

WPA3(2018年発表)はWPA2の脆弱性を踏まえて設計された次世代のWi-Fiセキュリティ規格です。主な改善点は以下のとおりです。

SAE(Simultaneous Authentication of Equals)という新しい認証プロセスにより、オフラインの辞書攻撃に対する耐性が大幅に向上しました。またPMF(Protected Management Frames)が必須化され、管理フレームへの攻撃も防止されています。

さらに192ビットの強力な暗号化スイートが採用されており、政府・防衛・産業用途に対応しています。

WPA2とWPA3の比較表

比較項目 WPA2 WPA3
発表年 2004年 2018年
認証方式(Personal) PSK(事前共有鍵) SAE(より安全)
暗号化 AES-128(CCMP) AES-192〜256(GCMP)
オフライン辞書攻撃への耐性 弱い 強い
KRACK攻撃への耐性 パッチが必要 根本的に解消
普及状況 現在の主流 新機種で普及中

WPA2をまだ使うべきか

WPA3対応機器に移行できるなら移行することを推奨しますが、WPA2でも適切な設定と管理を行えば現時点で十分なセキュリティを確保できます。

WPA3への移行を推奨するケースは、新しいルーターの購入を検討している場合・金融・医療・機密情報を扱う環境の場合・すべての接続デバイスがWPA3対応の場合などです。

WPA2を継続利用してもよいケースは、既存の機器がWPA3非対応の場合・ファームウェアを最新に保ち強力なパスワードを使用している場合などです。

WPA2の設定方法

Wi-Fiルーターの設定方法

ルーターの管理画面でWPA2を設定する一般的な手順は以下のとおりです。

  1. ブラウザでルーターの管理画面にアクセスする(通常192.168.0.1または192.168.1.1)
  2. 管理者IDとパスワードでログインする(初期値はルーター本体や説明書に記載)
  3. 「無線LAN設定」「Wi-Fi設定」「セキュリティ」などの項目を開く
  4. セキュリティ方式で「WPA2」または「WPA2-PSK(AES)」を選択する
  5. 暗号化方式で「AES」を選択する(TKIPは非推奨)
  6. 12文字以上の複雑なパスワード(PSK)を設定して保存する

WPA3対応ルーターではWPA2/WPA3混在モードを設定することで、WPA3対応機器はWPA3で・非対応機器はWPA2で接続できます。

Windowsでの接続・確認方法

Windowsで現在使用しているWi-Fiのセキュリティ方式を確認する手順は以下のとおりです。

  1. タスクバーのWi-Fiアイコンを右クリックして「ネットワークとインターネットの設定」を開く
  2. 「Wi-Fi」→接続中のネットワーク名をクリックする
  3. 「プロパティ」を開くと「セキュリティの種類」にWPA2などが表示される

接続時はタスクバーのWi-Fiアイコンをクリックして対象のSSIDを選択し、パスワードを入力して接続します。

Macでの接続・確認方法

Macで現在使用しているWi-Fiのセキュリティ方式を確認する手順は以下のとおりです。

  1. 画面右上のWi-Fiアイコンを「Option(Alt)キー」を押しながらクリックする
  2. 接続中のネットワーク名の下に「セキュリティ:WPA2 パーソナル」などと表示される

接続時はメニューバーのWi-Fiアイコンから対象のSSIDを選択し、パスワードを入力して接続します。

iPhone・Androidでの確認方法

iPhoneの場合:「設定」→「Wi-Fi」→接続中のネットワーク名の右にある「i」アイコンをタップすると、セキュリティの種類(WPA2など)が表示されます。

Androidの場合:「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」→接続中のネットワーク名をタップして「詳細設定」を開くとセキュリティの種類が確認できます。機種やAndroidのバージョンによって表示場所が異なる場合があります。

よくある質問(FAQ)

WPA2とWPA2-PSKは同じ?

ほぼ同じ意味です。WPA2-PSK(Pre-Shared Key)はWPA2のPersonalモード(家庭・小規模向け)のことで、事前共有鍵(パスワード)で認証する方式です。ルーターの設定画面で「WPA2」と「WPA2-PSK」が別々に表示される場合があります。

この場合、WPA2-PSKがパスワード認証(Personal)・WPA2がRADIUSサーバー認証(Enterprise)を指します。家庭用ルーターでは一般的に「WPA2-PSK(AES)」を選択します。

WPA2対応のルーターでWPA3は使える?

対応していません。WPA3を利用するにはルーター本体がWPA3をサポートしている必要があります。ただし多くのWPA3対応ルーターはWPA2/WPA3混在モード(トランジションモード)をサポートしており、WPA3対応デバイスはWPA3で・WPA2のみ対応のデバイスはWPA2で同時に接続できます。

現在のルーターがWPA2のみ対応の場合、WPA3を使うにはルーターの買い替えが必要です。

会社のWi-FiにWPA2-Enterpriseが必要な理由は?

WPA2-PersonalではすべてのユーザーがWi-Fiパスワードを共有するため、退職した従業員・元取引先などが知っているパスワードを変更しない限りアクセスできてしまいます。

WPA2-Enterpriseではユーザーごとに個別のIDとパスワード(または証明書)を使うため、特定のユーザーのアクセスだけを即座に停止できます。また誰がいつ接続したかの記録も残せるため、セキュリティ監査やコンプライアンス対応にも対応できます。

このような管理性の高さから、企業・大学・病院などの組織ではWPA2-Enterprise(または後継のWPA3-Enterprise)が標準的に使われています。

まとめ

WPA2はAES/CCMP暗号化を採用した現在の主流Wi-Fiセキュリティ規格で、PersonalとEnterpriseの2つのモードがあります。2017年のKRACK攻撃や辞書攻撃などの脆弱性が存在しますが、ファームウェアの最新化と強力なパスワード設定で十分な安全性を確保できます。

WPA3はSAEによる認証強化でWPA2の脆弱性を大幅に改善した次世代規格で、新規導入や買い替えの際はWPA3対応機器を選ぶことをおすすめします。設定時は暗号化方式をAESに指定し、12文字以上の複雑なパスワードを使用することが重要です。

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