DDoS攻撃(Distributed Denial of Service)|サイバーセキュリティ.com

DDoS攻撃(Distributed Denial of Service)

DDoS攻撃(Distributed Denial of Service、分散型サービス拒否攻撃)とは、特定のサーバーやネットワークに対して、大量のトラフィックやリクエストを短時間で集中させ、システムのリソースを消費させることで正常なサービスを妨害する攻撃手法です。通常、複数のコンピュータやデバイス(ボットネットと呼ばれる感染したデバイス群)が連携して攻撃に参加するため、攻撃の規模が大きくなり、被害も深刻になります。

DDoS攻撃は、企業のWebサイトやオンラインサービスを停止させ、利用者がサービスにアクセスできない状況を作り出します。攻撃の影響により、サービスのダウンタイムや顧客の信頼低下、ビジネス損失を招くことがあるため、近年のサイバーセキュリティにおける大きな脅威の一つとされています。

DDoS攻撃の特徴

DDoS攻撃には、以下のような特徴があります。

  • 分散性:複数のデバイスから同時に攻撃を仕掛けることで、攻撃元を特定しにくくしています。
  • 大規模性:膨大な量のトラフィックを生成し、ターゲットのネットワークやサーバーのリソースを消耗させます。
  • 複雑化と巧妙化:攻撃手法が進化し、トラフィックの特性を隠したり、複数の攻撃手法を組み合わせることで、検知と防御が難しくなっています。

DDoS攻撃の種類

DDoS攻撃には、攻撃対象や方法に応じて以下の種類があります。

  1. ボリュームベースの攻撃
    ネットワーク帯域を圧迫する大量のトラフィックを送り込み、ネットワークのキャパシティを超過させることでサービス停止を引き起こします。UDPフラッドやICMPフラッドが代表的です。
  2. プロトコル攻撃
    通信プロトコル(例えば、TCPやHTTP)に対する脆弱性を悪用して、接続リソースを消耗させる攻撃です。代表的なものに「SYNフラッド」や「Ping of Death」などがあります。
  3. アプリケーション層攻撃
    Webサーバーやアプリケーションのリソースを対象に、正常な通信に見せかけたリクエストを大量に送り込むことでシステムを過負荷状態にします。HTTPフラッドやSlowlorisなどの手法が代表的です。

DDoS攻撃の仕組み

DDoS攻撃は、通常以下のような手順で行われます。

  1. ボットネットの構築:攻撃者がマルウェアを使って、インターネット上にある無数のデバイス(PC、サーバー、IoTデバイスなど)を感染させ、攻撃に使うボットネットを形成します。
  2. ターゲットの選定と指示:攻撃対象となるサーバーやネットワークを指定し、ボットネットに指示を送信します。
  3. 攻撃の実行:ボットネットから標的に対して大量のトラフィックやリクエストを送信し、システムのリソースを圧迫します。
  4. サービス停止:ターゲットのサーバーやネットワークのリソースが消耗し、システムがダウンまたは処理が遅延することで、サービスが停止状態になります。

DDoS攻撃の目的

DDoS攻撃には、以下のような目的が考えられます。

  • 金銭的な要求:標的企業やサービスの停止を強制し、身代金の支払いを要求するランサムDDoS攻撃。
  • 競争妨害:競合企業のWebサイトやサービスを妨害し、経済的ダメージを与える目的。
  • 政治的・社会的メッセージの伝達:企業や政府機関への抗議活動や、特定の社会的・政治的メッセージを伝える目的。
  • 練習や自己顕示:サイバー犯罪者がスキルをテストしたり、実力を示したりするために行うケースもあります。

DDoS攻撃の対策方法

DDoS攻撃への対策としては、以下のような方法があります。

  1. トラフィックフィルタリング
    DDoS対策サービスを利用し、不正なトラフィックをフィルタリングして、正常なトラフィックのみを通過させることで、サーバー負荷を軽減します。
  2. レート制限
    特定のIPアドレスやユーザーからのリクエスト数を制限し、攻撃による負荷を分散させます。
  3. ロードバランサーの利用
    サーバー負荷を複数のサーバーに分散させるロードバランサーを使用することで、1台のサーバーに対する負荷を軽減します。
  4. CDN(コンテンツデリバリネットワーク)
    グローバルに配置されたCDNを利用してWebコンテンツをキャッシュし、攻撃トラフィックを複数のノードに分散させることで、サーバーの直接的な負荷を減らします。
  5. DDoS対策サービス
    専門のDDoS対策サービス(Cloudflare、Akamai、AWS Shieldなど)を活用して、不正トラフィックをフィルタリング・軽減します。

DDoS攻撃の被害例

DDoS攻撃の被害には、以下のような例が挙げられます。

  • Webサイトやアプリケーションのダウン:企業のWebサイトやアプリが長時間停止し、顧客が利用できない状態に。
  • 金銭的損失:オンラインショップや予約サービスにおいて、サービス停止による収益の損失や顧客からのクレーム対応によるコスト増加。
  • ブランドイメージの低下:DDoS攻撃により信頼性が損なわれ、顧客やパートナーの信頼低下につながることもあります。

まとめ

DDoS攻撃(Distributed Denial of Service)は、複数のデバイスからの大量トラフィックにより、特定のサービスやネットワークのリソースを圧迫し、システムの停止や遅延を引き起こす攻撃です。特に企業や政府機関のWebサイトがターゲットとなりやすく、サービスの信頼性や経済的損失に大きな影響を及ぼします。ボットネットやプロトコル攻撃、アプリケーション層攻撃など、攻撃手法が多様化しており、トラフィックフィルタリング、CDNの利用、DDoS対策サービスといった防御策が重要です。


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