セッションハイジャック|サイバーセキュリティ.com

セッションハイジャック

セッションハイジャック(Session Hijacking)とは、ユーザーがウェブサイトやアプリケーションにログインした後、そのセッション情報(セッションIDなど)を攻撃者が不正に取得し、ユーザーの権限でシステムにアクセスする攻撃手法です。

この攻撃により、攻撃者は正規ユーザーになりすました形で、個人情報や機密情報を盗む、不正な操作を行うといった悪意ある行動を取ることが可能となります。

セッションハイジャックの手口

1. セッションフィクセーション(Session Fixation)

攻撃者があらかじめ決めたセッションIDをターゲットに使わせ、利用中のセッションIDが固定化されている状態で不正アクセスを行う手法です。この手口では、攻撃者がセッションIDをユーザーに使用させるように誘導し、そのIDを使ってシステムにアクセスします。

2. セッションスニッフィング(Session Sniffing)

ネットワーク上を流れるセッションIDを盗み取る手法で、主にパケットスニッフィングを用いて実行されます。特にHTTPSを使用していない通信は傍受されやすく、盗み取られたセッションIDでなりすましが可能になります。

3. クロスサイトスクリプティング(XSS)を利用した手法

Webサイトの脆弱性であるXSS(クロスサイトスクリプティング)を利用して、セッションIDを盗む手法です。攻撃者は悪意のあるスクリプトを仕込み、ユーザーがそのスクリプトを実行することでセッション情報を盗み取ります。

4. マルウェアを使用したセッションIDの盗難

攻撃者がターゲットのデバイスにマルウェアを仕込み、ブラウザ内のセッションIDを盗み取る方法です。マルウェアによってデバイスが感染すると、正規サイトへのログインセッションが奪われるリスクが高まります。

5. MITM(Man-in-the-Middle)攻撃

攻撃者がユーザーとサーバー間の通信を傍受する中間者攻撃です。通信内容を読み取ったり、改ざんしたりすることでセッションIDが盗まれ、攻撃者はユーザーになりすました不正な操作が可能になります。

セッションハイジャックの防止対策

1. HTTPSの導入

サイト全体でHTTPS(SSL/TLS)を使用し、セッションIDを含む通信内容を暗号化することで、スニッフィングなどによるセッションIDの盗難リスクを低減します。

2. セッションIDの定期更新

ログイン後にセッションIDを再発行することで、セッションフィクセーション攻撃を防ぎます。また、定期的にセッションIDを更新することで、セッションが長期間同じIDを使わないようにし、盗まれても悪用が難しくなります。

3. セッションIDのランダム化

セッションIDにランダム性を持たせ、推測しにくくすることで、不正に生成したIDでの攻撃を防ぎます。セッションIDは十分に長く、ランダムな文字列にすることが推奨されます。

4. HTTPOnlyとSecure属性の設定

セッションIDをクッキーで管理する場合、HTTPOnly属性を設定することで、JavaScriptからのアクセスを制限し、XSSによるセッションIDの盗難リスクを軽減できます。また、Secure属性を設定することで、セッションIDがHTTPS通信時のみ送信されるように制限します。

5. IPアドレスやデバイスの確認

セッションごとにユーザーのIPアドレスやデバイス情報をチェックし、異なるIPアドレスやデバイスからのアクセスが検出された場合に再認証を要求することで、不正アクセスのリスクを減らします。

6. 多要素認証(MFA)の導入

ユーザー認証に多要素認証を取り入れることで、セッションハイジャックが発生しても、攻撃者がアクセスする際に再認証が必要になり、セキュリティが強化されます。

7. セッションのタイムアウト設定

一定時間操作がない場合に自動でログアウトさせるセッションタイムアウトを設定し、盗まれたセッションIDの使用を困難にします。特に、金融サービスや機密情報を扱うサービスで有効です。

セッションハイジャックの影響

セッションハイジャックが成功すると、攻撃者は正規ユーザーになりすまし、システム上で様々な不正行為が可能になります。これにより、以下のような深刻な影響が生じることがあります。

  • 個人情報の漏洩:個人データや財務情報、取引履歴など、機密情報が盗まれるリスクが高まります。
  • 不正取引やなりすまし被害:攻撃者がユーザーになりすまし、サービス内で不正な購入や支払いを行う恐れがあります。
  • アカウントの乗っ取り:正規ユーザーのアカウントが攻撃者に支配され、アカウントの不正利用や信用失墜が発生します。
  • システム全体の信頼性低下:セキュリティ上の問題が明らかになると、サービスの信頼が低下し、ユーザー離れが進む可能性があります。

まとめ

セッションハイジャックは、ユーザーのセッション情報を盗むことで不正にシステムにアクセスする攻撃手法であり、個人情報やアカウントの乗っ取り、不正な取引が発生する可能性があるため、特に対策が重要です。HTTPSの使用やセッションIDのランダム化、HTTPOnlyとSecure属性の設定、多要素認証など、複数のセキュリティ対策を導入することで、セッションハイジャックのリスクを大幅に低減できます。また、ユーザー自身も不審なサイトやメールに警戒し、安全なアクセス環境を維持することが大切です。


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