コピー・ペースト攻撃|サイバーセキュリティ.com

コピー・ペースト攻撃

コピー・ペースト攻撃(Copy-Paste Attack)とは、ユーザーがクリップボードにコピーした内容を攻撃者が意図的に書き換えることで、不正な操作を行わせるサイバー攻撃手法です。特に、仮想通貨のウォレットアドレスや、重要なリンク、ログイン情報、機密データをコピーした際にクリップボードの内容がすり替えられ、攻撃者の指定したアドレスやURLに書き換えられてしまうケースが一般的です。

この攻撃手法は、クリップボードの内容を監視するマルウェアが原因で発生し、特に仮想通貨取引や金融サービスを狙った詐欺や情報窃取に利用されることが多いです。ユーザーが気づかずに貼り付け操作を行うことで、意図しない取引や情報漏洩が発生するリスクがあります。

コピー・ペースト攻撃の仕組み

コピー・ペースト攻撃は、主に以下の手順で実行されます:

  1. クリップボードの監視
    攻撃者は、クリップボードの内容を監視するマルウェアをユーザーのデバイスにインストールします。このマルウェアはバックグラウンドで動作し、ユーザーが何をコピーしたかを随時チェックします。
  2. 特定内容の検出
    マルウェアは、クリップボードにコピーされた内容が特定のパターン(仮想通貨のウォレットアドレスや金融機関のURLなど)に一致するかを確認します。例えば、ビットコインのウォレットアドレスや銀行のURL形式を識別することで、標的となる情報を特定します。
  3. クリップボードの内容を改ざん
    攻撃者のウォレットアドレスや不正なURLにクリップボードの内容が置き換えられます。ユーザーがそのまま貼り付けを行うと、改ざんされた内容が入力されることになります。
  4. 不正な操作の実行
    ユーザーは、コピー・ペーストした内容が改ざんされたことに気づかず、貼り付け操作を行います。これにより、仮想通貨の送金先が攻撃者のアドレスになる、不正なWebページに誘導されるなどの被害が発生します。

コピー・ペースト攻撃の例

コピー・ペースト攻撃には、さまざまな具体例があります。

  • 仮想通貨ウォレットの乗っ取り
    仮想通貨の送金アドレスをコピーした際に、攻撃者のウォレットアドレスにすり替えられるケース。ユーザーが送金時に貼り付け操作を行うと、攻撃者のアドレスに仮想通貨が送金されてしまいます。
  • フィッシングサイトへの誘導
    ログインページや銀行のURLをコピーした際に、攻撃者が用意したフィッシングサイトのURLに置き換えられるケース。ユーザーは正規のサイトだと思い込み、不正なページでIDやパスワードを入力してしまいます。
  • 送金先口座情報の改ざん
    取引や送金時に金融機関の口座情報をコピーした際、攻撃者の口座情報に置き換えられるケース。特に企業間の大口送金が狙われやすく、不正送金に利用されることがあります。

コピー・ペースト攻撃のリスクと影響

コピー・ペースト攻撃が成功すると、以下のようなリスクや影響が生じる可能性があります:

  1. 金銭的な損失
    仮想通貨ウォレットアドレスの改ざんによる送金詐欺が代表的で、送金が完了すると資金の回収がほぼ不可能です。大口送金の場合、被害額が大きくなるリスクがあります。
  2. 個人情報や機密情報の漏洩
    フィッシングサイトに誘導されることで、ログイン情報や金融情報が漏洩するリスクが高まります。これにより、不正アクセスやさらなる詐欺被害が発生する可能性もあります。
  3. 偽情報による意図しない操作
    不正なURLやリンクにより、マルウェアがダウンロードされ、さらに深刻なセキュリティ侵害が発生するリスクもあります。特に、業務に利用する機密情報が盗まれると、企業全体に影響を与える可能性もあります。

コピー・ペースト攻撃の対策

コピー・ペースト攻撃を防ぐためには、以下の対策が有効です。

  1. クリップボードの内容を確認する
    貼り付けを行う前に、クリップボードにコピーされた内容を一度確認し、改ざんがないか目視でチェックすることが重要です。特に、仮想通貨のアドレスや金融機関のURLなどの機密情報は注意が必要です。
  2. 信頼できるセキュリティソフトの導入
    マルウェアやウイルスを検出し、クリップボードの監視や改ざんを防ぐため、信頼できるセキュリティソフトをインストールします。定期的なスキャンにより、マルウェアを早期に発見できます。
  3. OSやアプリケーションのアップデート
    OSやブラウザ、アプリケーションのアップデートを定期的に行い、既知の脆弱性を修正することで、攻撃者が不正なプログラムをインストールするリスクを減らします。
  4. ブラウザのクリップボードアクセスを制限する
    ブラウザの設定で、不要なクリップボードアクセスを制限することで、Webサイトがクリップボード内容を読み取ることを防止します。必要な場合以外はクリップボードへのアクセス許可を求めないようにします。
  5. クリップボードの使用を最小限に
    可能であれば、クリップボードの使用を避けるか、重要な情報のコピーを避けることで、攻撃リスクを軽減できます。仮想通貨のアドレスは手入力する、または信頼性の高いアドレス管理ツールを利用するなど、他の手段を検討します。

まとめ

コピー・ペースト攻撃は、クリップボードの内容を監視するマルウェアによって、ユーザーがコピーした重要情報をすり替える手法です。特に仮想通貨や金融機関のアドレス、URLの置き換えにより、金銭的な被害や情報漏洩が発生するリスクがあります。対策としては、クリップボードの内容の確認、セキュリティソフトの利用、OSのアップデート、ブラウザ設定の見直しが効果的です。ユーザーが慎重な操作を心がけることも、被害を未然に防ぐための重要なポイントです。


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