スクリーンキャプチャ型キーロガー|サイバーセキュリティ.com

スクリーンキャプチャ型キーロガー

スクリーンキャプチャ型キーロガーは、通常のキーロガーの一種で、ユーザーのキーボード入力だけでなく、スクリーンショットを定期的に撮影して記録する機能を持つ悪意のあるツールです。この方法により、攻撃者はユーザーがどのような操作をしているかを視覚的に確認することができ、特にパスワード入力やセキュリティ情報など、画面に表示される重要な情報を盗むことが可能です。

この種のキーロガーは、キーストローク(キー入力)だけでは収集できない情報、例えば仮想キーボードの入力や、パスワード管理ツールに保存された情報などもスクリーンショットによって収集できます。これにより、従来のキーロガーでは難しい情報収集が可能になり、セキュリティ上のリスクが高まります。

スクリーンキャプチャ型キーロガーの仕組み

  1. 定期的なスクリーンショットの撮影
    ユーザーの操作内容を監視し、一定間隔で画面のスクリーンショットを撮影して記録します。たとえば、数秒ごとにスクリーンショットを保存し、攻撃者が後から画像を確認できるようにします。
  2. 特定操作時のキャプチャ
    画面に表示された特定のアプリケーションやウィンドウを識別し、その操作が行われた際のみスクリーンショットを撮影する場合もあります。これにより、必要な情報が表示されたときだけ画像を保存するため、効率的に重要情報が取得されます。
  3. キーボード入力との組み合わせ
    多くのスクリーンキャプチャ型キーロガーは、通常のキーストローク記録機能も備えており、スクリーンショットとキーボード入力を合わせることで、より詳細なユーザー情報を記録します。たとえば、ユーザーが何を入力し、その後どの画面を見ているかなど、包括的な情報が記録されます。
  4. リモート送信
    収集されたスクリーンショットやキーストロークの情報は、ネットワークを介して攻撃者に送信されます。この機能により、攻撃者はリアルタイムで被害者の操作内容を把握でき、重要情報を即座に悪用することが可能です。

スクリーンキャプチャ型キーロガーのリスク

  1. パスワードやセキュリティ情報の流出
    スクリーンキャプチャ型キーロガーは、パスワード入力画面や2要素認証コードが表示された画面を記録できるため、キーストロークだけでは盗めない情報が盗まれるリスクがあります。特に仮想キーボードを使った入力でも、スクリーンショットを撮ることで情報が漏れる可能性があります。
  2. 個人情報や財務情報の窃取
    オンラインバンキングや電子決済の画面、クレジットカード情報が表示されるページをキャプチャすることで、個人情報や財務情報が攻撃者に盗まれる危険性が高まります。
  3. 企業の機密情報流出
    ビジネス環境では、企業の内部システムや文書、プロジェクト管理ツールの画面が記録され、機密情報が外部に漏洩するリスクがあります。これにより、企業の競争優位性が低下したり、顧客情報が漏れるなどの影響が考えられます。
  4. 長期的なスパイ活動
    スクリーンキャプチャ型キーロガーは、ユーザーの気づかぬうちに長期間にわたって画面を記録できるため、被害が長期的かつ深刻化しやすい傾向があります。記録された内容を分析することで、ユーザーの行動パターンや使用しているサービスを把握される可能性もあります。

スクリーンキャプチャ型キーロガーの感染経路

  • フィッシングメールや悪意のあるリンク
    フィッシングメールの添付ファイルや、悪意のあるリンクからダウンロードされることが多いです。メール内のリンクやファイルを開くと、スクリーンキャプチャ型キーロガーがインストールされ、ユーザーの画面が監視され始めます。
  • 不正なソフトウェアのインストール
    無料のソフトウェアやトレントサイトなどからダウンロードしたアプリケーションにキーロガーが組み込まれているケースもあります。不正ソフトウェアがインストールされると、スクリーンキャプチャ型キーロガーも一緒にインストールされます。
  • ブラウザやアプリの脆弱性
    古いブラウザやアプリケーションに存在する脆弱性を悪用して、キーロガーをインストールされることがあります。脆弱性を突かれると、バックグラウンドでスクリーンキャプチャ型キーロガーが動作する可能性が生じます。

スクリーンキャプチャ型キーロガーの対策

  1. セキュリティソフトの導入と定期的なスキャン
    アンチウイルスソフトやスパイウェア対策ソフトを導入し、定期的にスキャンすることで、スクリーンキャプチャ型キーロガーの検出と駆除を行います。最新のセキュリティソフトでは、不審なスクリーンキャプチャの動作を検出する機能も含まれています。
  2. アプリケーションのセキュリティパッチの更新
    オペレーティングシステムやアプリケーションの脆弱性を解消するために、常に最新のセキュリティパッチを適用します。脆弱性が放置されていると、キーロガーがバックドアを通じてインストールされるリスクが高まります。
  3. 仮想キーボードや二要素認証(2FA)の利用
    仮想キーボードの利用や、SMS認証などの二要素認証を活用することで、パスワードや認証情報が漏洩しても不正アクセスを防止できます。ただし、スクリーンキャプチャ型の場合、仮想キーボードでの入力内容も盗まれる可能性があるため、2FAを併用することが効果的です。
  4. 不審な動作の監視
    不審なプロセスやアプリケーションの動作を監視し、定期的に確認することで、スクリーンキャプチャ型キーロガーの兆候を把握できます。特に、システムのリソース消費が異常に増えた場合や、知らないプロセスがバックグラウンドで動作している場合、注意が必要です。
  5. 電子メールやファイルの取り扱いに注意
    スクリーンキャプチャ型キーロガーはフィッシングメールや不正ファイルからの感染が多いため、信頼できないメールや不審なリンクを開かないことが重要です。また、ファイルを開く前にセキュリティソフトでスキャンを実行することが推奨されます。

まとめ

スクリーンキャプチャ型キーロガーは、画面上の情報を視覚的に記録することで、従来のキーストローク型キーロガーよりも多くの情報を盗むことが可能な危険なツールです。特に、仮想キーボードの入力や2FA情報など、キーボード入力では取得しづらい情報もスクリーンショットで取得できるため、セキュリティ上の脅威が大きいです。

この種の攻撃を防ぐためには、セキュリティソフトの導入や、定期的なシステムスキャン、仮想キーボードや2FAの併用、最新のセキュリティパッチの適用など、多層的な対策が必要です。


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