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theHarvester

theHarvesterは、オープンソースの情報収集ツールで、企業や組織に関する公開情報を収集し、セキュリティ評価やペネトレーションテストにおいて利用されます。主に、電子メールアドレス、サブドメイン、IPアドレス、従業員名、ホスト名など、インターネット上に公開されているデータを検索し、ターゲットに関する基本的な情報を把握する目的で使用されます。theHarvesterは、各種検索エンジンやソーシャルメディア、DNS、証明書情報のAPIといった情報源からデータを取得し、オープンソースインテリジェンス(OSINT:Open Source Intelligence)としてサイバーセキュリティに役立つ情報を提供します。

theHarvesterは、セキュリティ担当者が攻撃対象の外部公開情報を確認するための強力なツールで、攻撃者による標的分析や侵入活動を未然に防ぐための情報収集としても活用されます。

theHarvesterの主な機能

theHarvesterは、公開情報の収集に特化しており、以下のような機能を提供します。

  1. 電子メールアドレスの収集
    ターゲットドメインに関連する電子メールアドレスを収集します。フィッシング攻撃の標的特定や、攻撃経路分析のために役立ちます。
  2. サブドメインとホスト名の収集
    公開されているサブドメインやホスト名を特定し、ターゲットのネットワーク構造を把握します。サブドメイン収集により、攻撃者が利用できる潜在的なアクセスポイントが明確化されます。
  3. IPアドレスとネットワーク情報の収集
    特定のドメインに関連するIPアドレスを取得し、ネットワークの全体像を把握します。特にネットワークスキャンやポートスキャンなどの前段階の情報として活用されます。
  4. 従業員名の収集
    LinkedInや他の情報源を用いて、特定の組織に関連する従業員の名前を収集します。ソーシャルエンジニアリングや標的型フィッシング(スピアフィッシング)などに利用される可能性があります。
  5. DNS情報と証明書情報の取得
    DNSレコード(Aレコード、MXレコード、NSレコードなど)やSSL証明書情報の検索を行います。これにより、ターゲットのネットワーク構成や信頼性の確認が可能です。
  6. さまざまなデータソースへの対応
    Google、Bing、DNSdumpster、Shodan、Censysなど複数のデータソースに対応し、異なる情報源からデータを収集してクロスリファレンスを行います。

theHarvesterの使い方

theHarvesterは、シンプルなコマンドラインツールであり、一般的な使い方は以下の通りです:

  1. インストール
    theHarvesterはPythonで記述されており、GitHubからクローンして使用します。pipを使って依存ライブラリをインストールすることで、簡単にセットアップできます。

    git clone https://github.com/laramies/theHarvester.git
    cd theHarvester
    pip install -r requirements.txt
  2. 基本的なコマンド
    ターゲットドメインに関する情報収集を行うには、以下のようなコマンドを実行します。

    python theHarvester.py -d example.com -l 500 -b google
    • -d:ターゲットドメイン(例:example.com
    • -l:収集する結果数の上限
    • -b:情報源の指定(例:google, bing, shodan など)
  3. サブドメインの収集
    特定ドメインのサブドメインや関連ホストを収集するには、複数の情報源を指定して実行します。

    python theHarvester.py -d example.com -l 200 -b google,certspotter
  4. DNS情報の取得
    DNSレコードや証明書情報を取得する場合、対象のドメインを指定し、DNS情報源や証明書情報源を設定します。

    python theHarvester.py -d example.com -b dnsdumpster,certspotter

theHarvesterの活用方法

theHarvesterは、セキュリティ評価やリスク分析で広く利用されています。具体的な活用方法は以下の通りです。

  1. ペネトレーションテストの事前調査
    攻撃対象の外部公開情報を事前に把握することで、テスト範囲や潜在的な脆弱ポイントを特定します。
  2. サイバー攻撃への防御対策
    theHarvesterで自組織の公開情報を確認し、不要な情報が漏洩していないか、セキュリティを強化するべき部分がないかを確認します。
  3. ソーシャルエンジニアリング対策
    従業員の名前やメールアドレスが公開されている場合、フィッシングや標的型攻撃のリスクが高まるため、社内の情報保護対策の見直しに役立ちます。
  4. 脅威インテリジェンスの収集
    ターゲットの情報をもとにサイバー攻撃者の動向を予測し、脅威インテリジェンスの一環として収集された情報を活用します。

theHarvesterのメリット

  • 効率的な情報収集:theHarvesterは、複数のデータソースから自動的に情報を収集し、短時間で多くの情報を入手できます。
  • 外部公開情報の可視化:対象のネットワーク構造や公開情報が把握でき、セキュリティ上の潜在的なリスクが明確化されます。
  • 軽量で使いやすい:インストールや実行が簡単で、OSINT(オープンソースインテリジェンス)調査に手軽に利用可能です。

theHarvesterのデメリットと課題

  • 情報の精度が情報源に依存:情報源によっては、古い情報や不正確なデータが含まれる可能性があります。
  • 規模が大きい企業では情報が多すぎる:大量のデータが収集されるため、大規模な組織の場合、情報を整理・分析する負担がかかります。
  • データソースへのアクセス制限:GoogleやBingといったAPIの制約により、連続実行時に制限を受ける場合があります。

まとめ

theHarvesterは、企業や組織の公開情報を効率的に収集し、サイバーセキュリティ評価や脅威分析に活用できるツールです。セキュリティ担当者はtheHarvesterを利用して、ペネトレーションテストの事前調査や自社の公開情報管理の強化、フィッシングやソーシャルエンジニアリングのリスク低減に取り組むことが可能です。ただし、データソースの制約や情報の精度に依存するため、収集されたデータを適切に評価・分析することが重要です。


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