FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program)|サイバーセキュリティ.com

FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program)

FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program)は、アメリカ連邦政府がクラウドサービスのセキュリティ評価、承認、継続的な監視を行うための標準化されたプログラムです。このプログラムは、連邦機関がクラウドサービスを安全に利用できるようにするために策定され、クラウドサービスプロバイダー(CSP)が連邦機関と契約する際に満たすべきセキュリティ要件を明確にしています。FedRAMPは、政府機関のクラウド導入を促進し、セキュリティリスクを一貫して管理するための包括的なガイドラインを提供しています。

FedRAMPは、クラウドサービスの提供において、セキュリティの標準化を図ることで、重複したセキュリティ評価を減らし、効率的かつコストを削減した形でのクラウド利用を可能にします。これにより、連邦政府がクラウドサービスを導入する際の透明性と信頼性が確保されます。

FedRAMPの目的と重要性

FedRAMPが策定された背景には、連邦機関がクラウドサービスを利用する際に必要なセキュリティ要件を統一し、クラウドのセキュリティリスクを一元的に管理するという目的があります。その重要性は以下の点にあります。

セキュリティ基準の統一

FedRAMPは、クラウドサービスプロバイダーに対して統一されたセキュリティ基準を設けており、連邦機関が利用する際の安全性を確保します。これにより、各機関ごとに異なるセキュリティ評価を行う手間を削減し、標準化された基準に基づいた評価が可能となります。

効率的な評価プロセス

FedRAMPに認証されたクラウドサービスは、複数の連邦機関にわたって共通の評価結果を用いることができるため、時間とコストの削減が可能です。これにより、クラウド導入のスピードアップが図られます。

継続的なセキュリティ監視

FedRAMPでは、クラウドサービスプロバイダーに対して継続的なセキュリティ監視と評価を義務付けています。これにより、新たな脅威やリスクに対する迅速な対応が可能となり、クラウド環境のセキュリティが常に保たれるようになっています。

リスクの最小化

連邦機関がクラウドサービスを利用する際に、FedRAMPの認証を受けたプロバイダーであれば、一定のセキュリティ基準が満たされていることが保証されるため、セキュリティリスクを最小化できます。

FedRAMPの認証プロセス

FedRAMPの認証を取得するためのプロセスは、厳格なセキュリティ評価を行うことが求められます。主なプロセスは次の通りです。

準備段階

クラウドサービスプロバイダーは、FedRAMPの要件を理解し、自社のサービスが要件を満たすよう準備を行います。この段階では、セキュリティコントロールを文書化し、FedRAMPの基準に適合するよう対策を講じます。

セキュリティ評価

第三者評価機関(3PAO:Third Party Assessment Organization)が、プロバイダーのサービスに対するセキュリティ評価を行います。この評価には、システムのセキュリティコントロールの実装状況や、リスクがどのように管理されているかが含まれます。

認証の取得

評価結果がFedRAMP基準を満たしている場合、クラウドサービスプロバイダーは連邦機関から「認証(Authorization)」を受けることができます。この認証を取得したプロバイダーは、他の連邦機関にもそのまま同じ評価結果を提供できます。

継続的な監視

FedRAMPの認証を受けた後も、プロバイダーは継続的な監視を行い、新たな脅威や変更に対応し続ける必要があります。定期的な監査やセキュリティ評価を通じて、セキュリティ基準が維持されているかを確認します。

FedRAMPのセキュリティレベル

FedRAMPは、クラウドサービスの重要度や機密性に基づいて、いくつかのセキュリティレベルを設けています。

低(Low)

このレベルでは、影響が限定的なシステムに対するセキュリティコントロールを提供します。通常、公開情報や低リスクなデータが対象です。

中(Moderate)

中程度の影響が予想されるシステムに適用されます。多くの連邦機関のシステムはこのレベルで認証を受けています。

高(High)

非常に機密性が高いシステムに対するセキュリティコントロールを提供します。これには、国家安全保障や極めて重要なインフラを保護するためのシステムが含まれます。

FedRAMPのメリット

FedRAMPの導入により、クラウドサービスプロバイダーや連邦機関は次のようなメリットを享受できます。

クラウド利用の加速

標準化された認証プロセスにより、連邦機関がクラウドサービスを迅速かつ安全に導入することが可能です。

信頼性と透明性の向上

FedRAMPの認証を受けたクラウドサービスは、一定のセキュリティ基準を満たしていることが証明されるため、利用者にとって信頼性が高いサービスであることがわかります。

コスト削減

複数の連邦機関にわたる重複したセキュリティ評価を回避することで、コスト削減が可能です。

まとめ

FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program)は、米国連邦政府のクラウドサービスに対するセキュリティ評価と管理を統一するためのプログラムであり、連邦機関がクラウドサービスを安全に利用するための基準を提供します。セキュリティ基準の統一、効率的な評価プロセス、継続的な監視を通じて、クラウド導入を支援し、セキュリティリスクを最小限に抑えることが目的です。クラウドサービスプロバイダーにとっては、FedRAMP認証を取得することで、連邦政府機関とのビジネス機会が広がる利点があります。


SNSでもご購読できます。