最近行われているサービスに「標的型メール攻撃訓練サービス」というものがあります。これは、企業等で擬似的に標的型メール攻撃を行い、適切に対応する訓練をするものです。それによって、実際に本物の攻撃があった場合にも、被害にあうのを防ぐことが出来るようになるのです。
こういった訓練を行うことのメリットは以下の5つです。
標的型攻撃メール訓練サービスのメリット
1 標的型メール攻撃がどういったものか理解できる
標的型メール攻撃というものがあるということを知識としては知っていても、実際にメールとして受け取った経験のない人もいるでしょう。また、そもそも標的型メール攻撃というものを知らない人もいるはずです。
そういった人にとって、標的型メール攻撃がどういったもので、どういうリスクがあるかということを理解してもらうということは大切です。
2 今の環境にあるリスクを明確にできる
今の職場や組織の環境で、標的型攻撃を受けた際にどういったリスクがあるのかということを理解できるというメリットもあります。
訓練を実施したある企業のデータでは、役職者や役員といった社内的地位の高い人物であっても、標的型攻撃訓練メールを開封してしまっていたというデータもあります。
3 実際に被害を起こさないための具体策がわかる
さらにはこの訓練を通して、実際に被害を起こさないためには「こういうメールは開かずに削除する」「添付ファイルを開かない」などといったような何をすれば良いのかということを理解できます。
訓練を周知させずに行うことで、実際の攻撃時に起こり得る事象が解りますので、社員教育や新たな製品導入などの具体策を練ることができます。
4 標的型攻撃メールの開封率を低下できる
標的型攻撃訓練を行うことで、従業員の“セキュリティ意識”が高まり、メールを受け取っても不用意に開かなくなるというメリットがあります。
標的型メールは開いてしまうことにより被害が発生しますので、開かなくなればほぼ被害をゼロにすることが出来るのです。
5 実際に被害が起こってしまった時に何をすべきか確認できる
そして、最後に大きなメリットとして“実際に被害が発生した時の対応を訓練できる”というものがあります。
万が一、実際に標的型メールによって被害が発生しても訓練していなければ迅速かつ適切な対応を取ることは難しいでしょう。しかし、実際に被害が発生したことを想定した訓練を行うことによって、実際に被害が発生した場合に何をどうすれば良いかがわかり、迅速な対応をとれるようになるのです。
セキュリティ被害は迅速な対応を行うことが被害を最小限に食い止めるためにとても大切です。
標的型メール攻撃は進化し続けている
近年、サイバー攻撃は多岐にわたっていますが、その中で特に多いものの一つに「標的型メール攻撃」です。不特定多数にウィルスメールなどを送って攻撃を行うのではなく、特定の個人や組織をターゲットとして攻撃が行われるのが特徴と言えます。
かつてのメール攻撃といえばスパムなどに代表されるような不特定多数に同じメールを大量に送って、情報の搾取などを行うものが一般的でした。しかし、特定の組織や個人をターゲットとして送られるようになった標的型メール攻撃は、その手口が非常に巧妙になっています。
標的型メール攻撃が巧妙であることを示すのは以下の内容を見てもわかります。
- 実際の業務上のメールに見せかけた件名
- 受信者に関係ある送信元を詐称するケースもある
一見、業務上のメールに見えても、一旦開くとウィルスに感染したり、特定のサイトに情報を送ったりと大きな被害をもたらします。
ユーザーのセキュリティ意識向上が必須
一般的にサイバーセキュリティ上の脅威に対抗するため重要なことは「ウィルス対策ソフトなどシステム面での対策」と「利用するユーザーの側のセキュリティ意識を高める」ことの2つと言われます。
この事は、標的型メール攻撃についても同じことが言えます。ユーザーにとって開きやすいよう偽装されたメールを送ってくる標的型メール攻撃への対応を考えると、普通のサイバーセキュリティ上の脅威以上にユーザーの意識を高める必要があると言えるでしょう。