COMハイジャッキング|サイバーセキュリティ.com

COMハイジャッキング

COMハイジャッキングは、WindowsのCOM(Component Object Model)インターフェースを悪用して、システムの動作を乗っ取る攻撃手法です。COMはWindowsアプリケーション間での通信や機能の共有を実現するための仕組みであり、さまざまなソフトウェアやシステムコンポーネントが利用するため、重要な役割を果たしています。攻撃者はこの仕組みを悪用して、悪意のあるコードを実行したり、システムに常駐するマルウェアを仕込むことが可能です。

COMハイジャッキングの仕組み

COMハイジャッキングは、通常、COMオブジェクトの登録情報を操作することによって行われます。Windowsでは、COMオブジェクトはレジストリに登録されており、特定のプログラムやシステム機能が利用される際に、この情報をもとに必要なオブジェクトが呼び出されます。攻撃者はこの登録情報を変更し、特定のCOMオブジェクトを別の、悪意のあるものに置き換えることで、合法的なプロセスの動作を乗っ取ります。これにより、以下のような活動が可能になります。

  • マルウェアの永続化: COMハイジャッキングを利用して、マルウェアが再起動後もシステムに残り続けることを可能にします。システムの起動時や特定の操作時に自動的にマルウェアが実行されるよう設定できます。
  • 権限昇格: 攻撃者は、ユーザーやアプリケーションの権限を利用して、システムの深部にアクセスすることを試みることがあります。
  • プロセスの偽装: 正規のプロセスに偽装して、セキュリティ対策を回避するための活動も行われます。

COMハイジャッキングの例

具体的な攻撃例としては、特定のアプリケーションが起動時に使用するCOMオブジェクトを悪意のあるプログラムに差し替えることで、システムを操作するものがあります。このような手法を用いると、マルウェアがバックドアを開き続けたり、攻撃者に特権を与え続けることが可能となります。

対策

COMハイジャッキングを防ぐためには、以下の対策が有効です:

  1. レジストリの監視: COMオブジェクトに関するレジストリの変更を監視し、不審な変更が行われた場合に警告を発するようにすることで、攻撃の早期発見が可能です。
  2. マルウェア対策ソフトの利用: 先進的な脅威検知機能を持つセキュリティソフトウェアを利用することで、COMハイジャッキングの兆候を検出できます。
  3. システムの権限管理: 権限を最小限に抑えることで、攻撃者がシステムに対する大規模な変更を行うことを防止します。

まとめ

COMハイジャッキングは、WindowsのCOMインターフェースを悪用することでシステムを操作・乗っ取る攻撃手法であり、マルウェアの永続化や権限昇格を目的とすることが多いです。レジストリの操作を伴うため、適切な監視と権限管理が重要であり、セキュリティソフトウェアの利用も有効な対策となります。


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