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CASB

CASB(Cloud Access Security Broker)は、クラウドサービスの利用において、ユーザーのアクセス制御やデータ保護を提供するセキュリティ対策の一環として設計されたソリューションです。CASBは、オンプレミスのネットワークとクラウドサービスの間に介在し、ユーザーの行動を監視し、セキュリティポリシーを適用することで、クラウド環境における情報の漏えいや不正アクセスを防止します。

CASBは、クラウドアプリケーションの利用が拡大する中で、企業がクラウド上でのデータ管理やセキュリティを一元的に管理するための重要な役割を果たしています。ユーザーの行動分析や、暗号化、マルウェア対策など、さまざまなセキュリティ機能を提供し、クラウド利用に伴うリスクを軽減します。

CASBの主な機能

CASBは、以下のような主要な機能を提供します。

1. 可視化

CASBは、どのユーザーがどのクラウドサービスにアクセスしているのか、またどのようなデータをやり取りしているのかを可視化します。これにより、組織はクラウドアプリケーションの利用状況を把握し、不正なアクセスや影響を早期に特定することが可能です。

2. アクセス制御

ユーザーやデバイスの属性に基づいて、クラウドアプリケーションへのアクセスを制御します。例えば、特定の地域からのアクセスを制限したり、認証手段を強化したりすることで、セキュリティリスクを軽減できます。

3. データ保護

CASBは、クラウド上でやり取りされるデータを保護するために、暗号化やデータ損失防止(DLP)機能を提供します。これにより、機密データが不適切に共有されたり漏えいしたりすることを防ぎます。

4. セキュリティポリシーの適用

組織のセキュリティポリシーをクラウド環境にも適用し、ポリシーに反する行動を防ぐ機能を持ちます。たとえば、ファイルの共有やダウンロードに制限をかけることが可能です。

5. 不正行為の検出と対策

CASBは、異常なユーザー行動や潜在的な脅威をリアルタイムで検出し、不正行為を防止するための措置を講じます。これには、マルウェア対策や、不審なデータ転送の監視も含まれます。

CASBのメリット

1. クラウド利用の安全性向上

CASBは、クラウドサービスの利用に伴うセキュリティリスクを軽減し、安全なクラウド利用を実現します。特に、外部のクラウドサービスにアクセスする際にも、組織内でのポリシーを強制することが可能です。

2. コンプライアンス対応の支援

業界規制や法律に準拠するために、CASBはデータの保護や監査ログの取得を支援し、適切なセキュリティ基準を満たすことをサポートします。これにより、コンプライアンス違反のリスクを軽減します。

3. セキュリティの一元管理

CASBを導入することで、複数のクラウドサービスに対するセキュリティ管理を一元的に行うことができます。これにより、管理コストを削減し、運用の効率化を図ることができます。

4. リアルタイムの脅威対策

リアルタイムでユーザーの行動を監視し、セキュリティポリシーを即時に適用することで、急速に変化する脅威に迅速に対応することができます。

CASBの導入例

1. BYOD(Bring Your Own Device)環境でのセキュリティ管理

従業員が個人所有のデバイスを使用してクラウドアプリケーションにアクセスする場合、CASBを導入することで、デバイスのセキュリティを監視し、不正アクセスやデータの流出を防止できます。

2. クラウドストレージの利用管理

従業員がクラウドストレージを利用して機密データを保存する場合、CASBを用いてデータの暗号化やアクセス制御を行い、データの漏えいを防ぎます。

3. SaaSアプリケーションのセキュリティ強化

SalesforceやOffice 365などのSaaSアプリケーションを使用する際に、CASBを利用してユーザーアクセスを制御し、ポリシーに沿った利用を実現します。

CASBの課題

1. 導入と運用の複雑さ

CASBの導入には、既存のシステムやクラウドアプリケーションとの連携が必要であり、導入・運用が複雑になることがあります。また、ポリシーの設定や管理にも専門知識が求められます。

2. 過剰な制御による利便性の低下

セキュリティを強化するために過度な制御を行うと、ユーザーの利便性が低下し、業務の効率が悪化する可能性があります。そのため、適切なバランスが求められます。

3. クラウドサービスの多様性に対応する必要性

クラウドサービスの種類や提供形態が多岐にわたるため、すべてのクラウドサービスに対応するCASBの運用は難しい場合があります。

まとめ

CASB(Cloud Access Security Broker)は、クラウドサービスの利用に伴うセキュリティリスクを管理し、安全なクラウド利用を支援するソリューションです。アクセス制御、データ保護、異常行動の検出などの機能を通じて、クラウド環境での情報漏えいを防ぎ、コンプライアンスを支援します。クラウド利用の増加に伴い、企業にとってCASBはますます重要な役割を果たしており、効果的な導入と管理が求められます。


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