ブルージャッキング|サイバーセキュリティ.com

ブルージャッキング

ブルージャッキング(Bluejacking) は、Bluetooth機能を利用して、他人のBluetooth対応デバイス(スマートフォンやタブレットなど)にメッセージを送信する行為を指します。ブルージャッキングは、主に近距離(通常10メートル程度)で行われ、デバイスに直接アクセスするわけではないため、データの盗難やシステムの操作を目的としたサイバー攻撃とは異なりますが、受け取った側には迷惑行為となる場合があります。メッセージが突然送られてくるため、ブルージャッキングを受けた側は驚き、不快感や不安を覚えることが多いです。

ブルージャッキングの仕組み

ブルージャッキングはBluetoothの機能を利用し、他のBluetoothデバイスに対してメッセージを送信する方法です。以下はブルージャッキングの基本的な流れです。

  1. Bluetoothの検出
    ブルージャッキングを行うためには、攻撃者は周囲のBluetoothデバイスを検出し、接続可能なデバイスを探します。
  2. 連絡先データの作成
    通常、ブルージャッキングはBluetooth経由で送信される連絡先データ(vCard)を使用します。このvCardにメッセージを記入し、送信相手のデバイスに「新しい連絡先」として表示させます。
  3. デバイスへのメッセージ送信
    連絡先データが送信されると、相手のデバイスには送信されたメッセージが通知として表示されます。メッセージには、特定のURLや広告文、挑発的な内容が含まれていることもあります。
  4. 相手のデバイスに表示される
    相手のデバイスには、送信者の情報やメッセージが表示されます。ブルージャッキングはBluetoothの範囲内でのみ有効で、相手のデバイスに影響を及ぼすことはありませんが、受け取ったユーザーに不快感を与えることが多いです。

ブルージャッキングの目的

ブルージャッキングは、悪意を持たずに遊びやジョークとして行われることもありますが、迷惑行為や不安感を与える目的で行われる場合もあります。一般的な目的には次のようなものがあります。

  • 注意を引く・メッセージの伝達:メッセージを介して相手に注意を引いたり、興味を持たせたりする目的があります。かつては宣伝や広告として利用されたこともあります。
  • 迷惑行為:知らない人にメッセージを送り、不快感や驚きを与えることで、相手に迷惑をかける行為として行われます。
  • ジョークやいたずら:軽いジョークやいたずら目的で、友人や近くにいる知らない人にメッセージを送り、反応を楽しむために行われることもあります。

ブルージャッキングのリスク

ブルージャッキングそのものは、システムへの侵入やデータの盗難を伴う行為ではないため、セキュリティ上のリスクは比較的低いとされています。しかし、次のようなリスクが存在します。

  • プライバシーの侵害:見知らぬ人から突然メッセージを受け取ることで、受信者は自分のデバイスが特定の範囲内で検知されていると気づき、不安やプライバシーの侵害と感じる可能性があります。
  • 迷惑行為・不快感:ブルージャッキングは迷惑行為として受け取られる場合が多く、不快感や不安を与えるため、ユーザー体験を損ねる可能性があります。
  • ソーシャルエンジニアリングへの悪用の可能性:ブルージャッキングを使ってURLを送信し、受信者をフィッシングサイトやマルウェアサイトに誘導する手口に悪用される可能性があります。

ブルージャッキングの対策方法

ブルージャッキングから自分のデバイスを守るためには、Bluetoothの設定を適切に行うことが重要です。以下はその具体的な対策です。

  1. Bluetoothを非表示またはOFFに設定する
    使用していないときはBluetooth機能をOFFにするか、デバイスを「非公開モード」にしておくと、他のデバイスから検出されなくなります。
  2. 承認設定を行う
    Bluetoothでのメッセージやファイルを受け取る際に、承認確認を求める設定にすることで、許可していないメッセージやデータを受け取らずに済みます。
  3. 不審なメッセージに反応しない
    不審な連絡先データやメッセージが表示されても、応答せずに削除することで、トラブルを防げます。
  4. ソフトウェアのアップデート
    最新のOSやファームウェアに更新することで、Bluetoothに関連する脆弱性の修正が適用され、予期せぬ問題を避けられます。

ブルージャッキングとブルースナーフィングの違い

ブルージャッキングと混同されやすいものに「ブルースナーフィング(Bluesnarfing)」がありますが、性質は異なります。

  • ブルージャッキング:Bluetoothを通じて他のデバイスにメッセージを送信する行為で、受信側にメッセージが表示されるが、デバイス内の情報にはアクセスしません。
  • ブルースナーフィング:Bluetoothの脆弱性を悪用して、他人のデバイス内のデータ(連絡先、カレンダー、写真など)に不正アクセスする行為で、データの盗難が目的とされています。

ブルースナーフィングは違法行為であり、デバイスに深刻なプライバシー侵害を引き起こすため、セキュリティ上のリスクが高いとされています。

まとめ

ブルージャッキング(Bluejacking) は、Bluetooth機能を利用して他のデバイスにメッセージを送り、注意を引く、迷惑行為をするなどの目的で行われる手法です。プライバシーへの配慮が欠けており、受け取ったユーザーに不快感や迷惑を与える可能性があるため、適切な対策を講じることが推奨されます。

ブルージャッキングに対する対策としては、Bluetoothを非公開設定にしたり、メッセージ受信の承認設定を行うことが有効です。また、ブルージャッキングは「ブルースナーフィング」と異なり、直接的なデータの盗難やシステム侵害は伴いませんが、日常的にBluetooth設定を確認し、安全性を高めることが重要です。


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