自民党のサイバーセキュリティ対策本部は2018年4月23日、党本部で会合を開き、以下の内容を中心とした第1次提言を発表しました。
- サイバー攻撃に対する自衛権の根拠となる法律の検討
- 攻撃の解析や情報共有を促進するための法改正
- サイバー攻撃に対応する人材育成・予算の確保
いずれもサイバー攻撃に対する必要措置と言えそうですが、複雑かつ微妙な課題を内包している点は否めません。
内容を取りまとめた提言書は、今週中に安倍晋三首相に提出される予定です。
サイバー攻撃は武力攻撃なのか?
サイバー攻撃に対する自衛権については、各方面から様々な議論が成されています。
自衛権を考える時は必ず該当事案が「武力攻撃」に当てはまるかを判断しなくてはなりませんが、サイバー攻撃の場合はこれが実に微妙です。
- そもそもサイバー攻撃は武力攻撃であるのか?
- サイバー攻撃により被害が生じた場合は武力攻撃に該当するのか?
現状、法的にはこのような部分が曖昧です。サイバー攻撃に対して自衛権の行使を考える場合、まず法的な考え方を整備する必要があるでしょう。
サイバー自衛権の法整備は急務か
政府はこれまでの国会答弁において、(国または国に準ずる組織から)サイバー攻撃が発生した場合、以下のケースにおいて自衛権を行使できるとの解釈を示しています。
- 日本のインフラなどに物理的な損傷が生じた
- ミサイル攻撃など武力行使と連動したサイバー攻撃
ただし、前述の通りこれらを根拠とする法整備は進んでおらず、実際に行動に移せるかは未知数。更にサイバー攻撃に対する対抗措置として攻撃者にサイバー反撃を行う場合、専守防衛を是とする憲法9条に抵触する可能性も指摘されています。
いずれの解釈を行うにせよ、サイバー攻撃の脅威が増す昨今、法律的、国家的な立ち位置を明確にしておく必要はあるでしょう。
参照サイバー自衛権の根拠法検討を=自民対策本部が提言/Yahoo!ニュース