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IDaaS

IDaaS(Identity as a Service)は、クラウドを活用したアイデンティティ管理および認証サービスを提供するソリューションです。IDaaSは、ユーザーやデバイスの認証・認可をクラウド上で行うことで、企業のセキュリティ強化やアクセス管理を効率化します。

従来のオンプレミス型ID管理と異なり、IDaaSはクラウドネイティブで構築され、SaaS(Software as a Service)の形態で提供されます。これにより、複数のクラウドサービスやアプリケーションに対する一元的な認証とアクセス管理を可能にします。

IDaaSの主な特徴

  1. シングルサインオン(SSO)
    • ユーザーが一度のログインで複数のクラウドアプリケーションやサービスにアクセスできる機能。
  2. 多要素認証(MFA)
    • パスワードに加えて、生体認証やワンタイムパスワード(OTP)を利用した強固な認証。
  3. ディレクトリサービス
    • ユーザーやデバイスのID情報をクラウド上で管理。
  4. プロビジョニングとデプロビジョニング
    • ユーザーの追加、変更、削除を自動化し、アカウントのライフサイクルを管理。
  5. アクセス制御
    • アクセスポリシーを設定し、役割や条件に基づいたアクセス許可を提供。
  6. 統合性
    • 他のクラウドアプリケーションやオンプレミスシステムと連携して利用可能。
  7. 監視とレポート
    • ユーザーのログイン状況やアクセス履歴を監視し、不正なアクセスを検出。

IDaaSの利点

  1. セキュリティ強化
    • MFAやSSOを活用し、アカウント乗っ取りや不正アクセスを防止。
  2. 管理の効率化
    • 管理者が一元的にユーザーやアクセスを制御できるため、運用負荷が軽減。
  3. ユーザーエクスペリエンスの向上
    • ユーザーが複数のログイン情報を覚える必要がなく、利便性が向上。
  4. スケーラビリティ
    • クラウドベースのため、ユーザー数やアクセス量が増えても柔軟に対応。
  5. コスト削減
    • オンプレミス型のID管理システムに比べ、ハードウェアやソフトウェアの保守費用を削減。
  6. コンプライアンス対応
    • ログ記録やアクセス制御を通じて、GDPRやSOX法などの規制に対応しやすい。

IDaaSの利用例

  1. 企業でのクラウドサービス利用
    • Microsoft 365、Google Workspace、Salesforceなど複数のクラウドサービスをSSOで利用。
  2. リモートワークのセキュリティ確保
    • 自宅やモバイル環境から安全に企業リソースにアクセス。
  3. パートナー企業とのアクセス管理
    • 外部ベンダーやパートナーが特定のアプリケーションにアクセスできるようにする。
  4. BYOD(Bring Your Own Device)のサポート
    • 個人所有デバイスの安全なアクセスを管理。

IDaaSの主要プロバイダー

  1. Okta
    • シングルサインオンとMFAを中心としたID管理サービス。
  2. Microsoft Azure Active Directory(Azure AD)
    • Microsoft 365との統合が強力で、広範なクラウドアプリに対応。
  3. Google Cloud Identity
    • Google Workspaceユーザーに最適化されたID管理。
  4. Ping Identity
    • 高度なSSOとMFAを提供するエンタープライズ向けIDaaS。
  5. OneLogin
    • クラウドアプリやオンプレミスアプリへのシームレスなアクセスをサポート。

IDaaSの課題

  1. 依存リスク
    • クラウドサービスに依存するため、プロバイダーの障害やサービス停止が業務に影響を与える可能性。
  2. 初期設定の複雑さ
    • 他システムとの統合やポリシー設定には専門的な知識が必要。
  3. データ保護
    • ユーザーの認証情報やログデータがクラウドに保存されるため、適切なデータ保護対策が必要。
  4. コスト管理
    • ユーザー数や追加機能に応じてコストが増大する可能性。
  5. プライバシー規制対応
    • GDPRやCCPAなど地域ごとの規制への準拠が求められる。

IDaaSとオンプレミス型IAM(Identity and Access Management)の違い

項目 IDaaS オンプレミス型IAM
導入スピード 高速 時間がかかる
コスト サブスクリプションモデルで低コスト 初期費用や運用費用が高額
スケーラビリティ 高い サーバーリソースに依存
運用負荷 プロバイダーに依存 自社で管理が必要
柔軟性 クラウドネイティブ環境で高い カスタマイズ性は高いが複雑

IDaaSの導入ポイント

  1. 使用するアプリケーションとの互換性
    • 現在利用しているクラウドおよびオンプレミスのアプリケーションと統合可能か確認。
  2. セキュリティ機能の評価
    • MFAやアクセス制御ポリシーの柔軟性を確認。
  3. ユーザーフレンドリーな設計
    • ユーザーが使いやすいSSOや管理者が簡単に設定できるUIを選択。
  4. 拡張性とコスト管理
    • ユーザー数や機能追加によるコスト増加を考慮。
  5. 規制対応
    • データ保護法や地域ごとのコンプライアンス要件を満たすサービスを選ぶ。

まとめ

IDaaS(Identity as a Service)は、クラウドアプリケーションの普及やリモートワークの増加に伴い、セキュリティ強化と利便性向上を両立するソリューションとして注目されています。SSOやMFAといった機能を中心に、ユーザーとデバイスのアイデンティティを一元管理することで、企業の運用効率を高めつつ、セキュリティを向上させます。

しかし、クラウド依存による課題も存在するため、慎重にプロバイダーを選び、自社のニーズに合った導入を進めることが重要です。IDaaSは、セキュリティ基盤を強化する現代の組織において、ますます不可欠な存在となるでしょう。


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