ゼロトラストセキュリティのメリットとデメリットを解説!実現方法は?|サイバーセキュリティ.com

ゼロトラストセキュリティのメリットとデメリットを解説!実現方法は?



働き方が多様化する現代では、すべての通信を信頼しないという意味の「ゼロトラスト」を導入検討する企業が増えています。

今回は、ゼロトラストのメリットとデメリットについて解説しています。
ゼロトラストの導入を検討中の企業担当者は、ぜひ最後までご覧ください。

ゼロトラストとは

ゼロトラストとは、「何も信頼せず、すべてを疑う」という概念のもと、あらゆる通信や端末などの情報を厳重にチェックし、セキュリティ関連のトラブルを抑制していく考え方です。
ゼロトラストを導入することによって、社外の端末でも安心して業務を行えたり、クラウドサービスを安全に利用できます。

ゼロトラストセキュリティを行うメリットとデメリット

ゼロトラストセキュリティでは、「Never Trust、 Always Verify(決して信頼せず、常に検証せよ)」という方針を掲げており、社内・社外関係なく、あらゆるトラフィックやアクセスを厳重に認証しています。
これから、ゼロトラストセキュリティを行うメリットとデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

メリット

ゼロトラストセキュリティには、主に以下の4つのメリットがあります。

  • クラウドサービスを安心して利用できる
  • データ流出のリスクを最小限に抑える
  • 早期にインシデントを検出・対応できる
  • テレワーク拡大でのセキュリティ対策ができる

一つひとつ解説していきます。

クラウドサービスを安心して利用できる

近年コロナ禍の影響により、テレワークやハイブリッドワークを推進するうえでSlackやZoomなどのクラウドサービスを導入する企業も増加中です。

ゼロトラストセキュリティでは、あらゆるネットワーク上で送受信されるデータやアクセスを厳重に認証し、データや端末を保護しています。クラウドサービスへのアクセスがある場合に、アクセスしてきた端末のセキュリティソフトが最新であるか、またはマルウェアに感染している端末がアクセスしていないかなど、厳しいセキュリティチェックが行われます。そのため、ゼロトラストセキュリティの導入により、クラウドサービスを安心して利用できるようになるでしょう。

データ流出のリスクを最小限に抑える

ゼロトラストは従来の社内・社外で大きく分割する境界に依存せず、必要なユーザーに必要な分のアクセス付与が可能です。例えば、営業担当者には営業で必要なデータとアプリケーションのアクセス権限を与え、システムエンジニアには技術開発に必要な権限だけを与えます。

従来では1つのコンピュータがマルウェアに感染すると、直接関係がない範囲まで被害が及んでいました。一方でゼロトラストセキュリティでは、部署や社員単位に最低限のアクセス権限の許可が実現できるため、データ流出のリスクを最小限に抑えられます。

早期にインシデントを検出・対応できる

ゼロトラストセキュリティでは、アクセスする度に認証・確認を行います。少しでも不審なアクティビティや兆候があれば、すぐにブロックや警告が行われ、そのため、インシデントが発生した場合にも、すぐに原因を特定し、被害が拡大しないように対応します。

テレワーク拡大でのセキュリティ対策ができる

テレワークでは社内用の端末だけでなく、社外の端末からもアクセスする場合があります。
ゼロトラストセキュリティでは、アクセス履歴の常時取得や、不審なアクティビティの監視が可能であるため、テレワークであっても組織関係者が無許可で機密情報や情報資産を持ち出すといったリスクの防止に役立ちます。

デメリット

ゼロトラストセキュリティを導入すれば、従来よりも安全に業務を行えるなどのメリットがある一方で、デメリットもあります。

ゼロトラストセキュリティのデメリットは、主に以下の2つです。

  • ランニングコストがかかる
  • 多要素認証が増えログインに手間が増える

一つひとつ解説していきます。

ランニングコストがかかる

ゼロトラストセキュリティを導入する際には、単体でのソリューションだけでは不十分です。複数のソリューションやサービスを取り入れることで、高いレベルのセキュリティ構築ができます。そのため、一定のコストが必要であり、創業して間もないベンチャー企業や、中小企業では導入を先延ばしにしてしまう場合も少なくありません。

多要素認証が増えログインに手間が増える

ゼロトラストセキュリティを導入すると、今まで利用していたセキュリティレベルを強化する必要があります。例えば、あらゆるアクセスに対して認証を行うのはもちろん、多要素認証等の安全性の高い認証方法が必要です。

ただしセキュリティを強固にする分、システムやサービスにログインする度に厳重な認証が行われ、短時間で認証が切れる場合もあるため、再度ログインし直さなくてはいけません。そのため、ログイン状態を維持する手間がかかり、業務の利便性が損なわれてしまいます。

なぜゼロトラストセキュリティが生まれたのか

ゼロトラストセキュリティが生まれた理由には、以下の2つの背景が関係しています。

  • リモートワークの普及
  • 内部情報漏洩の増加

この2つの背景が関係している理由を、詳しく見ていきましょう。

リモートワークの普及

ゼロトラストセキュリティ導入の背景を語るうえで、「リモートワーク」というキーワードは外せません。

従来は「境界型セキュリティ」という概念が導入されており、社外からのアクセスに限り厳重なチェックが行われ、社内からのアクセスに対しては、それほど厳しく取り締まっていませんでした。

しかし、働き改革によってテレワークが主流になると、オフィス内で使用していた社用の端末を、社外で使用して業務を行う必要が出てきます。

そのため、今まで採用してきた境界型セキュリティは意味を成さなくなり、社内・社外問わず、あらゆるアクセス履歴を記録し、厳重な認証を行うゼロトラストセキュリティの導入が進みました。

内部情報漏洩の増加

ゼロトラストセキュリティが導入される背景には、内部情報漏洩の増加も関係しています。社内の人間がアクセスしたとしても、内部不正やデータの持ち出しによる紛失、情報漏洩のリスクがあります。実際のところ2015年から2019年の間にて、4年連続で内部情報の流出やマルウェアの攻撃などに対する被害総額が2億円を超えており、インシデントが増え続けているという深刻な問題を抱えていました。この事実は、従来のセキュリティではインシデントの対策ができない証拠になりました。

一方でゼロトラストセキュリティでは、あらゆるアクセスを厳重に認識し、それぞれの端末がどのような動きをしているのかを常に監視しています。「全てのアクセスを疑う」というゼロトラストセキュリティの概念が運用されるようになると、内部情報の流出やウイルス感染の被害の防止・迅速な対応ができるようになり、多くの注目を集めました。

ゼロトラストセキュリティ運用の注意点

ゼロトラストセキュリティを実現するうえで、いくつかの注意が必要です。

ゼロトラストセキュリティ運用における注意点は、以下の3つです。

  • 社内全体でゼロトラストの理解を深める
  • 社内でのセキュリティ対策の定期的な見直し
  • セキュリティ対策への投資を怠らない

一つひとつ詳しく解説していきます。

社内全体でゼロトラストの理解を深める

ゼロトラストセキュリティを運用するには、社内全体で理解を深めなくてはなりません。ゼロトラストに対する知見が乏しい社員は、多要素認証等の不便なシステムの導入に対してストレスを感じてしまう可能性も考えられます。

そのため、ゼロトラストセキュリティを運用する場合には、会社にどのような利益をもたらしてくれるのかといったメリットを事前に周知して、社員一人一人の理解を深めていく必要があります。

社内でのセキュリティ対策の定期的な見直し

ゼロトラストセキュリティを運用したとしても、「我が社のセキュリティは完璧である」と慢心して、定期的な見直しをしないのはよくありません。セキュリティ関連でのリスクは常に変化しており、インシデントも多様化しています。

そのため、一度運用したゼロトラストセキュリティの対策が永続的に通用できる訳ではありません。時代の流れや業務展開にともない、定期的にその都度必要なセキュリティ対策を定期的に見直し、導入していく必要があります。

セキュリティ対策への投資を怠らない

ゼロトラストセキュリティを運用する際には、セキュリティ対策への投資を怠らないことも重要です。投資を怠ると、情報漏洩などのインシデントが発生するリスクが常につきまといます。被害総額は、1,000万円から億を超えることも珍しくありません。

また、データの種類や用途に応じたネットワークの境界を作り、各境界へセキュリティ対策を施さないといけません。ゼロトラストを実現するには、単体でのソリューションやサービスの導入だけでは不十分です。そのため、複数のソリューションやサービスを組み合わせて、ゼロトラストセキュリティを導入する必要があり、その分コストも多くなります。しかし、ゼロトラストセキュリティ運用のために投資していけば、従来よりもレベルの高いセキュリティ対策を築けます。

今後のセキュリティ対策とゼロトラスト

IT企業に限らず日本企業全体でリモートワークが拡大されていくなかで、ITリテラシーの乏しい方がクラウドシステムを利用する機会が増加するでしょう。そのため、ウイルスが仕込まれたメールの開封や、脆弱性のあるオンラインサービスの利用など、初歩的なセキュリティ上の課題が挙げられます。

そこで自動検知に優れる「AI」を利用し、ウイルス等を自動で検知する取り組みが進むと考えられます。今後は、ネットワークの知見を有する担当者がいなくても高い安全性を自動的に確保できるように、「AIとゼロトラストの考え方」とを組み合わせたツール導入および仕組みづくりが重要性を増していくでしょう。

よくある質問

これまで、ゼロトラストの実現により今まで以上に強固なセキュリティを構築できるといった内容をお伝えしてきました。しかし、ゼロトラストを知るにつれて疑問が発生した方も多いでしょう。

最後に、ゼロトラストに関して以下の2つの疑問に答えていきます。

  • 何から始めればよいですか?
  • ゼロトラストが抱えるリスクには何がありますか?

ゼロトラストの理解を深める際の参考にしてみてください。

Q1.何から始めればよいですか?

A.ゼロトラストを運用するにあたり、まずは「社員一人一人が、ゼロトラストへの理解を深める」ことから始めましょう。

例えば、事前にゼロトラストに関して社員間で勉強会を開催したり、予めゼロトラストを導入する旨を社員全体に周知するなどの工夫が必要です。社内のセキュリティ部門など、セキュリティに関して広い知識を持った社員と協力して、ゼロトラストを運用するには、現時点ではどのようなセキュリティ対策を行えばよいのか、話し合うとよいでしょう。

Q2.ゼロトラストが抱えるリスクには何がありますか?

A.ゼロトラストを実践したからといって、リスクが全くないという話ではありません。いかに強固なセキュリティ対策を築いたとしても、リスクは残存しています。一度アクセスを許可していても、あらゆるアクセスに対して信頼を保ち続けることは不可能であり、セキュリティ強度を緩められないので、利便性が大きく損なわれてしまうリスクがあります。

ほかにも、「ゼロトラストを導入してセキュリティレベルを高めても、インシデントの発生率をゼロにするのは不可能」というリスクも認識しなければなりません。

まとめ

ゼロトラストを運用すれば、高いレベルのセキュリティを構築できます。

ゼロトラストセキュリティではすべてのアクセスを厳重に認証する考え方に基づくため、テレワーク拡大でのセキュリティ対策を講じられるといった多くのメリットがあります。

一方で多要素認証による手間が増えるデメリットもあり、ゼロトラストを運用することは簡単ではありません。

運用するには多くの課題と向き合い、どのようなセキュリティ対策を構築していけばよいのか考えるのが大切です。


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