昨今、働き方をテレワーク主体にシフトチェンジする企業が増えています。新型コロナウイルス感染拡大が収束しても、テレワークをスタンダードとする企業も少なくないでしょう。
テレワークをスタンダードな働き方とした場合、懸念されるのはセキュリティ問題です。総務省は2021年5月にテレワークセキュリティガイドラインを改定(第5版)。基本的なテレワーク方式として「VPN方式」、「リモートデスクトップ方式」、「仮想デスクトップ方式」、「セキュアコンテナ方式」、「セキュアブラウザ方式」、「クラウドサービス方式」、「スタンドアロン方式」7つを挙げ、セキュアなテレワークを促しています。
デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社はこのほど市場調査レポート「リモートワークソリューション市場の現状と展望2021年度版」を発刊。同調査によるとリモートデスクトップ方式サービスを提供する「Splashtop(スプラッシュトップ)」が、リモートアクセスソリューション日本市場において売上シェア1位を達成したとのことです。
2020年度のリモートワークソリューションにおける市場規模は3,890億円。そのうち、リモートデスクトップが含まれるリモートアクセスソリューション市場の売上は327億円となっています。スプラッシュトップの市場シェアは10.4%。前年から売上400%増と大きく業績を伸ばす形となりました。
キーワードは「ゼロトラスト」「SSO」
リモートデスクトップ方式は、テレワーク端末からオフィス内に設置されたパソコンのデスクトップを遠隔操作するもの。例えばテレワーク端末から外部のクラウドサービスを利用する場合でも、オフィス内のセキュリティ機器を介してアクセスすることになります。これにより、オフィス内と同等のセキュリティレベルを保てるということになります。
スプラッシュトップはゲートウェイサーバーとリレーサーバーによる接続のため、社内ネットワークを変更せずにそのまま利用できることがメリット。また、画面の差分データのみが転送されるシステムで、テレワーク端末にデータが残らないというのもセキュリティ上の利点となります。
一方、セキュリティ向上に伴って課題となるのが利便性です。スプラッシュトップは、テレワークセキュリティガイドラインでも触れられている「ゼロトラストモデル」を採用。ユーザー認証やアクセス制御のほか、「SSO(シングルサインオン)」によるパスワードレスで、セキュリティと利便性を両立するという特徴があります。
群雄割拠のリモートデスクトップ
テレワークセキュリティガイドラインによると、リモートデスクトップ方式の想定される使い方は「業務再現性が高く、セキュリティやコストをバランス良くする場合の利用が想定」とされています。
多くの企業がリモートデスクトップ方式に注目する中、サービスを提供する各社の競争にも注目が集まります。昨年の「リモートワークソリューション市場の現状と展望2020年度版」でリモートアクセスツール売上1位を獲得した「RemoteView(リモートビュー)」。NTTグループのリモートアクセスサービス「MagicConnect(マジックコネクト)」など。群雄割拠のリモートデスクトップ市場で、どの製品が抜き出るかも見ものです。