CRCエラー(巡回冗長検査エラー)とは?原因や修復方法、注意点について解説|サイバーセキュリティ.com

CRCエラー(巡回冗長検査エラー)とは?原因や修復方法、注意点について解説



PCの使用中に突然「データエラー(巡回冗長検査(CRC)エラー)です」という見慣れないメッセージが表示され、困ったことはありませんか?

CRCエラーとは、ストレージ(内蔵HDD)がデータの一部が読めなくなった際に表示されるエラーのことで、以下のような不具合が発生します。

  • ハードディスクにアクセスできない
  • ファイルがコピーできない

このとき、安易にエラーチェックをかけるとストレージの状態を悪化させる危険性があるため、本ページではCRCエラーの発生原因発生時の注意点エラー発生場所ごとの修復方法についてそれぞれ解説します。

CRCエラーとは

PCでハードディスクやUSBメモリにデータを保存しようとして、「データエラー(巡回冗長検査(CRC)エラー)です」という見慣れないメッセージに遭遇することがあります。

CRCとは「Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査」の略で、データの送信・記録・コピーが正確に実行されたか調べる仕組みです。

CRCがどのようにデータの処理をチェックしているかというと、まず、CRCはデータの送信や記録の前に検査用の値を算出します。次に、そのデータの受信や読み出しが行われるときにも同じ手順で検査用の値を算出します。両者の値が一致した場合は誤りなしと判断し、一致しなければ途中でデータの一部が欠落したか変更されたと判断しています。よって、「データエラー(巡回冗長検査(CRC)エラー)です」のメッセージは、データの送信・記録・コピーの前後で、調査用の値が一致しなかったことを通知していることになります。

誤解しやすいのが、CRCは誤りを検出する仕組みであり、正しい値へ訂正する機能ではない点です。PCには自動修復機能があり、データに不具合があれば修復を試みることができます。自動修復機能でも対処できなかった場合に、CRCエラーとなります。

CRCエラーが起こる原因

CRCエラーは、データの送信・記録・コピーの前後で不整合が生じた場合に発生すると説明しました。CRCエラーが生じる原因は主に以下の3つです。

  • 接触不良
  • 衝撃による故障
  • 磁気エラー

接触不良

以下のような原因でCRCエラーが表示されることがあります。

  • 端子部分が汚れている
  • ケーブルが劣化している

まずは端子部分の汚れをふき取り、長期間使用しているケーブルは新しいものに取り換えてみてください。

物理エラー


ハードディスクは非常に精密な機械であり、内部を守るために密閉されています。衝撃にも弱く、密閉されているとはいえ、経年劣化などにより磁気ヘッド部分が損傷することがあります。

本来、磁気ヘッド部分とデータの読み書きを行う円盤型のプラッターは、お互いが触れないように少しだけ隙間が空いています。ところが、磁気ヘッドの損傷によりお互いが触れてしまうと、プラッターが傷ついてしまい、データの読み書きが正常にできない状態に陥ります。

物理エラーの原因として、以下のものが挙げられます。

    • HDDが破損している
    • 磁気エラーが発生している
    • 不良セクタの発生

HDDが破損している

HDDは落下の衝撃や水没、電気によるショートや経年劣化といった物理的な衝撃によって破損してしまうトラブルが多いです。

磁気ヘッドが損傷してしまうと、プラッターも傷ついてしまい、データを正常に読み書きすることができなくなります

症状によってはカチカチ・カタカタと異音が発生したり、焦げたような異臭が発生し、データが取り出せなくなるだけでなく、HDD自体が発火する危険性もあります。

磁気エラーが発生している

プラッターに傷が付いていなくても、経年劣化やホコリの付着により、磁気エラーが生じます。磁気エラーのときも、データの読み書きが正常にできません。レジストリ破壊ハードディスクの破損・プログラムインストールの失敗なども磁気エラーの原因になります。

不良セクタの発生

HDDに不良セクタが発生・増加することで、データが読み書きできなくなる可能性があります。

不良セクタの発生とは、HDDで読み込んだデータを記録する部分であるセクタに異常が発生したことを指します。

この不良セクタが一定数を越してしまうと、自己修復することができなくなりCRCエラーを引き起こす原因になるため、早期的な対処が重要です。

物理障害は復旧難易度が高いため、個人で復旧できる範疇を超えています、なるべく早く専門業者に依頼することをおすすめします。

論理エラー

論理エラーとは、ファイルシステムの破損、誤操作によるフォルダやファイルの削除、強制的な電源切り替えや再起動によって、保存しているデータにエラーや論理的故障が発生するデータ障害を指します。

論理エラーの場合は、データの読み書きなどの動作が遅くなるなど、症状が断定しにくいことからエラーの発生を察知しにくいため、発覚が遅れてしまう場合が多いです。

論理エラーの原因として以下が挙げられます。

  • レジストリ・レジストリファイルの破損 
  • プログラム・ドライバなどのインストール
  • ファイル・ファイル構成の破損

レジストリ・レジストリファイルの破損

レジストリとは、Microsoft Windowsオペレーティングシステムにインストールされたプログラムを保存する巨大なデータベースです。

レジストリ・レジストリファイルが破損する原因として、ほとんどの場合がシャットダウン時や、HDD/SDカード/USBなどの読み書き中の取り外しに発生していることが多くなります。

シャットダウン時に、システムメモリにはレジストリのコピーが保存されますが、予期せぬ電源オフや取り外しが発生すると、データベースに深刻な問題が生じる場合があります。

プログラム・ドライバなどのインストール

プログラム・ドライバなどをインストールする際に、インストールに失敗してしまったり、最新のドライバでは無い時やドライバが破損している時などにCRCエラーが発生する場合があります。

この時にはエラーメッセージが表示されるため、異常を察知しやすいので、ドライバの状態が最新の状態になっていることを確認してインストールを実行するようにしましょう。

システムファイルの破損

データの読み書き中に強制終了してしまったり、シャットダウンをしないで電源を切ってしまうことで発生するシステムファイルの破損が原因で、CRCエラーが発生することもあります。

パソコンがフリーズしたり、クラッシュを起こした際などに、レジストリ破壊が起きる時と同様の状況でシステムファイルが破損することがあります。

なるべく強制終了は控え、読み書きが終わらない場合でも完全に終了するまで待ってから電源を落とすようにしましょう。

CRCエラー発生時の注意点

CRCエラーが発生したときの対処で、行ってはいけないことがあります。エラー発生中に不適切な操作をすると、本来復旧できるデータまで消失してしまうため、注意が必要です。

  • 「chkdsk」の実行はNG
  • 過度な電源のオン/オフや再起動はNG
  • 対処法を試しても修復できない場合は専門業者へ依頼しよう

「chkdsk」の実行はNG

「chkdsk」とは、Windowsで標準搭載されているドライブエラーのチェックコマンドです。

「chkdsk」に「/f」や「/r」のオプションを指定して実行すると、ファイルシステムを修復できるというものです。しかし、CRCエラーが生じているときは絶対に実行してはいけません

「chkdsk」の目的は、Windowsにとって適性なファイルシステムにすることであり、ハードディスクのエラーチェックやハードディスクのエラーの修復ではありません。当然、「chkdsk」を使用してもユーザにとって必要なファイルが修復されるわけではありません。

「chkdsk」を実行してしまうと、他の手段で救出できる可能性があるデータも、「chkdsk」がエラーと判断した部分のデータをまるごと切り捨てた状態で、上書きされてしまいます。本来復旧できていたかもしれないデータまで失ってしまう可能性が高いため、「chkdsk」は実行してはいけません。

過度な電源のオン/オフや再起動はNG

CRCエラーや障害が発生している状態で、電源のオン/オフや再起動を繰り返すのはやめましょう。エラー状態で通電を繰り返すと次のような損傷が発生し、本来復旧できていたデータまで失ってしまいます。

スクラッチ ハードディスクのヘッド部分が破損した状態で通電を続けることで、磁気ディスクへの傷「スクラッチ」が付いてしまいます。
データの上書き PCを起動するとハードディスクには起動に関する情報なども自動的に書き込まれます。本来復旧すべきデータの上に、それらの情報を上書き保存してしまうことがあります。
不良セクタ データを読み込むことができない領域である不良セクタが、通電の繰り返しにより拡大してしまいます。

対処法を試しても修復できない場合は専門業者へ依頼しよう

CRCエラーやその他、通常では見られない不具合を確認したときは、まず、PCの電源を落として「それ以上何もしない」のが得策です。自力で対処しようとして電源のオン/オフや再起動を繰り返すことで、本来なら復旧できたデータまで失ってしまうことになります。PCの電源を落としたのみの状態で、データ復旧の専門家に相談することをおすすめします。

また、データ復旧の専門家のいるデータ復旧業者では、PCメーカーでさえ復旧できないような、難易度の高いデータ復旧にも対応できることがあります。

CRCエラーの対処法(修復方法)

CRCエラーが発生した場合は、どのように対処すべきでしょうか。エラーの発生場所ごとに説明します。

  • HDDでCRCエラーが発生した場合
  • USBメモリ・SDカードでCRCエラーが発生した場合
  • DVD・CDでCRCエラーが発生した場合
  • OutlookでCRCエラーが発生した場合

HDDでCRCエラーが発生した場合

磁気ヘッドやプラッターの損傷など物理的損傷が原因の場合は、データの復旧を最優先で行い、その後ハードディスクの交換等を行います。

個人でできる主な対処法として以下の三つが挙げられます。

  •  周辺機器を交換する
  •  PCの場合は内臓HDDを交換する
  •  データ復元ソフトを利用する

周辺機器を交換する

ハードディスクでのCRCエラーは、SATAケーブル(パソコンとハードディスクを接続するケーブル)の接続不良が原因で発生することがあります。PC内のあらゆる電子部品で電気的なノイズが発生する可能性があり、また、そのノイズが他の電子部品に伝達されることも少なくありません。

特に、高速でデータを伝送するSATAは、この電気的なノイズに影響されやすいため、SATAケーブルでのデータ伝送中に、CRCエラーが生じることがあります。SATAケーブルを使用しているときは、SATAケーブルを抜き差しして、ケーブルのコネクタをハードドライブ・マザーボードに正しく差し込んでください。また、SATAケーブルを新しいものに交換するとCRCエラーが解消することがあります。

PCの場合は内蔵HDDを交換する

PCの内蔵HDDが原因でCRCエラーが発生している場合には、内蔵HDDを交換することで解決することがあります。しかし、これはPCの動作の復旧を優先する場合でありHDDに保存したデータは全て消えてしまうため注意が必要です。

故障したHDDからデータを取り出すには、障害の原因を診断して適切に対処する必要があります。HDDからデータを復旧する方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

データ復元ソフトを利用する

データ復元ソフトを利用することで、軽度の論理エラーであれば修復できる可能性があります。

復元ソフトの例として、以下のようなものが挙げられます。

  • Disk Drill
  • EaseUS Data Recovery Wizard
  • Recoverit
  • Recuba
  • Recover Files

有料のものから無料のものまで様々で、対応可能な症状や修復可能な容量が変化します。

しかし、注意点としてソフトのダウンロードやスキャンの作業によってHDDの状態が悪化してしまったり、データを上書きしてしまう危険があります。

また、対応可能な症状は軽度の論理障害に限られます。データが取り出せなくなってしまうリスクがあるため、物理障害や重度の論理障害の場合には復元ソフトを絶対に使用しないでください。症状が判別できない状態でデータ復元ソフトを扱うのはデータを失ってしまうリスクがあります。

確実にデータを取り出したい場合や復旧ソフトの取り扱いが不安な方はなるべく個人での作業を控え、専門業者に依頼することをおすすめします。

USBメモリ・SDカードでCRCエラーが発生した場合

USBメモリとSDカードの記録する場所のセクタ不良や、基盤回路やコントローラチップ、データチップの劣化により巡回冗長検査CRCエラーが表示されるケースがあります。

USBメモリ・SDカードでCRCエラーが表示される場合は、USBメモリ・SDカードが故障しかかっているか、すでに故障している状態が大半です。データの復旧をしたら、新しいものに交換しましょう。データ復旧用のソフトウェアなども市販されていますが、万が一、失敗してしまうと本来復旧できるデータさえも消失してしまいます。データの復旧は、技術力の高い専門業者へ相談することをおすすめします。

DVD・CDでCRCエラーが発生した場合

DVD・CDなどの光学メディアの表面に、手の指紋・ホコリ・汚れが付着しているためにCRCエラーが発生している可能性があります。この場合は、眼鏡専用クロスなどでDVD・CDの記録面を拭き取ります。

また、クロスなどで拭き取れる汚れなどの他、DVD・CDに目に見えない細かい傷が付いているためにCRCエラーが発生している可能性もあります。この場合は、市販の光学メディア専用リペアキットで傷を補修することで、CRCエラーが解消することがあります。

OutlookでCRCエラーが発生した場合

メールアプリ「Microsoft Outlook」で、次のようなメッセージと共にCRCエラーが発生し、メールの送受信や削除ができなくなることがあります。

  •  “○○.pstにアクセスできません。データエラー(巡回冗長検査(CRC)エラー)です。”
  •  “○○をコピーできません。データエラー(巡回冗長(CRC))エラーです。”

OutlookでのCRCエラーの原因は、PSTファイルが破損しているか、PSTファイルが保存されているハードディスクで問題が生じていることです。PSTファイル(.pst)はOutlookデータファイルで、ダウンロード済みのメールメッセージ・予定表情報・連絡先などの情報が保存されているファイルです。

PSTファイルの破損に対処するため、Microsoftは、PSTファイルを修復するためのツール「受信トレイ修復ツール」を提供しています。OutlookでCRCエラーが発生したときに、使用してみるのも一つの方法です。

参照Outlook データ ファイル (.pst および .ost) を修復する/Microsoft

おすすめデータ復旧サービス

CRCエラーが発生した際、自分で対処できるのはケーブル交換や機器の汚れをきれいにする程度で、それ以外の場合はデータ復旧業者に相談することを推奨します。

原因によっては高度なデータ復旧技術が必要になるため、業者の中でもとくに技術力が高いところを選ぶことが大事です。

そこで、データ復旧サービス各社の価格、内容(対応製品)、期間や特長から比較した、おすすめのサービスを紹介します。

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まとめ

CRCエラーが発生すると、突然ファイルの保存やコピーができなくなり非常に焦ります。データを最大限復旧するために大切なのは、「何もせずに」電源を落として現状を維持することです。その上で、専門知識のあるデータ復旧業者に相談をしましょう。

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