Webサイトを開こうとしたとき、突然「安全な接続ができませんでした(ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCH)」というエラーが表示されてアクセスできなくなった——こうした経験をしたことはありませんか?
このエラーは、ブラウザとWebサーバーのSSL/TLS通信で「使用できる暗号化の方式が合わない」ことを意味します。閲覧者側のブラウザ・OS・セキュリティソフトが原因の場合もあれば、Webサーバー側のTLS設定や証明書設定が原因の場合もあります。
本記事では、ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHの意味・原因・閲覧者向けの解決方法・サーバー管理者向けの設定修正・ブラウザ別の確認手順・FAQまで徹底解説します。
ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHとは?
ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHとは、ブラウザとWebサーバーの間でSSL/TLS通信を確立しようとしたとき、双方が対応している暗号化の方式(TLSバージョン・暗号スイート)が一致しないために接続が失敗したことを示すエラーコードです。
Google Chromeで表示されることが多いエラーですが、Microsoft Edge・Firefox・Safariでも類似のエラーメッセージが表示されます。

ブラウザ別のエラーメッセージ
| ブラウザ | 表示されるエラーメッセージ |
|---|---|
| Google Chrome | 安全な接続ができませんでした / ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCH |
| Microsoft Edge | このページは安全に表示できません / ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCH |
| Firefox | 安全な接続ができませんでした / SSL_ERROR_NO_CYPHER_OVERLAP |
| Safari | Safariは、暗号化されている安全な接続を確立できないため、このページを開けません |
TLSバージョンと暗号スイートの基礎知識
このエラーを理解するには、TLSバージョンと暗号スイートについて知っておく必要があります。
TLSバージョンの違い
| バージョン | 状態 | 主要ブラウザでの扱い |
|---|---|---|
| SSL 3.0 | 廃止 | 脆弱性があるため、現在のブラウザでは基本的に無効 |
| TLS 1.0 | 非推奨 | 主要ブラウザでは既定で無効化・非推奨化が進んでいる |
| TLS 1.1 | 非推奨 | 主要ブラウザでは既定で無効化・非推奨化が進んでいる |
| TLS 1.2 | 現役・推奨 | 多くのブラウザ・サーバーで広く利用されている |
| TLS 1.3 | 最新・推奨 | 対応環境では高速かつ安全な通信が可能 |
TLS 1.0・TLS 1.1は古い暗号化プロトコルであり、現在は非推奨です。サーバーがTLS 1.0・TLS 1.1のみに対応している場合、最新のブラウザでは安全な接続を確立できず、ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHが表示されることがあります。
暗号スイートとは
暗号スイートとは、TLS通信で使われる暗号化アルゴリズムの組み合わせです。鍵交換・認証・暗号化・ハッシュなどの方式をまとめたもので、たとえば「ECDHE-RSA-AES256-GCM-SHA384」のような形式で表されます。
サーバーがブラウザの対応していない古い暗号スイートのみを有効にしている場合も、ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHが発生することがあります。
ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHの主な原因7種類

原因①:サーバーが古いTLS設定のままになっている
代表的な原因の一つです。WebサーバーがTLS 1.0・TLS 1.1など古いTLSバージョンのみに対応している場合、最新のブラウザが安全な接続を確立できず、このエラーが発生することがあります。
現在はTLS 1.2またはTLS 1.3に対応していることが重要です。
原因②:サーバーが古い・脆弱な暗号スイートのみを使用している
RC4・DES・3DESなど、現在では脆弱と判断される暗号方式のみをサーバーが有効にしている場合、ブラウザが接続を拒否することがあります。
暗号スイートは、古い方式を無効化し、現在推奨される方式へ更新する必要があります。
原因③:SSL証明書や証明書チェーンの設定不備
SSL証明書の設定不備、中間CA証明書の不足、証明書チェーンの不整合などがあると、TLSハンドシェイクが正常に完了せず、接続エラーにつながることがあります。
なお、証明書のドメイン名不一致は、ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHではなく、NET::ERR_CERT_COMMON_NAME_INVALIDなど別の証明書エラーとして表示されることもあります。
原因④:ブラウザが古いバージョン
ブラウザのバージョンが古い場合、新しいTLSバージョンや暗号スイートに対応していないことがあります。逆に、サーバー側が新しいTLS設定のみに対応している場合、古いブラウザから接続できないケースもあります。
原因⑤:セキュリティソフト・ファイアウォールの干渉
アンチウイルスソフトやファイアウォールには、HTTPS通信を検査する機能があります。この機能がSSL/TLS通信を中継・検査する際に、TLSバージョンや暗号スイートの不一致が発生し、エラーにつながる場合があります。
原因⑥:WindowsのTLS設定が古い
Windowsでは、OS側のTLS設定が影響することがあります。特に古いWindowsや古いWindows Serverでは、TLS 1.2が有効になっていない、または必要な更新が適用されていない場合があります。
原因⑦:社内プロキシ・SSLインスペクションの影響
企業ネットワークでは、社内プロキシやSSLインスペクション機器がHTTPS通信を中継する場合があります。この機器の証明書設定やTLS対応状況に問題があると、ブラウザとサーバーの間で安全な接続を確立できず、このエラーが表示されることがあります。
閲覧者向けの解決方法
解決方法①:ブラウザを最新バージョンに更新する
まずはブラウザを最新版に更新してください。
- Chrome:右上「︙」→「ヘルプ」→「Google Chromeについて」で確認
- Edge:右上「…」→「ヘルプとフィードバック」→「Microsoft Edgeについて」で確認
- Firefox:右上「≡」→「ヘルプ」→「Firefoxについて」で確認
ブラウザ更新後は、再起動してから再度アクセスを試してください。
解決方法②:ブラウザのキャッシュとCookieを削除する
古い証明書情報やキャッシュが原因でエラーが続く場合があります。
Chromeでのキャッシュクリア手順
- Ctrl+Shift+Delete(Mac:Command+Shift+Delete)でデータ消去画面を開く
- 期間を「全期間」に変更する
- 「キャッシュされた画像とファイル」「Cookieと他のサイトデータ」にチェックを入れる
- 「データを消去」をクリックする
解決方法③:WindowsでSSL状態をクリアする
Windowsでは、SSL状態をクリアすることで改善する場合があります。
- 「スタート」→「コントロールパネル」を開く
- 「インターネット オプション」を開く
- 「コンテンツ」タブを開く
- 「SSL状態のクリア」をクリックする
- 「OK」をクリックして完了する
解決方法④:セキュリティソフトのHTTPSスキャンを一時的に無効にする
アンチウイルスソフトがHTTPS通信を検査する機能(HTTPSスキャン・SSLスキャン)が干渉している可能性があります。セキュリティソフトの設定でHTTPSスキャン機能を一時的に無効にし、問題が解決するか確認します。
HTTPSスキャンを無効にすると、セキュリティが低下する可能性があります。確認後は必ず元に戻してください。企業PCの場合は、自己判断で変更せずIT管理者に相談してください。
解決方法⑤:別のネットワーク・ブラウザで試す
特定のWi-Fiネットワーク・プロキシ設定・企業ネットワークが原因の場合があります。以下を試すことで原因を切り分けできます。
- 別のブラウザで同じサイトにアクセスする
- 別のWi-Fiやモバイル回線でアクセスする
- VPNを使っている場合は一時的にオフにする
- 企業ネットワークの場合はIT管理者に確認する
解決方法⑥:OSを最新バージョンにアップデートする
古いOSでは、TLS 1.2やTLS 1.3への対応が不十分な場合があります。Windows UpdateやmacOSのソフトウェアアップデートを確認し、最新のセキュリティ更新を適用してください。
解決方法⑦:古いWindows環境ではOS更新・移行を検討する
Windows 7や古いWindows Serverでは、TLS 1.2が既定で有効になっていない場合があります。ただし、サポートが終了したOSを使い続けること自体が大きなセキュリティリスクになります。
レジストリでTLS 1.2を有効化する方法もありますが、根本的にはサポート中のOS・ブラウザへ移行することを優先してください。
古いWindows環境のTLS設定をレジストリで変更する方法は上級者向けです。誤操作によりWindowsの動作に影響する可能性があるため、不安な場合はIT管理者に相談してください。
サーバー管理者向けの解決方法
サーバー側の確認:SSL Labsで診断する
まず「SSL Labs(ssllabs.com/ssltest/)」でサーバーのTLS設定をスキャンします。TLSバージョン・暗号スイート・証明書チェーンの問題点が一覧で確認できます。
nginxでのTLS設定修正例
# /etc/nginx/nginx.conf または サイト設定ファイル
ssl_protocols TLSv1.2 TLSv1.3;
ssl_ciphers ‘ECDHE-ECDSA-AES256-GCM-SHA384:ECDHE-RSA-AES256-GCM-SHA384:ECDHE-ECDSA-AES128-GCM-SHA256:ECDHE-RSA-AES128-GCM-SHA256’;
ssl_prefer_server_ciphers off;
# 設定後は必ず構文チェックと再読み込み
# nginx -t
# systemctl reload nginx
nginxのバージョンやOpenSSLのバージョンによって、TLS 1.3の暗号スイートの扱いが異なる場合があります。実際の設定はサーバー環境に合わせて確認してください。
ApacheでのTLS設定修正例
# /etc/httpd/conf.d/ssl.conf または VirtualHost設定
SSLProtocol -all +TLSv1.2 +TLSv1.3
SSLCipherSuite HIGH:!aNULL:!MD5:!RC4:!DES:!3DES
SSLHonorCipherOrder off
# 設定後は構文チェックと再読み込み
# apachectl configtest
# systemctl reload httpd
設定変更後はSSL Labsで再度スキャンし、TLS 1.2・TLS 1.3が有効になっていること、SSL 3.0や古いTLSバージョンが無効になっていることを確認してください。また、インターネット上の「How’s My SSL(howsmyssl.com)」でも、ブラウザ側のTLS対応状況を確認できます。
SSL証明書のドメイン設定を確認する
- SSL Labsでスキャンして「Certificate」セクションを確認する
- アクセスするドメイン(www.example.com・example.comなど)が証明書のSANに含まれているか確認する
- wwwあり・なしの両方で使う場合は、両方のドメインが証明書に含まれているか確認する
- ワイルドカード証明書(*.example.com)は、example.com本体や第三階層以下のサブドメインに対応しない場合があるため注意する
中間CA証明書を正しく設定する
SSL証明書には、ルート証明書・中間CA証明書・サーバー証明書のチェーンが必要です。中間CA証明書が抜けていると、一部のブラウザや古い端末でTLSハンドシェイクが失敗することがあります。
認証局から提供される証明書バンドルファイルを正しく設定してください。
古い暗号スイートを無効化する
RC4・DES・3DES・MD5など、脆弱とされる暗号方式は無効化します。互換性のために古い暗号スイートを残している場合、最新ブラウザで警告や接続エラーが発生する原因になります。
レンタルサーバーの場合はサポートに確認する
レンタルサーバーやマネージドサーバーでは、利用者側でnginx・ApacheのTLS設定を直接変更できない場合があります。その場合は、管理画面でSSL/TLS設定を確認するか、サポートに以下の内容を確認してください。
- TLS 1.2・TLS 1.3に対応しているか
- TLS 1.0・TLS 1.1が無効化されているか
- 古い暗号スイートが無効化されているか
- 中間CA証明書が正しく設定されているか
被害・注意事例2選
事例1:古いTLS設定によりWebサイトへ接続できなくなるケース
Webサイト側で古いTLSバージョンや脆弱な暗号方式のみを有効にしている場合、最新のブラウザから安全な接続を確立できず、ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHが表示されることがあります。サイバーセキュリティ.comの記事でも、このエラーはSSL/TLSのバージョンや設定が適切でない場合に発生する可能性が高いと説明されています。
特に、TLS 1.0・TLS 1.1のみに対応した古いサーバー設定では、主要ブラウザから接続できなくなる可能性があります。サイト管理者は、TLS 1.2・TLS 1.3を有効化し、SSL Labsなどで定期的にTLS設定を確認することが重要です。
事例2:SSLインスペクションやセキュリティソフトの干渉による接続エラー
企業ネットワークやセキュリティソフトでは、HTTPS通信を検査するためにSSLインスペクションやHTTPSスキャンが使われることがあります。サイバーセキュリティ.comの記事でも、SSLインスペクションは暗号化通信の中身を確認するための仕組みであり、導入時には証明書・通信経路・プライバシーへの配慮が必要だと説明されています。
SSLインスペクションやセキュリティソフトが古いTLS仕様にしか対応していない場合、ブラウザとサーバーの間で利用できるTLSバージョンや暗号スイートに不一致が生じ、ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHのような接続エラーにつながることがあります。企業環境では、セキュリティ製品のバージョン、HTTPSスキャン機能、社内プロキシ、証明書配布状況を確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHは自分のPCに問題?
必ずしもそうではありません。閲覧者側のブラウザ・OS・セキュリティソフトが原因の場合もあれば、サーバー側のTLS設定・暗号スイート・証明書チェーンが原因の場合もあります。特定のサイトだけでエラーが出る場合は、そのサイトのサーバー設定に問題がある可能性があります。
Q. このエラーが出たサイトは「詳細設定」から強制アクセスできますか?
ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHの場合、他のSSL証明書エラーとは異なり、「詳細設定」から強制アクセスするボタンが表示されないことが多いです。これは、ブラウザが安全な通信を確立できないため、接続を許可しない設計になっているためです。
Q. サーバー管理者として最初に何を確認すればいいですか?
まずSSL LabsでサーバーのTLS設定を確認してください。TLSバージョン・暗号スイート・証明書チェーンの問題点が評価とともに表示されます。TLS 1.2・TLS 1.3が有効か、古い暗号スイートが残っていないか、中間CA証明書が正しく設定されているかを確認しましょう。
Q. レンタルサーバーを使っていてサーバー設定を変更できません
多くのレンタルサーバーでは、管理画面からSSL/TLS設定や証明書更新ができます。設定変更ができない場合は、レンタルサーバーのサポートに「TLS 1.2・TLS 1.3への対応」「古いTLSバージョンの無効化」「中間CA証明書の設定」を確認してください。
Q. Windowsでこのエラーが頻繁に出ます。Macでは出ません。
Windowsでは、OS側のTLS設定やセキュリティソフトのHTTPSスキャン機能が影響することがあります。特に古いWindowsや企業PCでは、TLS設定・プロキシ・SSLインスペクションの影響でエラーが出る場合があります。Windows Updateを適用し、セキュリティソフトや社内ネットワーク設定を確認してください。
まとめ
ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHは、ブラウザとWebサーバーの間でSSL/TLS通信の暗号化方式(TLSバージョン・暗号スイート)が一致せず、安全な接続を確立できないときに表示されるエラーです。主な原因は、古いTLS設定、脆弱な暗号スイート、証明書チェーンの不備、古いブラウザ・OS、セキュリティソフトやSSLインスペクションの干渉などです。
閲覧者の場合は、ブラウザの更新、キャッシュ削除、SSL状態のクリア、セキュリティソフトのHTTPSスキャン確認、別ネットワークでの確認、OSアップデートを順に試してください。特定のサイトだけでエラーが出る場合は、サーバー側の問題である可能性があります。
サーバー管理者の場合は、SSL LabsでTLS設定を診断し、TLS 1.2・TLS 1.3を有効化し、古いTLSバージョンや脆弱な暗号スイートを無効化することが重要です。証明書チェーンや中間CA証明書の設定も確認し、定期的にTLS設定を監査することで、今後の接続トラブルを防ぎやすくなります。


























![中小企業の情報瀬キィリティ相談窓口[30分無料]](/wp-content/uploads/2023/07/bnr_footer04.png)



ブラウザとサーバーの間には「どの暗号方式で通信しますか?」という最初の確認作業(TLSハンドシェイク)があります。これは、日本語しか話せない人と英語しか話せない人が会話しようとするようなものです。共通言語がなければ会話(通信)は始まりません。ERR_SSL_VERSION_OR_CIPHER_MISMATCHは「共通の暗号方式が見つかりませんでした」というエラーです。