シャドーIT|サイバーセキュリティ.com

シャドーIT

シャドーITとは、企業や組織内で、管理者やセキュリティ担当者の許可を得ずに従業員が独自に導入・利用するIT機器やクラウドサービス、アプリケーションなどのことを指します。シャドーITは、利便性の向上や業務効率化を図る目的で利用される一方、管理外のシステムを通じて機密情報が漏洩するリスクや、企業のセキュリティポリシー違反が発生する懸念が高まり、ITガバナンスにおける大きな課題となっています。

シャドーITの特徴

シャドーITは、特にクラウドサービスやSaaS(Software as a Service)の普及により急増しています。個人用スマートフォンやタブレット、無料のファイル共有アプリやチャットツールなどがシャドーITの代表例です。これらは管理者の認知外で利用されやすく、セキュリティ監視や監査が難しい点が特徴です。また、社員が自発的に利用するため、利便性が高い一方で、企業のITポリシーやデータ保護基準を無視している場合が多く、潜在的なリスクが潜んでいます。

シャドーITのリスク

1. セキュリティリスク

シャドーITの利用により、ウイルス感染やマルウェア侵入、なりすましなどのサイバー攻撃のリスクが高まります。企業が把握していないシステムやデバイスでは、脆弱性が放置されやすく、外部攻撃に対して無防備な状態になることがあります。

2. 情報漏洩のリスク

シャドーITでは、データが管理外のアプリケーションやクラウドサービスにアップロードされることが多く、情報漏洩のリスクが増加します。これにより、機密情報や個人データが外部に流出し、重大なビジネス損害や法的問題を引き起こす可能性があります。

3. コンプライアンス違反

シャドーITの利用は、多くの組織におけるデータ保護法やセキュリティ規制に違反するリスクを伴います。特に個人情報を取り扱う企業では、未承認のITツールの利用が法令違反や罰則に繋がる場合があります。

シャドーITの発生原因

シャドーITが発生する主な原因には、従業員の利便性を求める傾向や、企業IT部門の対応の遅れが挙げられます。

利便性と迅速さの優先

業務効率化を目的に、従業員が独自にツールやデバイスを導入することで、シャドーITが発生します。業務上の要件に応じた適切なツールが社内に整備されていない場合、従業員は利便性を求め、簡単に利用できる外部サービスに頼る傾向があります。

IT部門の対応遅延

IT部門の承認プロセスが複雑で時間がかかる場合、従業員は必要なツールをすぐに利用できないため、自発的にシャドーITに走ることがあります。特に急なプロジェクトやスケジュール上の制約がある場合には、待つことが難しく、シャドーITのリスクが高まります。

シャドーITへの対策

シャドーITのリスクを最小限に抑えるためには、以下のような対策が有効です。

ITポリシーの整備と周知

企業全体で利用可能なITツールやガイドラインを整備し、従業員に周知することで、シャドーITの利用を抑制します。従業員が適切なツールを選択しやすくするために、企業で認可されたサービスやアプリケーションのリストを提供することも効果的です。

セキュリティツールの導入と監視

社内ネットワーク上で異常な通信や未承認デバイスを検知できるようなセキュリティツールを導入し、シャドーITの使用状況を把握します。これにより、管理外のデバイスやサービスの利用が可視化され、不正な使用を早期に発見できます。

従業員教育の実施

シャドーITのリスクについて、従業員に定期的なセキュリティ教育を行うことも重要です。シャドーITによるデータ漏洩や法的リスクについて理解を深めることで、従業員が慎重にITツールを選択するようになります。

まとめ

シャドーITは、企業のセキュリティ管理外で利用されるITリソースを指し、利便性の一方で情報漏洩やコンプライアンス違反のリスクが伴います。ポリシー整備やセキュリティツールの導入、従業員教育を通じてシャドーITのリスクを管理し、適切なITガバナンスを確保することが求められます。


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