画像:IPAホームページより
世界各地の病院や企業、政府機関や銀行、大手企業などで大規模なサイバー攻撃を受け業務が妨害される事態が相次いでいる問題で、ヨーロッパ刑事警察機構のウェインライト長官は14日、被害は少なくとも150か国で20万件に上ると明らかにしたうえで、週明けにかけてさらに被害が拡大する恐れがあるとして警戒を呼びかけている。
ウェインライト長官は「使用されたウイルスは、コンピューター1台が感染すると自動的に拡散する性質をもっているため、被害が広がり続けている」と指摘。「前例のない規模の攻撃だ」との見方を示している。
また、ウェインライト長官は、攻撃をした実行犯は複数いる可能性を示していて、犯人の摘発へ向けて、アメリカのFBI=連邦捜査局とも連携を進めることにしている。
フランスのメディアによると、大手自動車メーカーのルノーは、一連のサイバー攻撃の影響で国内最大規模の工場で、15日から生産を停止するとしている。
日本国内でも、総合病院と個人の女性の2件の被害が確認されたことが14日、警察庁の調べで分かった。警察当局は不正指令電磁的記録供用などの疑いで捜査を始めている。
病院は警察からの問い合わせで13日に被害が判明。
女性は14日午前中にパソコンを起動すると画面にビットコインを要求する内容が現れ、警察に届け出て判明したという。要求のメッセージは言語を選択し、日本語で読めるようになっており、300ドル(約3万4000円)相当を払うよう表示されていた。
今回のサイバー攻撃は、「ランサムウエア」と呼ばれるウイルスで、コンピューターを停止させて「身代金」を要求する手口。女性のパソコンの基本ソフト(OS)はマイクロソフト社(MS)の「ウィンドウズ7」だったという。
この手口はメールに添付されたファイルを開いたり、メールにあるウェブサイトのリンクにアクセスして感染するケースが多いことから、企業や官庁の業務が始まる15日に被害がさらに確認される可能性もある。警察庁はコンピューター内のOSウィンドウズを最新版にアップデートするとともに、被害に遭った場合には警察まで相談するよう呼び掛けている。
また、国の情報セキュリティーの専門機関、「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)」でも専用の窓口を設置し相談を受け付けている。