退職者のデータ持ち出しはどこまで違法?発覚時の初動対応と確認すべきログを解説|サイバーセキュリティ.com

退職者のデータ持ち出しはどこまで違法?発覚時の初動対応と確認すべきログを解説

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退職者データ持ち出し

退職者によるデータ持ち出しが疑われる場合、まず優先すべきなのは証拠を消さないことです。退職者のPCを初期化して再配布したり、アカウントを削除したりすると、USB接続履歴やメール送信履歴などの痕跡が失われ、持ち出しの事実を証明できなくなるおそれがあります。

顧客情報や営業資料が競合他社に渡ると、取引の喪失や信用の低下につながり、個人情報が含まれていれば個人情報保護委員会への報告が必要になる場合もあります。持ち出しの有無を判断する前に、端末とログを保全し、必要に応じてフォレンジック調査会社へ相談しましょう。

本記事では、退職者によるデータ持ち出しが発覚したときの初動対応、どこまでが違法になるのか、主な手口と確認すべきログ、調査会社でできること、再発防止策を第三者の立場から解説します

退職者のデータ持ち出しが疑われたら最初にやること

退職者による持ち出しが疑われる段階では、事実関係の確認と証拠保全を同時に進める必要があります。焦って社内で調べ始める前に、以下の点を確認してください。

社内で調べる前にやってはいけないこと

やってはいけないこと 理由
退職者のPC・スマホを初期化・再配布する 操作履歴や削除データの痕跡が消える
担当者が退職者のPCを起動して中身を確認する ファイルの更新日時やログが上書きされ、証拠としての信用性が下がる
ログを確認しないまま退職者のアカウントを削除する メールやクラウドのログが一緒に消える場合がある
市販の復元ソフトで削除ファイルを探す 削除データの領域が上書きされ、復元できなくなるおそれがある
証拠がそろう前に退職者や関係者に問いただす 私物端末のデータ削除や口裏合わせを招くおそれがある

退職者・会社支給端末の場合に確認しておくこと

退職者が使っていた会社支給のPCやスマホは、それ以上操作せずに保管し、誰がいつ扱ったかを記録しておきましょう。すでに別の社員に再配布している場合も、その時点で利用を止めて現状のまま保管します。

退職者のアカウントは、メールやクラウドのログを保全したうえで停止してください。ログの保存期間はサービスごとに異なり、短いものでは数週間程度で消えてしまうこともあります。

また、会社支給の端末であっても私的なデータが含まれる場合があります。就業規則や情報管理規程に端末の調査について定めがあるかを確認し、調査目的に必要な範囲に限定して進めることが望ましいでしょう。

退職者が設定したパスワードが分からずPCやスマホにログインできない場合は、自力で解除を試すとデータが消えるおそれがあります。以下の記事も参考にしてください。

パソコンのパスワード解除業者の選び方と相談前の注意点はこちら>

スマホのパスワード・画面ロックが解除できない時の対処法と業者の選び方はこちら>

初動対応の流れ

  1. 端末・ログの保全:退職者のPC、スマホ、外部記憶媒体を保管し、メール・クラウド・VPNなどのログを保存する
  2. 事実関係の確認:誰が、いつ、どの情報を、どの手段で持ち出した可能性があるかを整理する
  3. 被害範囲の評価:個人情報や営業秘密が含まれるか、外部に渡った可能性があるかを確認する
  4. 関係者への報告:個人情報が含まれる場合は、個人情報保護委員会への報告や本人への通知を検討する
  5. 退職者への通知・法的措置の検討:弁護士と相談のうえ、データの返還・削除の要求や損害賠償請求などを検討する

証拠がそろう前に退職者へ通知すると、私物の端末やクラウドからデータを削除されるおそれがあります。通知のタイミングは、調査と弁護士の判断をふまえて決めましょう。

退職者のPC・ログを証拠保全したい法人様はこちら>

退職時のデータ持ち出しはどこまでが違法?

退職時の情報持ち出しは、すべてが直ちに違法になるわけではありません。持ち出した情報の内容、会社での管理状況、持ち出した目的や使い方によって、民事・刑事の責任が問われるかどうかが変わります。

問題になりやすいケース

  • 顧客リストや営業資料を私物のPC・クラウドに保存したまま退職し、転職先で使う
  • 設計図やソースコードなど、社外秘として管理されていた技術情報を持ち出す
  • 顧客や従業員の個人情報を、業務と関係のない目的で持ち出す
  • 退職後、残っていたアカウントで社内システムにログインしてデータを取得する

一方で、本人が業務を通じて身につけた一般的な知識やスキルは、原則として本人が自由に使えるものと考えられています。どこからが問題になるかは個別の事情によって異なるため、判断に迷う場合は弁護士に相談してください。

営業秘密として保護されるための3つの要件

不正競争防止法で「営業秘密」として保護されるには、次の3つの要件を満たす必要があります。

  • 秘密管理性:アクセス制限や「社外秘」の表示、秘密保持契約などで、秘密として管理されていること
  • 有用性:事業活動にとって有用な情報であること
  • 非公知性:一般に知られていない情報であること

会社が「重要な情報だった」と主張するだけでは足りず、日頃から秘密として管理していたことを示す必要があります。

刑事・民事で問われる可能性のある責任

営業秘密を、不正な利益を得る目的や会社に損害を与える目的で取得・使用・開示した場合などは、不正競争防止法の営業秘密侵害罪に問われる可能性があります。罰則は10年以下の拘禁刑もしくは2,000万円以下の罰金、またはその両方です。

また、退職後に権限がないにもかかわらずIDとパスワードで社内システムにログインした場合は、不正アクセス禁止法違反にあたる可能性があります。民事では、不法行為や秘密保持契約違反などを根拠に、損害賠償やデータの使用差し止めを求められる場合があります。

いずれの場合も、持ち出しの事実を示す証拠が必要です。データが削除されていたり、ログが残っていなかったりすると、会社側の主張を裏付けることが難しくなります。

個人情報が含まれる場合の報告義務

持ち出された情報に個人情報が含まれる場合、個人情報保護法にもとづき、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になる可能性があります。報告対象には「不正の目的をもって行われたおそれがある漏えい等」が含まれ、従業者による持ち出しもこれにあたります。

報告は、事態を知った後速やかに行う「速報」(おおむね3〜5日以内)と、原則30日以内(不正の目的によるおそれがある場合は60日以内)の「確報」の2段階です。

参考:個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」

情報漏えいが発生した企業の個人情報保護委員会への報告義務について解説はこちら>

退職者によるデータ持ち出しの主な手口

現在は、USBメモリだけでなく、クラウドやメール、スマホなど複数の経路が組み合わされることもあります。

USBメモリ・外付けHDDへのコピー

私物のUSBメモリや外付けHDDを業務用PCに接続し、顧客情報や設計データなどをコピーする手口です。短時間で大量のデータを移せるため、退職直前の持ち出しに使われることがあります。

USBの接続履歴を確認する方法と注意点|ログが残っていない場合の対処法も解説はこちら>

個人メール・チャットへの送信

会社のメールから個人のメールアドレスへ資料を送ったり、チャットツールでファイルや共有リンクを外部に送ったりする手口です。

クラウドストレージへのアップロード

個人で契約しているクラウドストレージに業務データをアップロードし、退職後に私物の端末から利用する手口です。物理的な持ち出しがないため、社内で気づきにくい点が特徴です。

スマホでの撮影・私物端末との同期

PCの画面や紙の資料をスマホで撮影したり、私物の端末とクラウドを同期させたりする方法です。ファイルのコピーやメール送信を伴わない場合もあり、発覚が遅れることがあります。

退職後の不正アクセス

退職後もVPNやメール、クラウドのアカウントが停止されておらず、元従業員がログインしてデータを取得するケースです。

退職者の不正アクセスが疑われたら?確認すべきログと調査方法はこちら>

持ち出しが疑われる不審な行動と確認すべきログ

以下のような行動が退職前後に重なっている場合は、持ち出しの可能性を疑い、ログを確認しましょう。単体では通常業務に見えることもあるため、複数のログを照らし合わせることが重要です。

不審な行動 確認すべきログ・証跡
退職前後に大量のファイルを開いた・コピーした PC操作ログ、ファイルアクセス履歴
USBメモリ・外付けHDDを接続した USB接続履歴、Windowsのイベントログ
深夜・休日・最終出社日にアクセスが集中している 認証ログ、VPNログ、クラウドのアクセスログ
個人のメールアドレスへ送信した メール送信履歴、宛先、添付ファイル
クラウドへのアップロードや共有リンク作成が増えた クラウドサービスの操作ログ、ブラウザ履歴
チャットツールでファイルを送信した チャット履歴、添付ファイルの履歴
退職後にVPNや社内システムへログインした VPNログ、認証ログ、システムのアクセスログ
業務端末の初期化やファイル削除が行われた 端末の操作ログ、フォレンジック調査による痕跡の確認

PC操作ログの調査方法|Windowsのイベントログ・操作履歴の確認手順と外部依頼の判断基準はこちら>

退職者のデータ持ち出し調査にはフォレンジック調査が有効

社内のログを確認するだけでは、持ち出しの全体像を把握できない場合があります。フォレンジック調査では、PCやスマホ、外部記憶媒体、各種ログを、証拠としての信用性を保ったまま保全・解析し、次のような内容を確認できます。

  • 退職前後にどのファイルにアクセス・コピーしたか
  • USBメモリや外付けHDDが接続されたか
  • 個人メールやクラウドへ送信・アップロードした痕跡があるか
  • 削除されたファイルや操作履歴が残っていないか
  • 退職後に社内システムへアクセスしていないか

調査結果は報告書にまとめられ、社内処分の判断、弁護士への相談、損害賠償請求や刑事告訴、個人情報保護委員会への報告などに活用できます。

退職者のデータ持ち出し調査におすすめのフォレンジック調査会社

フォレンジック調査はまだまだ一般的に馴染みが薄く、どのような判断基準で依頼先を選定すればよいか分からない方も多いと思います。そこで、30社以上の会社から厳選した、退職者の情報持ち出し調査が可能な編集部おすすめの調査会社を紹介します。

先述のポイントから厳選したおすすめのフォレンジック調査会社は、デジタルデータフォレンジックです。

デジタルデータフォレンジック

DDF
公式サイトデジタルデータフォレンジック

デジタルデータフォレンジックは、累計4万7千件以上の豊富な相談実績を持ち、全国各地の警察・捜査機関からの相談実績も409件以上ある国内有数のフォレンジック調査サービスです。

一般的なフォレンジック調査会社と比較して対応範囲が幅広く、法人のサイバー攻撃被害調査や社内不正調査に加えて、個人のハッキング調査・パスワード解析まで受け付けています。24時間365日の相談窓口があり、最短30分で無料のWeb打合せ可能とスピーディーに対応してくれるので、緊急時でも安心です。

運営元であるデジタルデータソリューション株式会社では17年連続国内売上No.1のデータ復旧サービスも展開しており、万が一必要なデータが暗号化・削除されている場合でも、高い技術力で復元できるという強みを持っています。調査・解析・復旧技術の高さから、何度もテレビや新聞などのメディアに取り上げられている優良企業です。
相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。

費用 ★相談・見積り無料まずはご相談をおすすめします
調査対象 デジタル機器全般:PC/スマートフォン/サーバ/外付けHDD/USBメモリ/SDカード/タブレット等
サービス ●サイバーインシデント調査:
マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃調査、情報漏洩調査、ハッキング調査、不正アクセス(Webサイト改ざん)調査、サポート詐欺被害調査、Emotet感染調査
●社内不正調査:
退職者の不正調査、情報持ち出し調査、横領・着服調査、労働問題調査、文書・データ改ざん調査、証拠データ復元
●その他のサービス:
パスワード解除、デジタル遺品調査、セキュリティ診断、ペネトレーションテスト(侵入テスト)、OSINT調査(ダークウェブ調査) 等
※法人・個人問わず対応可能
特長 ✔官公庁・法人・捜査機関への協力を含む、累計39,000件以上の相談実績
✔企業で発生しうるサイバーインシデント・人的インシデントの両方に対応
✔国際標準規格ISO27001/Pマークを取得した万全なセキュリティ体制
✔経済産業省策定の情報セキュリティサービス基準適合サービスリストに掲載
✔警視庁からの表彰など豊富な実績
✔17年連続国内売上No.1のデータ復旧サービス(※)を保有する企業が調査
※第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2023年)
基本情報 運営会社:デジタルデータソリューション株式会社
所在地:東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ森タワー15階
受付時間 24時間365日 年中無休で営業(土日・祝日も対応可)
★最短30分でWeb打合せ(無料)

>フォレンジック調査会社の一覧リストはこちら

退職者によるデー持ち出しを防ぐ対策

今後、退職者によるデータ持ち出しを防ぐためには、以下の対策を迅速に講じる必要があります。それぞれの対策について詳しく解説します。

退職時のアカウント停止と権限削除

退職日にあわせて、メール、VPN、クラウドサービスなどのアカウントを停止し、共有アカウントのパスワードも変更しましょう。部署ごとに導入したSaaSは停止漏れが起きやすいため、利用中のサービスを一覧で管理しておくことが有効です。

退職予定者のアクセス管理と端末の回収

退職が決まった段階で、業務に必要な範囲を超える情報へのアクセスを見直します。退職時には貸与した端末や記録媒体を確実に回収し、すぐに初期化せず一定期間保管しておくと、後から問題が発覚した場合にも調査しやすくなります。

ログの取得と保存期間の設定

PC操作ログ、USB接続履歴、クラウドのアクセスログなどを取得し、退職後に問題が発覚しても確認できる期間保存しておきましょう。

秘密保持契約・誓約書の締結

入社時や退職時に秘密保持契約や誓約書を交わし、持ち出してはいけない情報の範囲を明確にしておきます。秘密として管理していることを示すことは、営業秘密として法的に保護されるための要件にも関わります。

従業員教育とルールの周知

本人に悪意がなくても、「自分が作った資料だから持ち出してもよい」と誤解しているケースがあります。どの情報が社外秘にあたるのか、退職時にどう扱うべきかを日頃から周知しておきましょう。

まとめ

退職者によるデータ持ち出しは、USBメモリだけでなく、クラウドやメール、スマホなど様々な経路で起こります。疑いがある場合は、端末を初期化せず、ログを保全してからアカウントを停止することを優先してください。

持ち出しがどこまで違法になるかは、情報の管理状況や持ち出しの目的によって変わります。損害賠償請求や刑事告訴、個人情報保護委員会への報告を見据える場合は、証拠性を保った調査が必要です。社内だけでの対応が難しい場合は、早めにフォレンジック調査会社へ相談しましょう。

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