
今や連絡手段として欠かせない「LINE」ですが、乗っ取りの被害にあうと個人情報が盗まれるだけではなく、周りの人へ二次被害、三次被害が発生する可能性があります。
本記事では、LINEのアカウントが乗っ取りにあったときの確認方法や対処法を紹介します。
目次
LINEの乗っ取りの目的
LINEを乗っ取る目的は主に2つあります。
- 個人の情報を盗むため
- 金銭的な要求をするため
乗っ取り犯による犯行として最も有名なのが、乗っ取ったアカウントになりすまし、プリペイドカードやギフトカードの番号を送るようトーク画面で誘導して金銭をだまし取るものです。
LINEのログインするに必要な情報
- 電話番号
- 認証番号
- パスワード
- メールアドレス
このようなアカウントのログインに必要な個人情報が何らかの形で漏えいすると、第三者に不正アクセスされます。これをLINEの乗っ取りと言います。
LINEが乗っ取られた場合は、フォレンジック調査会社に相談しましょう。
LINE乗っ取り被害の内容
LINEの乗っ取りにあうと次のような問題がおこります。
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- アカウントのパスワードが勝手に変更され、ログインできなくなる
- アカウントに設定してある電話番号、トーク履歴、連絡先の情報が洩れる
- 友人や家族にログイン入力を誘導するスパム、金銭を巻き上げるメッセージを送る
- 不特定多数にフィッシングメールなどが送信される
- 個人情報が売買される
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以上の被害を受けた場合は、LINEのカスタマーサポートに連絡しましょう。乗っ取りに対応してもらうことが可能です。なお、不正なアカウントに個人情報などを入力してしまった場合は、他のアカウントで不正アクセスの被害が発生する恐れがあります。LINE以外で乗っ取り・ハッキング・不正アクセス被害などに遭った場合は、以下の記事に相談窓口を記載していますのでご確認ください。
LINEアカウント乗っ取りの代表的な手口
LINEアカウント乗っ取りの手口は、技術的な攻撃から心理操作まで多岐にわたります。以下に、主要な手口を詳しく解説します。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は、偽のウェブサイトやメッセージを使ってログイン情報を盗む手口です。以下のような方法で行われます。
偽のLINEサポートを装ったメッセージ
攻撃者は、LINEサポートを装った偽のメッセージを送信し、「アカウントの安全性確認が必要」として偽のログインページに誘導します。この手法の特徴と対策は以下の通りです。
- リンク先URLを確認する。公式のLINEドメインであることを確認しましょう。
- 不審なメッセージを受け取った場合、URLをクリックせず公式アプリ内からサポートを確認します。
- 二段階認証を有効にして、不正ログインを防ぎましょう。
知人のなりすましメッセージ
友人や知人を装い、ログイン情報や個人情報を聞き出そうとする手口です。例えば、次のようなメッセージが送られます。
- 「新しいスマホに変更したので、認証番号を教えてください。」
- 「緊急で助けてほしい。すぐに〇〇を送って。」
これらに対しては、以下のように対応してください。
- 知人を装ったメッセージが届いた場合は、電話など別の手段で本人確認を行う。
- LINEアプリ内の「通報」機能を使って不審なアカウントを報告する。
- 怪しいメッセージのリンクをクリックしない。
認証番号の詐取
認証番号の詐取は、攻撃者が認証番号をだまし取ることでアカウントに不正アクセスする手口です。この手口には以下のパターンがあります。
友人を装った電話
攻撃者が友人や知人になりすまし、「認証番号が届かないから代わりに教えてほしい」と電話をかけてきます。
- 認証番号を他人に教えない。LINEの公式サポートからも要求されることはありません。
- 電話を受けた際、話の内容に違和感を感じた場合は即座に通話を終了する。
- 二段階認証を有効化して不正アクセスを防止する。
SNSを利用した詐欺
攻撃者は、TwitterなどのSNSを利用し、「抽選に当選した」などと嘘をついて認証番号を教えるよう誘導します。
- LINEの認証番号は第三者に共有しない。
- SNS上で知り合った人からの要求に応じない。
- 当選情報や特典の通知が公式であるか確認する。
マルウェアを利用した攻撃
マルウェアを使った攻撃は、不正アプリのインストールやQRコードを悪用してアカウントを乗っ取る手法です。
不正アプリのインストール誘導
攻撃者が「便利なアプリ」などと偽って不正なアプリをインストールさせ、LINEのログイン情報を盗み取ります。
- アプリをインストールする際は、公式ストアからダウンロードする。
- インストール前にアプリのレビューや提供元を確認する。
- セキュリティソフトを利用して、不正アプリを検知する。
QRコードを利用した手口
偽のQRコードをスキャンさせて、不正なサイトに誘導し、ログイン情報を盗む手口です。
- 不審なQRコードは絶対にスキャンしない。
- QRコードスキャン後に表示されるURLを確認し、信頼できるものであるか確かめる。
- LINEの公式アプリ以外でのログイン情報入力を避ける。
ソーシャルエンジニアリング
ソーシャルエンジニアリングとは、心理的な操作を利用して個人情報を盗み取る手口です。
心理的な操作
攻撃者は、緊急性や恐怖心を煽ることで、冷静な判断を妨げます。
- 突然の要求には応じず、一度冷静になって内容を確認する。
- LINEの公式サポートに直接相談する。
- 攻撃者と疑われる相手のメッセージを記録し、後で分析できるようにする。
偽の景品や特典の提供
「無料で〇〇がもらえる」などといったオファーでLINEアカウント情報を聞き出します。
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- 魅力的なオファーのリンクはクリックしない。
- 特典が公式のものかを公式サイトで確認する。
- 個人情報やログイン情報を入力しない。
LINE乗っ取りにあった被害事例
ここでは実際に発生したLINE乗っ取りの事例を紹介します。
ある女性の友人か「今忙しい?」と突然連絡され、「近くのコンビニでギフトカードを買ってきてほしい」とメッセージが送られてきました。女性はこちらのメッセージを無視したものの、続けて届いた「データが消えてしまい解除するには友人の確認が必要だ」といったURL付きのメッセージを見て、URLにログイン情報を入力して送信しました。
その後、女性のLINEアカウントにログインできなくなり、女性の家族や友人に、女性に届いたものと類似したメールが届いたことが判明しました。
このように、近年はギフトカードの番号を入力させる手口以外にも、困っている知人になりすましてLINEを乗っ取る手口が見られます。
出典:NHK
LINEアカウントが乗っ取られているかを確認する方法
LINEアカウントが乗っ取られると、不正なメッセージ送信や個人情報の流出といった被害が発生する可能性があります。以下の方法を活用して、迅速にアカウントの状況を確認しましょう。
不明なデバイスからのログイン通知を確認
LINEでは、新しいデバイスでログインが行われた際に通知が届く仕組みがあります。この通知を確認することで、見覚えのないデバイスからの不正アクセスを検出することができます。
- LINEアプリを開きます。
- 「通知」セクションを確認し、「LINE公式アカウント」からのメッセージを探します。
- 新しいデバイスからのログイン通知があった場合、すぐにアカウント設定を確認してください。
ログイン中の端末を確認
LINEの設定から、現在ログイン中の端末を確認することができます。見覚えのないデバイスが表示されている場合、乗っ取られている可能性があります。
ログイン中の端末を確認する手順
- LINEアプリを開き、ホーム画面右上の「設定(歯車アイコン)」をタップします。
- 「アカウント」を選択します。
- 「ログイン中の端末」をタップし、現在ログインしている端末のリストを確認します。
- 見覚えのない端末が表示されている場合、「ログアウト」を選択して不正端末からのアクセスを遮断します。
トーク履歴を確認
乗っ取り被害が発生している場合、自分が送信した覚えのないメッセージが友人や知人に送信されていることがあります。トーク履歴を確認して、不審なメッセージがないかチェックしましょう。
確認方法
- LINEアプリを開きます。
- 各トークルームを確認し、自分が送信した覚えのないメッセージがないか調べます。
- もし不審なメッセージが見つかった場合、すぐに友人に乗っ取りの可能性を伝えましょう。
友人や知人からの不審な報告
友人や知人から「LINEで変なメッセージが来た」「これ送った?」といった報告があった場合、アカウントが乗っ取られている可能性があります。このような報告があれば、速やかに以下の対応を行いましょう。
- 友人にメッセージの内容や送信時刻を確認する。
- 不審な活動が確認された場合は、アカウント設定に進み、パスワードを変更する。
- 友人にも不審なメッセージのリンクをクリックしないよう伝えましょう。
LINE Payやその他連携サービスの履歴を確認
LINEアカウントが乗っ取られている場合、LINE Payや連携しているサービスが不正利用されることがあります。利用履歴を確認し、不審な取引がないかチェックしましょう。
確認手順
- LINEアプリの「ウォレット」タブを開きます。
- 「LINE Pay」の利用履歴を確認します。
- 見覚えのない取引がある場合、すぐにLINE Payサポートに連絡し、利用を停止します。
※2025年4月30日(水)をもって日本国内におけるモバイル送金(送付)・決済サービス「LINE Pay」は終了するとのこと。
LINEアカウント乗っ取りに遭った場合の対処法
LINEアカウントが乗っ取られた場合、迅速かつ正確に対処することで被害を最小限に抑えることができます。以下の手順を参考に、できる限り早く対応を行いましょう。
パスワードを変更する
乗っ取りが発覚した場合、最初に行うべきはパスワードの変更です。新しいパスワードを設定することで、不正アクセスを遮断することができます。
パスワード変更の手順
- LINEアプリを開きます。
- 「設定(歯車アイコン)」をタップし、「アカウント」を選択します。
- 「パスワード」をタップし、現在のパスワードを入力します。
- 新しいパスワードを設定し、「保存」をタップします。
※パスワードは、大文字、小文字、数字、記号を組み合わせた16文字以上の複雑なものにすることを推奨します。
ログイン中の端末を確認してログアウトする
LINEでは、現在ログイン中の端末を確認し、不審な端末からのログインを遮断することが可能です。
ログイン中の端末の確認手順
- LINEアプリを開き、「設定」→「アカウント」を選択します。
- 「ログイン中の端末」をタップします。
- 表示されたデバイス一覧を確認し、見覚えのない端末があれば「ログアウト」を選択します。
この手順で、不正ログインを強制的に解除することができます。
ログイン許可設定を変更する
他の端末からのログインを防ぐためには、ログイン許可設定を変更することが重要です。
ログイン許可設定の変更手順
- LINEアプリの「設定」を開き、「アカウント」を選択します。
- 「ログイン許可」をオフに切り替えます。
これにより、新しい端末からのログインを防ぐことができます。
LINE公式への問題報告
LINEにログインできない場合や乗っ取り被害が深刻な場合は、LINE公式サポートへの報告が必要です。
問題報告の手順
- LINEの公式サイトにアクセスし、「問題報告フォーム」を開きます。
- 「アカウントが盗まれた」を選択します。
- 必要な情報(名前、メールアドレス、アカウント情報)を入力し、送信します。
LINE公式に報告するとアカウントが削除される可能性があるため、事前に確認が必要です。
公式サイトLINEヘルプセンター
友人や知人への周知
乗っ取られたアカウントを利用して友人や知人に詐欺メッセージが送信されることがあります。これを防ぐためには、速やかに周知を行いましょう。
周知の手順
- 別の連絡手段(電話、メール、SNS)で友人や知人に連絡します。
- 「LINEアカウントが乗っ取られたため、不審なメッセージに注意してほしい」と伝えます。
- 不審なリンクやメッセージをクリックしないよう注意を促します。
被害拡大を防ぐための他のサービスの確認
LINEアカウントと連携している他のサービス(LINE Pay、連携アプリなど)が不正利用されていないか確認することも重要です。
LINE Payの確認手順
- LINEアプリの「ウォレット」タブを開きます。
- 「LINE Pay」の利用履歴を確認します。
- 不審な取引があれば、LINE Payサポートに連絡し、利用を停止します。
端末のフォレンジック調査を行う
LINEのアカウントが乗っ取られた場合、手口によってはアカウント情報やパスワードなどが流出した可能性があります。既に乗っ取り犯のURLなどに認証情報を入力してしまったり、LINE以外のアカウントにも不正アクセスやスパムメールが見られるのであれば、フォレンジック調査と呼ばれる電子端末の調査を受けることをおすすめします。
フォレンジックについての詳細は、下記の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
おすすめのフォレンジック調査会社
公式サイトデジタルデータフォレンジック
編集部が厳選したおすすめのフォレンジック調査会社は、デジタルデータフォレンジックです。
デジタルデータフォレンジックは、累計3万9千件以上の豊富な相談実績を持ち、全国各地の警察・捜査機関からの相談実績も395件以上ある国内有数のフォレンジック調査サービスです。
24時間365日の相談窓口があり、緊急時でも安心です。相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。
LINEアカウント乗っ取りを未然に防ぐための対策
LINEアカウントの乗っ取りは未然に防ぐことが可能です。日常的にセキュリティ意識を高め、以下の対策を実践してください。
二段階認証を有効にする
二段階認証を設定することで、パスワードが漏洩しても不正アクセスを防ぐことができます。
- LINEアプリを開き、「設定」→「アカウント」を選択します。
- 「二段階認証」を有効にします。
- 手順に従い、認証方法を設定します(SMS認証またはメール認証)。
パスワードを定期的に変更する
アカウント乗っ取りするには、メールアドレスとパスワードの認証情報が必要です。都度メールアドレスを変更するには難しいため、パスワードを定期的に変更することがセキュリティ対策として最も有効な手段です。
更にセキュリティを強化したい場合は、内閣サイバーセキュリティセンターが推奨する、大文字、小文字、数字、記号をランダムに用いた10桁以上のパスワードを設定しましょう。
パスワードの使いまわしは要注意
複数のサービスで同じパスワードを使いまわすのは危険です。一つのアカウントに登録した情報を利用されてアカウントが守られます。パスワードマネージャーを活用すると管理が容易です。
不審なメッセージやリンクを警戒する
フィッシング詐欺は乗っ取りの主要な手口の一つです。不審なメッセージやリンクには十分注意してください。
LINEアプリを常に最新の状態に保つ
LINEアプリを最新バージョンに更新することで、既知のセキュリティ脆弱性を修正できます。
セキュリティソフトを活用する
セキュリティソフトをインストールし、不正アクセスやマルウェア感染を防ぎましょう。
まとめ
LINEのアカウントが乗っ取られた場合、パスワードの変更やLINEの公式サポートセンターに相談すると、乗っ取られたアカウントを取り戻したり、削除することが可能な場合があります。しかし、なりすましやフィッシンングといった形で電話番号などの個人情報が第三者に知られた場合、個人情報を利用して他のアカウントや電子端末の乗っ取り被害に発展する恐れもあります。LINEの乗っ取り以外にも不正アクセス被害などを受けている場合は、一度スマホやパソコンのフォレンジック調査を行って、乗っ取りやハッキング、情報漏えいの有無などを把握し、乗っ取り被害の再発を防止しましょう。