社内横領が発覚した場合どのようにして解決したらよいのでしょうか?相談先や適切な横領調査の手順はどのようにして決めればよいのでしょうか?
横領事件の全容がわからない状態では、被害届や告訴状をなかなか受理してもらえない場合もあります。横領犯の逮捕や賠償金の支払いを迅速に行わせるには、企業側も横領事件の調査を行い、証拠を収集する必要があります。
しかし、横領調査を行うには一定の調査力と時間が不可欠です。仕事をしながら横領の証拠を収集することは困難ですので、外部の調査会社に適宜依頼することが負荷の軽減につながります。
本記事では横領に詳しい調査会社の特徴と、探し方について解説しています。
目次
3つの横領罪の類型
横領罪には3種類あり、業務上横領罪が最も重い罪になります。最初に企業で起きた横領事件がどの横領罪に相当するか確認しましょう。各横領罪の類型は以下の通りです。
|
要件 |
刑罰 |
具体例 |
遺失物横領罪 |
遺失物、漂流物、その他の占有者の意思に基づかないでその所持を離れた物品を横領する(刑法254条) |
1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料 |
他人の落とし物を自分の物にした |
単純横領罪 |
自己の占有する他人の物を横領した者。自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した(刑法252条) |
5年以下の懲役 |
知人から預かった金銭を使いこんだ |
業務上横領罪 |
業務上自己の占有する他人の物を横領(刑法253条 |
10年以下の懲役 |
経理担当者が会社のお金を私的に自身の口座に振り込んだ |
横領した犯人に対する対処
企業で横領が発生した場合、横領犯に対して企業側が取れる対処法は以下の通りです。
懲戒解雇や民事告訴は横領犯と横領の事実が明らかでないと実施は困難ですが、刑事告訴に関しては横領犯が特定できない状態でも告訴可能です。
- 示談に応じる
- 懲戒解雇
- 民事告訴
- 刑事告訴
示談に応じる
示談とは「私人間の紛争を民事裁判によらずに、当事者間による合意によって解決すること」です。横領事件の場合、検察に起訴される前に示談が成立すると、刑事裁判とならない場合もあります。
ただし、犯罪の悪質性や、犯人の前科の有無、犯罪が与えた社会的な影響によっては示談が成立しても検察が起訴と判断する場合もあります。
懲戒解雇
懲戒解雇とは懲戒処分の中で最も重い処罰です。懲戒解雇となった社員は退職金も支払われず、再就職が困難となる場合もあります。
横領が発覚した場合、就業規則に懲戒解雇の旨が表記されていれば、30日前に解雇予告を行うか、相当の賃金を事前に支払って解雇することができます。
なお横領した従業員の反省の態度や横領金額によっては「諭旨解雇」が行われることがあります。
これは期限内までに退職届を提出すれば普通退職とし、退職金も全額もらえる可能性があります。ただし期限内に退職に同意しなければ、懲戒解雇となります。
民事訴訟
横領犯が自白した場合、企業内で賠償金の支払いや処遇などの取り決めが行われることもあります。この時に、犯人と和解できなかった場合に民事訴訟に発展することがあります。民事訴訟に関しては、警察が介入できないため企業側で調査手配を行う必要があります。
刑事告訴
横領を警察などの捜査機関に申告し、加害者の処罰を求めることを刑事告訴と呼びます。
告訴状を警察などの捜査機関に提出し、受理されると捜査が行われます。最終的に犯人の逮捕や刑事裁判が行われる可能性があります。
刑事告訴において告訴状の迅速な受理や、犯人への厳罰を求める場合、横領事件の明確な証拠を企業側でも収集する必要性が高くなります。その理由は業務上横領の明確な証拠がなければ、申告した横領の被害額が減額され、刑や賠償金が軽くなることが多いためです。
横領犯を逮捕・起訴するには証拠の収集が必要
横領犯を警察に逮捕・起訴するには証言などの主観的な証拠だけでは不十分な場合があります。社内や社外の調査会社と連携し、以下のような横領の証拠を収集しましょう。以下は横領の証拠の例です。
横領の証拠の例
- 実際の金額と記帳された金額が釣り合わない帳簿
- 水増し請求が行われた領収書
- 監視カメラの映像
- 関係者の証言
- 横領犯の自白
- 横領を指示したメールの文書
- 金額が水増しされた領収書のデータ
- 不自然に削除されたファイルや文書データ
- 会社で使用しないアプリやWebサイトへのアクセス履歴
社内調査が困難なら民間の調査会社に依頼する
横領の社内調査をする場合は、調査のノウハウが必要です。しかし、実際は本業と並行して横領調査を行うだけの人員と時間を割けないこともあります。この場合は、民間の調査会社に調査を依頼することがお勧めです。
調査会社には2種類あり、それぞれ得意とする調査内容が異なります。各調査会社の横領調査の内容の一部は以下の通りです。
- 探偵・興信所…犯人の身元調査、動向調査、物的証拠の収集、証言の収集など
- フォレンジック調査会社…電子端末の調査、電子データに証拠能力を付与、電子データの解析、削除データの復旧
フォレンジック調査なら電子データを法的利用できる
フォレンジック調査とは、デジタル端末に残されたデータを適切な方法で調査し、証拠能力を持たせる調査をさします。この調査によって、通常では証拠とならないこともあるデジタルデータを証拠として裁判などに用いることが可能になります。
近年は横領事件にもデジタル端末が使用され、横領金の引き出しやキックバックの相談も端末上で完結させることができるようになりました。近年では横領や社内不正が発覚した際に、デジタル端末が証拠として警察や裁判に提出されるケースが増えています。
しかし、デジタル端末上のメールや文書などのデータは削除や改ざんが容易にできます。裁判などでは証拠に客観性が求められるので、元データに改ざんがないことを証明しなければ証拠にならないケースもあります。
デジタルデータに証拠能力を持たせて法的利用するには、フォレンジック調査と呼ばれる適切な方法で調査する必要があります。ただしこの調査は第三者の立場の人物が行わなければ、証拠の改ざんが疑われてしまいます。
横領調査にも対応しているおすすめのフォレンジック調査会社はデジタルデータフォレンジックです。この調査会社は、証拠隠滅されたデータの復旧に強い会社になります。
【おすすめフォレンジック調査会社】デジタルデータフォレンジック
公式HPデジタルデータフォレンジック
✔警視庁への捜査協力を含む、累計39,000件の相談実績
✔企業で発生しうるサイバーインシデント・人的インシデントの両方に対応
✔国際標準規格ISO27001/Pマークを取得した万全なセキュリティ体制
✔警視庁からの表彰など豊富な実績
✔14年連続国内売上No.1のデータ復旧技術を保有(※)
(※)データ復旧専門業者とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを専門としてサービス提供している企業のこと。第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく(算出期間:2007年~2020年)
デジタルデータフォレンジックは、累積ご相談件数39,000件以上を誇る、対応件数では国内最大級のフォレンジック業者です。マルウェア感染・情報漏洩・社内不正から、データ復元技術を活用したデータのサルベージまで幅広くサービスを展開しています。
横領調査に強い調査会社の特徴
外部の調査会社に横領調査を依頼する場合、横領調査に強い調査会社を選ぶことで、収集できない証拠の取得や、企業でしかできない横領調査が可能になります。
横領調査に強い調査会社の具体的な特徴は以下の通りです。
- 相談実績が多い
- 調査用の最新設備や技術を保有している
- すぐに調査を開始してくれる
- セキュリティ体制が整っている
- 法的根拠となる調査報告書を発行できる
- 費用体系が明確
相談実績が多い
調査会社に相談する前にWEBサイトなどからどの程度の相談実績があるか、最初に確認しましょう。相談実績が多いほどあらゆるシチュエーションへの対応経験があるため、横領における裁判などに必要な調査方法の提案も行ってもらえます。
調査用の最新設備や技術を保有している
横領調査会社の中にはフォレンジック調査など、専門的な調査を行うところもあります。このような会社の場合は、調査に用いる機器や設備が最新のものを保有しているか調べておきましょう。
すぐに調査を開始してくれる
調査会社では調査の申し込みをすると、調査内容や調査目的を互いにすり合わせる打ち合わせが行われます。会社によってはWeb会議に対応し、最短で30分程度で詳細な打ち合わせを行うところから、打ち合わせに2~3日かかる会社まで様々です。
横領は短期間で数百万円以上の横領が繰り返される場合もあります。調査会社に依頼する場合は、調査の申し込みから調査開始までの期間が短いところを選びましょう。
セキュリティ体制が整っている
大企業や警察から依頼相談を多く受ける調査会社は、機密情報を多く取り扱うため、セキュリティ体制が整備されている傾向にあります。
情報漏えいによる企業の信頼や利益の損失は計り知れないため、監視カメラの設置だけでなく、情報の取り扱いに厳格なルールが徹底されていたり、世界基準のセキュリティ規格「ISO27001」を取得するなどして客観的に見ても強固なセキュリティ体制を築いています。
法的根拠となる調査報告書を発行できる
調査会社の中には、調査報告書をそのまま警察や裁判所に提出できる場合もあります。企業の調査負担を大幅に軽減してくれるので、調査会社の報告書作成サービスについて確認しておきましょう。
費用体系が明確
調査会社に調査を依頼する場合は、費用体系についても事前に調べておきましょう。相談・見積もりまで無料の会社は多いですが、後から依頼した内容と大きく異なるオプションがつく場合は注意する必要があります。
横領調査に強い調査会社
横領調査はまだまだ一般に馴染みが薄く、横領調査会社選びの際もどのような判断基準で選定すればよいか分からない方も多いと思います。
そこで、対応領域や費用・実績などを踏まえ、50社以上の中から見つけたおすすめの横領調査会社を紹介します。
デジタルデータフォレンジック
デジタルデータフォレンジックは、国内売上No.1のデータ復旧業者が提供しているフォレンジックサービスです。累計2.4万件以上の相談実績を持ち、サイバー攻撃被害や社内不正の調査経験が豊富な調査会社です。
調査・解析専門のエンジニアとは別に、相談窓口としてフォレンジック調査専門アドバイザーが在籍しています。
多種多様な業種の調査実績があり、年中無休でスピーディーに対応してもらえるため、初めて調査を依頼する場合でも安心して相談することができます。
また、警視庁からの捜査依頼実績やメディアでの紹介実績も多数あることから実績面でも信頼がおけます。法人/個人問わず対応しており、見積まで無料のため費用面も安心です。法人のサイバー攻撃被害調査や社内不正調査に加えて、個人のハッキング調査・パスワード解析まで、幅広い対応を可能としている汎用性の高い調査会社です。
費用 | ★相談・見積り無料 まずはご相談をおすすめします |
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、ハッキング・不正アクセス調査、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など |
特長 | ✔官公庁法人・捜査機関への協力を含む、累計39,000件の相談実績 ✔企業で発生しうるサイバーインシデント・人的インシデントの両方に対応 ✔国際標準規格ISO27001/Pマークを取得した万全なセキュリティ体制 ✔警視庁からの表彰など豊富な実績 ✔14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービスを保有する企業が調査(※)(※)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年) |
横領調査に対応している調査会社の費用相場
横領調査の費用相場は以下の通りです。
- 探偵・興信所…数万~
- フォレンジック調査会社…数十万~
証拠を集めるための調査費用は、どれくらいの規模や期間で調査するかによっても変動します。デジタルデータを証拠として扱う場合、探偵や弁護士では原則対応ができないため、デジタル端末の調査を専門に行っている業者に依頼することをおすすめします。
まとめ
横領調査を外部の調査会社に依頼することで、企業側の負担軽減や、犯行の明確な証拠の入手が可能になります。特にフォレンジック調査会社は国内の知名度が低くてあまり知られていませんが、うまく活用すれば電子端末のデータから、裁判でも使える横領の明確な証拠が入手できる場合もあります。
業務上横領は被害総額が莫大になり、放置することで企業の信頼性や存続が危うくなるため、横領調査を得意とし、迅速に調査してもらえる会社に相談することが重要です。