「パソコンのログって、どこまで分かるのか?」「本当に社員の不正や情報漏えいまで追えるの?」
最近では、退職者によるUSBの無断接続や、ウイルス感染による情報流出など、社員の操作ログが重大なトラブルの発端や証拠になるケースが増えています。
しかし、多くの企業が「あとからログを調べれば大丈夫」と誤解しています。
実際には、ログは時間と共に自動で上書きされ、証拠が失われるリスクが非常に高いため、初動対応が重要です。
本記事では、「パソコンのログから何がわかるのか?」をはじめ、社内不正が疑われる時に取るべき初動対応や、証拠として使える調査の方法までを詳しく解説します。
目次
ログとは
ログとは、パソコンやサーバー、スマートフォンなどのデジタル機器上で行われた操作の記録を指します。
具体的には、以下のような行動が記録されています。
- ファイルの閲覧・作成・削除
- ソフトやブラウザの起動履歴
- USBなど外部機器の接続
- ネットワークへのアクセス状況
これらを調査・解析することで、「誰が」「いつ」「何をしたのか」を追跡することが可能です。
ただし、ログは改ざんや上書きのリスクがあるため、裁判でも通用する証拠にするには、フォレンジック調査会社に依頼するのが確実です。
パソコンのログでどこまでわかる?
パソコンのログからは、次のような情報が詳細に把握できます。
- ファイル操作履歴:作成・編集・削除・コピーなどの操作状況
- 印刷履歴:機密資料の印刷の有無
- Web閲覧履歴:クラウドストレージや不審なサイト(例:ダークウェブ)へのアクセス
- USB・外部デバイス接続:不審なUSBメモリなどが接続された履歴
- ソフトの利用履歴:業務外アプリ・違法ツールの起動
- メールの送受信・添付ファイル履歴:情報漏えいの痕跡
これらの情報を組み合わせることで、不正行為の手口・実行者・被害範囲まで特定できます。
ただし、ログは「自動的に消える」「あとからでは遅い」というリスクがあるため、不正の兆候がある場合は即座に行動しましょう。
ログを取得することで得られる企業のメリット
パソコンのログを取得・管理することで、企業は単なる業務効率化だけでなく、社内不正の早期発見や法的リスクの低減にもつなげることができます。
以下では、企業がログ管理を導入する具体的なメリットを3つ紹介します。
① 業務の進捗管理や長時間労働の防止
ログを活用すれば、社内・テレワークを問わず、社員のパソコンの稼働状況を可視化できます。たとえば以下のような情報が確認できます。
- PCの起動・ログイン・ログオフ時刻
- 各アプリやファイルの使用時間
これにより、サービス残業や虚偽の勤怠申告の抑止が可能となり、労務リスクの管理にも役立ちます。
② 社内に緊張感をもたらし、不正やサボりを抑止
パソコン操作や閲覧履歴を管理していることを社内に周知することで、従業員に適度な緊張感を与える抑止効果があります。
特に、以下のような問題行動の抑止に効果を発揮します。
- 私的なネット閲覧・SNSの使用
- 外部クラウドへの無断ファイル保存
- 副業による業務外作業の実行
「見られている」という意識が、未然に不正を防ぎます。
③ 情報漏えいや社内不正へのセキュリティ対策
もしウイルス感染や内部犯行によって情報が外部へ流出した場合、ログは感染経路や関与者を特定するための重要な証拠となります。
具体的には以下のような状況で、ログが重要な証拠となります。
- USBメモリによるファイル持ち出し
- 不審なソフトウェアのインストール履歴
- ダークウェブやファイル共有サービスへのアクセス履歴
ログがあれば、内部不正や過失による情報漏えいにも対応でき、企業のリスクを大幅に軽減できます。
ただし、ログは時間経過で上書きされ、改ざんの恐れもあるため、社内だけで調査を進めるのは極めて危険です。
不正の兆候が見つかった時点で、証拠が消える前に専門調査会社へ相談することをおすすめします。
パソコンのログで社内不正や情報漏えいが疑われるときの対処法
パソコンのログから「社内不正」や「情報漏えい」の痕跡が見つかった場合、企業は迅速かつ適切に対処する必要があります。
特にログが改ざん・削除されている可能性がある場合、自社だけでの調査では証拠として認められないリスクもあります。
以下では、問題が発覚したときに取るべき具体的な対応手順を解説します。
フォレンジック調査に依頼し、社内不正の事実の有無を調査する
ログから従業員の社内不正が発覚した場合、事実の有無を確認するために、端末からデータを調査・解析できるフォレンジック調査に依頼しましょう。
流出した社内の情報が、ダークウェブ上や競合他社に売買され、会社に大きな損害が発生した場合は、損害賠償を請求できる可能性があります。
しかし、損害賠償請求をしたい場合は事実の有無に加え、正確な証拠が必要になります。ログが改ざんされていることも多いため、自社のみでの調査は難しく、証拠も不十分になる可能性が高いです。
フォレンジック調査に依頼することで、正確な情報と証拠の確保、裁判所でも使用できる書類の作成まで行うことができます。
情報漏えいが発生している場合、感染経路の調査を行う
ウイルスに感染したことが原因で情報が漏えいしている場合、フォレンジック調査で感染経路の調査を行いましょう。
顧客の個人情報が流出した、または流出する可能性がある状態の場合、個人情報保護法によって、組織は報告と通知が義務付けられており、違反した企業には、最大1億円の罰金が科される可能性があります。
セキュリティツールでは感染経路や情報漏えいの有無を適切に調査できません。また、自社のみでの調査は客観性が担保できず、不十分な証拠となる可能性があります。
従業員やウイルスの感染によって、社内の情報が流出した場合、フォレンジック調査に依頼して、専門家と提携することをおすすめします。
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まとめ
自社のログだけで「誰が・何を・どのように持ち出したか」を明確に特定するのは非常に困難です。
証拠が揃わなければ、損害賠償請求や懲戒解雇も失敗に終わる可能性があります。
「怪しいかも」と感じた段階で、証拠が消える前に、早急にフォレンジック調査会社に相談することが重要です。









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