【解説】フォレンジックとは?意味や定義・具体的な調査のやり方|サイバーセキュリティ.com

【解説】フォレンジックとは?意味や定義・具体的な調査のやり方

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誰もがデジタル機器を扱う時代になり、どの企業でもPCやスマホで通信や作業を行うのが当たり前になりました。

利便性が高くなった反面、コンピュータやデジタルデータを用いた不正行為、ないしデータ改ざんによる不正会計やデータ持ち出し、サイバー攻撃によるマルウェア感染や不正アクセスなどのリスクとなるインシデントも増加しています。

これらの証拠を掴むために、近年利用されている調査方法として、フォレンジック技術を応用した「フォレンジック調査」の存在感はますます高まっています。

この記事では、フォレンジックの意味・種類について解説し、具体的な調査のやり方や手順、用いられる技術まで解説します。フォレンジック調査を検討しているという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

フォレンジックとは

デジタル社会において、フォレンジック技術の需要は高まっていますが、「フォレンジック」というものについいてはまだまだ世間に認知されているとは言えないのが現状です。フォレンジックは「フォレンジクス」や「フォレンジング」、「ホレンジック」などに間違えられることも多いですが、「フォレンジック」が正式な名称です。デジタル社会のリスクへの対抗手段となるフォレンジックについては、より周知されるべきです。

ここではフォレンジック(フォレンジクス)とは何か、その種類、フォレンジック調査でできることについて解説していきます。

  • フォレンジックの意味
  • フォレンジックの種類
  • フォレンジック調査でできること

フォレンジックの意味

フォレンジック(forensic)とは、「法廷の」や「法的に有効な」「法医学の」などといった意味で、元々犯罪捜査の分析や鑑識、法廷での立証といった、「法的な分野で扱うこと」を指します。

フォレンジック分野の中でもデジタルなデバイスやデータを扱う場合は「デジタルフォレンジック」と呼ばれます。このデジタルフォレンジックの技術を用いて、特定のデジタルデバイス(スマートフォン、パソコンなど)から収集されたデータを解析し、インシデントの真相を解明することを「フォレンジック調査」といいます。

フォレンジック調査では、デジタルデバイスに保存されているデータやログなどの調査・解析を行います。法的知識やデジタルデバイスの知識、調査・解析の知識といった専門知識やノウハウが必要になるため、自力で調査するには限界があります。もし不用意な操作でデータやログが上書きされてしまうと、法的な証拠能力を失う恐れがあります。

フォレンジック調査は、法人・個人を問わず、裁判上の証拠保全・マルウェア感染調査・不正アクセスによる顧客情報流出の事後調査など、様々な場面で活用されています。フォレンジック調査にかかる費用や相場については、下記の記事でも詳しく紹介しています。

警察等の捜査機関でも活用される技術

フォレンジック調査は警察庁や検察庁などの捜査機関においても活用されている技術です。日本でも「犯罪の立証のための電磁的記録の解析技術、およびその手続き」として積極的に活用されています。

警察庁のHPには、「犯罪を立証する上で重要な役割を果たすデジタルフォレンジック(犯罪の立証のための電磁的記録の解析技術及びその手続)を強化し、適正な手続による客観的証拠の収集の徹底を図っています。」との記載があるほどです。
引用npa.go.jp

警察などの捜査機関であっても、デジタルデータの適切な証拠化が難しいことが多数があります。そのため、サイバー犯罪捜査技術会議の開催やNFTへの職員派遣、民間のフォレンジック調査会社の間で技術向上のための取り組みが行われるほど、フォレンジック調査の需要は高まっています。

フォレンジックの種類

フォレンジック調査は、何を調査対象にするかによって、調査内容や手法が変化します。フォレンジックの種類は主に以下の3つに分けられます。

  • コンピュータフォレンジック
  • ファストフォレンジック
  • ネットワークフォレンジック

コンピュータフォレンジック

コンピュータに疑問が残るものの、デジタル機器(PC・ハードディスク・メモリなど)から情報を特定・保存・復元・分析し、不正操作の証明や被害全容を特定する技術のことを指します。

デジタルデバイスのデータやログ(アクセスログ・メールなどの履歴など)を収集・解析し、社内不正や犯罪行為の証拠を掴みます。コンピュータフォレンジックについては以下記事で詳細に解説していますので是非参考にしてください。

>コンピュータフォレンジックとは? PCやサーバーから証拠を調査する方法を解説

モバイルフォレンジック

コンピュータフォレンジックの中でも、モバイルデバイス(スマートフォンやタブレットなど)に特化したフォレンジック調査は「モバイルフォレンジック」と呼ばれます。モバイルフォレンジックでは、モバイルデバイスから収集された通信記録や連絡先データを解析することで、犯罪や不正行為を証明することができます。たとえば履歴データやアプリケーションの使用履歴を解析することで、特定の行動や状況を把握することができるほか、削除された写真や動画を復元・解析することで、犯罪や不正行為が行われた現場や状況を把握することができます。
ただし、モバイル端末はパソコンと構造が大きく異なるため、データ復元や解析には一般的なプロセスと違った、高度な技術力が必要不可欠です。

ファストフォレンジック

ファストフォレンジックとは、インシデントの発生原因を早急に究明するために、必要最低限のデータ抽出・コピー・解析をすることを指します。

通常のフォレンジック調査では、あらゆるデータの調査を行うため、時間と労力がかかります。ファストフォレンジックでは、短時間でかつ迅速な初動対応が必要なケースにおいて、範囲や項目を限定して調査を行います。ファスト・フォレンジックについては以下記事で詳細に説明しているので是非参考にしてください。

>ファスト・フォレンジックとは?活用事例やメリット、おすすめ調査会社まで徹底解説

ネットワークフォレンジック

ネットワークフォレンジックとは、デジタル機器を接続しているネットワークのイベント(ログや通信データ)からデータを収集し、調査・分析することを指します。

リモートワークや、データを保存したデジタル機器の持ち出しなどが増え、セキュリティ上の脆弱性が増えた結果、サイバー攻撃や過失によるトラブルが多く発生しています。

ネットワークフォレンジックでは、いつ、どのデジタル機器が、どのような経路で、どんなデータを送受信したのかなどの情報を収集・解析します。ネットワークフォレンジックについては以下の記事で詳しく紹介しています。

>ネットワークフォレンジックとは?仕組みやメリットデメリット、価格について徹底解説

フォレンジック調査でできること

フォレンジック調査では、以下のようなインシデントの調査をすることが可能です。

フォレンジック調査で調査可能なインシデント
  • マルウェア感染・情報漏えい調査
  • ランサムウェアの感染経路調査
  • ハッキング・乗っ取り・不正アクセス調査
  • ダークウェブ調査
  • 社内の不正
  • 労務訴訟・労働争議(残業代・ハラスメント)
  • 遺産相続トラブル
  • 知的財産の窃盗調査
  • eディスカバリ(e-discovery) など

これらのサイバー攻撃や社内不正、その他のトラブルが発生した時に、調査の依頼者が解決したい「目的」に必要な情報や証拠を調査・解析します。事実調査だけでは、調査者の目的が果たされないケースは多々存在するため、調査前に本質的な目的を明確にしたうえで調査を行います。

調査内容も事実の有無だけでなく、ウイルス感染や社内不正が発生した時の侵入経路調査や、何らかの被害が発生した時のインシデント被害範囲の調査など様々です。

フォレンジック調査が義務づけられるケースも

法人は特に情報の取り扱いに関して厳格な管理を求められており、2022年に「改正個人情報保護法」が施行されたことで、万が一個人情報の漏えいが発生した場合には、個人情報保護委員会への報告・本人への通知が義務づけられました。

引用ppc.go.jp

適切な対応を行わない企業には、最大で1億円の罰金と社名公開という重いペナルティが課せられることになり、企業は報告の為にフォレンジック調査を実施することが必須になりました。マルウェア・ランサムウェアなどに感染、不正アクセス、サイバー攻撃を受けた疑いがある場合は、感染経路や影響範囲を特定するために信頼できる調査機関でのフォレンジック調査を行いましょう。

なぜ企業にとってフォレンジック調査が重要?

企業にとって、インシデントが発生した時の事実調査や対策はとても重要です。そのうえでフォレンジック調査が重要な以下の理由があります。

  • 情報漏えいなどの重大なインシデント発生時に各所への報告や事実調査などの適切な対応を行うことが可能
  • 社内不正発生時に損害賠償請求や懲戒解雇を要求するための証拠として調査結果を利用できる
  • 会社のセキュリティの脆弱性や適切なセキュリティ対策を把握できる

情報漏えい・不正アクセス・社内不正などは増加し続けており、会社にとってインシデント発生はランドや売り上げ・利益の損失、最悪の場合倒産してしまうことまで考えられます。

フォレンジック調査は幅広いデータから調査を行うため、調査結果が出るまでに時間がかかるため、なるべく早く調査することが重要になります。また、社内調査は情報システムに知見のある人でも難しいため、基本的に専門技術を持った調査会社に依頼することになります。インシデントが発生した時はすぐに調査会社に相談しましょう。

フォレンジック調査のやり方・手順

フォレンジック調査は、法的に規制されている範囲内で適切な手順で調査を行うことが求められます。フォレンジック調査会社では、主に次の流れでおこないます。

  1. ヒアリング
  2. 証拠保全
  3. データの解析・分析
  4. データの復元
  5. 報告書の作成

①ヒアリング

フォレンジック調査では、まずインシデントの状況や背景を把握し、目的を明確にするためにヒアリングを行います。さらに詳しい情報を収集する場合、質問をし、対象者からの回答を入手するなど事実関係を確認することもあります。

②証拠保全

証拠データを法執行機関に提出する際、データの改変・改ざんが行われていないことを証明する「証拠保全」が必要です。デジタルデータは重要証拠となり得る一方、誰でも容易に復製・消去・改変することができます。そのため、デジタルデータを証拠として認めさせるには、正しく情報を取り扱うフォレンジック調査サービスで正当な手続き(証拠保全)をとる必要があるのです。

なお、オリジナルの電磁的記録には手を加えず、「正当な手続きのもと調査・解析を行った」という証明を行うには、普通のデータコピーではなく、専用のツールを使用する必要があります。

さらに、機器自体のクローンも作成する必要があり、そのクローンから「ファイルにおける指紋」と呼ばれるハッシュ値や、データの完全性を保証するデジタル署名というメカニズムなどを用いて正確にデータを抽出する、高度なステップを踏まなければなりません。なお、クローンを作成するのは、元の機器が故障して、調査できなくなるリスクを防ぐ役割も兼ねています。

③データの解析・分析

取り出したデータを解析し証拠となり得るデータの有無を確認します。フォレンジック調査では主に以下のような内容を解析・分析することができます。

  • パケット(ネットワーク上に流れるデータ)
  • サーバーログ
  • ドキュメントファイルの作成・保存履歴
  • メールの送受信履歴
  • webサイトの閲覧履歴
  • 不明なアプリケーションのインストール・実行履歴

④データの復元

証拠となり得るデータが削除されている、もしくは、機器自体が破損している場合は、対象機器からデータの復旧・復元作業を行います。

特に社内不正では端末上のデータが改ざんされていることも多く、そのため、フォレンジック調査では、削除されたデータを、可能な限り元の状態に戻すことが求められます。

しかし、証拠保全の過程で行う「データ復旧作業」は、難易度が高く、到底個人で対応できるものではないため、データ復旧にも対応しているフォレンジック会社に対応を依頼することをおすすめします。とくにメモリを搭載したモバイル端末からのデータ復元に対応している会社は、そう多くはありません。

また、破壊されたHDDなど重度障害を負ったデジタル機器から証拠となるデータを復旧できる会社は世界的にも少なく、あらかじめ端末の状態を認識したうえで、高度なデータ復旧も行えるフォレンジック会社を見きわめることが重要になってきます。

⑤報告書の作成

調査結果の詳細をレポートにまとめ、提出します。

なお、提出されたレポートは証拠保全の工程を経たクローン機器から抽出され、調査された事実が記載されており、法廷利用可能な資料になります。そのためレポートを「第三者の中立的な資料」として扱うことが可能です。

トラブルが発生したらすぐにフォレンジック調査を依頼する

情報漏えいや社内不正などのトラブルが発生した場合は、なるべく早くフォレンジック調査会社に依頼して調査しましょう。

ここではフォレンジック調査を依頼する前に知っておくべきことや、おすすめの調査会社を紹介します。

フォレンジック調査を依頼する前に知っておくべきこと

フォレンジック調査を実施する際の注意点として、次の4点があります。

  • 企業の場合データが膨大のため社内連携も重要
  • 自社調査は証拠能力不十分と判断される可能性がある
  • 調査に時間がかかるため緊急の場合は土日祝日の営業日をチェック
  • 不審なファイルやデータは触らずに保管する

企業の場合データが膨大のため社内連携も重要

企業では、顧客の個人情報や営業にかかわる大量のデータが保存・送信されており、データが複数のデバイスや場所に分散していることが想定されます。フォレンジック調査会社に機器を送付して調査してもらう場合は、業務を一部停止した状態で調査しなければならない可能性があります。

会社によっては法人向けに出張での診断サービスを行っている会社もあるため、相談することをおすすめしますが、出張の場合も数時間~数日間の業務停止が必要な場合があるため、社内連携が重要になります。

自社調査は証拠能力不十分と判断される可能性がある

フォレンジック調査を行う必要があるときは、自社で調査を行わないようにしましょう。個人情報流出などの重大インシデントの場合は、自社調査では不十分とされ、第三者の調査機関による調査結果を求められたり、第三者委員会を設置して追加調査を行うケースもあります。

法的な機関への報告をする時は基本的に、専門の調査会社によるフォレンジック調査で正しいステップを踏んで「証拠保全作業」を行わなければなりません。データを証拠として活用する可能性のある場合は、フォレンジック専門調査会社に任せることをおすすめします。

調査に時間がかかるため緊急の場合は土日祝日の営業日をチェック

フォレンジック調査は、複雑かつ緻密なデータ分析を要するため、調査に1週間以上かかる場合がほとんどです。必要によっては一部業務を停止させて調査を行う必要があります。企業にとって、業務停止はかなりの損失ですが、情報漏えいやウイルス感染のリスクを考えると、なるべく早く一回で調査を完了するのが一番です。

休日や祝日をまたぐ場合はさらに期間が伸びることもあるため、緊急性の高い依頼は土日・祝日も調査を進めてくれる会社を選ぶとよいでしょう。

不審なファイルやデータは触らずに保管する

フォレンジック調査で、正確な調査を行いたい場合は、不正の痕跡となる不審なファイル・データを消去してはいけません。これらデータは不正アクセスやハッキング、情報漏えい被害の証拠として、利用できる可能性があります。不審なファイルやデータは削除しないでそのままの状態で専門会社に相談しましょう。

すぐに対応してもらえる会社にフォレンジック調査を依頼する

フォレンジック調査の専門会社の実力を確実に見極めたい場合、注目すべきポイントは次のとおりです。
  • 実績がある
  • スピード対応している
  • セキュリティ体制が整っている
  • 法的証拠となる調査報告書を発行できる
  • データ復旧作業に対応している
  • 費用形態が明確である

上記の6つのポイントから厳選したおすすめの会社が、デジタルデータフォレンジックです。

おすすめ調査会社|デジタルデータフォレンジック

デジタルデータフォレンジック
公式HPデジタルデータフォレンジック

✔警視庁への捜査協力を含む、累計32,000件の相談実績
✔企業で発生しうるサイバーインシデント・人的インシデントの両方に対応
✔国際標準規格ISO27001/Pマークを取得した万全なセキュリティ体制
✔警視庁からの表彰など豊富な実績
14年連続国内売上No.1のデータ復旧技術を保有(※)
(※)データ復旧専門会社とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを専門としてサービス提供している企業のこと。第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく(算出期間:2007年~2020年)

こちらのデジタルデータフォレンジックは、累積ご相談件数32,000件以上を誇る、対応件数で国内最大級のフォレンジック会社です。データ復元技術を活用した証拠復元から、マルウェア感染・情報漏えい・社内不正といった企業インシデントに対して、幅広くサービス展開しています。

フォレンジック調査の実施が必要となるケース

フォレンジック調査が必要となるケースは、次のようなものがあります。

  • ハッキング・不正アクセスが疑われるケース
  • 内部不正・不祥事が疑われるケース
  • オンラインハラスメントを調査するケース

ハッキング・不正アクセスが疑われるケース

ハッキング・不正アクセスが疑われる場合、不正アクセスがどのように行われ、どのような被害を受けたのかを特定・把握する必要があります。また今後、同様の被害を防ぐためにも、適切なセキュリティ対策を講ずる必要があります。

この際、フォレンジック調査でハッキングや不正アクセスが行われた経路や手段を把握することで、ハッカーが使用したツールや技術を特定することができるほか、ネットワーク上の脆弱性の特定にも役立ち、調査から対策までを一気通貫して行うことが出来ます。また、どのようなデータが改ざん、ないし流出したかを確認することで、どの程度の損害をもたらしたかを把握することができます。

内部不正・不祥事が疑われるケース

内部不正・不祥事が疑われるケースでは、証拠の収集や解析を行うことで、実際に不正が行われたかどうかを証明することができます。この際、法的に正しい手続きを取ったうえで調査をおこなうことが重要です。なぜなら内部不正の調査で収集された電子的証拠は、民事・刑事をとわず、裁判所に提出する可能性が高く、もし法的手続きを守らなかった場合、その証拠が無効と認定されることがあるからです。

よって自力でのデータ収集や体系化は難しく、フォレンジック調査会社と提携しての対応が最も無難です。また、社内不正(特にデータ持ち出し)を行った人物をフォレンジック調査で特定ないし証明することによって、警察や検察による犯罪者の逮捕や起訴を促すことも可能です。

なお、高度なデータ復旧技術を保有するフォレンジック会社では、端末から消去されたデータの復元も迅速かつ正確に行うことが可能です。会社に依頼する前には、この点も必ずおさえておきましょう。

従業員によるデータの持ち出しの被害を受けた企業が、どのような調査を行うべきかについては、下記の記事でも詳しく解説しています。

社員のデータ持ち出しをデジタルフォレンジックで徹底調査!

オンラインハラスメントを調査するケース

フォレンジック調査は、オンライン上で行われるハラスメントの証拠を収集するのに有効です。たとえばドクシング(晒し)、ストーカー行為、オンラインいじめ、脅迫、名誉毀損、DDos攻撃などがこれにあたります。

現在、さまざまなハラスメント行為、特にパワーハラスメントは、チャットで行われることも多くなりました。しかし、事件が表明化する前に当事者が端末のデータを取り消すことも多いことから、このようなケースでもしっかりフォレンジック調査をおこなうことでハラスメントの詳細を特定し、必要な措置を講ずる必要があるのです。

フォレンジック調査を実施する際の注意点

フォレンジック調査を実施する際の注意すべき点は、次のとおりです。

  • そもそも、フォレンジック内製化は困難
  • 調査プロセスの正当性を確保する
  • 自力でデータをコピーしない
  • 市販のデータ復旧ソフトの使用には気をつける
  • 機器の電源を切らない
  • 調査の目的を明確化する

そもそもフォレンジック内製化は困難

「フォレンジック内製化」とは、企業や組織内でフォレンジック調査を行うことを指します。社内でフォレンジック調査を行えば、自社のシステムに精通した管理者が、企業や組織にとって重要な情報を保護することができるため、いくつかのメリットもあることでしょう。

しかし「フォレンジック内製化」は非常に難しいと一般的にみなされています。

なぜなら、フォレンジック調査で収集されたデータは、法的手段や手順を守る必要があるからです。要するに裁判所や監督官庁など、行政機関や法執行機関でも通用する「証拠としての能力」を確保しなければならないのですが、これには法的知識と解析技術をあわせもったエンジニアが必要不可欠となっています。

これは一般企業のシステム担当者では代替しにくく、「フォレンジック内製化」が非常に難しい根拠のひとつとなっています。

調査プロセスの正当性を確保する

デジタルフォレンジックでは調査プロセスの正当性を確保する必要があります。なぜなら、調査プロセスが不正確であると、デジタルフォレンジックの証拠や結果が信頼できなくなるからです。

そのため、デジタルフォレンジックの調査プロセスでは、収集されたデータの正確性を確認・検証したうえで、形式的な手順を踏むなど、あらかじめ体系化されたプロセスをきちんと実行する必要があります。しかし、このようなプロセスは一般的ではないため、自力でのフォレンジック調査は不正確かつ不適切になりやすい傾向があります。

市販のデータ復旧ソフトは使用しない

市販のデータ復旧ソフトやツールを使用してしまうと、データ内の情報が対象に書き換わる可能性があります。インシデント発生後にやみくもに対処すると、本来必要なデータを上書き・削除してしまうことが考えられます。

専門会社に相談した時の調査の難易度が上がり、時間もコストも無駄にする可能性が高いです。インシデント発生後はなるべくそのままの状態で専門会社に調査を依頼しましょう。

機器の電源を切らない

フォレンジック調査を依頼する時には、機器の電源を切らずにスリープモードで管理するようにしてください。フォレンジック調査では、機器に残されているログや過去の履歴からウイルス感染や情報漏えいの有無について調査します。

電源を切ってしまうと、機器内部で一時的に保存しているログやデータが削除されてしまいます。必ず電源を切らずにスリープモードの状態で調査を依頼するようにしましょう。

調査の目的を明確化する

フォレンジック調査では、あらかじめ調査の目的を明確化する必要があります。目的が明確化されていないと、たとえばチーム制で調査にあたる場合、個々人でばらばらの情報を収集したりしてしまい、統率が取れなくなります。そのため、フォレンジック調査にあたる際は、前提条件のコンセンサスを全員が認識しておく必要があります。

目的の確定が難しい場合には、一度専門会社に相談することも大切です。専門会社によっては、インシデントの発生状況をヒアリングし、プロ目線でのお客様にあったアドバイスを受けることができます。相談無料の会社もあるようなので、まずは相談してみることをおすすめします。

おすすめのフォレンジック調査会社

ここでは、フォレンジック調査に対応している専門会社の中でも「実績」と「スピード」を重視して選定しました。

デジタルデータフォレンジック

公式HPデジタルデータフォレンジック

デジタルデータフォレンジックは、個人はもちろん、大手企業や警察からの依頼も多数解決しているため、実績・経験は申し分ないフォレンジック調査対応会社です。フォレンジック調査に対応している会社では珍しく個人のハッキング調査にも対応している特長があります。さらに、「Pマーク」「ISO27001」を取得しているため、セキュリティ面でも信頼がおけます。

相談から見積もりまで無料で行っているので、フォレンジック調査を検討している際は、まずは実績のあるデジタルデータフォレンジックに相談すると良いでしょう。

デジタルデータフォレンジック

費用 ■相談から見積もりまで無料
※機器の種類・台数・状態によって変動
調査対応機器 スマートフォン(iPhone/Android)、RAID機器(NAS/サーバー)、パソコン(ノート/デスクトップ)、外付けHDD、SSD、USBメモリ、ビデオカメラ、SDカードなど
調査実施事例 警察からの捜査依頼(感謝状受領)、パスワード解除、ハッキング・不正アクセス調査、データ復元、マルウェア・ランサムウェア感染調査など
特長 大手企業や警察を含む累計23,703件の相談実績
個人での調査依頼にも対応
■「Pマーク」「ISO27001」取得済のセキュリティ

デジタルデータフォレンジックのさらに詳しい説明は公式サイトへ

フォレンジックを活用したセキュリティ対策

ここでは、フォレンジック調査を利用したセキュリティ対策について解説します。フォレンジック調査の手法を応用することで、インシデント発生を防ぐための対策も可能です。

調査会社によって、対応可能なサービスは異なるため、セキュリティ対策用の調査が実施可能かどうかを確かめてから調査を依頼するようにしましょう。

  • 最新版のセキュリティソフトを導入
  • セキュリティの脆弱性診断サービス
  • ホワイトハッカーのペネトレーションテスト

最新版のセキュリティソフトを導入

セキュリティソフトは常に新しいソフトの導入をすることが重要です。サイバーインシデントは時期によって次々と複雑化され、既存のセキュリティソフトの抜け道を探しては攻撃を仕掛けています。古いソフトを導入していたとしても、最新のサイバー攻撃には対抗できないため、攻撃の標的になる可能性が高いです。

セキュリティソフトによっては、ウイルスの検索や駆除をするときに必要な情報である「ウイルス定義ファイル」などが定期的に新しいバージョンにアップデートされます。古いバージョンのままでは、新たに流行したサイバーインシデントに対して対策できないため、常に最新バージョンにアップデートしましょう。

また、セキュリティソフトを多数導入すると、セキュリティソフト同士で不具合が発生し、新しい脆弱性が発生する可能性もあります。特に既存でパソコンに添付されているような簡易版のセキュリティソフトは障害発生の要因になりやすいため、アンインストールすることを推奨します。

セキュリティの脆弱性診断サービス

セキュリティの脆弱性診断とは、ネットワークや使用しているOS、導入しているアプリケーションなどのセキュリティ上のリスクを調査し、情報管理上の安全性に問題があるか調査することを指します。

WEB上で入手可能なアプリやプラットフォームなどのシステムには、セキュリティ管理上問題があるものが多く存在するため、使用方法によっては情報漏えいやマルウェア感染などのリスクが存在します。特に会社で使用しているサーバーやネットワークを対象として、発生する可能性のあるインシデントの大小に関わらず、脆弱性の有無を確認するために利用されます。

セキュリティの脆弱性診断サービスを実施する本質的な目的は、脆弱性を診断したうえで、セキュリティリスクを抑えるための対策を行うことです。会社によっては脆弱性診断サービスに加えて最適なセキュリティ対策を提案してもらえるため、問題視している方は一度診断することを推奨します。

ホワイトハッカーによるペネトレーションテスト

ペネトレーションテストは「侵入テスト」とも呼ばれ、現状のセキュリティに外部から侵入可能な余地が存在するかテストを行います。

ペネトレーションテストは実際に発生しうるサイバーインシデントと同じ手口を用いて社内システムに侵入できるか試します。「攻撃者の目的を達成できるか」を軸に検証を行うため、脆弱性診断と比較して、より実践的な評価を受けることができます。

ただし、調査結果は侵入テストを実行するホワイトハッカーの技量によって変化するため、どの会社にテストを依頼するかを見極めることが重要になります。より専門的な知識を持っているエンジニアが豊富に所属しているような会社に相談した方が、より効果的な結果が得られる可能性が高いです。

フォレンジック調査の課題と展望

デジタル社会にとって、情報漏えいや社内不正などの重大なインシデントが発生しないように、会社は情報を保護するための「プライバシーテック」の導入と管理体制が求められます。

法律上、国外ではGDPR(EU一般データ保護規則)・CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、国内では改正個人情報保護法が確立されており、情報セキュリティについては世界的にも重要視されている問題となっています。

今回紹介したフォレンジック調査は、これらの情報社会を支える技術であり、サイバー攻撃への対抗策ですが、現状は以下のような課題と展望が上がっています。

フォレンジック調査の現状の課題

フォレンジック調査における現状の課題は以下のようなものがあります。

  • 世間的にあまり認知されていない
  • 調査範囲が拡大傾向にあるため、調査に一定の時間がかかる
  • データの改ざん・削除などによって調査不可能なケースが存在する

フォレンジック調査はデジタル社会において注目され始めたばかりであるため、特に国内の会社から認知されていないことが多いです。サイバー攻撃事態が非現実的なものであると捉える会社は中小企業だけでなく、大企業にも多く存在し、セキュリティ対策が万全でない会社が多いです。

また、デジタル機器も時代とともに変化し、管理できるデータ量や一人当たりが扱うデバイス数が増加傾向にあるため、フォレンジック調査の範囲は拡大傾向にあります。現状フォレンジック調査には数週間~数か月程度の調査期間が必要です。さらに、デジタル機器に保存されているデータは改ざんや削除が容易にでき、調査対象のデータが見つからない、調査を実施できないようなケースも存在します。

しかし、課題はあるもののフォレンジック調査はデジタル社会で情報を扱う上で欠かせない技術です。フォレンジック調査をするうえでは、上記の課題を解決しつつ、その重要性を世間的に認識させることが求められます。

フォレンジック調査の今後の展望

デジタルデバイスの大量使用と、国家の厳しい規制や会社へのサイバー攻撃の更なる拡大によって、今後より一層フォレンジック調査の需要が高まることが予想されます。

フォレンジック調査の調査期間に関しては、AIを利用した分析ツールの導入も進められています。AIの分析ツールの場合、人の手による調査と比較して正確性における疑問が残ります。人の手で保全したデータを元にした調査であれば、AIツールの調査方法や証拠能力の証明といった問題もそう遠くない未来に解決し、時間や労力のコストを抑えることが可能になるでしょう。

フォレンジック調査が必要なインシデントはすでに非日常のものではなく、法人・個人ともにいつ被害が発生してもおかしくない状況です。今の段階でデジタルフォレンジックに関する知見を広げ、インシデント発生を未然に防ぐ取り組みを行うことが重要です。

まとめ

今回は、「フォレンジック」の意味やその調査について解説してきました。フォレンジック調査は、デジタル社会のリスク防止や対処を行う上で必須の作業になります。

フォレンジック調査を依頼する時は、あらかじめ調査目的を設定し、どのような調査が必要かを整理したうえで専門会社に対応を依頼しましょう。

また、フォレンジック調査を依頼するだけでなく、その後のセキュリティ体制についても問題視し、インシデントが発生しにくい環境を整備することが重要です。

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