ある日突然、パソコンを起動すると黒い画面上に白い文字で「operating system not found」とだけ表示され、正常に起動できなくなってしまうことがあります。
これはPCでOSが見つけられなくなってしまった時に表示されるエラーメッセージです。PCが起動できないからといって、簡単に強制終了や再起動をしてしまうと、データを保存しているHDDの状態が悪化してしまうかもしれません。
本記事では、「operating system not found」というエラーが表示されてしまう原因、自力でデータを救出する対処法、相談・復旧依頼する時におすすめなデータ復旧専門業者を紹介していきます。
目次
「operating system not found」というエラーメッセージとは
「operating system not found」とは「OSが見つからない」という意味です。これは何らかの原因で「BIOS」というパソコンのデバイスを起動・制御するプログラムが「OSを動作させるために必要なシステムファイル」を認識できない時に表示されるエラーメッセージです。
なお、こうしたエラーメッセージは、PCのメーカーや機種によって異なります。たとえば、以下のメッセージが表示される場合も、BIOSがOSを認識できない状態に該当します。
Missing Operating System | OSが見つかりません。 |
---|---|
Non-System disk or disk error | システムディスクが存在しません。あるいはディスクのエラーが発生しています。 |
DISK BOOT FAILURE | パソコンの起動にかかわるディスクの動作に失敗しました。 |
Invalid system disk | システムディスクが無効です。 |
no operating system found | OSが見つかりません。 |
windows operating system not found | Windowsのオペレーティングシステムが見つかりません。 |
an operating system wasn’t found | オペレーティングシステムが見つかりません。 |
pc operating system not found | PCのオペレーティングシステムが見つかりません。 |
os not found | OSが見つかりません。 |
「operating system not found」と表示される3つの原因と症状
BIOSがOSを認識せず「operating system not found」と表示される理由は、BIOS側の不具合だけでなく、内蔵ストレージ(HDD/SSD)に致命的な障害があるかのどちらかです。
もし内蔵ストレージ(HDD/SSD)に物理障害・論理障害が発生している場合は、データ救出しなければどんどん障害が悪化し、最悪の場合はデータが全て消失してしまう可能性があります。そのため、「operating system not found」の詳しい原因や症状について、以下の3パターンに分けて適切に対処する必要があります。
- HDD/SSDの物理障害
- HDD/SSDの論理障害
- BIOSに不具合が生じている
BIOS側が正常だとしても、内蔵ストレージに障害が生じているとBIOSはOSを認識することはできません。内蔵ストレージの障害は物理的に破損した「物理障害」とデータやファイルシステムが破損した「論理障害」の2つに分けられます。物理障害・論理障害ではそれぞれ注意点や対処法が異なります。
HDD/SSDの物理障害
「物理障害」は、内蔵ストレージが物理的に破損しているため、部品交換やファームウェア修復など極めて専門的な作業を行う必要があります。それゆえに復旧難易度も高く、個人で復旧を行うことは、ほぼ不可能となります。また、データ復旧業者であっても物理障害に対応できる業者は限られてしまいます。自己流の対応は避け、早急に技術力の高い専門業者に依頼しましょう。
特に、HDDの通電時に「カチカチ」「ジージー」といった異音がする場合は「物理障害」の可能性が極めて高いので、直ちに通電をやめてください。HDDの症状が悪化する危険があります。
物理障害の主な種類として、以下の2つがあります。
- 磁気ヘッド障害
- モーター障害
磁気ヘッド障害
「operating system not found」と表示される原因の4割以上は、物理的衝撃や経年劣化などが原因で起こる「磁気ヘッド障害」です。
「磁気ヘッド」とは、データの記録された「磁気ディスク」(プラッタ)に読み書きを行う装置ですが、この2つの隙間は10nm(1mの1億分の1)程度しか離れておらず、非常にデリケートな空間のため、もし「磁気ヘッド」が障害を起こしたまま読み書きを行うと症状が悪化します。
モーター障害
HDDの「モーター」は「磁気ディスクを高速回転させるための装置」です。
- HDDに強い衝撃を与える
- HDD読み書き中に通電を突然切断する
上記の2つ原因で「モーターが正常に回らなくなる」、もしくは「ヘッドが本来の位置に正常に戻れなくなる」ことで、磁気ディスクからデータを正常に読み込みできなくなります。
いずれにせよ、このような障害を起こしたうえで、HDDを使い続けると「磁気ヘッド」や「モーター」が不規則な動作をして、ディスクに傷がつく重度物理障害を引き起こすリスクが高まります。
また、物理障害は「PCが起動できない」「ドライブエラーが発生する」などといったPCの不具合が発生する主な原因です。もし「operating system not found」と表示された際は、むやみ電源を入れたり消したりせず、速やかに使用を中止し、復旧サービス業者にご相談してください。
HDD/SSDの論理障害
論理障害とはHDDに内蔵されたファイルやデータが論理的に破損した状態のことです。
- パソコンの動作中の停電
- ウイルス感染
- 誤操作による起動ファイルの削除
上記のような原因で、起動に関わるプログラム(MBR)やシステムファイルの破損でOSが認識できなくなると「operating system not found」と表示される可能性があります。
起動に関わるプログラム(MBR)やシステムファイルの破損でOSが認識できない状態とは
パソコンは起動すると、以下のような順番でシステムを立ち上げるようになっています。
- BIOSが起動し、内蔵ストレージの読み込みを開始する
- 「MBR(マスターブートレコード)」を読み込む
- 「パーティション」(論理的に分割された複数の記憶領域)内にあるシステムファイルを認識する
- OSが起動する
「MBR(マスターブートレコード)」とは
内蔵ストレージ(HDD/SDD)の最も先頭にあるという、パソコンの起動に関わるプログラムが格納されているセクタです。
しかし、前述した「MBR」やシステムファイルが破損すると、パソコンがその先にあるパーティション内にあるシステムファイルを見つけられずOSを認識することができません。
論理障害と物理障害は素人では見分けがつかないことも多く、「重度の症状であることに気づかず自分で対処した結果、データが取り出せなくなってしまった」というケースも少なくありません。大切なデータで確実に取り出したい場合には専門業者に復旧を依頼することが一番確実な手段です。
BIOSに不具合が生じている
BIOSに異常が発生している主な原因として、以下の二点が挙げられます。
- ドライブの起動順位
- UEFIのセキュアブート、CSM等の設定に問題がある
ドライブの起動順位に問題がある
BIOSは優先順位に従って各ドライブの起動を行っています。BIOSは通常、OSから起動するように設定されていますが、何らかの原因で他の外部記憶装置などから起動が始まると「operating system not found」と表示されます。
たとえば、昔のパソコンには「フロッピーディスクドライブ」が標準装備されており、これを挿入したままのパソコンを起動すると、BIOSがOSを認識しないということがあります。ちなみに、この現象は外付けHDDやUSBメモリでも発生することがあります。
UEFIのセキュアブート、CSM等の設定に問題がある
セキュアブートとは、OSが起動する前に改ざんされていないかどうかをチェックするセキュリティ機能です。セキュリティの改善を行うための機能ですが、Linuxなど別のOSのブートや、ソフトウェアの実行、パーツの交換などを行うとOSの実行を拒否されることがあります。
CSMとは、BIOSの互換性を保つための仕組みです。CSMとセキュアブートを同時に有効化してしまうと、最悪の場合にWindowsが起動しなくなります。
「operating system not found」と表示されるときの注意点
「operating system not found」と表示されるとき、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。具体的な4つの注意点について紹介します。
- 通電・作業は控える
- 強制終了・再起動は控える
- 交換修理はデータが初期化される
- OSの再インストールはしない
通電・作業は控える
自分でむやみに通電・作業を繰り返すと、状態が悪化してしまう可能性があります。特に物理障害が疑われる場合は自己修復もあまり意味がありません。
通電や故障したまま作業を続けることはやめ、なるべくそのままの状態で対処をするようにしましょう。
強制終了・再起動は控える
PCが起動できなくなってしまうと、一度電源を落として強制終了や再起動を繰り返してみようと考えてしまいますが、実はこれらの作業はPCにとても大きな負荷がかかります。
データの記録中に強制終了してしまうと、正常にデータが保存されません。また、再起動を繰り返してしまうとHDD内の部品に負荷がかかり、正常な部品に障害が発生し、障害が悪化してしまう可能性が高くなります。
簡単にできる対処法のようでデータにとっては危険な行為ですので、強制終了・再起動は控えましょう。
交換修理はデータが初期化される
多くの方はパソコンの正規メーカーや修理業者に相談するものと思われます。しかし、パソコン修理の際は、基本的に「内蔵ストレージの交換」を前提としている場合も多く、この場合は全ての内蔵データが初期化されることになるため、購入時の状態に戻ってしまいます。
ここまで紹介してきた方法でも解決しなかった場合、速やかに専門業者にご相談し、修理を依頼しましょう。また大切なデータが保存されている場合は、交換修理に出す前に、データ復旧の専門業者に相談・依頼してください。個人で対処するよりも安全かつ高い復旧率でデータを取り出すことが可能です。
OSの再インストールはしない
OSの再インストールをすることによって、PCの動作を回復できる、エラーメッセージの対処は可能ですが、保存されているデータはすべて消去されてしまいます。
OSの再インストールやリカバリー(初期化)によって削除されてしまったデータはデータ復旧業者の技術力でも復旧が難しくなってしまう可能性があります。OSの再インストールをする際には必ずバックアップを取ってから作業するようにしましょう。
「operating system not found」と表示されるときの対処法
「operating system not found」と表示される場合には、BIOSに問題が発生しているかPCで異常を修復することによって対処する方法があります。しかし、自力で作業する場合にはデータを上書きしてしまったりフォーマット(初期化)してしまう可能性があり、状況が悪化してしまうかもしれません。
自力で復旧する場合には自己責任で作業し、不安な方や確実にデータを復旧したい方はデータ復旧の専門業者に依頼しましょう。
エラーメッセージが表示された時の対処法として以下の対処法があります。
- BIOSの設定を変更する
- ドライブの起動順位を変更する
- スタートアップ修復を実行する
- チェックディスクを実行する
- コマンドプロントで修復する
- 復旧ソフトを利用する
- データ復旧業者に依頼する
BIOSの設定を変更する
BIOSの設定が間違っている場合には、元通りに戻す必要があります。起動時にBIOS呼び出しキーを選択することで、BIOSを起動し、設定を元に戻すことが可能です。
BIOSのセキュアブートは「UEFI」と「Legacy」があり、これらが間違っている場合には正常に起動できなくなる場合があるため、変更する必要があります。
注意点として、BIOSの設定画面はPCの知識が少ない方にとって操作が難しく、誤った操作によってはデータが削除されてしまうかもしれません。不安な方は、なるべく個人での作業を控えましょう。
ドライブの起動順位を変更する
ドライブの起動順位を変更することによって、エラーメッセージが解消し正常に起動できる可能性があります。
ドライブの起動順位変更手順
- BIOS設定画面を起動する
- 「Boot」を選択する
- 起動順位を上げたいデバイスを選択し「+キー」を選択する
- 「Exit」の「Exit Saving Changes」を選択し、「Enter」を押す
このドライブの起動順位に関してBIOSの中でもよく使う機能ですが、対処を間違えてしまうとPCが正常に起動しなくなったり、HDDなどの記憶媒体に負荷がかかります。データが消えてしまっては本末転倒ですので、確実にデータを取り出したい方は専門業者に相談しましょう。
スタートアップ修復を実行する
システムファイルの破損状態によっては、パソコンが起動できない状態であっても、強制終了と起動を何度か繰り返すことでスタートアップ修復が起動できる場合があります。自動修復を行うことで、エラーメッセージやMBRエラーの原因が解消される場合があります。
しかし、HDDに物理障害が発生している場合は、この作業によって症状が悪化する可能性があります。パソコンに確実に必要なデータが保存してあった場合は、スタートアップ修復をせずにデータ復旧業者に相談しましょう。
チェックディスクを実行する
チェックディスクを実行すると、ドライブをスキャンしてPCやHDDに発生しているエラーをチェックします。スキャンする際にファイルシステムのエラーを発見すると、自動で修復することができる場合があります。
チェックディスクの実行手順
- ドライブの右クリックメニューから「プロパティ」を選択する
- 「ツール」タブの「チェックする」を選択
- 「チェックディスク」のオプションを選択
- 「エラーチェック」ウインドの「ドライブのスキャン」を選択
- スキャンが開始される
ただし注意点として、スキャン作業はHDDなどの記憶媒体に修復作業を行いますが、Windowsはユーザーにとって必要なデータかどうかの判断はできないため、必要なデータに上書き・削除を行ってしまう可能性があります。
確実に取り出したいデータがある場合にはなるべく控え、データ復旧業者に依頼するようにしましょう。
コマンドプロントで修復する
コマンドプロントを使えば、チェックディスクでは修復不可能だった場合でも、より深い修復を行うことができます。スタートメニューから簡単に開けますが、実際に操作をする場合には多少のPCに関する知識が必要になります。
誤った操作によってデータが二度と取り出せなくなってしまうかもしれません。確実にデータが取り出したい場合にはなるべくコマンドプロントの作業は控え、専門業者に相談するようにしましょう。
復旧ソフトを利用する
もり軽度な論理障害が原因の場合は、市販の復旧ソフトを利用することで改善できる場合があります。
ただし、復旧ソフトの使用にはそれなりに知識が必要になります。もし物理障害や重度の論理障害が原因だった場合は復旧ソフトのインストール・使用によって症状を悪化させてしまう危険性があるので、原因がしっかりわかっていて操作にも自信があり、中身のデータを最悪失っても構わないという場合にのみ使用するようにしてください。
データ復旧業者に依頼する
エラーメッセージで起動しない場合は、データ復旧の専門業者に依頼するという手もあります。
データ復旧業者とは、障害が発生した媒体(HDDやSSD、USBメモリなど)からデータを復旧・復元するサービスを行っている専門の業者です。素人目には軽い症状に見えても、実際にプロのエンジニアが原因を診断すると深刻な問題が発生していることも少なくありません。
不安な場合は、一度データ復旧の専門業者に相談してみましょう。
HDDの復旧実績が多数あり、対応メディアの多い業者であれば、復旧に関する専門知識や設備、ノウハウが蓄積されていることから、データ復旧成功の確率が高く、最も安全に速くデータ復旧を行える可能性があります。
また、依頼前に障害原因や費用見積りなどを無料で診断してくれる業者も存在します。まずは無料相談を受け付けているデータ復旧業者へ問い合わせることをおすすめします。
おすすめデータ復旧サービス・製品
技術力が高い業者の選定といっても、素人には判断が難しいです。
そこで、データ復旧サービス各社の価格、内容(対応製品)、期間や特長から比較した、おすすめのサービスを紹介します。
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まとめ
今回は「operating system not found」と表示される際に想定される障害の事例や対処法、おすすめのデータ復旧業者などについて説明しました。
エラーメッセージが表示されていると、HDDに深刻な障害が発生している可能性が高いです。障害の判別が難しい状態で誤った個人作業を行ってしまった結果、データが取り出せなくなってしまっては本末転倒です。
確実にデータを取り出したい場合や自力での復旧が不安な方はなるべくそのままの状態で、データ復旧の専門業者に依頼しましょう。
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