
I-O DATA(アイ・オー・データ機器)は、家庭~企業向けのNAS(ネットワークHDD)をブランド名「LAN DISK(ランディスク)」(代表型番HDL**)として展開しています。パソコン・スマホ向けのNASとして販売されており、ハードディスクが2台(最大で4台)増設できるという性能を持ち合わせています。さらに低コストで導入できるため、家庭から企業まで幅広いユーザーを獲得しています。
しかし低コストな分、故障しやすいという口コミもあり、万が一に備えて対応方法を熟知しておく必要があります。
LAN DISKが故障した際にはどのような対応をしなければならないのでしょうか?
本記事では、LAN DISKでよくある障害の事例や障害が発生したときの復旧方法を説明します。
この記事の目次
LAN DISK(ランディスク)の障害確認方法
LAN DISKにエラーが発生すると、ランプ点灯により通知されます。LAN DISKにはStatusランプとHDDエラーランプがあり、それぞれ色と点灯の仕方でエラー内容が変わります。まずはランプの点灯方法をよく見て、LAN DISKにどのような障害が起きているかを確認しましょう。エラーランプの種類については以下の通りです。
LAN DISK(ランディスク)の障害事例
LAN DISKで起こりがちな障害にはどのようなものがあるのでしょうか。事例を紹介します。
起動しない/電源が入らない
LAN DISKが起動しない場合、単に、電源ケーブルが抜けている・電源が入っていないなど電源が供給できていないことがよくあります。電源が供給できている場合は電源ランプが緑色点灯します。まずは、LAN DISKの電源が入っているかを確認しましょう。
しかしケーブルを接続しているのにもかかわらず、そもそも電源が入らない・起動しない場合は以下の原因が考えられます。
- 電源部分の故障により電源が供給できていない
- LAN DISKのシステムに障害が発生している
- LAN DISK機器自体に物理的な障害が発生している
電源部分の故障に関しては修理が必要となります。しかし販売元のI-O DATAに修理依頼をすると、内部の保存データが消去されてしまう可能性があります。必ずバックアップがあるかを確認してから修理依頼を行いましょう。万が一バックアップがない、もしくは起動しないためにバックアップを取れない場合は、修理ではなくデータ復旧の対応をする必要があります。
故障原因が分からないまま使用を継続していると、さらに状態が悪化してしまい、最悪の場合データを失ってしまいます。また、復旧するために専門知識が必要なことも多いため、データ復旧業者の初期診断を有効活用するのも一つの手でしょう。
NASが起動しない場合についての対処法については以下のページを参照してください。
ランプが赤色点灯・点滅

ドライブモデルの例※ランプの数や位置はモデルにより異なります。
LAN DISK前面の電源ランプやHDD1/2ランプが赤色で点灯・点滅しているときは、なんらかの異常が発生しています。
電源ランプ |
|
電源ランプが赤色に点灯・点滅している場合、まずは、LANケーブルが正しく接続されているかを確認します。 |
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HDD1/2ランプ |
|
故障したハードディスクは交換する必要がありますが、ユーザー自身での交換作業は他のディスクにもダメージを与えるリスクがあり、おすすめできません。 |
アクセスできない
LAN DISKにアクセスできない
パソコンからLAN DISKにアクセスできない場合、以下のような原因が考えられます。
- アクセス権の設定により制限がかかっている
- IPアドレスがLAN DISKに設定されたものではない
- セキュリティ設定によりアクセス制限がかかっている
パソコンの設定やLAN DISK本体の設定を変更しても、問題が解決しない場合はLAN DISKのOSやファイルシステムに異常が発生している可能性があります。
共有フォルダやデータにアクセスできない
共有フォルダや保存データにアクセスできない場合、考えられる原因の一例を以下でご紹介します。
- セキュリティ設定によりアクセス制限がかかっている
- LAN DISKに登録のユーザー名とパスワードが間違っている
こちらの場合もパソコンやLAN DISK本体の設定を変更すれば解決する可能性が高いです。万が一対応しても状態が変わらない場合は、使用を中止し、データ復旧業者に相談しましょう。
アクセスできない場合についての対処法については以下のページを参照してください。
異音/異臭がする
外部から物理的な衝撃が加わり、”カチカチ”や”カタカタ”という異音がする場合は、ハードディスクの磁気ヘッドが壊れていたり、RAID構成を制御するプログラムに異常が発生している可能性があります。
目に見える範囲で傷がついてしまっていればすぐに気が付くことができますが、内蔵ハードディスクの故障は気づきにくいです。少しでも音やにおいに異変を感じたらすぐに使用を中止しましょう。
また、電源ランプの緑色点滅は、LAN DISKの起動中や終了中など、何らかのシステム処理の実行途中であることを示しています。処理が終われば緑色点灯に変わりますが、いつまでたっても点滅したままLAN DISKが起動せずに、異音だけが聞こえる場合は、ディスクの故障を疑う必要があります。
ハードディスクの復旧方法については以下で詳しくご紹介しています。
LAN DISK(ランディスク)のよくある故障原因
続いて、LAN DISKのよくある故障原因をご紹介します。
NASの故障原因は大きく分けて二通りあり、それぞれ論理・物理障害に分けることができます。
論理障害
- LAN DISKにアクセスできない
- 保存しているデータが見られない
- データを誤って消去してしまった
- 誤ってフォーマットしてしまった
上記のような症状を論理障害といいます。
原因①ミラーリング
LAN DISKのOS領域はミラーリングされているため、1台のハードディスクでOS障害が発生すると、その情報が他のディスクにも上書きされてしまい、結果全てのディスクに障害が拡大します。
原因②OSのアップデート
複雑な障害が同時に発生している状況で、OSのアップデートをしてしまった場合、OSのバージョンが変わることでさらなる障害が発生することがあります。
原因③ファイルシステム障害
内蔵ハードディスクのファイルシステムに障害が発生する場合もあります。誤った手順でLAN DISKをシャットダウンしたり、停電や落雷による電源遮断でデータの書き込みが終了する前に強制的に終了してしまうと、どこにどのようなデータがあるかを管理するファイルシステムの整合性が乱れ異常をきたします。
論理障害は軽度のものであれば復旧ソフトで対応することが可能ですが、障害の原因が分かっていない状態で復旧作業を行うと、障害をさらに併発してしまう恐れがあります。個人の判断で復旧作業を行うのは控えたほうが良いでしょう。
物理障害
- カチカチと異音がする
- 内蔵ハードディスクから異臭がする
- LAN DISKの電源が入らない/起動しない
上記のような症状を物理障害といいます。
原因①外部から物理的な衝撃が加わった
もっとも考えられる原因はLAN DISKに物理的な衝撃が加わったというものです。衝撃によりLAN DISK本体に傷がついてしまったり、内蔵ハードディスクが故障してしまう可能性があります。LAN DISKに衝撃が加わると、ディスクに磁気ヘッドと呼ばれる針のようなものが接触し、カチカチと音がするのです。その接触状態が悪化し、”スクラッチ”と呼ばれる傷がついてしまった場合、復旧不可の業者がほとんどで、復旧難易度も大幅に上昇してしまいます。
原因②経年劣化
LAN DISKは精密機器ですので、長期間使用していると劣化により破損する可能性が考えられます。
LAN DISKのようなハードディスクが複数台搭載されているNASは、内蔵されているハードディスクの製造期間が同時期です。そのため同じタイミングでハードディスクが故障しやすく、急にアクセスできない、という障害が発生してしまうのです。少しでも復旧率を上げるためにも、障害が分かり次第すぐに使用を中止しましょう。
原因③ファームウェアに異常が発生している
ファームウェアとは、内蔵ハードディスクがデータの読み書き、保存などの動作を正しく行うために搭載されているソフトウェアです。ファームウェアの障害はいつ起こってもおかしくない上、ハードディスク一台一台異なるソフトウェアになるため、解析が非常に難しいとされています。認識はするものの、中のデータが読み込めない場合はファームウェア異常の可能性が高いですが、個人で判断することはほぼ不可能です。
物理障害は専門的な技術とノウハウがない場合、復旧するのは非常に困難です。個人で復旧作業を行い、さらに症状を併発させてしまわないように、異変を感じたらすぐに使用を停止し、データ復旧専門業者に相談しましょう。
LAN DISK(ランディスク)の復旧方法
LAN DISKに障害が発生したら、まずLAN DISKの状態を確認して原因を突き止めます。
個人で復旧作業をする
①障害箇所を確認
次の2箇所をチェックしてLAN DISKの状態を確認します。2ドライブモデルを例に説明します。
電源ランプ
赤色点灯 | 警告レベルの不具合 |
---|---|
赤色点滅 | エラーレベルの障害 |
HDD1/2ランプ
赤色点灯 | RAIDが崩壊しています |
---|---|
赤色点滅 | ディスクが故障しています |
エラーの詳しい内容は、LAN DISKの設定画面からシステムログを表示して確認します。
また、ランプ以外にもブザー音で障害を確認できます。例えば、
- ”ピー”と3回鳴っている… ディスクの容量不足や故障
- ”ピッ、ピッ”と鳴り続いている… ディスクの故障などによりRAID構成に異常が発生
- ”ピーポー”と鳴り続いている… 同じくディスクの故障などによるRAID崩壊
というように、エラー状況を確認することができます。
②シャットダウンし電源ケーブルを抜く
ランプの赤色点灯・点滅や警告のブザーがないのに、LAN DISKに不具合が生じている場合は、LAN DISKをシャットダウンして電源ケーブルをコンセントから抜いた状態で、1分ほど放置します。その後、改めて電源を入れます。
万が一再起動してもトラブルが解決しない場合は、LAN DISK本体か内蔵ハードディスクに不具合が生じている可能性があります。すぐに使用を控え、データ復旧の対応をしましょう。
NASの復旧方法についての詳細は以下のページを参照してください。
I-O DATAのデータ復旧サービスを利用する
LAN DISKの発売元であるI-O DATAから提供されているデータ復旧サービスですが、利用する際には注意するポイントがあります。
復旧難易度が高い?どうやって判断するの?
I-O DATAのデータ復旧サービスは、
- 軽度 軽度の論理障害やファイルシステム障害
- 中度 初期化・消去などの論理障害や軽度の物理障害
- 重度 上記以外の難易度の高い障害
というように、復旧難易度によって見積もりの金額が変わります。
しかし故障原因もわからず、どのようにして判断し、相談すればいいのでしょうか?
LAN DISKの障害の状況を判断するためにも、復旧難易度や症状については、データ復旧の専門業者に相談するのがおすすめです。
目的はデータ復旧?修理?
メーカーで対応できない・データが取り出せないという状況になった場合、機器の交換や修理を勧められることがあります。この場合、機器の修理・交換のみの対応となり、データが戻ってくることはありません。
特に物理障害の場合は、「修理をするためにデータが消えてしまう恐れがあります」と公式ホームページにも注意書きがされており、バックアップができない状態だとデータがすべて消えてしまいます。
また、あくまでもメーカーによるサービスのため、データ復旧業者より専門性や技術力は低くなってしまいます。
大切なデータであれば、目的はデータ復旧なのか、機器の修理なのかよく考える必要があります。
データ復旧専門業者に依頼する
メーカーに問い合わせたが解決できない・修理や交換を勧められた場合や、そもそも起動すらしないため操作ができない場合には、データ復旧専門業者に依頼することをおすすめします。
データ復旧までのスピードが速かったり、専門知識・ノウハウが蓄積されているためデータ復旧の成功確率が高いことなどがメリットです。またI-O DATAのデータ復旧サービスでは対応できない難しい障害にも対応可能な業者も多く、確実にデータを取り出したい方にはおすすめの方法です。
さらに、セキュリティ上LAN DISKを外に持ち出すことができない官公庁やIT会社などの法人向けに、出張サービスを提供している業者もいます。
データ復旧専門業者に依頼するメリットや注意点などは下記のページで詳しく説明しています。
LAN DISK(ランディスク)の復旧における注意点
LAN DISKに障害が発生した場合、復旧作業時に注意すべき点があります。
リビルドによるデータ再構築 はNG
再構築(リビルド)で、故障したディスクのデータを復元する行為は避けるべきです。万が一、リビルド中に別の障害が発生してしまうと、対象ドライブやデータだけでなくすべてのドライブが破損し、復旧不可能に陥るリスクがあります。
ハードディスク単体でのパソコン接続はNG
LAN DISKではRAIDを使って複数のハードディスクを1つのドライブとして扱っています。また、RAIDのレベルやディスクの順番が書き込まれたRAID情報は、OS領域と別の場所に保存されています。そのため、故障していないハードディスクを抜き出し単体でPCに接続したとしても、データにアクセスできないばかりか、ディスク内のシステムデータが破損してしまう可能性があります。PCに単体のハードディスクを接続する行為はさけるべきです。
ハードディスクの入れ替えや交換はNG
LAN DISKではRAIDにより複数のハードディスクを1つのドライブとして認識していることに加え、ディスクにデータを書き込むときも、RAID情報に従って記録されていきます。よって、LAN DISKからハードディスクを取り出して、交換したり入れ替えたりした際に、順番を間違えたり違う場所にディスクを入れてしまったりすると、RAID情報と実際の構成が異なってしまいます。
データが破損したり、上書きされてしまうリスクがあるため、ハードディスクの入れ替えや交換は避けましょう。
おすすめデータ復旧サービス・製品
最後におすすめのデータ復旧専門業者を紹介します。
データ復旧を確実に行う場合、技術力が高い業者に依頼すべきですが、日本中のデータ復旧業者から選定するのは難しいと思います。
そこで、データ復旧サービス各社の価格、内容(対応製品)、期間や特長から比較した、おすすめのサービスを紹介します。
(2020年最新版)おすすめデータ復旧業者ランキングはこちら
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内容(対応製品) | RAID機器(NAS/サーバー)、ハードディスク(パソコン)、外付けHDD、USBメモリ、ビデオカメラ、SSD、SDカード・MSDカードなど |
期間 | 最短当日(持ち込みの場合) 約80%が48時間以内に復旧完了 |
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内容(対応製品) | 外付けHDD、パソコン、SSD、USBメモリ、RAID機器(NAS/サーバー)、ビデオカメラ、SDカード、MSDカードなど |
期間 | 初期診断:最短90分 初期診断後に復旧期間を提示 |
特長 | データ復旧率90.6% 延べ13793件のご利用実績 国内外の復旧会社とコネクションを持つ少数精鋭のエンジニア集団 |
LAN DISK(ランディスク)の概要・機能
企業向けから個人向けまで幅広くラインナップを展開しているI-O DATA(アイ・オー・データ機器)のNAS、「LAN DISK(代表型番HDL-**)」の特徴的な機能を紹介します。
簡単接続アプリ「LAN DISKコネクト」
参照LANケーブルをつなぐだけですぐ使えるLAN DISK コネクト/I-O DATA
LAN DISKコネクトに対応している機種では、LANケーブルでLAN DISKを接続して、数回クリックするだけでNASの設定が完了できる「LAN DISKコネクト」が使えます。接続後もエクスプローラーにLAN DISKのアイコンが表示され、外付けUSBを使う感覚でLAN DISKを使用できます。
スマホからアクセス「リモートアクセス機能」
参照アイ・オー・データ機器「Remote Link Files」/Google Play
外出先などからスマホやモバイルPCでNASにアクセスする「リモートアクセス機能」は、他社のNASにも搭載されている機能ですが、LAN DISKでは、モバイル機器側でのセットアップが簡単なのが特徴的です。
スマホにリモートアクセス専用アプリをインストールし、LAN DISKのパッケージに同梱されているQRコードを撮影してパスワードを設定するだけで、リモートからLAN DISKにアクセスできるようになります。
まとめ
I-O DATA(アイ・オー・データ機器)のNAS、「LAN DISK(ランディスク)」のよくある障害の事例や障害が発生したときの復旧方法を説明しました。
障害の発生時は、自己判断はせずデータ復旧の専門家にまず相談すべきです。LAN DISKに通電し続けることにより、不具合の生じていないディスクまで破損し、取り返しのつかないことになりかねません。障害の発生時は、自己判断はせずデータ復旧の専門家にまず相談することをおすすめします。
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