- Macが起動しない
- 電源がつかない
- 電源ボタンを押しても反応がない
- 画面が真っ暗なまま何も表示されない
- 起動音がしない
この状態になると通常の使用が不可能になり、データのアクセスも制限されます。原因はさまざまで、ハードウェアやソフトウェアの不具合が主な要因です。ソフトウェアだけでなく、ハードウェアの破損など複数の原因が考えられるため、個人の判断で対処するのはリスクを伴います。
この記事では、MacのPCが起動しない原因と、その適切な対処法やデータ救出方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
Macが起動しない原因
Macが起動しない原因は次の通りです。
HDD・SSDの故障
HDDやSSDの故障は、Macが起動しない大きな原因のひとつです。
ストレージデバイスが壊れていたり、ファイルシステムに問題があると、Macはシステムにアクセスできなくなり、場合によっては全く起動できない状態になります。さらに、「ストレージ(HDD/SSD)の破損」、「長い間使ってきたことによる劣化」、「過熱」などのハードウェアの問題も、Macが起動しなくなる主な原因として挙げられます。
こういった問題が起きている場合、無理に作業を続けたり、自分で直そうとするのはとても危険です。ハードウェアに問題がある状態で電源を入れ続けると、状況が悪化してデータが消えるだけでなく、Mac自体が完全に壊れてしまうリスクがあります。
このような状態で自力で障害の種類を正確に判別するのは困難であり、誤った対応をすると状況が悪化する可能性があるため、確実にデータを復旧したい場合は、データ復旧の専門業者に依頼することが最も安全な選択です。
システム不具合
システム不具合は、ソフトウェアの問題が原因でMacが正常に起動しない状態を指します。
たとえば、macOSの更新中にエラーが発生したり、重要なシステムファイルが削除または破損したりすると、システムが起動に必要なファイルを正常に読み込めなくなります。その結果、起動プロセスが途中で止まってしまいます。これは、システムの重要な部分が欠けているため、macOSが正常に動作できないからです。
また、インストールされたアプリケーションの不整合やシステム設定の問題も起動障害を引き起こすことがあります。これは、アプリケーションや設定の不一致や誤った設定が、システムの起動シーケンスを妨げ、必要なリソースやサービスにアクセスできなくなるためです。これらの問題があると、macOSは正しく機能するために必要な環境を整えることができず、正常に起動できない状況に陥ります。
液晶トラブル
液晶トラブルは、電源が入っているにもかかわらず、画面が真っ暗なまま何も表示されない状態を指します。
これは、液晶パネル自体の故障や、ディスプレイケーブルの接続不良、バックライトの問題などが原因で発生します。
液晶が壊れている場合、内部でMacは正常に動作していても、ユーザーは画面に何も表示されないため、Macが起動していないように見えます。
周辺機器トラブル
周辺機器トラブルは、接続された外部デバイスが原因でMacの起動が妨げられる状態です。
外付けハードドライブ、USB機器、プリンターなどが正常に動作していない場合、または互換性のない周辺機器が接続されている場合、Macがこれらのデバイスを認識できず、起動プロセスが停止することがあります。起動時に周辺機器をすべて取り外すことで、この問題が解決することがあります。
電源ケーブル不良
電源ケーブルの不良は、Macが起動しない最も基本的な原因の一つです。
電源アダプターやケーブルが損傷している場合、Macは必要な電力を受け取ることができず、電源が入らない状態になります。
ケーブルの断線やアダプターの故障が原因であることが多く、別のケーブルやアダプターを試すことで、問題が解決することがよくあります。
Macが起動しないときの注意点
Macが起動しないときは以下の点に注意しましょう。
過度な電源のオン・オフや再起動はNG
Macが正常に起動しない状態で、電源のオン/オフや再起動を繰り返すのはやめましょう。エラー状態で通電を繰り返すと、破損が進みやすく、状態が悪化する恐れがあります。
またHDD・SSDを問わず、電源を落とす工程には順序があるため、その順序に従わない処理が行われると、回路が暴走する恐れもあります。
個人で対処することのリスク
Macの復元システム(ユーティリティ)やリセット機能は非常に便利ですが、対応できるのは軽度なソフトウェアの問題(論理障害)のみです。
エラーチェックを行っても不具合が改善しない場合は、深刻な「ハードウェア障害」が発生している可能性が高いです。
この状態で無理に修復を試みると、データが消失したり、機器が物理的に破損したりするなど、致命的な障害を引き起こす恐れがあります。
自分で無理に操作を試みると、ハードディスクやSSDなどの内部ストレージがさらに損傷し、データが完全に消失するリスクが高まります。また、誤った操作でシステムファイルが上書きされてしまうと、データ復旧が非常に困難になる場合があります。
特に、物理的な故障が疑われる場合や、データの重要度が高い場合は、迅速に専門業者に依頼することを強くおすすめします。
データを取り出したいなら「データ復旧業者」に相談
リスクを最小限に抑え、貴重なデータを安全に取り戻す場合は、データ復旧の専門業者に相談するのが最も確実です。
専門業者は、Macの起動不良の原因を正確に診断し、専用のクリーンルームや高度な復旧ソフトを使用した上で最適な方法でデータを復旧します。
さらに、データ復旧業者は無料診断や見積もりを提供している場合が多く、実際にどの程度のデータが復旧可能かを確認することができます。
業者の選び方については以下の記事で詳しく解説しています。
Macの主な起動トラブルの症状と対処法
主なMac起動トラブルの対処法は次の通りです。
対処法① 電源が入らない・反応がない
Macが電源ボタンを押しても反応せず、充電中のマークも表示されない場合、電源ケーブルの不良やバッテリーの問題、またはシステムの不具合などが考えられます。
電源が全く入らない場合は、まず基本的なチェックから始めることが重要です。
電源ケーブルやアダプターの接続状態を確認し、それでも解決しない場合は、内部の設定をリセットする必要があります。
- 電源ケーブルの接続を確認し、必要に応じて接続し直します。可能であれば、別の電源アダプターやケーブルを試してください。
- SMC(システム管理コントローラ)リセットを実行します。Macの電源を切り、キーボードの「Shift + Control + Option」キーと電源ボタンを同時に10秒間押し続け、キーを放してから電源を入れ直します。
- バッテリーが取り外せる場合は、バッテリーを外して放電することで、システムがリセットされる可能性があります。その後、バッテリーを再度取り付け、電源を入れてください。
対処法② 起動途中で止まる
Macの電源を入れるとアップルロゴが表示されるものの、プログレスバーが途中で止まったり進まなかったりする場合、システムファイルの破損やソフトウェアの不具合が原因であることが多いです。
この場合、セーフモードで起動することで、システムチェックを行い、不具合を修正できることがあります。セーフモードとは、macOSの一時的な診断モードで、Macを起動する際に最低限必要なソフトウェアとドライバのみを読み込むモードです。このモードを使用することで、通常の起動時に問題を引き起こす可能性のあるソフトウェアや設定を無効にし、トラブルシューティングを行いやすくします。
また、セーフモードの使用に加え、システム設定のリセットやディスク修復も有効な対策です。
ディスクユーティリティとは?
ディスクユーティリティは、macOSに内蔵されているツールで、主にハードディスクやSSDの管理、修復を行うために使用されます。これを使ってディスクの修復を行う理由は、ファイルシステムのエラーやディスクの不良セクタを検出し、可能であれば修復することができるからです。
なぜディスク修復が効果的なのか?
ディスクユーティリティを使って修復を行うと、Macのシステムやアプリケーションが正しく動作するために必要なディスクの整合性を保つことができます。以下がディスク修復が有効な理由です。
- ファイルシステムのエラー修正: ファイルシステムが破損していると、データが正しく読み書きされなくなる可能性があります。ディスクユーティリティは、これらのエラーを検出して修正します。
- ディスクの整合性の確認: これによって、起動時の問題やシステムの不安定さを引き起こす原因を見つけて解決できます。
- 不良セクタの管理: ハードディスクやSSDに不良セクタがあると、それが原因でシステムがうまく起動しないことがあります。ディスクユーティリティは、これらの不良セクタを修正することで、システムを安定させるのに役立ちます。
ディスクユーティリティを使用することで、起動やシステム全体の問題が解決されることがあり、Macを正常な状態に戻すための重要なステップとなります。
起動途中で止まるときの対処手順を取りまとめると、次の通りになります。
- Macの電源を切り、再度電源ボタンを押した直後に「Shift」キーを押し続けて、セーフモードで起動を試みます。セーフモードではシステムが最小限の状態で起動し、不具合の原因を特定する手助けとなります。
- PRAM/NVRAM(※)リセットを行います。Macを再起動し、「Option + Command + P + R」キーを同時に押し、20秒ほど保持した後、キーを放します。この操作で、一部の設定がリセットされ、問題が解決する場合があります。
- ディスクユーティリティを使用して、ディスクの修復を行います。リカバリモードで起動し、ディスクユーティリティを選択して「First Aid」機能を使ってディスクを検査し、修復します。
- それでも解決しない場合は、macOSを再インストールします。リカバリモードから「macOSを再インストール」を選択し、指示に従ってインストールを進めてください(データ消失リスクがあるため、データが必要な場合は控えましょう)。
(※)PRAM (Parameter RAM) と NVRAM (Non-Volatile Random-Access Memory)
Macに搭載されている小さなメモリで、特定の設定情報を保持するために使用されます。これらメモリには、システムの基本設定やユーザー設定情報が格納されており、Macの電源が切れても保存され続けますが、Macが正常に動作しないときのトラブルシューティングに役立つことがあります。
対処法③ 黒い画面のまま
Macの電源は入るものの、画面が真っ暗で何も表示されない場合は、ディスプレイの問題やシステムの深刻なエラーが考えられます。この問題を解決するためには、外部ディスプレイを使用して表示を確認するか、システムの設定を調整する必要があります。また、システムのリセットも有効な手段です。
- 外部ディスプレイを接続し、画面出力が正常かどうかを確認します。外部ディスプレイで問題なく表示される場合、内蔵ディスプレイの故障が考えられます。
- キーボードの「F1」キーでブライトネスを確認・調整し、画面の明るさが最小になっていないか確認します。
- SMCリセットを再度試行します。電源を切り、「Shift + Control + Option」キーと電源ボタンを同時に10秒間押し続けてから、キーを放して電源を入れ直します。
- セーフモードでの起動を再度試み、必要なシステム修正を行います。
対処法④ 起動ディスクが認識されない
Macの起動中に禁止マークや?マークが表示される場合、起動ディスクが認識されていない可能性があります。この問題は、ディスク自体の故障やシステムの設定エラーが原因で発生します。リカバリーモードを使用してディスクを修復するか、別の起動ディスクを試すことで解決できる場合があります。
- Macをリカバリーモードで起動します。電源を入れた直後に「Command + R」キーを押し続け、リカバリーモードに入ります。
- リカバリーモードのメニューから「ディスクユーティリティ」を選び、起動ディスクを選択して「First Aid」を実行し、ディスクの修復を試みます。
- 修復がうまくいかない場合は、別の起動ディスク(外付けドライブなど)を使用してMacを起動し、内部ディスクを検査・修復します。
- それでも問題が解決しない場合、macOSの再インストールを検討してください。データのバックアップを事前に確保することを忘れずに行ってください。
対処法⑤ 専門業者に依頼する
上記の対処法で解決しない場合、その問題は個人で対応できる範囲を超えているかもしれません。
こういった状況で何度も再起動や自動修復を繰り返すと、macOSが保存されているストレージが損傷する可能性があります。最悪の場合、パソコン自体や大切なデータが完全に壊れてしまうリスクもあります。
また、「物理障害(ハードウェア障害)」が起きている場合は、「部品交換」や「ファームウェア修復」などの専門的な作業が必要です。このような状況では、個人での修復やデータ復旧は非常に難しく、むしろ危険です。無理に対応せず、早めに専門業者に相談することが重要です。
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まとめ
今回は、Macが起動しない場合の復旧方法について紹介しました。
Macが起動しない場合は、まず基本的なトラブルシューティングを行いましょう。電源ケーブルの接続状態やバッテリーを確認し、必要に応じてSMCやNVRAMのリセットを試してみてください。それでも解決しない場合、システムファイルの破損やハードウェアの故障が原因の可能性があります。
問題を確実に解決したい場合は、異常を感じた時点で専門業者に相談し、データ復旧を依頼することをおすすめします。無理に自力で解決しようとすると、状態が悪化し、データが完全に失われるリスクがあります。