世間に流通しているアプリの中には携帯にインストールされた後に、位置情報などを第三者に送信する悪質なものもあります。このようなアプリを放置すると携帯端末をハッキングされ、遠隔操作による盗聴、盗撮、クレジットカード番号などの流出といった深刻な事態に陥ることもあります。
新しくアプリをインストールしたものの、機能が説明と異なったり、権限の承認などを積極的に求められる場合は、悪質なアプリである可能性があります。情報流出をきっかけに犯罪に巻き込まれる可能性もあるため、本記事ではGPSの位置情報流出のリスクやハッキング対策について解説します。
目次
携帯ハッキングによるGPSの位置情報流出のリスク
初めに携帯がハッキングされてGPSの位置情報が流出するリスクについて解説します。
携帯がハッキングされてGPSの位置情報が流出するリスクは以下の通りです。
- ストーカー被害などの犯罪リスク
- 企業の情報漏えい
ストーカー被害などの犯罪リスク
携帯がハッキングされて位置情報が流出すると、ストーカー被害などの犯罪に巻き込まれるリスクが高くなります。攻撃者が携帯電話のGPS情報を不正に取得することで、リアルタイムで持ち主の居場所を特定できます。これにより、ストーカーによるつきまといや、自宅が空き巣や強盗に入られる可能性も考えられます。
企業の情報漏えい
携帯がハッキングされてGPSの位置情報が第三者に流出すると、企業の情報漏えいに発展する恐れもあります。企業の営業担当者の携帯の位置情報がわかってしまうと、取引先企業や顧客の住所が判明してしまいます。これは個人情報保護法に抵触する事態ですので、住所の情報が漏えいした場合、企業は必ず個人情報保護委員会や本人へ漏えい等の報告が必要になります。
スマホがハッキングされた時の確認方法は以下の記事に掲載していますので、端末がハッキングされたと感じたら、まずは以下の記事を参考にハッキングの有無を確認しましょう。
GPSの位置情報が流出するハッキングの手口
携帯からGPSの位置情報が流出するハッキングの主な手口は以下の通りです。
- マルウェアによる攻撃
- フィッシングによる情報収集
- フリーWi-Fiを利用した位置情報の盗聴
- スパイアプリ・監視アプリの使用
マルウェアによる攻撃
マルウェアは、ユーザーが知らないうちにデバイスにインストールされ、GPS情報を含むあらゆるデータを攻撃者に送信される可能性があります。これらのマルウェアは、アプリケーションのダウンロードや不審なリンクのクリックを通じてデバイスに侵入します。ユーザーが気づかないうちに位置情報が抜き取られ、悪用されるケースが増えています。
フィッシングによる情報収集
フィッシングは、攻撃者が信頼できる機関を装って個人情報を盗み取る手法です。例えば、偽のログインページや詐欺メールを通じてユーザーからアプリなどのログイン情報を入手し、その後GPS情報にアクセスすることが可能になります。近年はメール以外にもスマホのSMSを利用したスミッシングと呼ばれる手口が多く見られます。
フィッシングに使用されるメールは銀行や電力会社、大手通販会社などを装っているものが多いため、「サービス停止のお知らせ」や「システム変更」など緊急性が高い要件のメールが来た場合は、必ず公式サイトを確認し、似たような文面のフィッシングメールの注意勧告がないか確認しましょう。
フリーWi-Fiを利用した位置情報の盗聴
多くのフリーWi-Fiは、通信が暗号化されていないため、知識やツールがあれば、通信の盗聴や位置情報などのデータの収集が可能です。中には、偽のWi-Fiアクセスポイントを設置し、ユーザーを誘導して通信内容を盗聴する中間者攻撃(MITM攻撃)によって情報を収集するケースもあります。
スパイアプリ・監視アプリの使用
スパイアプリや監視アプリは、子供のインターネット利用の監視や従業員の職務怠慢の監視などを目的に公式ストアなどでも販売されます。このようなアプリのインストールには双方の同意が必要ですが、密かに第三者によるインストールが行われると、ホーム画面にアプリが表示されないため、位置情報などが漏えいしても気づかずに携帯を使用し続ける事態になってしまいます。
このような監視アプリは位置情報以外にもSNSを見れるものや、カメラなどを遠隔操作できる機能を持つものもあります。悪質なアプリの中にはこれらの情報を全て悪意のある第三者に勝手に送信され、サイバー攻撃に利用されることもあります。知らないアプリが勝手にダウンロードされていた場合は、アプリを削除して初期化する前に、端末を専門家に調査してもらうことで、情報漏えいの有無を知ることができるため、漏えいした情報を元にしたサイバー攻撃に適切に対処することができます。
ハッキングによる位置情報の流出を防ぐ方法
携帯のハッキングによる位置情報の流出を防ぐには以下の方法があります。
- 信頼性の高いセキュリティソフトを使用する
- 公共Wi-Fiの利用を避ける
- 位置情報サービスをオフにする
信頼性の高いセキュリティソフトを使用する
iPhoneやAndroidは一定以上のセキュリティ機能を有しているため、常に最新のOSにアップデートしておくだけでもハッキングに対して一定の効果はありますが、信頼性の高いセキュリティソフトを使用することで、スパイアプリのダウンロードの防止や情報漏えいに素早く気づくことができます。セキュリティソフトやアプリを導入する場合は、必要なセキュリティ機能を有したものを公式ストアからダウンロードしましょう。
フリーWi-Fiの利用を避ける
セキュリティ機能が低いフリーWi-Fiの利用を避けることも有効です。やむを得ず利用する場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)を活用して、通信を暗号化して盗聴されないようにしましょう。また、知らないWi-Fiネットワークには接続しないよう注意を払いましょう。
位置情報サービスをオフにする
必要のない時は、携帯電話の位置情報サービスをオフにすることで、不正な位置情報の収集を防ぐことができます。特に、公共の場や不特定多数が利用する場所では、位置情報をオフにしておくことが推奨されます。また、アプリごとに位置情報の使用を制限する設定も確認しておきましょう。
万が一携帯がハッキングされている場合は、「携帯のバッテリーの減りが早い」「携帯のデータ通信量が急増する」「カメラなどが勝手に動作する」「見覚えのないアプリがインストールされている」といった症状が複数発生します。複数の症状が該当する場合は、ハッキングの原因を特定するために、専門家に相談すると情報漏えいの有無や不正通信の有無など詳細に調査することが可能です。
ハッキング被害に遭った場合の対処法
悪質なアプリなどを通じて、自身の携帯の位置情報などが漏えいしている場合は、以下の対処法が有効です。
- デバイスの初期化と再設定
- 携帯のハッキング調査を行う
デバイスの初期化と再設定
ハッキング被害に遭った場合、携帯を初期化すると不正なアプリやウイルスが削除され、正常に携帯が使用できる場合があります。ただし、これにより、マルウェアやスパイアプリを完全に除去することができます。ただし、初期化前に重要なデータのバックアップを取ることを忘れないようにしましょう。
iPhoneとAndroidの初期化から再設定の方法は以下の通りです。
iPhoneの場合
- iCloudやiTunesでバックアップを取る
- ホーム画面から「設定」を開き、「一般」をタップする
- 画面下にスクロールし、「リセット」をタップし、「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップする
- Apple IDのパスワードを入力して「消去」をタップすると端末が初期化される
- 端末を起動して、使用言語と地域を選択する
- Appleのプライバシーポリシーに同意する
- 任意でFaceIDなどを設定し、更にデバイスのロック解除に使用するパスコードを設定する
- バックアップを取ったデータを復元する
- Apple IDとパスワードを入力してサインインする
- 利用規約に同意する
Androidの場合
- 設定アプリを開く
- 「システム」 、「バックアップ」の順で選択する
- 「今すぐバックアップ」をタップして最新のバックアップを作成する
- バックアップを作成したら設定アプリのメニューの中から「システム」を選択し、その後「リセットオプション」をタップする
- 「すべてのデータを消去(工場出荷時の状態にリセット)」を選択
- 確認画面が表示されるので、「すべて消去」をタップして初期化する
- Androidが再起動したら使用言語と地域を設定する
- Wi-Fiに接続したらGoogleアカウントにログインする
- バックアップからアプリやデータを復元する
- 画面ロックの設定を行う
なお、スマホを初期化してもマルウェアの感染場所などによっては、初期化後も被害に遭う場合があります。ハッキングの症状が止まらない原因については、以下の記事で解説しています。
携帯のハッキング調査を行う
携帯がハッキングを受けた場合、被害の有無に関わらず、専門家によるハッキング調査を受けると、ハッキングによる携帯の被害状況や有害なアプリ・マルウェアの有無、位置情報を含む情報漏えいの有無などが詳細に判明し、適切な対処につなげられます。ハッキング調査に使われるのは「フォレンジック」と呼ばれる警察も採用している専門技術のため、セキュリティアプリでも見つけられない脅威も発見できることがあります。
フォレンジックとは、デジタル端末に関連する証拠を収集・解析し、法的に有効な形で保存する技術です。フォレンジック調査を専門とする調査会社に相談すると、調査結果をレポートにまとめるサービスを受けられることがあり、調査完了後にレポートを証拠として警察や裁判所などに提出することもできます。
携帯がハッキングされる原因の一つである監視アプリなどは、ホーム画面にアイコンが表示されないため、目視では原因を特定できず、被害が長期化する恐れがあります。ハッキング調査会社であれば、携帯がハッキングされた確証がなくとも調査を行えることがあります。しかし、調査技術やセキュリティ設備の質などは会社ごとに異なるため、信頼できるハッキング調査会社を選びたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
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まとめ
携帯がハッキングされGPSの位置情報が流出すると、自身の現在地や自宅の住所、企業の機密情報などが第三者に知られ、ストーカーや情報漏えいなどの犯罪に巻き込まれる可能性があります。位置情報の漏えいを含む、携帯のハッキング被害を受けた場合は、漏えいした情報がないか専門家に調査してもらい、ハッキングの原因を把握して二次被害を防ぎましょう。