退職後に不正が発覚したときに企業が取れる対応と発生するリスクを解説|サイバーセキュリティ.com

退職後に不正が発覚したときに企業が取れる対応と発生するリスクを解説

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「営業秘密や機密情報を持ち出されていた」「データが無断で削除されていた」など、従業員の退職後に社内不正が発覚することがあります。

会社の情報が漏えいしている、横領が発生していたなど、場合によっては会社に大きな被害を与えるため、早急に対処し、再発防止を講じる必要があります。

万が一、顧客の個人情報が漏えいしていた場合、企業には専門機関へ報告する義務があり、違反した場合は最大1億円以下の罰金が科せられます。

この記事では、退職後に社内不正が発生した場合の対処法から、法的手段を採る場合に必要な不正の証拠収集の方法まで解説しています。

退職後に不正が発覚した際に企業がとれる対応

退職後に不正行為が発覚した場合、企業は以下の対応を取ることができます。しかし、必要な条件やデメリットが異なるため、よく調べるようにしてください。

懲戒解雇をする

従業員が退職した後に、不正が発覚した場合に懲戒解雇にし、退職金の返還を求められる場合があります。この場合、退職の効果が発生するのは辞職届が提出されて2週間後になりますので、2週間以内か、2週間経過後なのかで対応が変わります。

辞職届が提出されて2週間以内

従業員が自己都合退職として辞職を申し出た場合、辞職の効果が発生するのは辞職届が提出されてから2週間後になります。

2週間の間ならば雇用契約は続いていますので懲戒処分することが可能になります。2週間以内に懲戒処分を通知することができれば退職金を支給しなくてもいいことになり(その旨の社内規定がある場合)もし、退職金を支払った後でも返還請求できます。

辞職届が提出されて2週間経過後

2週間が経過している場合、退職の効力が発生しており雇用関係が既にないため解雇ができません。懲戒解雇も同様に行えません。

但し、懲戒解雇ができない場合でも不正を行っていた証拠があれば、退職金不支給や、損害が発生している場合は損害賠償を請求できる可能性があります。

退職金を不支給にする

不正行為が発覚したのが退職後であり、懲戒解雇ができない場合であっても、退職金を返還請求できる場合があります。

退職後に不正行為が判明した場合、退職金の一部返還を求めることを事前に規定している場合や、損害賠償請求と同額の賠償を求める場合、返還請求することができます。

未支払いの時に不正行為が発覚した場合、全額または一部不支給にすることも可能です。

退職金の不支給や返還に関しては、状況や条件によって異なるため、一度弁護士に相談してみましょう。

損害賠償を請求する

データや機密情報の流出、システムや書類の改ざんがあり、損害が発生した場合は、損害賠償を請求することができます。

この場合、自社のみでの証拠確保は客観性と正確性が担保されず、不十分な証拠になる可能性があります。

損害内容を証明したい場合、客観性のある証拠が必要となるため、調査会社に依頼して証拠の確保を依頼することをおすすめします。

デジタルデータは裁判で使用できる?証拠能力を持たせる方法や注意点についてはこちら

懲戒処分であることを社内外に公表する

懲戒処分したことを、社内外に文書等で公表したいという会社もあります。

取引先や銀行など会社関係者である場合、違法とまでは認められませんが、新聞で発表したり、過激な表現になると名誉毀損の問題が発生する可能性があるため注意が必要です。

名誉棄損は、摘示した事実が真実であっても成立するため、慰謝料請求される可能性があります。

不正行為に対して適切な対応をするには、専門的知識が必要になるため、自己判断で終わらせず、弁護士に相談しましょう。

退職後に不正が発覚した際は専門の調査会社に相談する

従業員が退職した後に不正行為が発覚した場合は、専門の調査会社に相談し、被害の証拠を確保するようにしましょう。

フォレンジック調査とは

「フォレンジック調査」は、デジタルデバイス上の証拠を収集する科学的な手法で、法的に正しい手続きで調査することができます。

特殊な技術を使用してアプリや通信ログを解析することで、不正行為だけでなく、データの不正アクセスや流出の痕跡を明らかにできます。

不正行為の調査はフォレンジック調査専門会社に依頼する

損害が発生した場合、データの不正利用や流出が発生している証拠を確保できた場合、損害賠償を請求することができます。

フォレンジック調査ができる専門業者に依頼することで証拠を確保することができ、訴訟に必要な書類の作成まで可能です。

データを解析して証拠を確保は、専門的な知識が必要な作業であるため、弁護士では対応外の調査になります。

フォレンジック調査ができる調査会社に依頼することで、損害賠償に必要な証拠を確保することができます。

退職者のフォレンジック調査ができるおすすめ調査会社

フォレンジック調査はまだまだ一般に馴染みが薄く、フォレンジック調査会社選びの際もどのような判断基準で選定すればよいか分からない方も多いと思います。

そこで、対応領域や費用・実績などを踏まえ、50社以上の中から見つけたおすすめのフォレンジック調査会社・調査会社を紹介します。

デジタルデータフォレンジック


サイトデジタルデータフォレンジック

デジタルデータフォレンジックは、国内売上No.1のデータ復旧業者が提供しているフォレンジックサービスです。累計3.2万件以上の相談実績を持ち、サイバー攻撃被害や社内不正の調査経験が豊富な調査会社です。

調査・解析専門のエンジニアとは別に、相談窓口としてフォレンジック調査専門アドバイザーが在籍しています。
多種多様な業種の調査実績があり、年中無休でスピーディーに対応してもらえるため、初めて調査を依頼する場合でも安心して相談することができます。

また、警視庁からの捜査依頼実績やメディアでの紹介実績も多数あることから実績面でも信頼がおけます。法人/個人問わず対応しており、見積まで無料のため費用面も安心です。法人のサイバー攻撃被害調査や社内不正調査に加えて、個人のハッキング調査・パスワード解析まで、幅広い対応を可能としている汎用性の高い調査会社です。

費用 ★相談・見積り無料 まずはご相談をおすすめします
調査対象 PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など
サービス 社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、ハッキング・不正アクセス調査、データ改ざん調査、データ復元、マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など
特長 官公庁法人・捜査機関への協力を含む、累計32,377件の相談実績
✔企業で発生しうるサイバーインシデント・人的インシデントの両方に対応
✔国際標準規格ISO27001/Pマークを取得した万全なセキュリティ体制
✔警視庁からの表彰など豊富な実績
✔14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービスを保有する企業が調査
(※)(※)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2020年)

退職者によって不正行為が行われた場合に発生するリスク

退職者によって不正行為があった場合、以下のリスクが発生することがあります。

顧客情報流出による信用の低下

流出したデータの中に顧客情報が含まれていた場合、会社の信頼を大きく損なってしまいます。

それだけでなく、個人情報保護の観点から行政処分や訴訟リスクがされる可能性も高く、金銭的損失も発生します。

情報の流出による競争力の低下

会社の機密情報や内部情報が流出、販売されているケースがあります。

情報の流出先が競合他社であった場合、市場を奪われる可能性があるため、注意が必要です。

企業の情報流出は深刻な問題と損害に発展するため、自己判断で終わらせず、データの解析ができる調査業者で、流出被害を抑え、セキュリティ対策を強化するようにしましょう。

【情報漏洩の事後対応】各企業が行わなければいけない対策についてはこちら

退職者の不正内容の事例

従業員の退職後に不正行為が発覚することがあります。多く挙げられる不正行為の事例として、以下のことが挙げられます。

書類の偽造

契約書など、会社の書類を偽造する行為は「私文書偽造罪」にあたり、処罰の対象とされています。

主な内容は以下の通りです。

  • 署名や捺印の偽造
  • 契約書の原本やコピーの書き換え
  • 電子契約書の改ざん

最近では、作成から捺印まで全て電子上で行える電子契約書も多く使用されています。

紙の契約書と違ってデータで管理されていため、改ざんの有無の確認が電子契約書は難しいと言われており、利便性と共にリスクが高まっています。

機密情報の漏えい

退職者や従業員が、会社の技術やノウハウなどの機密情報を流出させるケースがあります。

この場合、金銭目的で競合他社に機密情報を売っている、競合他社に転職するための賄賂として活用などの理由が考えられます。

退職時に会社の社員を引き抜く行為

退職者が退職時に会社の社員を引き抜くことは、競争が激化する現代社会において問題となっています。

引き抜かれた社員は、退職した会社のノウハウや技術を競合他社に持ち込むことができるため、引き抜き行為は企業にとって大きな損失となり得ます。

ここでは、①退職者による社員・顧客引き抜き行為は違法であるのか、②実際の事例、③企業が被る被害を紹介します。

①退職者の引き抜き行為は違法?

退職者による引き抜き行為が違法であるかは、引き抜きと認められる行為を行ったのが、退職前(退職予定)であるか退職後であるかによって決まります。

退職前
  • 退職者が退職前に社員・顧客の引き抜き行為を行った場合、原則として違法となります。
  • これは、労働者が企業に雇用されている間は、その企業に不利益になる行為をしてはならない義務があるため違法となります。
退職後
  • 退職者が退職後に社員・顧客の引き抜き行為を行った場合、状況によって違法になる場合があります。
  • たとえば常識はずれの不当な引き抜き行為(会社の大半の従業員の引き抜き、経営に影響力がある人材の引き抜きなど)を行った場合には違法となります。
  • また、勧誘方法が不当であった場合(会社のネガティブな情報や秘密情報を使った引き抜き、金銭を対価とした引き抜きなど)も違法となります。

②実際の事例

退職者が人脈情報を含む秘密情報の引き抜き行為を行った実際の事例を紹介します。

刑事事件化した従業員による秘密情報持ち出し容疑の事例

流出時期 被害企業 転職先・情報流出先 流出情報 出典
2017年1月~2月 フューチャーアーキテクト ベイカレント・コンサルティング 従業員名簿等 日経XTECH
2019年8月 豊電子工業 競合他社 産業用ロボットシステムの設計データ 朝日新聞
2019年12月  ソフトバンク 楽天モバイル ネットワーク技術情報 東洋経済ONLINE
2020年9月〜12月 ゼンショーホールディングス カッパ・クリエイト 商品原価データなど営業機密 日本経済新聞
2022年6月〜7月 兼松 双日 兼松社の約5万ファイルのデータ 日本経済新聞
2023年10月 NTTマーケティングアクトProCX・NTT ビジネスソリューションズ 第三者 NTTマーケティングアクトProCXのクライアントの顧客情報 NTTビジネスソリューションズ

海外と比較して、日本企業の多くは欧米企業に比べて従業員の不正に対する管理が甘く、管理にかけるコストも少ないです。企業が秘密情報の持ち出しに気づいても、捜査当局への通報を躊躇する傾向にあるとも言われています。

また、転職先の企業が、元の勤務先から営業秘密を持ち出している人物であることに気づかず雇用してしまい、事件に巻き込まれるケースもあります。しかし過去の事例を見ても、転職先の企業よりも流出元の企業の方が立場が弱くなるケースが非常に多いです。

日本では営業秘密を持ち出させた企業の責任を問うハードルが刑事、民事ともに極めて高いです。そして、その主張を覆す立証上のハードルが、日本は諸外国に比べて著しく高いのが現実です。

出典東洋経済オンライン

損害賠償請求を行うには、パソコンやスマートフォンを使って連絡をとりあった形跡から不正の証拠をつかむことが重要であり、実証する場合はそれらの調査が必要不可欠です。

引き抜きによる転職は違法なのか?についてはこちら

不正なシステム改ざんやデータの削除

データの不正なシステム改ざんや、無断でのデータ削除が行われていた場合、会社の信用の失墜に繋がります。

不正なシステム改ざんは、企業の社内セキュリティが低下する可能性があるため、データの漏えいや改ざん、システムの停止などの被害に繋がる可能性があり、非常に危険な状態です。

意図的なデータの削除だった場合、データの不正利用や流出が発生しているケースもあるため、無断で削除されていた場合はデータ解析ができるフォレンジック調査会社に依頼することをおすすめします。

デジタルデータフォレンジック

デジタルデータフォレンジックは、国内売上No.1のデータ復旧業者が提供しているフォレンジックサービスです。累計3.2万件以上の相談実績を持ち、サイバー攻撃被害や社内不正の調査経験が豊富な調査会社です。

調査・解析専門のエンジニアとは別に、相談窓口としてフォレンジック調査専門アドバイザーが在籍しています。
多種多様な業種の調査実績があり、年中無休でスピーディーに対応してもらえるため、初めて調査を依頼する場合でも安心して相談することができます。

公式サイトから問い合わせる

退職者によるデータ不正利用の防止策

退職者によるデータトラブルが発生しないよう、事前に対策しておくことで、抑止力が高まるだけでなく、被害も抑えることができます。

退職時にデータへのアクセス権限を削除する

退職した際に、会社で扱っている全てのデータからアクセス権限を削除しておくようにしましょう。

退職後にデータが不正利用していることが発覚した際も、アクセス権限が付与されている物はないか確認するようにしてください。

データの不正利用の禁止事項を予め明記しておく

退職前にデータの不正利用について禁止事項を規定し、誓約しておくようにしましょう。

万が一、データの不正利用があった場合にも、明記しておくことで、損害賠償の際に有利になる可能性があります。

データの漏洩や改ざんを防ぐために、データの不正利用の禁止事項を明記することをおすすめします。

退職者の会社への不正アクセスに関してはこちら

まとめ

従業員の不正行為は、会社にとって大きな損害をもたらす可能性があるため、発見が退職後であっても対処する必要があります。

横領やデータの流出、改ざんなど、個人での調査と対処が難しい場合も多く、放置すると被害が拡大する恐れがあります。

調査会社に依頼することで、不正行為の証拠確保から、裁判でも使用できる書類の作成まで行うことができるため、信頼できる調査会社に依頼して対処するとともに、再発防止策を講じるようにしましょう。

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