
会社のパソコン・スマートフォンから従業員や退職者によって情報が持ち出されたかもしれないと気づいたとき、どのように調査を進めればよいのでしょうか。
- 「退職した元社員が業務用パソコンを通じて機密データを持ち出していたかもしれない」
- 「アクセスログを確認したら、勤務時間外に不自然なデータ操作が行われていた」
- 「個人のスマートフォンに、業務に関係のないファイルが保存されているのを見つけた」
これらは従業員や退職者による意図的な情報持ち出し(内部不正)が疑われる典型的なケースです。こうしたリスクに直面したとき、証拠保全や原因調査を依頼できるのが情報持ち出し調査会社のサービスです。
ただし、調査会社によって調査実績、スピード、料金、セキュリティ、サポートの範囲などが大きく異なります。
- 「はじめて利用するのでどこに頼めばいいのかわからない」
- 「調査力が高く、内部犯行の証拠を正確に押さえてくれる会社は?」
- 「料金の相場や、どこまで調査してもらえるのかを知りたい」
- 「口コミや実績、何を基準に選べばいい?」
- 「そもそも業者に依頼せず自力で調査できないか?」
本記事では、このような疑問を解消すべく、情報持ち出し調査会社の概要や料金、失敗しない会社選びのポイントを徹底解説します。おすすめの調査会社も紹介しているので、是非参考にしてください。
目次
情報持ち出し調査会社とは
社内で情報の持ち出しが疑われるような問題が発生した場合、専門的な知識を持つ調査会社に依頼して、状況の把握や証拠の収集を行うケースが増えています。
たとえば、退職者が社内データを持ち出した形跡がある、従業員が外部ストレージや私物端末に機密情報を保存していたといったケースでは、証拠が隠蔽されたり削除されたりしている可能性もあり、状況を正確に把握するには高度な技術が必要です。
こうしたときに対応してくれるのが、情報持ち出し調査会社です。
パソコン・スマートフォン・サーバー・クラウド環境などの調査対象に対して、情報の不正持ち出しが行われたか、どのような操作がされたのか、どの範囲に影響が及んでいるのかを専門的な手法で調査します。
情報持ち出しの手口の中には、ログの改ざんや痕跡の隠蔽といった高度なカモフラージュも含まれており、表面だけを見て判断すると証拠を見逃すリスクがあります。さらに、調査の仕方を間違えると、本来残っていたはずの証拠を上書きして消してしまうこともあります。
そのため、早い段階で情報持ち出しに精通した専門家に相談することが重要です。
なかでも「フォレンジック調査会社」と呼ばれる業者は、デジタルフォレンジック(データの証拠保全と分析)の知識や経験を持つアナリストやエンジニアが在籍しており、短期間で正確に状況を把握し、法的対応も見据えた形で調査を進めることができます。
デジタルフォレンジックとは
デジタルフォレンジックとは、コンピュータ(PC・HDD・メモリなど)やその他のデジタルデバイス上からデータを保全・取得・解析し、犯罪が実行された証拠を押さえるための専門分野のこと
主に以下のような場面で相談することができます。
- 退職者や特定の従業員が、業務データを不正に持ち出した可能性がある
- 業務と無関係な外部ストレージや個人クラウドへアクセスした形跡がある
- 勤務時間外や退職直前に、大量のファイル操作や送信履歴がある
- 社内の機密情報が外部に流出しており、内部関係者の関与が疑われる
- 心当たりのある人物がいて、証拠を押さえたうえで責任を追及したい
- 特定の人物に対して、訴訟や損害賠償請求を検討している
このように、情報持ち出しの疑いがある場合には、フォレンジック調査会社に相談することで、状況に応じた調査を行ってもらうことが可能です。
調査では、使用していたパソコンやスマートフォン、外部メディア、クラウドサービスなどを対象に、誰が・いつ・どのような方法で情報を操作・持ち出したかといった証拠を収集・分析します。
情報持ち出しは発覚が遅れると証拠が失われる恐れもあるため、「おかしい」と感じた段階で早めに専門家へ相談することをおすすめします。
情報持ち出し調査会社で調査してもらえること
情報持ち出し調査会社のサービスでは、以下のような項目から機器の状況を調査できます。
- 社内データや機密情報が不正にコピー・持ち出された形跡があるか
- いつ・誰が・どのファイルにアクセスし、どのような操作を行ったのか
- USBメモリや外部ストレージが接続された履歴があるか
- クラウドストレージ(Google Drive、Dropboxなど)へのアップロード操作があったか
- メールやチャットでの情報送信履歴に不審なやり取りがないか
- 不正なファイル移動や削除、ログの改ざんが行われていないか
- 業務用端末に私的なアプリやリモートアクセスツールが導入されていないか
- 操作ログやイベントログなどから、内部不正の証拠となるデータが残っているか
具体的な調査内容は、依頼する会社によって大きく異なります。よくある失敗として、調査を依頼したものの「形式的なレポートだけで、何も実態がつかめなかった」「証拠能力が弱く、訴訟や懲戒処分に活かせなかった」というケースもあります。
調査実績が豊富で、特に官公庁や大手法人の調査実績が多いような、信頼できる情報持ち出し調査会社に相談しましょう。おすすめの情報持ち出し調査会社を本記事でも紹介しています。
避けた方がいい情報持ち出し調査会社の4つの特徴(悪徳業者のリスクあり)
最近では情報セキュリティへの関心が高まる中で、「情報持ち出し調査」「内部不正調査」といったサービスを提供する会社が急増しています。
しかしその中には、調査技術が低かったり、証拠能力に乏しいレポートしか出せない業者も存在するため、注意が必要です。
情報持ち出し調査では、機密情報・業務データ・個人情報といった重要なデータの解析を外部に委ねることになります。調査結果が訴訟や処分の根拠になるケースもあるため、信頼性・実績・技術力のない業者に依頼すると、かえって被害を拡大させるリスクすらあります。
ここでは、避けた方がいい情報持ち出し調査会社の4つの特徴を紹介します。
- 情報持ち出し調査を専門としていない調査会社
- 設備や実績が曖昧な調査会社
- 極端に料金が安い会社
- スピード対応ができない会社
情報持ち出し調査を専門としていない調査会社
情報持ち出し調査では、デジタル機器を調査するデジタルフォレンジックの専門的な知識とスキルが必要です。以下のような特徴を持つ会社は、調査することはできても「デジタル機器の調査」をすることはできませんので、業者を選ぶときは注意が必要です。
- 探偵・興信所・セキュリティベンダーなど情報持ち出し調査を専門に行っていない
- 解析作業を外注して端末を社外に送っている
探偵事務所やセキュリティ会社に調査を依頼しても、実際はフォレンジック調査会社に外注して調査してもらうパターンが多いです。その場合、仲介手数料が発生する可能性があるため、直接フォレンジック調査会社に相談するよりも費用が高くなります。
情報持ち出し被害が発生している場合は、情報持ち出し調査が可能なフォレンジック調査会社に相談しましょう。
設備や実績が曖昧な調査会社
設備や実績が曖昧な業者は悪徳業者の可能性があります。以下の要素に当てはまる業者には注意しましょう。
- 規模が小さい、サービスの運営会社が信頼できない
- 実績が不明瞭でサービスの実態が見えづらい
- セキュリティ対策がしっかりしていない(セキュリティ認証を取得していない等)
情報持ち出し調査会社の中でも、受付だけ対応して調査は別の業者に依頼している会社もあります。調査実績を明記していて、自社内の復旧設備を公開しているようなサービスが明瞭な業者に相談したほうが、安心して調査を依頼できます。
極端に料金が安い会社
情報持ち出し調査会社は会社によって料金形態が異なります。中には極端に料金が安い会社もありますが、以下のようなデメリットがある可能性があります。
- 自力でもできそうなソフトを使って簡単な調査しか対応してもらえない
- 定額の料金設定でも後から追加費用が発生する
- 作業の品質が低く情報管理もずさんに行われている
前提として、情報持ち出し調査会社に依頼するときは、正確な調査結果を出してもらえることがとても重要です。安価で調査できても、市販のセキュリティソフトと同等程度のずさんな結果しか得られないのであれば、自力で調査するのと変わらないので意味がありません。
また料金が極端に安い場合、パソコン、スマホ、サーバーなどの状態に応じた調査でなく、決められた調査しか行わない場合もあるため、最新のサイバー攻撃などの調査が不十分になる場合もあります。
料金が安い情報持ち出し調査会社に相談するのではなく、調査内容によって見積を出してもらえる情報持ち出し調査会社に相談しましょう。
スピード対応ができない会社
情報持ち出し調査会社は会社によって対応できるスピードが異なります。対応時間が短く、夜間や土日などの相談窓口がない会社では、緊急時に対応できない・調査期間が長引く可能性があります。
情報持ち出し調査会社の中には、24時間365日対応可能な会社もあります。異変を感じた時にすぐに対応してもらえる会社に相談しましょう。
情報持ち出し調査業者を利用するメリット
情報の不正持ち出しが疑われる場面では、何が・いつ・誰によって持ち出されたのかを明らかにすることが最も重要です。
社内だけで判断しようとしても、ログの読み方や証拠保全の方法を誤ると、調査の手がかりを消してしまうリスクがあります。情報持ち出し調査会社に依頼するメリットは以下のようなものがあります。
- デジタルデータを証拠として使用できる
- 不正な操作や情報持ち出しの経路を特定できる
- 内部犯行か外部攻撃かを切り分けできる
- 二次被害(情報の再拡散・証拠隠滅)を防げる
- 犯行の疑いがある人物の特定に近づける
情報の不正持ち出しが確認された場合、就業規則違反・守秘義務違反・個人情報保護法違反といった観点で社内処分や外部報告が必要になることもあります。
その際に必要となる報告書や証拠資料は、調査会社が提供するフォレンジックレポートを根拠として使用できます。企業の信用問題にかかわるため、インシデントが発生した際の調査は必須と言えるでしょう。
困ったときは調査実績が豊富で、信頼できる調査会社への相談がおすすめです。
信頼できる情報持ち出し調査会社を選ぶ6つのポイント
信頼できる情報持ち出し調査会社を選ぶ際は、以下のような項目を比較するのがオススメです。
- 調査実績
- 緊急対応(スピード)
- 料金体系
- 設備
- セキュリティ
- 調査力の高さ
調査実績
情報持ち出し調査会社は、相談内容がデリケートなこともあり過去の相談内容などがあまり公開されていません。しかし、特に規模が大きかったり調査能力がしっかりしている会社は、警察への捜査協力による感謝状を授与されていたり、官公庁からの依頼実績を一部公開しているところもあります。
また、過去の累計相談件数が多いところはそれだけ解析のノウハウが蓄積しており、またそれだけ多数の相談を受けるキャパシティがあると推測できます。
緊急対応(スピード)
情報持ち出しは、発覚からの初動が遅れるほど証拠が失われやすくなるため、調査スピードが非常に重要です。
調査会社によっては相談してから調査開始までに1週間以上待つ場合もあり、最終的に結果が分かるのが1ヶ月以上先になることもあります。
この間に証拠が上書きされたり、関係者が環境を初期化・削除してしまうと、真相解明や責任追及が不可能になるケースもあります。また、「何が起きたか分からない」「誰を信じていいか分からない」といった状況が続くことで、社内の信頼関係や精神的ストレスにも悪影響を及ぼします。
そのため、依頼後すぐに初動対応に入れる体制を整えており、設備・人員が揃っていてスピード感のある精密調査ができる会社を選ぶことが重要です。
料金体系
情報持ち出し調査の相場は、簡易的な調査で数万円~と言われています。
最新設備を導入したり一定以上の技術水準を担保して正式な調査報告書なども発行しているような会社であれば、10万円以上かかるケースもあるようです。
また、法人向けの内部不正調査をベースにしたサービスを、個人や中小規模のケース向けにカスタマイズして提供している会社もあり、相談内容や調査対象によって料金が上下します。
注意したいのは、「数千円〜」といった極端に安い金額を謳う調査会社です。
そうした業者は、実際には誰でもできるような表面的な操作ログの確認や、無料ソフトでのスキャンを行うだけといった内容を「調査」として売っている場合もあります。
さらに、「定額制」とされていても、調査を進めるうちに解析範囲の追加や報告書作成費などで追加料金が発生することもあるため、事前に詳細な見積もりと作業範囲を確認することが重要です。
中には、初回相談・見積もりを無料で行っている信頼性の高い調査会社もあるため、いきなり契約するのではなく、まずは複数社から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
設備
情報持ち出し調査のための解析には、専門設備が必要です。特に最新の設備を導入するには資金力が必要になるので、自社内にラボを構えている会社はそう多くありません。
また、「バーチャルラボ」等の文言には注意しましょう。特に探偵や興信所など、情報持ち出し調査を専門としていない会社では「バーチャルラボ」等とうたっていても、実態はほとんどないということもあります。
設備がしっかりしている調査会社はラボの様子をHPやパンフレットで公開していたり、実際に見学させてもらえるところもあるので、設備の規模がどの程度あるかしっかり確認してください。
セキュリティ
個人情報や重要な情報が詰まった機器を預けるため、セキュリティ対策がしっかり行われていることは大前提になります。
見極めるポイントとして、個人情報の取扱いが適切である事業者のみ取得できる「Pマーク(プライバシーマーク)」や、情報セキュリティを管理する国際基準の品質規格である「ISMS/ISO27001」の認証を取得している会社であれば問題ないでしょう。
また、業者によっては受付のみ自社で行い解析作業を外注しているようなところもあります。預けた機器や情報が万全なセキュリティ対策のもと管理されているかどうかは非常に重要なポイントですので、事項で解説する「設備規模」と併せて確認するとよいでしょう。
調査力の高さ
まず何より調査能力が高いことが最重要です。情報持ち出し調査のためには高度な専門知識が必要で、調査力の高さも大きな幅があります。
低額の会社に依頼して結局何もわからなかったでは本末転倒になってしまうので、調査力の高い会社に依頼することが大事です。
【30社以上から厳選】おすすめの情報持ち出し調査会社はこちら
これらのポイントから30社以上の情報持ち出し調査会社から厳選したおすすめ情報持ち出し調査会社は、デジタルデータフォレンジックです。
デジタルデータフォレンジックは、個人はもちろん、大手企業や警察からの依頼も多数解決しているため、実績・経験は申し分ない情報持ち出し調査対応業者です。「Pマーク」「ISO27001」を取得しているため、セキュリティ面でも信頼がおけます。
相談から見積もりまで無料で行っているので、情報持ち出し調査を検討している際は、まずは実績のあるデジタルデータフォレンジックに相談すると良いでしょう。
デジタルデータフォレンジック
公式サイトデジタルデータフォレンジック
デジタルデータフォレンジックは、累計3万9千件以上の豊富な相談実績を持ち、全国各地の警察・捜査機関からの相談実績も395件以上ある国内有数のフォレンジック調査サービスです。
一般的なフォレンジック調査会社と比較して対応範囲が幅広く、法人のサイバー攻撃被害調査や社内不正調査に加えて、個人のハッキング調査・パスワード解析まで受け付けています。24時間365日の相談窓口があり、最短30分で無料のWeb打合せ可能とスピーディーに対応してくれるので、緊急時でも安心です。
運営元であるデジタルデータソリューション株式会社では14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービスも展開しており、万が一必要なデータが暗号化・削除されている場合でも、高い技術力で復元できるという強みを持っています。調査・解析・復旧技術の高さから、何度もテレビや新聞などのメディアに取り上げられている優良企業です。
相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。
費用 | ★相談・見積り無料 まずはご相談をおすすめします |
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調査対象 | デジタル機器全般:PC/スマートフォン/サーバ/外付けHDD/USBメモリ/SDカード/タブレット 等 |
サービス | ●サイバーインシデント調査: マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃調査、情報漏洩調査、ハッキング調査、不正アクセス(Webサイト改ざん)調査、サポート詐欺被害調査、Emotet感染調査 ●社内不正調査: 退職者の不正調査、情報持ち出し調査、横領・着服調査、労働問題調査、文書・データ改ざん調査、証拠データ復元 ●その他のサービス: パスワード解除、デジタル遺品調査、セキュリティ診断、ペネトレーションテスト(侵入テスト)、OSINT調査(ダークウェブ調査) 等 ※法人・個人問わず対応可能 |
特長 | ✔官公庁・法人・捜査機関への協力を含む、累計39,000件以上の相談実績 ✔企業で発生しうるサイバーインシデント・人的インシデントの両方に対応 ✔国際標準規格ISO27001/Pマークを取得した万全なセキュリティ体制 ✔経済産業省策定の情報セキュリティサービス基準適合サービスリストに掲載 ✔警視庁からの表彰など豊富な実績 ✔14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービス(※)を保有する企業が調査 ※第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2020年) |
基本情報 | 運営会社:デジタルデータソリューション株式会社 所在地:東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ森タワー15階 |
受付時間 | 24時間365日 年中無休で営業(土日・祝日も対応可) ★最短30分でWeb打合せ(無料) |
情報持ち出し調査会社への依頼にかかる費用の相場
小規模な調査(PC1台~) | 50,000円~ |
大規模な調査 | 1,000,000円~ |
上記はあくまで最低価格の目安だと考えてよいでしょう。情報持ち出し調査にかかる費用は、調査方法や調査項目によって大きく変動します。
解析には専門的なスキルが必要なうえ、専門の設備で調べるため、その分の料金が発生します。もちろん、その分信頼できる結果も得られるため、事態が深刻で調査が必要な場合は予算をしっかり確認した上で、信頼できる調査会社に依頼するようにしましょう。
情報持ち出し調査会社の調査費用については以下の記事でも解説しています。
情報持ち出し調査会社を利用するときの注意点
情報持ち出しや社内不正を調査する場合の4つの注意点について紹介します。
- 不審なファイルを消去しない(証拠保全)
- 自力でログ解析や復元を試みない
- 怪しいソフトや無料ツールを使って対応しようとしない
- 探偵事務所での情報持ち出し調査は専門外
不審なファイルを消去しない(証拠保全)
勝手にファイルを削除したり、初期化したりするのは絶対NGです。操作ログ・アクセス履歴・外部送信の痕跡などが全て消える可能性があります。
フォレンジック調査では「何もいじっていない状態」の方が正確な分析ができます。調査対象はそのままにして、専門家による保全作業を待ちましょう。
自力でログ解析や復元を試みない
「何か痕跡がないか調べよう」として、ログを開いたり削除してしまうと、重要な証拠が上書き・改ざんされてしまう危険があります。
不用意に端末へアクセスせず、隔離して電源を切るなどの処置をしたうえで、専門業者に引き渡すのがベストです。
怪しいソフトや無料ツールを使って対応しようとしない
「フリーソフトで調べてみる」、「市販のセキュリティツールを入れてみる」という行動も危険です。
特にルートキット(※無害に見せかけて裏で動作する不正ソフト)のようなツールをうっかり使うと、証拠隠滅やさらなる被害の原因になる可能性があります。
探偵事務所での情報持ち出し調査は専門外
主に個人を対象として、スマホやパソコンの情報持ち出し調査を行っている探偵事務所があります。スマホの普及率が増加していることや、個人のハッキング被害数の増加していることが背景としてあるようです。
しかし探偵事務所は、デジタル機器やフォレンジックに関する専門知識と調査技術を持たないケースがほとんどです。ノウハウがないため、調査内容に不足や不備が出る可能性があります。情報持ち出しの正確な調査を行うためには、セキュリティに関する専門知識と専用の調査ツールが不可欠となります。
また探偵事務所がこれらの調査を外部委託している場合、外注先に機器が移動するため、情報漏えいのリスクや調査期間の長期化も考えられます。
情報持ち出しや社内不正などで、端末の調査が必要な場合は、情報持ち出し調査を専門としている調査会社に相談しましょう。
優良な情報持ち出し調査会社の見極めかた一覧
優良な情報持ち出し調査会社を見極めるポイントを以下の観点で紹介します。
- 調査実績が豊富な情報持ち出し調査会社を見極めるポイント
- 信頼できる調査会社かどうかを見極めるポイント
- サービスの利用しやすさを見極めるポイント
【ポイント1】調査実績が豊富な情報持ち出し調査会社を見極めるポイント
調査実績が豊富な情報持ち出し調査会社を見極めるポイントとして、たとえば下記のような項目があります。
- 情報持ち出し調査の能力が高く、実績が多数ある(数値や指標で明示している)
- 優秀なアナリストが多数在籍し、チーム体制で調査・解析にあたっている
- 情報持ち出し調査以外にも幅広いフォレンジック調査に対応している
- 調査対応スピードが速い
- 情報持ち出し調査に必要な設備が整っている
- 海外での技術研修に参加するなど技術向上の取り組みを積極的に行っている
- 法的証拠として有効なレベルのレポート(報告書)を出すことができる
- 調査解析のラボが公開されている
- 優秀なアナリストが多数在籍し、専門ごとに調査にあたっている
- 破壊された機器であっても自社内で復旧できる
【ポイント2】信頼できる調査会社かどうかを見極めるポイント
情報持ち出し調査を依頼する際、自分のスマホやPCを一度預けて中のデータを解析してもらうので、信頼できる調査会社かどうか、必ず確認してください。
情報持ち出し調査会社が信頼できるかを見極めるために、具体的には下記のような点に着目するといいでしょう。
- 大手法人や官公庁の取引実績が多数あり、運営会社が信頼できる
- 他社に外注せず、自社内で解析を行っている
- サービス対応が丁寧で信頼できる
- プライバシー認証の取得等、セキュリティ対策が徹底されている
- ラボへの持込み・見学が可能(作業風景を外部に発信・公開している)
【ポイント3】サービスの利用しやすさを見極めるポイント
データ復旧サービスの利用しやすさを見極める項目としては、下記があげられます。
- 土日祝日の調査対応や夜間窓口があり、相談しやすい
- 依頼時に機器を預けてから返却までのスピードが速い
- 依頼前の初期費用がかからない
- 特急料金がかからない
- 見積りが出た後に追加費用や項目が増えない
- 予算に応じて料金プランを調整してもらえる
よくある質問
ここでは、従業員や退職者による情報持ち出しの調査に関して、よくある質問とその回答をまとめました。
- 自力で情報持ち出しの調査はできますか?
- 証拠として認定される要素には何がありますか?
- 調査の結果は裁判や社内処分の証拠として使えますか?
自力で情報持ち出しの調査はできますか?
ある程度の知識と環境があれば不可能ではありません。たとえばログファイルの確認やファイル操作履歴のチェックなど、表面的な調査であれば実行可能です。
しかし、実際の情報持ち出しは痕跡の隠蔽・削除・改ざんが行われているケースも多く、ログ解析・ファイル復元・証拠保全といった専門的なスキルが求められます。また、自力で取得したデータは証拠能力が弱く、裁判や社内処分の根拠に使えない可能性も高いです。
本格的な調査が必要な場合は、最初からフォレンジック調査会社に相談することを強くおすすめします。
証拠として認定される要素には何がありますか?
内部からの情報持ち出しがあった場合、証拠として認定される可能性のあるデータには以下のようなものがあります。
- 社用端末からUSBや外部クラウドにファイルをコピー・アップロードした履歴
- 業務外時間に不自然なアクセスが集中しているログ
- 退職前にファイルを大量に開いた・送信した記録
- 不正なリモート接続ソフトや外部アプリのインストール履歴
- ファイルの削除・改ざん・名前変更といった不審な操作履歴
こうしたデータは、高度なログ解析やシステムレベルの操作記録の抽出が必要になるため、専門家でないと正確に検出するのは難しいです。
調査の結果は裁判や社内処分の証拠として使えますか?
はい。条件を満たせば、フォレンジック調査の結果は裁判でも証拠として使用できます。ただし重要なのは、「証拠保全の手順を正しく踏んでいるか」「データの改ざんリスクを排除しているか」です。
信頼できる調査会社であれば、以下のような対応が可能です。
- WriteBlocker(書き込み防止装置)を使った証拠保全
- 証拠能力を担保するログの抽出・記録
- 調査結果をまとめたレポート(証拠資料として提出可能)の作成
- 弁護士・社労士と連携した法的対応の支援
実績がなく、こうしたプロセスを踏まない調査会社に依頼すると、「証拠にならなかった」という事態になりかねません。
必ず証拠保全とレポート作成に対応している会社を選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は、情報持ち出し調査会社の概要や費用、情報持ち出し調査会社を選ぶポイントについて解説しました。不明点があれば、情報持ち出し調査会社に直接問い合わせてみるのが一番早いです。
調査はデリケートかつスピードが求められる対応ですが、焦らず、確かな実績と設備を持った信頼性の高い調査会社を見極めることが重要です。相談・見積までは無料で対応してくれる調査会社もありますので、不安であればまずは一度相談してみることも検討してください。