
近年、マルウェア感染やフィッシング詐欺などの攻撃手法が高度化し、企業・個人を問わずパソコンの乗っ取りやハッキング被害に遭うリスクが高まっています。本記事では、ハッキング被害を最小限に抑えるための即時対応と、被害範囲を確認するための手順をステップごとに紹介します。対処が遅れるほど被害が拡大する恐れがあるため、少しでも疑いがあれば以下の内容を参考に、早急に対応を検討してください。
目次
ネットワーク接続の遮断
パソコンがハッキングされた疑いがある場合、まず最初に行うべきことは、ネットワーク接続を切断することです。
ネットワーク接続を遮断することで、攻撃者による追加の操作やデータ流出を防ぐことができます。以下の手順で迅速にネットワークを切断しましょう。
- 有線LANであればケーブルを抜く
- 無線LANであればWi-Fiをオフにする
- 必要に応じて機内モードを有効にする
さらに、ルーター自体を再起動することで、全ての接続をリセットし、不正アクセスの継続を防ぐことが可能です。ただし、再接続前に上記の他の対策を講じることが重要です。
パスワードの変更
次に、すべての重要なアカウント(メール、オンラインバンキング、SNSなど)のパスワードを変更します。
パスワードの変更は、不正アクセスを防ぐための基本的かつ重要なステップです。以下のポイントを参考に、強力なパスワードを設定しましょう。
- 複雑で予測困難なパスワードを設定する(英数字・記号の組み合わせ)
- 各アカウントごとに異なるパスワードを使用する
- 定期的にパスワードを変更する
- 可能であれば、2要素認証(2FA)を有効にする
また、パスワード管理ツールを利用することで、複雑なパスワードを安全に管理・生成することができます。これにより、パスワードの使い回しや忘れを防ぎ、セキュリティをさらに強化できます。
セキュリティソフトによるスキャン
信頼できるセキュリティソフトを使用してシステム全体をスキャンし、マルウェアや不正プログラムを検出・駆除します。
セキュリティソフトによるスキャンは、感染源を特定し、被害を最小限に抑えるための重要な手段です。以下のポイントに留意してスキャンを実施しましょう。
- 定期的なスキャンをスケジュール設定する
- リアルタイム保護機能を有効にする
- 最新の定義ファイルに更新しておく
スキャンの結果、疑わしいファイルやプログラムが検出された場合は、即座に隔離・削除し、再度スキャンを実施することで完全に駆除できるか確認してください。また、スキャン後はシステムを再起動し、正常な状態に戻ることを確認しましょう。
システムの更新
OSやインストールされているソフトウェアを最新バージョンにアップデートし、既知の脆弱性を修正します。
システムの更新は、ハッカーが脆弱性を突いて侵入するのを防ぐための基本的なセキュリティ対策です。以下の手順でアップデートを実施しましょう。
- OSの更新を確認し、最新のパッチを適用する
- 使用しているソフトウェア(ブラウザ、オフィスソフトなど)も最新バージョンに更新する
- 自動更新機能を有効にして、常に最新の状態を維持する
また、更新が適用されていないソフトウェアやサービスがないか定期的に確認し、セキュリティリスクを最小限に抑えましょう。特に、セキュリティ関連のアップデートは迅速に適用することが推奨されます。
被害状況の確認(ダークウェブ調査など)
パソコンが乗っ取られた際に、個人情報や機密データがダークウェブ上で売買される可能性があります。
ダークウェブは通常のブラウザではアクセスできず、匿名性が高いため、不正に取得された情報が取引されやすい環境です。以下の方法で被害状況を確認しましょう。
- 専門の監視サービスを利用して、個人情報がダークウェブで公開されていないかチェックする
- 自分自身でダークウェブにアクセスするのは危険なため、信頼できる第三者に依頼する
情報が流出している場合は、速やかに関連するアカウントのパスワードを再設定し、必要に応じて口座の凍結やクレジットカードの再発行を行ってください。これにより、不正利用のリスクを低減できます。
クレジットカードや口座情報の確認
ハッキングによってクレジットカード情報や口座情報が盗まれた可能性がある場合は、カード会社・金融機関に連絡し、不正利用の有無を確認しましょう。
以下の手順で確認と対応を行います。
- カード会社に連絡し、不正利用の有無を確認する
- 必要に応じてカードの再発行を依頼する
- 銀行や金融機関にも同様に連絡し、口座の状況を確認する
- 不正取引が確認された場合は、速やかに口座凍結を依頼する
また、定期的にクレジットカードや銀行口座の取引履歴を確認する習慣をつけることで、早期に不正利用を発見し、対応することが可能です。
システムの復元または再インストール
上記の対策を試しても問題が解決しない場合、システムの復元やOSの再インストールを検討してください。
これにより、パソコン内に潜むマルウェアや不正プログラムを完全に削除し、システムを正常な状態に戻すことができます。以下のポイントに注意して実施しましょう。
- 再インストール前に重要データのバックアップを必ず取る
- バックアップデータにもマルウェアが含まれていないか確認する
- 初期化後は、最新のOSとソフトウェアをインストールする
- セキュリティ設定を見直し、再発防止策を強化する
ただし、再インストールを行う前に、現在の環境を証拠として保全しておくことが重要です。フォレンジック調査が必要な場合は、初期化前に専門家へ相談しましょう。これにより、後から問題の原因を特定し、適切な対策を講じることができます。
ハッキング調査会社・専門家への相談
自力での対応が困難な場合や、被害範囲が把握できない場合は、フォレンジック調査会社や専門家に相談しましょう。
フォレンジック調査では、ハッキングの痕跡を詳細に分析し、どのような経路で侵入が起きたのか、何が流出したのかなどを特定できます。以下の点を確認しながら専門家に依頼することが重要です。
- 不正アクセスの経路や方法の特定
- 流出した情報の範囲と内容の把握
- 被害の拡大防止策の提案
- 警察や行政への報告資料の作成支援
結果を基に具体的な再発防止策を立案できるため、早期解決や企業の信頼回復にもつながります。専門家のサポートを受けることで、被害の全容を把握し、効果的な対策を講じることが可能です。
パソコンのハッキング・乗っ取り被害を調査する場合「フォレンジック」調査が有効
パソコンが乗っ取りハッキングされている場合、何らかの情報漏えいが起きている可能性が極めて高いと考えられます。
このような場合、再発防止もかねて、いつどのような経路で不正アクセスされたのか調査し、適切な対処をとる必要があります。
この際、フォレンジック調査という技術が有効です。しかし、ランサムウェアのフォレンジック調査では、高度なログ解析技術など専門技能やノウハウが要求されるため、社内の担当者が自力で行うことは困難です。そのため、セキュリティ企業などの専門家に依頼することが必要です。
まずはフォレンジック調査対応の会社のハッキング調査サービスへの相談を検討しましょう。
フォレンジック調査
ハッキング調査に活用される技術として「フォレンジック」というものがあります。これは別名で「デジタル鑑識」とも呼ばれ、スマホやPCなどの記憶媒体、ないしネットワークに残されているログ情報などを調査・解析する際に用いられます。
なお、フォレンジック調査は、裁判上での証拠保全に限らず、さまざまな場面で、法人・個人を問わず、広く活用されています。たとえばマルウェアの感染調査、あるいは不正アクセスによる顧客情報流出の事後調査などのケースで用いられます。また最高裁や警視庁でも法的な捜査方法として取り入れられており、セキュリティ・インシデントの調査において最も有効な調査手法のひとつとなっています。
おすすめのフォレンジック調査会社
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編集部が厳選したおすすめのフォレンジック調査会社は、デジタルデータフォレンジックです。
デジタルデータフォレンジックは、累計3万9千件以上の豊富な相談実績を持ち、全国各地の警察・捜査機関からの相談実績も395件以上ある国内有数のフォレンジック調査サービスです。
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