Elbieランサムウェアとは?特徴や感染時の対処方法を解説|サイバーセキュリティ.com

Elbieランサムウェアとは?特徴や感染時の対処方法を解説

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Elbieランサムウェアは、主にWindows システムをターゲットにしたPhobos派生のランサムウェア亜種です。通常、暗号化されたファイルに「.elbie」拡張子と、被害者のID 、および攻撃者の電子メールアドレスを追加します。

Elbieランサムウェアに感染した場合、個人情報保護の観点から、被害に遭った企業は専門業者の支援が必要になる場合があります。被害を最小限に抑えるためにも、適切な初動対応と調査を行いましょう。

この記事では、Elbieランサムウェアの特徴をはじめ、感染が疑われる場合の対処法、調査手法について解説します。

Elbieランサムウェアとは?近年の動向

Elbieはランサムウェアの一種で、Phobosの典型的な亜種と見なされています。

2022年11月2日には、韓国でElbieの拡散が報告され、その影響は日本にも及びました。同年には、大阪急性期・総合医療センターで発生したランサムウェア攻撃に使用され、その結果、重要な医療情報が一時的に利用できなくなるという事態が発生しました。

出典大阪急性期・総合医療センター

Elbieランサムウェアの特徴

Elbieランサムウェアには主に以下のような特徴があります。

  • 「.Elbie」拡張子に書き変わる
  • 身代金要求ファイル「info.hta」「info.txt」を作成する
  • 暗号化方式「AES-256」を採用している
  • フィッシングメールなどを通じて感染する

「.Elbie」拡張子に書き変わる

Elbieは「.Elbie」拡張子をファイル名に挿入し、さらに被害者のIDと連絡先の電子メールアドレスを追加します。

例えば「1.jpg」という名前のファイルは「1.jpg.id[被害者のID].[連絡先のメールアドレス].Elbie」に、「2.jpg」は「2.jpg.id[被害者のID].[連絡先のメールアドレス].Elbie」などに変わります。

以下は、Elbieによって暗号化されたファイル(拡張子「.Elbie」)のスクリーンショットです。

画像出典PCrisk

身代金要求ファイル「info.hta」「info.txt」を作成する

Elbieランサムウェアに感染すると、HTMLファイルの「info.hta」、テキストファイルの「info.txt」が表示されます。

メモの内容を要約すると次の通りです。

  • 連絡が遅れるほど、復号ツールの価格が上がるなど、指定されたメールアドレスへの迅速な連絡を求めている。
  • 実際に復号できることを証明するため、指定のIDに暗号化ファイルを送ると、最大で5つのファイルを復号するとしている。
  • 他のソフトウェアを使用したり、ファイル名を変更したりすると、データ損失が発生する可能性があると警告している。

ただし、ランサムノートに従って身代金を支払っても、ファイルの復旧は必ずしも保証されません。むしろ身代金を支払うと、攻撃者はさらなる要求を出すこともあり、結果的に被害が拡大する可能性があります

そもそも、攻撃者は身代金を受け取ったとしても、被害者のデータを不正に使用する可能性があります。これにより、個人情報漏えいや機密情報の流出などが発生し、被害が拡大します。総じて、身代金を支払うことは被害を拡大させるリスクを伴います。

したがって、ランサムウェアに感染した場合は、身代金を支払うのではなく、専門家に相談し、適切な対策と対応が必要です。

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暗号化方式「AES-256」を採用している

Elbieランサムウェアは、Phobosランサムウェアと同様に「AES-256」という暗号化方式を採用し、データを暗号化します。

AES-256は、ランサムウェアでよく採用される暗号化アルゴリズムです。なぜなら鍵長が256ビットもあり、組み合わせは2の256乗(約1.15792×10^77通り)と、復号するには膨大な時間と計算が必要になるからです。

なお、ここでいう膨大な時間とは、すなわちブルートフォース攻撃(ランダムな組み合わせを試して、正しい復号キーを見つける総当たり方式)で復号するのにかかる時間です。たとえば1秒間に1000億回の組み合わせを試すことができるブルートフォース攻撃でも、復号には約120億年かかります。このことから、暗号化を自力で復号することは現実的ではありません。

フィッシングメールなどを通じて感染する

Elbieランサムウェアの主要な感染経路は次の通りです。

  • フィッシングメール:偽通知や緊急情報が含まれたスパムメールに添付された悪意のあるファイルやリンクを開くことで感染。
  • 偽のソフトウェアアップデート:インストール済みプログラムの脆弱性を悪用し、偽のアップデートを介してマルウェアが直接インストールされる。
  • 信頼できない情報源からのダウンロード:信頼できないサイトを経由してマルウェアがコンピューターに侵入する。
  • トロイの木馬:信頼できないプログラムやファイルをダウンロード・実行し、トロイの木馬を通じてランサムウェアが侵入。
  • 海賊版ツール:有料のソフトウェアを不正な方法で承認するツールを使用した過程で、マルウェアが侵入。

いずれにせよ感染を防ぐ場合、OSやソフトウェアのアップデートをこまめに行うことが重要です。アップデートには、セキュリティの脆弱性を修正する内容が含まれており、脆弱性を悪用したマルウェアやランサムウエアの侵入を防ぐことができます。

Elbieランサムウェアの感染が疑われる場合の対処法

Elbieランサムウェアの感染が疑われる場合の対処法は以下のとおりです。

ネットワークの遮断

Elbieランサムウェアの感染が疑われる場合、まずはネットワークを遮断しましょう。

ランサムウェアは、感染した端末からネットワークを通じて他の端末に感染を広げる可能性があります。そのため、ランサムウェアの感染が疑われる場合は、まずはネットワークを遮断して被害の拡大を防ぐことが重要です。

メールアドレス・パスワードの変更

メールアドレスやパスワードを変更せず使用し続けるのは危険なため、ランサムウェアの感染が疑われる際は変更しましょう。

ただ、メールアドレスやパスワードの変更を行う際は、ランサムウェアに感染していない端末で行ってください。既に感染した端末で変更すると、変更した情報が詐取され、再び悪用される恐れがあります。

データの復旧

Elbieランサムウェアに感染した場合、暗号化されたデータの復旧が必要となります。事前にバックアップを取っている場合は、サーバーの初期化を行った後、バックアップからデータの復元を試しましょう。

また、データ復号ソフトを使用することで、暗号化されたデータを復旧できる可能性があります。ただし、ソフトのインストールの際に必要なデータを上書きする可能性がある上、復旧できるデータが限られるなど、データ消失のリスクもあることを留意しておきましょう。

データの暗号化については以下の記事をご覧ください。

感染経路を調査

ランサムウェア感染時、侵入経路の調査し、攻撃者の手口を把握することが推奨されています。なぜならランサムウェア感染時、どの脆弱性を悪用し、どの経路から侵入したのかを特定しないまま、復旧作業を行った場合、被害の拡大や再攻撃のリスクを招くおそれがあります。

これ以外にもコンプライアンスの観点からみて、感染経路を明確にすることは非常に重要です。ただし、個人で感染経路や被害状況を調査することは難しいとされています。なぜならランサムウェア感染の調査には、ネットワークに関する知識はもちろん、膨大な量のログやデータを分析する必要があり、調査に時間と労力が必要になるからです。

そこで有効なのが「フォレンジック調査」です。フォレンジック調査とは、デジタル機器に残された記録やデータの保全、調査、分析を行う技術であり、ランサムウェアの感染経路調査に適しています。これによって個人では対応できない領域まで調査することができます。ランサムウェア感染時は、フォレンジック調査の専門業者に相談しましょう。

ランサムウェアに感染経路や対処法については、以下の記事で詳しく紹介しています。

フォレンジック調査
ウイルス感染調査には「フォレンジック調査」という方法が存在します。フォレンジックとは、スマホやPCなどの電子機器や、ネットワークに記録されているログ情報などを解析・調査することで、社内不正調査やサイバー攻撃被害調査に活用される技術のことです。別名「デジタル鑑識」とも呼ばれ、最高裁や警視庁でも正式な捜査手法として取り入れられています。

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  • セキュリティ体制が整っている
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相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。

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まとめ

今回は、Elbieランサムウェアの特徴や対策方法などを解説しました。ランサムウェアに感染すると個人情報が漏えいしたり、サイバー攻撃の拠点にされたりする恐れがあります。ランサムウェアに感染しないためにしっかりと対策を講じ、必要に応じて専門業者への相談も検討しましょう。

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