HDDは記憶装置として幅広く使用されています。多くのデータを保存することができるので、PC・ゲーム機・レコーダー・外部記憶装置等で使用されています。
しかし、HDDは消耗品であるため、ある日突然故障をしてしまうことがあります。故障をしてしまった際、中に保存されているデータを取り出したいときはどうすれば良いのでしょうか。また、誤削除や、フォーマットにより消えてしまったデータを取り出すにはどのようにしたらよいのでしょうか。
この記事ではHDDの構造を詳しく解説し、それぞれが原因で壊れてしまい、データを取り出せない場合に、どのような対処法を取るべきなのかを紹介しています。
HDDとは
HDDはHard Disk Drive(ハードディスクドライブ)の略で、電磁的にデータの書き込み・読み取りを行う記憶装置です。
HDDの仕組み
HDDは、主に下記のような部品から構成されていて、それぞれに役割があります。
- プラッタ(磁気ディスク)
- 磁気ヘッド
- スピンドルモーター
- アクチュエーター
- PCB基板
プラッタ(磁気ディスク)
プラッタはHDDに保存されているデータを記録している面です。そのため、HDDが記憶装置である以上、HDD内で一番重要な部品と言えます。HDDによってプラッタの枚数に違いがあり、プラッタの枚数が増えると、保存できるデータの容量も増えます。
また、HDD内で最もデリケートな部品であり、指紋や髪の毛の付着でさえ、故障の原因となります。プラッタに傷が付く「スクラッチ」と呼ばれる障害はHDDの中でも最重度レベルであり、故障した際にデータ復旧をできる業者は限られています。
磁気ヘッド
磁気ヘッドは、HDDのデータを読み書きする役割を担っています。プラッタを「レコード盤」とすると、磁気ヘッドは「レコード針」のような役割です。
HDDは、磁気ヘッドがプラッタのわずか上を浮遊し、データを読み書きしています。そのため、外的衝撃や経年劣化によって、ヘッドがプラッタに接触してしまうことがあります。また、ヘッド障害では正常にヘッドを動かすことができなくなってしまうケースもあります。
磁気ヘッドの障害では、「カチカチ」「カタカタ」といった異音がします。異音が聞こえる段階では、データの読み書きができている状況であっても直ちに使用を中止し、データ復旧の専門業者へ相談してください。
スピンドルモーター
HDDはプラッタが高速回転をし続けていることでデータの読み書きを行っています。そのプラッタの回転を担っているのがスピンドルモーターです。このスピンドルモーターはHDDによって回転数が決まっています。回転数が速いければ速いほど、データの読み書きの速度が速くなります。
モーターに障害が発生すると、回転異常などが発生し、正常なデータの読み書きができなくなってしまいます。モーターが故障している場合、部品の交換が必要となるため、個人での作業はほぼ不可能です。
アクチュエーター
HDDは磁気ヘッドが正常に動作することで、データの読み書きをすることが可能となります。磁気ヘッドは「シークモーター」という部品によって動いています。その「シークモータ」を磁力によって動作させているのがアクチュエーターです。
HDDに物理的な破損がある場合、多くはこのアクチュエーターの故障が発生しています。
PCB基板
PCB基板は、HDDのモーター回転や、データの読み書きに必要なヘッド動作を制御する役割を担っています。HDDの速度面での性能は、このPCB基板の性能に依存するので、HDDの部品内でも重要な部品です。
PCB基板に障害が発生すると、PCB基板自体を交換する必要があります。さらに、PCB基板はROM情報を移植する必要があるため、個人での復旧作業は困難です。
SSDとの違い
SSDはSolid State Drive(ソリッドステートドライブ)の略で、半導体素子メモリを使った記憶媒体のことを指します。使用方法はHDDと全く同じですが、大きく異なるのが書き込み・読み取りのスピードです。HDDと比べると、SSDにはHDDで使用されている磁気ディスクのかわりに、NAND型フラッシュメモリという記録メモリが採用されているため、電気的な処理によって高速なデータの読み書きが可能です。
比較的新しいモデルのPCであると、SSDが標準搭載であることが多いです。しかし、大容量で安価なHDDは、バックアップデータの保存先などで需要があるため、使用者の目的に合わせた選定が可能です。
HDDの寿命
HDDの寿命は、一般的に平均3年~4年(約26,000~35,000時間)と言われています。
HDDはモーターを回転させてプラッタにデータを読み書きする仕組みになっているため、使っているうちに経年劣化が起き、最終的に故障してしまいます。
また、外付けHDDの場合、内蔵HDDに比べてより外気温の影響を受けやすいという特徴を持っています。室温や湿度が極端に高い環境で使用することは、HDDが物理的に酷使され、平均寿命よりも早く故障してしまうケースもありますので控えましょう。
HDDの寿命については、以下の記事で詳しく紹介しています。
HDDの故障の原因
HDDが故障する際には、大きく分けて以下の2つの原因が考えられます。
- 論理障害
- 物理障害
論理障害
論理障害とは、HDDの保存されているデータに問題がある障害です。主な原因として「データの誤削除」「フォーマット」「データの暗号化」等が存在します。HDDに論理障害が発生した場合、以下のような症状が現れます。
- フォーマットの要求
- OSが起動しない
- ファイルやフォルダ名の変更
論理障害の場合、市販のデータ復元ソフト等でデータを復旧できる場合がありますが、ソフトの誤操作やデータの上書きによって、データを完全に失ってしまう場合もあります。重要なデータを復旧する場合、まずは無料で相談できるデータ復旧専門業者へ相談しましょう。
物理障害
物理障害とは、HDD自体が物理的に破損している障害を指します。主な原因として「落下などの強い衝撃」「水没」「経年劣化」等が存在します。HDDに物理障害が発生した場合、以下のような症状が現れます。
- 「カチカチ」「カタカタ」と異音がする
- 頻繁に再起動・フリーズをする
- HDDが認識されない
物理障害の場合、HDDの部品交換や部品の修復を行う必要があるため、個人でのデータ復旧作業はほぼ不可能です。保存されているデータが必要な場合は、データ復旧専門業者へ相談しましょう。
HDDが故障した際の注意点
HDDが故障した場合は、以下の点に注意し、データ復旧専門業者へ相談しましょう。
- HDDを開封しない
- 通電を避ける
- フォーマットをしない
HDDを開封しない
HDDは精密機器であり、非常にデリケートなため、内部へのホコリや塵、指紋の付着でさえ、データを取り出せる可能性が著しく低下します。
実際に復旧を行うために開封する場合であっても、クリーンルームと呼ばれる専用の設備や高度な技術力が必要となります。ですので、個人でのHDDの開封は控え、必要と感じる場合には専門業者へ相談しましょう。
通電を避ける
HDDに何らかの障害が発生している場合、症状の種類に関わらず通電はできるだけ避けましょう。
通電中のHDDは、ログ情報やOS情報などを常に書き込んでいます。そのため、削除データ等のデータ復旧を行う際に通電をしたままにしておくと、データの上書きなどが発生し、復旧の難易度が上がってしまいます。
また、HDDに物理的な障害が発生している場合は、通電をすることで、プラッタが回転し続けるので、プラッタ上に傷がついてしまう等、症状の悪化に繋がります。データ復旧を考えている場合は、極力通電を避けましょう。
フォーマットをしない
HDDに障害が発生した場合、「フォーマットしますか?」というエラーメッセージが表示される場合があります。エラーメッセージに従いフォーマットをしてしまうと、機器が使えるようになる場合がありますが、保存されているデータにアクセスすることができなくなってしまいます。
必要なデータが1つでも保存されている場合、フォーマットは行わないでください。万が一、起こってしまった場合は以下の記事を参考にしてください。
HDDが故障した際の対処法
HDDが故障し、データの復旧や機器の動作復旧を目指す場合、個人で行う場合と業者に相談する方法に分かれます。
個人での対処法
個人での対処法には以下のものがあります。
- パソコンのプログラムで修復
- バックアップからの復旧
- データ復元ソフトでの復旧
詳しくは以下の記事で紹介しています。
ここで紹介したは対処法は、自力での復旧可能性がある障害に対するものです。復旧可能性がない障害に上記のような方法を行うと、状態の悪化、最悪の場合、二度とデータが取り出せなくなる場合があるので、注意しましょう。
取り出したいデータの重要度が高い場合や、個人での判断・作業に不安がある方は以下で紹介する方法を検討してください。
データ復元ソフトのリスク
個人でデータ復旧を行う際に、「データ復元ソフト」を使用する方法があります。ソフトに対応している障害であれば、比較的安価にデータ復旧を試みることができます。
しかし、データ復元ソフトの使用には一定以上のリテラシーが必要であり、誤操作や意図しない上書きによって取り出せたはずのデータが取り出せなくなってしまう場合もあります。
また、ソフトに対応していない障害であった場合、データ復旧専門業者でも復旧不可能な障害になってしまう可能性があります。
ソフトを使用する際は、必要なデータの重要度を考え使用しましょう。
個人では対応できない場合の対処法
個人でのデータ復旧が難しい、不安だという方は、下記のような専門業者へ相談しましょう。
- メーカー・機器修理専門業者
- データ復旧専門業者
これらの業者は、「機器の動作」と「保存されているデータ」のどちらを優先するかで決めてください。
メーカー・機器修理専門業者
メーカー・機器修理専門業者には「機器の動作」を優先する場合に相談してください。
機器修理専門業者へ依頼すると、故障している機器自体を使用できる状態に修理をしてくれます。しかし、保存されているデータは破棄されてしまうことが多いので、一つでも必要なデータがある場合は、データ復旧の専門業者に相談しましょう。
データ復旧専門業者
データ復旧専門業者には「保存されているデータ」を優先する場合に相談してください。
データ復旧専門業者に相談すると、機器やデータが破損していることで、取り出せないデータを取り出してくれます。ただし、機器が使える状態で戻ってこない場合があるため注意してください。
また、データ復旧は、一度作業に失敗してしまうとその後の作業難易度が上がってしまうので、「メーカー保証で無料だった」「安価だった」「近かった」という理由で選定することは避けましょう。
データ復旧専門業者には、無料で相談から見積もり提示までできる業者も存在するため、まずはそのような専門業者に問い合わせてみることを検討してください。
おすすめデータ復旧専門業者
データ復旧専門業者に依頼するのであれば、データが復旧ができなければ意味がありません。そこで「復旧率」の高いおすすめのデータ復旧専門業者を選定しました。
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復旧費用 | 相談から見積もりまで無料 500GB未満:5,000円〜 500GB以上:10,000円〜 1TB以上:20,000円〜 2TB以上:30,000円〜 |
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対応製品 | RAID機器(NAS/サーバー)、パソコン(ノート/デスクトップ)、外付けHDD、SSD、USBメモリ、ビデオカメラ、SDカード・レコーダー等記憶媒体全般 |
復旧期間 | 最短当日に復旧完了(本社へ持ち込む場合) 約80%が48時間以内に復旧完了 |
特長 | 14年連続データ復旧国内売上No.1 復旧率最高値95.2%の非常に高い技術力 官公庁や大手企業を含む累積46万件以上の相談実績 相談・診断・見積り無料(デジタルデータリカバリーへの配送料も無料) |
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まとめ
今回は、HDDの説明や、故障してしまった際の注意点・対処法について解説しました。
HDDが故障した際の対処法は、故障の原因によって異なります。それぞれの原因に対して適切な対処方法を行うことが確実・安全なデータ復旧に繋がります。
原因を個人で特定することが難しい場合や復旧したいデータの重要度が高い場合はデータ復旧の専門業者に相談してみてください。