残業代の不払い問題が深刻化する中、企業や従業員の間で勤怠データの改ざんが問題視されています。特に、PCログを改ざんすることで、労働時間が正確に記録されず、従業員が本来受け取るべき残業代が支払われないケースが多発しています。
フォレンジック調査は、このような改ざん行為を検証し、未払い残業代の請求を支援する有効な手段です。本記事では、PCログを活用したフォレンジック調査による証拠収集と請求の流れを詳しく解説します。
勤怠記録改ざんの手口
代理打刻
代理打刻とは、従業員が他の人の勤務開始や終了時に代わりに打刻を行う行為です。例えば、遅刻や早退を隠すために同僚に勤怠を打刻してもらう行為が該当します。これにより、実際の勤務時間とは異なるデータが記録され、給与の支払いに影響が出る場合があります。
カラ残業
カラ残業とは、実際に勤務していないにもかかわらず、残業を行ったと偽って申告する行為です。これは従業員が自ら虚偽の残業時間を申告したり、管理職が指示して過剰な残業時間を報告させる場合があります。
管理者による勤怠記録改ざん
管理者が従業員の勤怠記録を不正に変更するケースもあります。特に、残業時間を削減するために、管理職が自ら勤怠システムに介入して記録を修正することがあります。このような行為は、未払い残業代の問題や、従業員の権利侵害につながるため、重大な問題となります。
勤怠データ改ざんの証拠を収集する方法
勤怠データの改ざんが疑われる場合、企業や従業員は証拠を適切に収集し、問題を解決する必要があります。以下では、効果的な証拠収集方法について解説します。
紙の勤務表や日報を集める
従業員が手書きで記録している紙の勤務表や日報は、デジタルデータと比較する際に重要な証拠となります。特にデジタル勤怠システムに不正な変更が加えられた場合でも、紙媒体の記録があれば、改ざん前の正しい勤務時間を示すことができます。これらの記録は慎重に保管し、必要に応じてコピーを取っておくことが大切です。
証言を集める
改ざんの疑いがある場合、関係者の証言も重要な証拠となります。例えば、代理打刻や不正な残業時間申告に関与していた従業員や、勤怠データの操作を目撃した同僚からの証言を集めることで、状況を明確にすることができます。証言は録音だけでなく、書面でもできるだけ詳細に記録しておきましょう。
勤務中の証拠写真やスクリーンショット
勤務中に撮影された写真や、業務中のスクリーンショットも証拠として活用できます。特に、勤務時間外に業務を行っていたことを証明する写真や、システム操作のログイン画面のスクリーンショットなども証拠となることがあります。これらのデータは日時が確認できる形式で保存することが重要です。
メールの送受信履歴
勤務時間中に送受信されたメールの履歴は、実際に業務が行われていた時間を示す証拠となります。メールの送信時間や内容を確認し、改ざんされた勤怠データと照らし合わせることで、勤務実態を明らかにすることができます。
チャットツール・勤怠管理システムのログを確認する
社内のチャットツール(例:SlackやTeams)や勤怠管理システムのログも、改ざんの証拠を集めるために有効です。これらのログには、ユーザーのログイン・ログアウト時間や、システムへのアクセス履歴が記録されており、実際の勤務時間を裏付ける情報が含まれています。改ざんされた時間帯に不自然な操作が行われていないか確認することが大切です。
PCのログを収集する
PCの使用履歴や操作ログも、勤怠データの改ざんを証明する重要な手がかりとなります。具体的には、従業員がPCを使用していた時間帯のログイン・ログアウト履歴、アプリケーションの使用時間、インターネットのアクセス履歴などを確認します。以下の手順で収集することが可能です。
WindowsPCのログを収集する方法は以下の通りです。
- Windowsのスタートメニューを開き、「イベントビューア」と入力して検索する
- 表示されたイベントビューアアプリをクリックして起動する
- 「Windowsログ」を展開し、「システム」「アプリケーション」「セキュリティ」ログを確認する。
- 収集したいログが見つかったら、そのログを右クリックして「保存」を選択する
またコマンドプロンプトからPCログを収集する方法もあります。
- スタートメニューで「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを管理者として実行する
- wevtutil qe Security /rd:true /f:text /c:10 /q:”Event[System[(EventID=4624)]]”とコマンドを入力し、Enterキーを押す
- 最近のログイン成功イベント履歴が表示され、ログイン時間やユーザー名などを確認する
- スクリーンショットやテキストファイル内にログを保存する
フォレンジックサービスを利用する
自力でPCのログを取得できない、ログは取得できるがデータを見ても何もわからない場合は、フォレンジックサービスを利用するのが残業代請求への近道となることがあります。
フォレンジックとは、電子機器からデジタルデータを証拠として保全・解析する技術です。PCのログなどは改ざんや削除が容易なため、証拠能力が弱くなりがちですが、フォレンジック調査の一環である保全作業を行うことで、改ざんの痕跡を詳細に解析するために有効です。フォレンジックサービスでは、通常では取得が困難なログの解析に加え、消去されたデータの復元や、不正通信の有無なども行える場合があります。
おすすめのフォレンジック調査会社
フォレンジック調査はまだまだ一般的に馴染みが薄く、どのような判断基準で依頼先を選定すればよいか分からない方も多いと思います。そこで、30社以上の会社から以下のポイントで厳選した編集部おすすめの調査会社を紹介します。
信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイント
- 官公庁・捜査機関・大手法人の依頼実績がある
- 緊急時のスピード対応が可能
- セキュリティ体制が整っている
- 法的証拠となる調査報告書を発行できる
- データ復旧作業に対応している
- 費用形態が明確である
上記のポイントから厳選したおすすめのフォレンジック調査会社は、デジタルデータフォレンジックです。
デジタルデータフォレンジック
公式サイトデジタルデータフォレンジック
デジタルデータフォレンジックは、累計3万9千件以上の豊富な相談実績を持ち、全国各地の警察・捜査機関からの相談実績も395件以上ある国内有数のフォレンジック調査サービスです。
一般的なフォレンジック調査会社と比較して対応範囲が幅広く、法人のサイバー攻撃被害調査や社内不正調査に加えて、個人のハッキング調査・パスワード解析まで受け付けています。24時間365日の相談窓口があり、最短30分で無料のWeb打合せ可能とスピーディーに対応してくれるので、緊急時でも安心です。
運営元であるデジタルデータソリューション株式会社では14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービスも展開しており、万が一必要なデータが暗号化・削除されている場合でも、高い技術力で復元できるという強みを持っています。調査・解析・復旧技術の高さから、何度もテレビや新聞などのメディアに取り上げられている優良企業です。
相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。
費用 | ★相談・見積り無料 まずはご相談をおすすめします |
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調査対象 | デジタル機器全般:PC/スマートフォン/サーバ/外付けHDD/USBメモリ/SDカード/タブレット 等 |
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特長 | ✔官公庁・法人・捜査機関への協力を含む、累計39,000件以上の相談実績 ✔企業で発生しうるサイバーインシデント・人的インシデントの両方に対応 ✔国際標準規格ISO27001/Pマークを取得した万全なセキュリティ体制 ✔警視庁からの表彰など豊富な実績 ✔14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービス(※)を保有する企業が調査 ※第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2020年) |
基本情報 | 運営会社:デジタルデータソリューション株式会社 所在地:東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ森タワー15階 |
受付時間 | 24時間365日 年中無休で営業(土日・祝日も対応可) ★最短30分でWeb打合せ(無料) |
証拠を基にした残業代請求の進め方
PCのログ収集やフォレンジック調査の結果、ログなどの電子データも証拠として収集できたのであれば、いよいよ未払いの残業代の請求を進めていきます。以下の手口で未払いの残業代請求を進めましょう。
残業代を請求する
証拠が揃ったら、次に残業代を正確に計算します。通常の労働時間を超えた部分に対して、法定の割増賃金が適用されます。具体的には、1日8時間、または週40時間を超える労働に対しては25%以上の割増が必要です。さらに、深夜労働や休日労働にはさらに高い割増率が適用されることがあります。計算には、改ざんされた勤怠データと実際の勤務時間を比較し、過不足を正確に計算することが求められます。計算が複雑な場合は、労働基準法に詳しい専門家に相談するのも一つの方法です。
会社へ未払いの残業代の申立て・交渉を行う
次に、証拠と計算結果をもとに、会社に対して正式に未払い残業代の申立てを行います。労働者としては、まず管理職や人事部に対して問題を報告し、証拠を提示して誠実な交渉を行うことが重要です。この際、冷静かつ法的根拠を明確に示し、未払い残業代の支払いを求める姿勢を取ります。企業がすぐに対応しない場合、交渉が長引く可能性もあるため、詳細な記録を残し、交渉過程を文書化しておくことが後々の証拠として有利に働きます。
労働基準監督署への相談
会社が未払い残業代の支払いに応じない場合、次のステップとして、労働基準監督署に相談することが考えられます。労働基準監督署は、企業に対して調査を行い、未払い残業代の支払いを指導する権限を持っています。相談時には、PCログや勤怠記録、その他の証拠を持参し、具体的な状況を詳しく説明します。労働基準監督署は、企業に是正指導を行うことが多く、適切な対応が期待できる場合があります。
労働審判や裁判を行う
労働基準監督署でも解決しない場合、最終手段として労働審判や裁判を通じて未払い残業代を請求することが可能です。労働審判は、比較的短期間で解決を目指す手続きであり、裁判に比べて手続きが簡略化されています。もし労働審判で解決できない場合は、通常の裁判に進むことになります。裁判を進める際には、弁護士に相談し、証拠をもとに法的手続きを進めるのが一般的です。証拠がしっかり揃っていれば、勝訴の可能性も高まります。