パソコンの操作中に警告音と警告画面が表示され、画面上の電話番号に電話をかけると偽のサポートセンターにつながります。偽のサポートセンターでは警告画面が表示されたパソコンを修理するために、ソフトのインストールなどを促してきますが、遠隔操作による情報漏えいや不正送金被害に発展する恐れがあります。
本記事ではパソコン修理を騙る偽のサポート詐欺の手口と、被害に応じた対処法を紹介します。
パソコン修理を騙るサポート詐欺の手口とは
パソコン修理を装うサポート詐欺の手口とは、パソコンの偽警告画面から電話をかけさせます。そして修理やサポートの名目でリモートソフトをインストールさせることもあります。その後、リモートソフトを使って端末にアクセスします。
端末にアクセスしたら「修理」や「サポート」を行うふりをして、高額料金を請求します。このときすでにリモートソフトを利用して、個人情報やクレジットカード情報を盗むこともあります。
サポート費用は数百万円に及ぶこともあり、国民生活センターではサポート詐欺による高額請求の事例を紹介しています。
パソコンでインターネットを利用中に突然、大音量の警告音が鳴り「ウイルスに感染した可能性がある」と警告画面が表示された。マイクロソフト社を名乗る電話番号の表示があったので電話をしたところ、外国人らしき人が出て、遠隔操作ソフトをインストールするよう指示され、パソコン内を遠隔操作で見てもらった。
相手から「最近、銀行の取引をしたか」と聞かれたので、「インターネットバンキングを利用した」と告げると、ログインするよう指示された。パソコンの修理代として100円を請求されたので、インターネットバンキングの画面で送金額を100円と入力したはずが、遠隔操作によって「0(ゼロ)」を追加され、100万円に変更され送金されてしまった。
出典:国民生活センター
パソコン修理を騙るサポート詐欺の対処法
パソコン修理をうたったサポート詐欺の対処法は、どの段階で詐欺に気づいたかによって変化します。「トロイの木馬に感染しました」など、パソコンの操作中に偽警告画面が表示された場合は、適切なショートカットキーでブラウザを閉じることが最善です。
しかし偽のサポートセンターに電話して指示に従ってしまった場合、インストールしたソフトの削除や端末の調査などが必要になります。
パソコン修理をうたうサポート詐欺の対処法は以下の通りです。
- ショートカットキーでブラウザを閉じる
- タスクマネージャーを利用してブラウザを閉じる
- リモートソフトを削除する
- フォレンジック調査会社に相談する
ショートカットキーでブラウザを閉じる
「トロイの木馬に感染しました」「ウイルスに感染しています」など突然パソコンから警告音が鳴り、警告画面が表示された場合、画面に表示されたサポートの電話番号には電話せず、以下のショートカットキーを利用してブラウザを閉じましょう。ブラウザを閉じる方法はWindowsPCで3種類、Macで3種類あります。
Windowsの場合
- キーボード上の「Alt 」、「F4」キーを同時に押す
- キーボード「Ctrl 」「W」を同時に押す
- 「Ctrl 」「Shift 」「W」を同時に押す
Macの場合
- 「Command 」、「Q」キーを同時に押す
- 「Command」 、「 W」を同時に押す
- 「Command 」、「Option 」、「Esc」を同時に押す
タスクマネージャーを利用してブラウザを閉じる
タスクマネージャーとは、コンピュータで実行中のアプリなどを監視、管理できるツールです。Macの場合は「アクティビティモニタ」がタスクマネージャーに該当します。タスクマネージャーを使用することで、警告画面を強制終了することも可能です。
タスクマネージャーを利用して警告画面を閉じる方法は以下の通りです。
- Ctrl + Shift + Escキーを同時に押して、直接タスクマネージャーを開く
- あるいはCtrl + Alt + Deleteキーを同時に押し、セキュリティオプションが表示されたら「タスクマネージャー」を選択して開く
- タスクマネージャーの「アプリケーション」または「プロセス」タブに移動する
- 現在表示されているアプリケーションまたはプロセスのリストから、詐欺警告が表示されているブラウザを探す
- 該当するブラウザを右クリックして、「タスクの終了」または「プロセスの終了」を選択する
Macの場合
- Finderを開き、「アプリケーション」フォルダに移動する
- 「ユーティリティ」フォルダ内にある「アクティビティモニタ」をダブルクリックする
- アクティビティモニタが開いたら、「CPU」タブを選択して、現在実行中のプロセスのリストを表示する
- リストから、詐欺警告が表示されているブラウザを探す
- 該当するブラウザの名前をクリックして選択し、アクティビティモニタウィンドウの左上にある「X」ボタン(強制終了ボタン)をクリックします
- 確認ダイアログが表示された場合は、「強制終了」をクリックしてプロセスを終了
リモートソフトを削除する
偽のサポートセンターに指示されてリモートソフトをインストールしてしまった場合、速やかにソフトを削除しましょう。偽のサポートセンターがインストールを指示するソフトは一般的に流通しているものもあるため、リモートソフトを削除する方法は以下の通りです。
Windowsの場合
- 「スタート」ボタンをクリックし、「コントロールパネル」を選択する
- コントロールパネルで「プログラムと機能」または「プログラムのアンインストール」を選択
- リストから削除したいリモートソフトウェアを探す
- ソフトウェア名をクリックして選択し、「アンインストール」または「削除」をクリックします
- 画面の指示に従ってアンインストールを完了させる
Macの場合
- 「Finder」を開き、「アプリケーション」フォルダに移動
- 削除したいリモートソフトウェアのアプリケーションアイコンを探す
- アイコンを「ゴミ箱」にドラッグ&ドロップする
- ゴミ箱を右クリックして「ゴミ箱を空にする」を選択し、アプリケーションを完全に削除する
- アンインストール後、Macを再起動することをお勧めする
フォレンジック調査会社に相談する
偽のサポートセンターによってインスト―ルされたリモートソフトは、すぐに削除したとしても情報漏えいのリスクや遠隔操作、マルウェア(ウイルス感染)などのリスクが発生します。これはインストールしたリモートソフト自体は無害でも、第三者によってリモートソフトを通じて有害なファイルやソフト、アプリなどを勝手にインストールされる可能性があるためです。
このような場合、新たにインストールされた有害なソフトやファイルなど全て削除しなければ、不正アクセスや不正送金の危険性が高まります。一方で削除されないようにホーム画面やアイコンで有害なソフトがホーム画面などに表示されない設定にされている場合があり、被害の全容の把握が困難です。
この状況を解決できる方法が「フォレンジック調査」です。フォレンジック調査とは、電子端末内のデータを保全・解析する調査です。この調査によって有害なソフトやアプリ、マルウェア、情報漏えいの全容などを正確に把握し、調査結果を元に、適切なセキュリティ対策を行うことができます。
フォレンジック調査を専門とする調査会社の中には、警察などの公的機関にそのまま提出できる調査結果レポートを作成できる場合もありますので、サポート詐欺調査を行う際はまずは相談してみましょう。
フォレンジック調査会社を選ぶときのポイント
専門家が在籍するフォレンジック調査会社に調査を依頼すると、調査期間の短縮や、警察などに提出できる調査報告書の作成まで請け負ってもらえる場合があります。それでも、 調査会社を選ぶときのポイントは次の5つです。
官公庁・捜査機関・大手法人の依頼実績がある
上場企業や警察・官公庁からの依頼実績があるかどうかも、調査会社の信頼性を判断する上で重要なポイントとなります。
多数の相談実績を持つ調査会社は、高度な技術力やノウハウ、データ復旧に関する知識が蓄積しており、膨大なデータベースから適切な方法を選択し、証拠データを抽出することが可能です。
スピード対応している
サイバーインシデントが発生した際、感染拡大や証拠隠滅を防ぐため、早急かつ正確に把握する必要があります。この際、24時間・365日営業している調査会社であれば、素早い対応を期待できるでしょう。また「ファストフォレンジック」「DFIR(デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス)」などスピード対応に特化したフォレンジック調査が可能である調査会社を選ぶのも、重要なポイントとなってきます。
なお、いつまでに対応が完了し、調査対象機器が手元に戻るのかは、相談時に事前確認したほうが良いでしょう。
セキュリティ体制が整っている
セキュリティ対策をしっかりと行っている調査会社では「プライバシーマーク」や「ISO認証」などの認定を得ています。これらの認定は、世界基準で規定されている厳しい調査をクリアした会社のみ習得できるもので、フォレンジック調査会社の信頼性を判断するポイントにもなります。
フォレンジック調査を依頼する際は、機器はもちろんその中に保存されているデータも調査会社側に一定期間預けることになりますので、大切なデータを安心して預けることができるセキュリティ体制が整っているかを確認するようにしましょう。
また、一定の技術レベルやセキュリティの高さを見極めるために、経済産業省が規定した「情報セキュリティーサービス基準」にクリアした企業から依頼先を選ぶようにしましょう。
情報セキュリティサービス基準とは?
近年高まるセキュリティ対策の必要性に応じて、専門知識をもたない人でも一定以上のサービス品質を満たしているかどうか判断できるように経済産業省が規定した基準です。
セキュリティーサービス基準を満たした調査会社についてはこちらの記事でも紹介しています。
法的証拠となる調査報告書を発行できる
フォレンジック調査の報告書は、裁判所や行政機関に提出できる「法的証拠」として活用することが可能です。もし民事・刑事訴訟を視野に入れている場合は、あらかじめ法的証拠となる調査報告書を発行できるフォレンジック専門調査会社に対応を依頼することを視野に入れておきましょう。
おすすめのフォレンジック調査会社
フォレンジック調査はまだまだ一般的に馴染みが薄く、どのような判断基準で依頼先を選定すればよいか分からない方も多いと思います。そこで、30社以上の会社から以下のポイントで厳選した編集部おすすめの調査会社を紹介します。
信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイント
- 官公庁・捜査機関・大手法人の依頼実績がある
- 緊急時のスピード対応が可能
- セキュリティ体制が整っている
- 法的証拠となる調査報告書を発行できる
- データ復旧作業に対応している
- 費用形態が明確である
上記のポイントから厳選したおすすめのフォレンジック調査会社は、デジタルデータフォレンジックです。
デジタルデータフォレンジック
公式サイトデジタルデータフォレンジック
デジタルデータフォレンジックは、累計3万9千件以上の豊富な相談実績を持ち、全国各地の警察・捜査機関からの相談実績も395件以上ある国内有数のフォレンジック調査サービスです。
一般的なフォレンジック調査会社と比較して対応範囲が幅広く、法人のサイバー攻撃被害調査や社内不正調査に加えて、個人のハッキング調査・パスワード解析まで受け付けています。24時間365日の相談窓口があり、最短30分で無料のWeb打合せ可能とスピーディーに対応してくれるので、緊急時でも安心です。
運営元であるデジタルデータソリューション株式会社では14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービスも展開しており、万が一必要なデータが暗号化・削除されている場合でも、高い技術力で復元できるという強みを持っています。調査・解析・復旧技術の高さから、何度もテレビや新聞などのメディアに取り上げられている優良企業です。
相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。
費用 | ★相談・見積り無料 まずはご相談をおすすめします |
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調査対象 | デジタル機器全般:PC/スマートフォン/サーバ/外付けHDD/USBメモリ/SDカード/タブレット 等 |
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基本情報 | 運営会社:デジタルデータソリューション株式会社 所在地:東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ森タワー15階 |
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まとめ
パソコン修理を騙るサポート詐欺の被害に遭わないようにするためには、警告画面が出た時点でショートカットキーで画面を閉じることが重要です。しかし、偽のサポートセンターに電話をかけてソフトをインストールしてしまった場合、リモートソフトで遠隔操作されたり、画面を監視されてログイン画面などを盗み見される可能性があります。速やかにインストールしたソフトは削除し、専門家にフォレンジック調査を実施してもらいましょう。