日本ヒューレット・パッカード株式会社(HPまたはHPE)のサーバーであるProLiant(プロライアント)サーバーは企業で幅広く利用されています。
この記事ではHP製ProLiantサーバーのよくある障害事例や、障害が発生した際のデータ復旧(サルベージ)方法を解説します。
目次
1. HP製ProLiantサーバーの故障事例
HP製ProLiantサーバーでよく起こる障害にはどのようなものがあるのでしょうか。障害事例と考えられる原因を紹介します。
- 電源が入らない・アクセスができない
- エラーメッセージが表示される
電源が入らない・アクセスができない
機器自体の電源が入らない、もしくは電源を入れたにも関わらずHP製ProLiantサーバーにアクセスできない障害が発生することがあります。サーバーの電源が入らない・アクセスできない障害の場合、次のような原因が考えられます。
原因① 電源が供給できていない
電源ケーブルが抜けている・電源スイッチがオフになっているなど、電源が供給できていないことがよくあります。電源が供給できている場合は電源ボタン側の電源ランプが点灯します。まずは、HP製ProLiantサーバーの電源ランプが点灯しているかを確認しましょう。
原因② BIOSやマザーボード、メモリの故障
HP製ProLiantサーバーで正常に電源を供給できているものの起動しない場合、BIOSやマザーボード、メモリの故障が考えられます。システムを起動途中の場合は、しばらく待ってから再度動作を確認してください。
原因③ ファームウェアの破損
HP製ProLiantサーバーで正常に電源を供給できており、周辺部品に異常がないものの起動しない場合、ファームウェアの破損もしくは更新が必要な可能性があります。
原因④ 内蔵ハードディスク(HDD)の故障
HP製ProLiantサーバーが正常に起動し起動時のビープ音がするものの、ハードディスクをマウントできていない場合、ハードディスク自体が故障している可能性があります。ランプが赤く点灯していたり、カチカチ、カチャカチャといった異音がする場合はハードディスク自体の故障と考えてよいでしょう。
エラーメッセージが表示される
障害が発生するとエラーメッセージを表示し、故障内容を通知する場合があります。たとえば、「Drive (Bay) X is Failed」と表示されている場合、内蔵ハードディスクに障害が発生している可能性があります。
ここでは、対処を誤るとデータを消失する可能性があるエラーメッセージを中心に紹介いたします。焦らず内容を確認し、目的にあわせた対処を行うようにしましょう。
起動に失敗する・アクセスできない
Drive (Bay) X Has Loose Cable
考えられる原因:電源投入時にアレイ コントローラがこのドライブと通信できませんでした。それまでは、このドライブは故障していませんでした。
ドライブが故障している
Drive (Bay) X is Failed
考えられる原因:表示された物理ドライブが故障しました。
Logical Drive X Status = Interim Recovery (Volume Functional, but not Fault Tolerant)
考えられる原因:この論理ドライブ内の物理ドライブが故障しました。論理ドライブは動作していますが、ドライブがもう一台故障すると、データが完全に消失する場合があります。
SCSI Port X, Drive ID Y…S.M.A.R.T. Predictive Failure Errors Have Been Detected in the Factory Monitor(Power Monitor) and Performance Data……SOLUTION: Please replace this drive when conditions permit.
考えられる原因:このハードディスク ドライブに関する障害予測アラートが生成されました。これは、ドライブの障害が緊急の問題であることを示しています。
ファームウェアが破損・もしくは推奨バージョン以下
Controller Firmware Needs Upgrading
考えられる原因:コントローラのファームウェアが最新の推奨バージョン以下です。
Drive (Bay) X Firmware Needs Upgrading
考えられる原因:この物理ドライブのファームウェアが最新の推奨バージョンより古いバージョンです。
リビルド中・もしくはリビルドに失敗した
Drive (Bay) X is Undergoing Drive Recovery
考えられる原因:このドライブは、対応するミラーまたはパリティ データから再構築中です。
その他
Critical Error Occurred Prior to this Power-Up
考えられる原因:サーバをクラッシュさせる致命的なシステム エラーが記録されました。
2. HP製ProLiantサーバーのデータ復旧における注意点
HP製ProLiantサーバーに障害が発生した場合、安全にデータを復旧するために作業時に注意すべき点があります。
RAIDの再構築(リビルド)によるデータ再構築はNG
RAIDの再構築(リビルド)を試して故障したディスクのデータを復旧する行為は避けるべきです。同時期に購入したハードディスクは同時期に故障することも多く、正常だったハードディスクにもリビルドを実行したことで負荷がかかり、立て続けに障害が発生するケースがあるからです。
複数ドライブで障害が発生すると、HP製ProLiantサーバーの復旧が不可能に陥るリスクがあります。故障原因が正確にわからない場合、知識や技術力に自信がない場合は、個人での作業を控えましょう。
ハードディスク単体でのパソコン接続はNG
HP製ProLiantサーバーではRAID構成を用いて複数のハードディスクを1つのドライブとして扱っています。そのため、故障したハードディスク以外のディスクを単体でPCに接続したとしても、データにアクセスできないばかりか、ディスク内のシステムデータが破損してしまう可能性があります。PCに単体のハードディスクを接続する行為は避けてください。
ハードディスクの入れ替えや交換はNG
HP製ProLiantサーバーでは、複数のハードディスクを1つのドライブとして認識していることに加え、ディスクにデータを書き込むときも、システムの規則に従って記録されていきます。よって、HP製ProLiantサーバーからハードディスクを取り出して、交換したり入れ替えたりした際に、順番を間違えたり違う場所にディスクを入れてしまったりすると、システムの規則が乱れてしまいます。データの破損や上書きされてしまうリスクがあるため、ハードディスクの入れ替えや交換は避けましょう。
3. HP製ProLiantサーバー復旧の注意点
HP製ProLiantサーバーに障害が発生した場合、適切な手順を踏んで安全にデータを復旧しましょう。焦らず対処することが大切です。
電源の確認
なんらかの原因で、電源のスイッチが切れてしまっていたりする場合も多くあるので注意しましょう。また、サーバーを再起動することで解決する場合もあるのでまずは落ち着いて電源を確認しましょう。
しかし、電源をON・OFFする行為は、大きな負荷がサーバーにかかるため再起動や電源の入り切りを何度もする行為は避けましょう。
個人作業のリスク
個人作業は、データを失ってしまうリスクが伴うということを認識しましょう。特にサーバーの復旧には専門業者並みの知識と技術力が求められます。誤った作業をしてしまうと症状を悪化させてしまう可能性、最悪の場合はデータを失ってしまう危険性があります。知識や技術力に自信がない方は、サーバー復旧の個人作業を控えるようにしましょう。
「データ」と「起動」どちらを優先するか
復旧業者を選択する際「データ」「起動」どちらを優先するかがとても重要です。
ProLiantの「起動」を優先する場合は、ハードディスクの交換やメーカー(HP)に相談することお勧めします。メーカーの目的はあくまでも「起動」なので修理や代替品との交換によってデータを失ってしまう可能性があるので注意しましょう。
ProLiantの「データ」を優先する場合はデータ復旧業者への相談が安全にデータの復旧率を高める方法です。しかし、データ復旧業者は国内だけで100社以上あると言われており、技術力にも大きな差があるようです。安全に復旧するためにも注意して業者を選びましょう。
4. おすすめデータ復旧サービス・製品
技術力が高い業者の選定といっても、素人には判断が難しいです。
そこで、データ復旧サービス各社の価格、内容(対応製品)、期間や特長から比較した、おすすめのサービスを紹介します。
(2023年最新版)おすすめデータ復旧業者ランキングはこちら
デジタルデータリカバリー
サイトデジタルデータリカバリー
デジタルデータリカバリーは14年連続国内売上No.1の国内最大級のデータ復旧業者です。復旧率に関しても95.2%と業界最高水準を誇り、技術力は申し分ないといえます。
また、技術力の他に復旧スピードも非常に速く、最短当日かつ約80%が48時間以内に復旧されるというのも大きな魅力です。料金体系は成功報酬制が採用されており、診断・見積りも無料で行えるため、まずは最大手のデジタルデータリカバリーへの問合せをおすすめします。
価格 | 500GB未満:5,000円〜 500GB以上:10,000円〜 1TB以上:20,000円〜 2TB以上:30,000円〜 |
---|---|
内容(対応製品) | RAID機器(NAS/サーバー)、ハードディスク(パソコン)、外付けHDD、USBメモリ、ビデオカメラ、SSD、SDカード・MSDカードなど |
期間 | 最短当日(持ち込みの場合) 約80%が48時間以内に復旧完了 |
特長 | データ復旧専門業者で14年連続データ復旧国内売上No.1 95.2%の非常に高いデータ復旧率 累積36万件以上の相談実績 診断・見積り無料(デジタルデータリカバリーへの配送料も無料) |
5. まとめ
今回はHP製ProLiantサーバーが起動しない場合・アクセスできない場合の安全なデータ復旧方法を紹介しました。
HP製ProLiantサーバーが起動しない場合は「起動」「データ」どちらを優先するか判断しましょう。起動を優先する場合は、ハードディスク交換・メーカーに相談、大切なデータを安全に復旧したい場合は、データ復旧業者に依頼しましょう。
(2023年最新版)おすすめデータ復旧業者ランキングはこちら
【機種参考】
- タワーサーバー:ProLiant ML350 Gen10 ProLiant ML30 Gen9
- ラックサーバー:ProLiant DL20 Gen10 ProLiant DL360 Gen10 ProLiant DL380 Gen10
- NASサーバー:StoreEasy 1560 StoreEasy 1460
- ストレージサーバー:HPE Nimble Storage
あわせて以下のページもよく読まれています。