近年、サポート詐欺と呼ばれるネット詐欺に一般的なビジネスなどに利用されている遠隔操作アプリが使用されるケースが発生しています。サポート詐欺とは偽のサポートを装った詐欺師が、偽の警告文を見て連絡してきたユーザーに、サポート料と銘打って電子マネーの振りこみや遠隔操作ソフトのインストールを行わせるものです。
遠隔操作ソフトやアプリは悪用されると端末のハッキングやパスワードののぞき見などにつながります。最悪の場合金銭的な被害や個人情報の漏えいにもつながりかねません。
本記事では、まず遠隔操作ソフトを利用したサポート詐欺の手口について解説します。その後、誤ってインストールされた遠隔操作ソフトをパソコンやスマートフォンから安全にアンインストールする具体的な手順を詳しく説明します。また、遠隔操作ソフトやアプリをアンインストールしても被害が続く場合の対処法についても触れ、被害を最小限に抑えるための効果的な方法を紹介します。
目次
遠隔操作ソフトの種類
遠隔操作ソフトの中には、遠隔地のパソコンやスマートフォンを操作したり、ファイルの送受信や画面の共有などの機能を持つものもあります。代表的な遠隔操作ソフトやアプリには以下のものがあります。
- TeamViewer
- Chrome リモートデスクトップ
- Anydesk
- Verethragna
一方で、一部の遠隔操作ソフトの中にはネット詐欺の一種であるサポート詐欺にも使用されるものがあるようです。特に警告画面が出てきた時にこのような遠隔操作ソフトのダウンロードを行うのは危険ですので、注意しましょう。
サポート詐欺の手口
サポート詐欺とは、ユーザーの電子端末に「ウイルスに感染しています」などの偽の警告を表示させ、連絡を取ってきたユーザーたちにソフトやアプリのインストールや電話でのサポートを行う手口です。偽警告に表示された電話番号に電話をかけると、サポートセンターを名乗る人物につながるようですが、電話の相手は正規のサポートセンターではありません。指示に従ってソフトのインストールや契約を行うと、サポート料金として数万円から数十万円の電子マネーなどを繰り返し請求されることがあります。
以上がサポート詐欺の手口ですが、実際にはパソコンやスマートフォンはウイルスに感染していない場合がほとんどです。偽のサポートセンターは、電話や遠隔操作ソフトを利用して、個人情報や金銭を盗むことを目的としています。
遠隔操作ソフトをインストールされた場合の被害例
ここでは第三者に遠隔操作ソフトを端末にインストールされた場合、どのような被害が発生するのか紹介します。先ほど紹介したサポート詐欺以外でも、浮気防止などを目的に知人から端末に遠隔操作ソフトをインストールされるケースもあります。すぐに直接的な被害が出るとは限りませんが、ソフトがインストールされたことに気づかずに使用していると、端末の使用状況が第三者に筒抜けとなってしまい、遠隔操作や個人情報の漏えいといった二次被害が発生する可能性があります。
第三者に端末を操作される
遠隔操作ソフトやアプリを第三者にインストールされると、ターゲットのデバイスを自由に遠隔操作・監視できるようになります。これにより、保存ファイルの削除や改ざん、カメラやマイクによる盗聴・盗撮、ウイルスなど有害なプログラムが勝手にインストールされるといった被害を受けることがあります。
金銭被害を受ける
サポート詐欺では偽のサポートから高額なサポート料金が電子マネーで請求されることがありますが、サポートが終了後も遠隔操作ソフトが端末にインストールされたままだと、第三者に端末を遠隔操作や監視され、端末に保存された口座情報やクレジットカード情報にアクセスされる恐れがあります。最悪の場合は、過去に漏えいした情報を元に、不正送金やクレジットカードの不正利用に発展し、被害額が数百万円以上に及ぶ場合もあります。
個人情報が漏えいする恐れがある
遠隔操作ソフトが端末にインストールされた結果、ユーザーの個人情報(名前、住所、電話番号、マイナンバーなど)を第三者に知られる場合があります。個人情報がサポート詐欺グループなどに漏えいすると、ダークウェブと呼ばれる一般的な方法でアクセスできないインターネット領域で不特定多数に売買される可能性もあります。
ダークウェブは匿名性が高いため、漏えいした個人情報が不正アクセスなどの犯罪に利用される可能性もあります。短時間でも第三者の勧めで遠隔操作ソフトをインストールしてしまった場合は、専門家に情報漏えいなどの被害状況を一度調査してもらうことをおすすめします。
遠隔操作ソフトをアンインストールする手順
誤ってサポート詐欺の指示に従って遠隔操作ソフトをインストールしてしまったり、第三者に遠隔操作ソフトをインストールされた場合、アンインストールによって、該当ソフトによる遠隔操作を停止させることができます。パソコンとスマートフォンによってアンインストールの操作手順は異なるため、以下を参考にしてください。
パソコンから遠隔操作ソフトをアンインストールする方法
Windowsの場合
- パソコンを再起動し、起動中に「F8」キーを連打してセーフモードにする
- 「セーフモード」でパソコンを起動したら「スタート」メニューから「コントロールパネル」をクリックする
- 「プログラムと機能」をクリックしてインストールされているプログラムの一覧を表示させる
- 一覧の中から削除したい遠隔操作ソフトやアプリを見つける
- ソフトをクリックして「アンインストール」をクリックする
- パソコンの指示に従ってソフトをアンインストールしたら、セキュリティソフトで端末をスキャンする
Macの場合
- Finderを開き、「アプリケーション」フォルダに移動
- アンインストールしたい遠隔操作ソフトを探す
- ソフトをごみ箱にドラッグする
- 「ごみ箱」を右クリックして「ごみ箱を空にする」を選択する
- ごみ箱を空にしたらセキュリティソフトで端末をスキャンする
スマートフォンから遠隔操作ソフトをアンインストールする方法
iPhoneの場合
- ホーム画面で、削除したいアプリのアイコンを長押しする
- アプリアイコンの左上に表示される「×」をタップし、「削除」を選択
- 遠隔操作アプリを削除したらセキュリティアプリでスキャンをかける
Androidの場合
- ホーム画面から「設定」を開く
- 「アプリ」または「アプリと通知」を選択し、インストールされているアプリの一覧を表示する
- 削除したい遠隔操作アプリを見つけたら、選択し、「アンインストール」をタップする
- 画面の指示に従ってアンインストールを完了したらセキュリティアプリでスキャンをかける
ただし、アンインストールした遠隔操作ソフトとは別のソフトやアプリがダウンロードされていた場合、被害が続く可能性があります。また、遠隔操作ソフトやアプリによって漏洩した情報の有無ついて知るには、端末を専門技術を用いて調査する必要があります。遠隔操作ソフトやアプリによる被害の再発防止に努めたい場合は、専門家に一度端末の被害調査を相談することをおすすめします。
第三者による遠隔操作が続く場合の対処法
遠隔操作ソフトやアプリをアンインストールしても、アカウントの不正アクセスや、端末のハッキングなどが発生する場合、他の遠隔操作ソフトやアプリ、あるいはウイルスなど悪意あるプログラムが端末内に存在している可能性があります。このまま放置すると金銭被害などに発展しかねないため、以下の対処法を試してみましょう。
- ネットワークを切断する
- カード会社や銀行に連絡する
- 端末のパスワードを変更する
- 警察のサイバー犯罪相談窓口に相談する
- 専門家によるフォレンジック調査を受ける
ネットワークを切断する
電子端末の種類に関係なく、第三者に遠隔操作ソフトやアプリをインストールされた場合、Wi-Fiをオフにするか、LANケーブルを抜いてすぐにインターネット接続を切断しましょう。これにより、遠隔操作ソフトやアプリによる遠隔操作を防止するだけでなく、遠隔操作ソフトやウイルスによる不正な通信も封じ込められる場合があります。
カード会社や銀行に連絡する
第三者に遠隔操作アプリをいれられてしまった、またはサポートセンターを名乗る人物にクレジットカード番号や口座の暗証番号、二要素認証などを伝えてしまった場合、不正送金が行われる可能性が高いため、速やかにクレジットカード会社や銀行に連絡しましょう。
連絡が取れたらクレジットカードや口座の利用停止手続きを速やかに行ってください。また不正送金などが行われていないか確認もしておきましょう。
端末のパスワードを変更する
遠隔操作ソフトやアプリによるハッキングを受けた場合、メールアカウントや銀行アカウントのパスワード、クレジットカード登録を行っているサイトのアカウントなどは強力なものに設定し直しましょう。可能であれば二要素認証を有効にし、パスワードを解析されてもアカウントに不正アクセスされないようにしておきましょう。
警察のサイバー犯罪相談窓口に相談する
サイバー犯罪の被害に遭った場合、最寄りの警察署やサイバー犯罪相談窓口に連絡し、被害を相談するのも一つの手段です。警察にサイバー犯罪について相談すると、被害者に対して適切な対策を助言します。具体的には、どのような証拠を保存すべきか、どのような対策を講じるべきかについてのアドバイスが得られます。また、必要に応じて法的手続きに移行するサポートも提供されます。警察にサポート詐欺について相談する際は、不正アクセスの日時、不正送金の履歴、被害額、アカウント情報などがあると、警察で迅速に対応してもらえる場合があります。
専門家によるフォレンジック調査を受ける
サポート詐欺の被害に遭い、遠隔操作ソフトをインストールしてしまった場合、短時間であっても端末から情報が漏えいした可能性があります。情報漏えいを放置したままだと遠隔操作アプリなどをアンインストールしても、システムの脆弱性をついて不正アクセスやハッキング被害などが続く可能性もあります。
被害の再発を防止するには、遠隔操作ソフトによる端末の被害や情報漏えいの有無など詳細に調査したうえで適切なセキュリティ対策を行う必要があります。デジタル端末の不正通信や情報漏えいなどを詳細に調査する技術は「フォレンジック」と呼ばれ、日本の警察の捜査でも使用されています。
しかし警察の場合、被害の深刻度などによってはすぐに捜査してくれるとは限りません。また被害を受けた端末は事件によっては必ず詳細な調査を行うとは限らないため、端末のセキュリティ対策が不十分となる可能性があります。
端末にインストールされた遠隔操作ソフトの影響を詳細に調査しておきたい場合は、フォレンジック調査会社へ相談することをおすすめします。フォレンジック調査会社では、金銭被害などの実害が出ていなくても端末の調査が可能です。会社によっては相談から見積もりまで無料のところもあり、見積りを見てから判断できるため、不安な場合は依頼の有無にかかわらず、まずは専門会社に相談をすることが解決の第一歩です。
おすすめのフォレンジック調査会社
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デジタルデータフォレンジック
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相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。
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まとめ
偽のサポートの案内に従って遠隔操作アプリやソフトをインストールしてしまった場合、何も問題がないように見えてもバックグラウンドで遠隔操作ソフトが動作し、第三者に端末が不正に操作されたり、端末に保存されたパスワードなどの個人情報が漏えいする恐れがあります。サポート詐欺の遠隔操作に使われるソフトやアプリの中には、一般に利用されているものの場合もあり、被害に気づきづらいものや、別の遠隔操作アプリを勝手にインストールされる場合もあり、ソフトのアンインストールだけではセキュリティ対策として不十分です。再発を防止したい場合は、一度専門家によるフォレンジック調査を受け、端末の被害状況を正確に把握したうえで適切にセキュリティを強化することをおすすめします。