「裁判で使用するための証拠品としてファイルデータを復元したい」
「事故や事件の証拠となるデータ削除してしまったが復元したい」
「社内不正のデータが削除されてしまったが復元できないのか」
デジタル化とともに映像・写真・テキストデータなどが証拠能力を持つようになり、近年では法廷で証拠として利用されるケースが増加しています。「デジタル証拠」とも呼ばれ、情報社会を生きる我々にとって身近な存在になりつつあるデジタルデータの証拠品ですが、簡単に削除・消去できてしまうのがデメリットです。
本記事では削除データを復元し法的証拠を持たせるための方法について徹底解説します。
目次
証拠として使用できるデータについて
そもそもデジタル証拠の使用可否というのは法律上で明確に定められているものではありません。日本の民事訴訟では原則どのようなものを証拠として提出してもよいとされており、提出された証拠が「証拠としての役割」を持っているかどうかを判断するのもすべて裁判官の判断に任されています。(民事訴訟法247条)
したがって裁判においてデジタルデータが証拠として使用できるかは問題ではなく、提出されたデジタルデータが証拠能力を持っているかが重要になります。
データを復元して証拠として使いたいのか、データを復旧して自分が閲覧、編集できるようにしたいのかによって今後の行動が変わってきます。
証拠として使用できるデータの種類
裁判で証拠能力を持たせ、使用されるデータの一例をご紹介します。
- メール
- 写真
- 動画(映像)
- Excelなどの文書ファイル
- 音声データ など
証拠として使用できるデバイスについて
基本的にデータを保存できるデバイスであれば証拠として使用可能です。
- パソコン
- スマートフォン
- カメラ・ビデオカメラ
- ドライブレコーダー
- ボイスレコーダー
- USBメモリ・SDカード など
データを証拠として扱う際の注意点
デジタルデータを証拠として使用する場合、証拠能力を失わないためにも以下のような注意点に気を付けましょう。
証拠データ改ざんの恐れがある
証拠となる重要なデータは訴訟相手(被告)にとって不都合なものです。裁判で使用できないように改ざんをもくろんでいる可能性があります。反対に、訴える側(原告)にも「提出する物に証拠能力があるか」を証明する必要があります。
つまりデジタル証拠が改ざん・修正されていないことを証明し、証拠能力を持たせる作業=「保全作業」を行わなければならないのです。
保全作業については以下の画像をご覧ください。
デジタルデータを調査し、保全作業を行い法的証拠を持たせる作業をフォレンジック調査と呼びます。デジタル証拠を裁判で使用することを念頭に置いている方はこちらのページも参照してください。
証拠データが消える恐れがある
デジタルデータは物理的な障害や経年劣化による障害でデータが消えてしまう可能性があります。
簡易的な障害であれば復旧ソフトで復元することは可能ですが、障害が重度なのか軽度なのかの判断は非常に難しいとされています。復元の過程でデジタル証拠を編集してしまい、証拠能力を失う可能性もありますので基本的にデータ復元作業は個人で行わないことをおすすめしています。具体的な理由は以下の対応方法で説明します。
証拠データ削除の原因
証拠データが削除されてしまう原因について考えられるものがこちらです。
人為的な証拠データ削除
人為的なデータ削除には誤って削除したケースと、意図的に削除したケースが考えられます。
- 事故を起こしてしまい、気が動転してドライブレコーダーのデータを削除してしまった
- メールの宛先を誤り、焦って資料をすべて削除してしまった
- 退職後、元従業員が機密情報を外部に持ち出した後に痕跡をすべて消去した
- 裁判で自らが不利となる映像を被疑者に削除されてしまった
物理的な障害による証拠データ削除
物理的な障害とは、デバイスに何かしらの衝撃が加わり、機器自体が破損してしまっている状態です。破損によりデータを読み込めず、デバイスからデータを取り出すことができなくなってしまいます。物理的な障害が起こっている場合、以下の症状が発生します。
- デバイス(機器)自体が破損している
- デバイス内部から異音がする
- エラーが表示されデータが参照できない
物理的な障害によりデータが見れなくなった場合、基本的に個人での復元は難しいとされています。
経年劣化による証拠データ削除/消去
長期間デバイスを使用し続け、内部部品が劣化していくとデータが削除されてしまうことがあります。
一般的にパソコンは5年、スマホは2~3年などデバイスごとに使用寿命は異なりますが、デバイスが劣化している状態で使用を続けているとデバイスの内部部品に障害が発生してしまい、データが正確に読み込めなくなってしまいます。
証拠データ削除後の対応方法
証拠として使用したいデータが削除されてしまった場合、以下の方法で対応しましょう。
デバイスをそれ以上使用しない
他のデータも誤って削除してしまわないようにデバイスの使用を中止しましょう。またデータの復元を試みようといろいろと操作をするのも危険です。データ復元は個人で行うと障害が併発したり、データ復元が難しい状態に症状が悪化したりする可能性があります。証拠として使用ために不可欠な重要データであれば、確実に復元させるためにも使用を中断しましょう。
デバイスによっては使用すると古いデータから上書きしていくものもあるので、調査時に証拠部分が上書きされてしまうケースもあります。そのため、デバイスは使用しないようにしましょう。
他人の手に触れない場所にデバイスを保管する
証拠として使用する場合、データの改ざん・修正がない状態を証明しなければいけません。
特に、被告側に都合の良いようにデータを改ざんされてしまうと、原告側が不利になるだけではなく、証拠としての能力が失われてしまいます。
必ず相手方の手にデバイスが渡らないような場所にデバイスを保管しておきましょう。
削除された証拠データの復元方法
削除された証拠データの復元方法について紹介します。
復元ソフトでの証拠データ復元
復元ソフトを使用してデータを取り出す作業は、安価で手軽に行うことができますが、データを取り出せる確率は非常に低いとされています。ハードディスクやSDカードなどの復元作業は、専門知識や復元専門のツールを用意しなければいけません。
また個人では、デバイスの故障状況や破損箇所を判断するのは非常に困難で、復元ソフトを利用すると、新たな障害を併発させてしまう可能性もあります。また、新たな障害を併発させたということはデータが書き換えられた可能性も発生し、証拠能力がなくなるケースもあります。
証拠提出用のデータを確実に取り出したい場合は、データ復元も対応できるフォレンジック調査専門の業者に依頼することをおすすめします。
証拠を復元して調査が行えるおすすめのフォレンジック調査会社
フォレンジック調査はまだまだ一般に馴染みが薄く、フォレンジック調査会社選びの際もどのような判断基準で選定すればよいか分からない方も多いと思います。
そこで、対応領域や費用・実績などを踏まえ、50社以上の中から見つけたおすすめのフォレンジック調査会社・調査会社を紹介します。
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デジタルデータフォレンジックは、国内売上No.1のデータ復旧業者が提供しているフォレンジックサービスです。累計3.2万件以上の相談実績を持ち、サイバー攻撃被害や社内不正の調査経験が豊富な調査会社です。
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まとめ
いかがだったでしょうか。IT化に伴い、裁判で使用する証拠もデジタル化している現代ですが、重要なデータを誤って削除してしまったり、他人に改ざんされてしまうと証拠能力が失われてしまいます。削除されたデータを正確に取り出すために、直ちに使用を中止し、専門業者に相談しましょう。
デジタル証拠を有効活用すれば、裁判を有利に進めることができるはずです。