【横領発覚時の事後対応】横領・着服を証明する証拠の調査方法や裁判利用をするには|サイバーセキュリティ.com

【横領発覚時の事後対応】横領・着服を証明する証拠の調査方法や裁判利用をするには

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企業の従業員が横領をした場合、何らかの処分をするには、事前に十分な調査や事情聴取をして、横領の有無や被害金額を確定することが最も重要になります

しかし、デジタル化が進みゆく昨今において横領の手口や証拠の種類は多様化しており、「証拠隠滅」「証拠不十分」「証拠がない」といった問題が発生しています。今回はそういった問題にも対応できる証拠調査の方法や、横領・着服発覚時の事後対応全般について解説していきます。

横領罪とは

横領罪は以下の3つに分けることができます。この記事では特に業務上横領罪について解説していきますが、その他の横領罪についても説明します。

3つの横領罪

業務上横領罪

業務として所有している他者の財産を横領した時に問われる罪(刑法253条)

業務上横領罪は、業務上自己が占有する他人(会社)の所有物を横領した場合に成立する罪状です。量刑は懲役10年以下と定められています。金銭以外にも会社の備品などを横領した場合でも適用されます。業務上横領罪を行ってから7年間は刑事事件として立件が可能です。

(例)経理担当が会社のお金を自身の口座に入金していた。など

遺失物横領罪

落とし物など、他者の手から離れた財産を横領した時に問われる罪(刑法254条)

遺失物横領罪は遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者に課されます。量刑は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料となります

(例)電車の中に落ちていたスマホを売却した。道に落ちていた財布をそのまま自分のものにした。など

単純横領罪

委託を受けて自身が所有している他者の財産を横領した時に問われる罪(刑法252条)

単純横領罪は自己の占有する他人の物を横領した場合に適用されます。量刑は5年以下の懲役です。単純横領罪は公務所から保管を命ぜられた自己の物を横領しても適用されます。

(例)他人から保管してほしいと頼まれたお金を、自分のために使用してしまった。など

横領をしてしまう人の特徴

不正のトライアングル

横領などの社内不正を図ろうとする人の心理的なメカニズムは、不正のトライアングルの要素がある環境が影響していると考えられています。

不正のトライアングルとは、「金銭に困っている」など、不正を働く動機を持っていて、業務上横領が可能な立場にいる環境や機会があると、「不正を働いてもいいのではないか」と自らの行動を正当化する考え方に陥ってしまうというものです。

不正のトライアングルについてや、社内不正についての詳細は以下のページをご覧ください。

企業が横領・着服調査をしないリスク

横領・着服は一度に数百万円以上被害が発生する場合もあります。横領を放置して常態化してしまうと被害総額が億単位になりかねません。

会社が倒産する

資本金の少ない中小企業や経営が悪化している企業の場合、多額の横領が行われると資金繰りがショートして倒産しかねません。また、一定以上の規模の会社が倒産した場合、取引先企業も倒産する連鎖倒産を引き起こす可能性もあります。

顧客情報や会社機密が漏えいする可能性もある

業務上横領罪は情報や知識といった無形物の持ち出しで罪に問うことはできません。しかし、顧客情報の入ったリスト会社の機密情報、営業秘密が記載されたUSBメモリなどの物品を不正に持ち出した場合は業務上横領罪に当たる場合があります。

特に顧客の住所やクレジットカード番号などの個人情報が流出した場合、企業は個人情報保護委員会に速報と確報を報告することが義務化されています。報告を怠った場合や、不適切な情報の取り扱いを行った場合は取引先からの信用を失うだけでなく、企業に最大1億円の罰金が科されるため、注意しましょう。

横領・着服で従業員を懲戒解雇・告訴するには明確な証拠が必要

横領・着服が判明したら、犯人を放置することで企業の利益や信頼を損なうため、刑事告訴や懲戒解雇を行いたいと考える方は多いでしょう。

しかし、刑事告訴や懲戒解雇は横領が行われたという明確な証拠がなければ告訴に至りません。また横領が疑われる人物の解雇後に労働裁判を起こされる場合もあるため、社内で横領調査を行う必要があります。

横領・着服の明確な証拠がなければ警察は捜査できない

横領・着服は犯罪ですが、警察は被害届を受理しなければ現行犯逮捕を除き、捜査ができません。横領犯の逮捕と刑事告訴を考えている場合は、まずは被害届を出し、警察に受理してもらう必要があります。

被害届は弁護士が代筆可能ですが、「横領の被害日時、犯行現場、横領された金額や物品の個数、被害状況、犯人とその動機」などを可能な限り記載する必要があります。

横領の実行犯に関しては被害届提出時点で不明でも問題はありませんが、民事事件と判断されたり、被害が極めて軽微な場合などは受理してもらえない可能性があるため注意しましょう。

 証拠不十分で従業員を解雇すると解雇が無効となるリスクがある

証拠不十分の状態で従業員を解雇することもリスクがあります。

懲戒解雇を行うためには、横領の事実認定が客観的に認定できたうえで、手続きの正当性や処罰の妥当性が必要です。無暗に従業員を懲戒解雇すると、逆に訴えられる場合があり、企業側が敗訴すると解雇の無効や未払い分の賃金を支払う義務を負う可能性があります。

横領を証明するために必要な証拠とは?

紙媒体の資料

  • 伝票
  • 領収書
  • 帳簿
  • 社員のメモ帳
  • 社員の始末書 など

デジタル機器やデータ

  • スマホ・タブレットのチャット履歴
  • パソコンのアクセス履歴
  • 監視カメラの映像
  • Excelなどの文書ファイル
  • 写真・動画 など

デジタル機器やデータを証拠とする場合の注意点

近年IT化が進んでおり、法廷で提出されるデータもデジタル化しています。近年ではデジタル証拠とも呼ばれており、証拠能力を持たせたデジタルデータを裁判に提出することができます。しかしデジタルデータを証拠として使用する際には注意しなければならないポイントがあります。

データが改ざん・修正されていないことを証明する必要がある

裁判に提出する証拠が改ざん・修正されていないことを証明する作業を証拠保全といいます。
詳しくは下の画像をご覧ください。

簡単に削除できてしまう

デジタルデータは簡単に内容を操作することができてしまうので、データを改ざん・修正・削除されてしまう可能性があります。削除データの復旧対応については以下のページを参照してください。

デジタルデータを証拠にできるフォレンジック調査とは?

フォレンジック調査とは、犯罪の調査における法的証拠の収集を行う鑑識・調査のことを指しています。特に横領の調査で活用できるのはコンピューターフォレンジックと呼ばれる調査方法で、パソコンやスマホなどのデジタル機器を調査します。意図的に削除されたデータの解析や、アクセスログ分析を行い、横領の証拠を裁判に提出することができます。
横領の証拠を隠蔽するために、削除されたパソコンのアクセス履歴や、監視カメラの映像データなども、調査することが可能です。

デジタルデータフォレンジック

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デジタルデータフォレンジックは、国内売上No.1のデータ復旧業者が提供しているフォレンジックサービスです。累計2.4万件以上の相談実績を持ち、サイバー攻撃被害や社内不正の調査経験が豊富な調査会社です。

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(※)(※)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)

横領・着服の調査方法について

社内の横領・着服を調査する場合、具体的にはどのような調査を行えばよいのでしょうか?社内で可能な横領着服の調査方法は以下の通りです。

  • 帳簿や伝票といった書類などをチェックする
  • 監視カメラをチェックする
  • 横領が疑われる社員を監視する
  • 横領・着服の関係者や本人に事情聴取を行う
  • 外部の調査会社や弁護士に相談する

帳簿や伝票といった書類などをチェックする

  • 金額が合わない帳簿
  • 明らかに金額が水増しされた領収書や伝票

人目につくと証拠隠滅や他の社員の動揺を招きますので、社員の休日や社外にいる時間帯で調査することをおすすめします。

監視カメラをチェックする

監視カメラが社内に設置されている場合は、監視カメラの映像をチェックし、不審な動きをしていないか確認しましょう。

横領が疑われる社員を監視する

横領・着服が疑われる人物が浮かんだ場合、以下の方法で横領が疑われる社員を監視することが可能です。

  • 業務分担を複数人で行う、
  • 市販の監視ツールを導入する

横領・着服の関係者や本人に事情聴取を行う

監視カメラや紙類の帳簿などの証拠が集まり、横領の実行犯がある程度判明した場合は、関係者に事情聴取を行いましょう。この時に発言を書面に記録するだけでなく、録音も必ず取っておくことが重要です。

横領・着服の実行犯が犯行を自白し、他の証拠と突き合わせても不審点がない場合は、賠償金の支払いや懲戒処分、解雇などの話し合いに移りましょう。

外部の調査会社や弁護士に相談する

証拠の収集と同時並行で弁護士や外部の調査会社に相談することをおすすめします。業務上横領罪の場合、確実な証拠がないと警察は動かないことがほとんどです。

横領の事案は手続きが複雑なため、被害を警察に申告するまで時間がかかってしまいます。横領についての知識がない状態で、弁護士に頼まず調査を進めることはなかなか困難でしょう。社内不正や横領など法人向けの弁護士事務所に相談することで、的確な対応方法についてのアドバイスをもらえるはずです。

またパソコンなどのデジタルデータの証拠収集には専門技術が必要です。証拠を取得するならフォレンジック調査会社に相談することで、デジタルデータを裁判や警察で使用できる証拠として提出できます。

横領発覚時にやってはいけないこと

横領が発覚したら、証拠の放置は厳禁です。しかし、証拠の収集は横領犯とその共犯者に気づかれないように行う必要があります。証拠隠滅を防ぐために社内の証拠収集で行ってはいけないことは以下の通りです。

  • 横領の証拠を調査せずそのまま放置しない
  • 横領の関係者への事情聴取を予告しない
  • 表立って証拠収集を行わない
  • 横領で使われた電子機器を使用しない
  • 市販のデータ復旧ソフトを使用しない
  • USBメモリや外付けHDDなどにデータをコピーしない

横領の証拠を調査せずそのまま放置しない

重要な資料・データにも関わらず、証拠能力を持たせることができないまま放っておくと、疑いのある社員に証拠隠滅・隠蔽・改ざんされる恐れがあります。

横領調査は初動の速さが重要です。社内での証拠収集は迅速に行いましょう。

横領の関係者への事情聴取を予告しない

業務上横領は取引先や上司、部下、知人など複数人で組織的に行われる場合があります

横領犯を特定できない時点で横領の事情聴取を予告すると口裏を合わせられ、正しい証言を得られません。

表立って証拠収集を行わない

就業時間中や社員の目につく場所で横領の証拠探しを行うと、社員に不安を抱かせるだけでなく、横領犯が犯行に気づかれたことを悟り、証拠隠滅や情報持ち出しに走る可能性があります。

企業用のパソコンやスマートフォンなどが持ち出されると、社内の機密情報や顧客情報の流出といった二次被害が予想されるため、証拠収集は就業時間外に行うか、セキュリティが強固な外部調査会社と協力して証拠収集を行いましょう。

横領で使われた電子機器を使用しない

横領・着服を行った関係者がデータを削除・フォーマットしても電子機器内にデータの痕跡は残ります。しかし電子機器の使用を続け、データの更新や移動などを行ってしまうと新たなデータが上書きされてしまい、証拠データが完全に消えてしまう可能性があります。

フォレンジック調査であればデータの保全を必ず行うため、証拠の確保が可能です。調査対象である電子機器を取得したら、自身で調査せず速やかに第三者調査機関へ調査を依頼することをお勧めします

市販のデータ復旧ソフトを使用しない

横領・着服した本人がメール、ファイル、履歴を削除した恐れがある場合、市販のデータ復旧ソフトを使用しないでください。

電子機器に破損がある場合、市販のデータ復旧ソフトではデータを復元できません。また復旧ソフトを繰り返し使用することでデータの上書きが発生し、証拠となるデータが完全に削除される恐れがあります。

USBメモリや外付けHDDなどにデータをコピーしない

電子データは改ざんや消去が簡単にできるため、データのコピーを行っただけでは、データの改ざんや削除がないことを客観的に証明できず、裁判所や警察に証拠として認められない場合があります。

証拠としてデジタルデータを保全し、公的機関などに提出するにはフォレンジック調査と呼ばれる専門的な手法が必要です。一般的なUSBメモリや外付けHDDへのデータコピーや移動は行わないでください。

またフォレンジック調査が可能な人物が社内に在籍していた場合でも、自社で行ったフォレンジック調査は、裁判で客観性がないことを指摘されて証拠として認められない場合があります。悪質な横領・着服が行われた場合は第三者調査機関のフォレンジック調査会社に調査を依頼しましょう

犯人が横領を認めた後の対応

調査の結果犯人が横領の事実を認めた場合、企業側は以下の対応を取ることが可能です。

  • 懲戒処分・解雇を行う
  • 民事訴訟を行う
  • 刑事告訴する

懲戒処分・解雇を行う

企業が下せる懲戒処分には以下のものがあります。懲戒解雇が最も重く、就業規則次第では退職金も支払われません。

  • 戒告・けん責
  • 減給
  • 出勤停止
  • 降格
  • 諭旨解雇
  • 懲戒解雇

これらの処分は横領・着服の証拠があり、就業規則にも明記されていることが必要です。証拠不十分の状態や就業規則に記載がない状態でいきなり懲戒解雇を行うと、裁判となった際に不当解雇と判断される可能性があります。

民事訴訟を行う

一般的に横領犯が犯行を認めた後は、横領金額の返還や返済額に関する取り決めが行われます。しかし返済金額が決まらず和解できない場合や、返済が滞った場合は民事訴訟で賠償金の支払いを改めて決定します。

民事訴訟を行う際も、横領の事実を示す証拠が必要です。民事訴訟で行われる調査に警察は原則介入できないため、横領の証拠を社内で保全・収集・体系化しておく必要があります

刑事告訴する

刑事告訴とは警察や検察官に事件の捜査と犯罪者の処罰を求めることを指します。横領・着服で従業員を刑事告訴する場合は、企業側で告訴状を作成し、警察に提出する必要があります。

告訴状が警察に受理されると、警察の捜査が始まり、取り調べなども行われます。捜査完了後、検察が起訴相当と判断すれば、1~2か月後を目安に刑事裁判が行われます。

告訴状は被害届と同様に横領事件の内容を正確に記入する必要があります。告訴状を受理するまで警察は捜査できないため、証拠隠滅される前に証拠の確保を行いましょう。

デジタルデータを証拠とする際は外部の調査企業に依頼し、フォレンジック調査と呼ばれる調査をすることで、証拠として公的機関で活用できます。報告書の作成も依頼することで、調査結果をそのまま提出できるため、積極的に活用しましょう。

おすすめの専門業者

横領・着服の証拠調査を対応しているおすすめの専門業者として「デジタルデータフォレンジック」を紹介します。

デジタルデータフォレンジック

デジタルデータフォレンジック

サイトデジタルデータフォレンジック

デジタルデータフォレンジックは、国内売上No.1のデータ復旧業者が提供しているフォレンジックサービスです。累計2.4万件以上の相談実績を持ち、サイバー攻撃被害や社内不正の調査経験が豊富な調査会社です。

調査・解析専門のエンジニアとは別に、相談窓口としてフォレンジック調査専門アドバイザーが在籍しています。
多種多様な業種の調査実績があり、年中無休でスピーディーに対応してもらえるため、初めて調査を依頼する場合でも安心して相談することができます。

また、警視庁からの捜査依頼実績やメディアでの紹介実績も多数あることから実績面でも信頼がおけます。法人/個人問わず対応しており、見積まで無料のため費用面も安心です。法人のサイバー攻撃被害調査や社内不正調査に加えて、個人のハッキング調査・パスワード解析まで、幅広い対応を可能としている汎用性の高い調査会社です。

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✔企業で発生しうるサイバーインシデント・人的インシデントの両方に対応
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14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービスを保有する企業が調査
(※)(※)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)

業務上横領を未然に防ぐには

業務上横領を未然に防ぐ具体的な方法は以下の通りです。

  • 金銭の管理を伴う業務は複数人で担当する
  • 金銭の引き出しや管理には別の人物が確認を行う
  • 出金伝票とその承認制度を作る
  • 帳簿残高と現金の額が一致するか小口現金を毎日確認する
  • 第三者に内部監査を実施させる

まとめ

いかがだったでしょうか。

横領は証拠が十分に用意できないと立証が難しいとされています。資料やデータに証拠能力を持たせるために、弁護士事務所やフォレンジック調査を有効活用することをおすすめします。会社の財産や他の社員を守るために、的確な対応ができるようにしましょう。

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