本記事では、調査の必要性や費用相場、依頼先の選び方を含め、信頼できるフォレンジック調査会社をまとめて紹介します。

昨今では、サイバー攻撃や社内不正による個人情報や業務情報の流出についての事件はすぐにニュースになってしまいます。そうなってしまうと企業の信用を失うことに繋がりかねません。

• 不正アクセスやマルウェア感染の痕跡がある
• 重要ファイルが削除・改ざんされた形跡がある
• 退職者や関係者による情報持ち出しが疑われる
• 社外・顧客・警察から説明要求が発生している

このような場面では、自力の対応で証拠が消失したり、誤った操作で状況の悪化を招く可能性もあります。

自分で何とかしようとせず、まずはフォレンジック調査会社にすぐに相談しましょう。専門家による丁寧なサポートと、今後の対応と解決策の提案をしてもらえます。

フォレンジック調査の必要性

フォレンジック調査とは、発生したデジタルインシデントに対し、PC・HDD・スマホといった電子機器や記録媒体、もしくはネットワークの中に残存するデジタルデータから、証拠が失われないような適切な順序の手続きで不正行為の事実確認を行ったり、サイバー攻撃・不正アクセスなどの被害状況を割り出したりする調査手法を指します。

フォレンジック調査の必要性は、次のようなものがあげられます。

• 侵入経路の特定：攻撃者がどこから侵入したかを明確にするため
• 被害範囲の可視化：影響を受けたデータやシステムを把握するため
• 証拠となるデータ保全：法的対応や保険請求に備えて証拠データを安全に保存するため
• 再発防止策の策定：調査結果を基にセキュリティ体制を強化するため

【解説】フォレンジック調査とは？意味や定義・具体的な調査のやり方

2024.3.11

誰もがデジタル機器を扱う時代になり、どの企業でもPCやスマホで通信や作業を行うのが当たり前になりました。 利便性が高くなった反面、コンピュータやデジタルデータを用いた不正行為、ないしデータ改ざんによる不正会計やデータ持ち出し、サイバー

デジタルフォレンジック技術で調査可能なインシデント

フォレンジック調査の費用

フォレンジック調査の費用は、デジタル機器一台につき数万円から数百万円程度かかるのが一般的です。発生したインシデントの種類や調査の目的によっても、費用が変化します。

高額になるケースもあるため、まず最初に直接調査会社に連絡して見積もりを取ることが重要です。

一般的には以下のような費用項目が積算され、合計金額として見積もりが提示されます。

より詳しくは、以下の記事でも解説しています。

フォレンジック調査に必要な費用・相場の目安は？料金の内訳についても解説

2024.3.5

「フォレンジック調査」とは、パソコンやスマートフォン、サーバーなどの電子端末内のデータを証拠として保全・解析する調査です。主にマルウェア・ランサムウェア感染・ハッキング・不

フォレンジック調査会社は、一概に費用が安価な会社が良い会社とは限りません。
信頼性も重視し、調査能力、実績、報告書の品質などを総合的に判断することが重要です。

以下の5つのポイントを意識して選ぶようにしましょう。

1. 官公庁・捜査機関・大手法人の依頼実績があるか
   公共性の高い案件に対応している会社は、信頼性や技術力が一定以上であると判断できます。
2. スピード対応しているか
   インシデント対応では初動の遅れが致命的になるため、被害拡大防止のためにもスピード対応が重要です。
3. セキュリティ体制が整っているか
   データを取り扱う技術面と運用面の両方で管理体制が整っていることが重要です。
4. 法的証拠となる調査報告書を発行できるか
   報告書は裁判資料や社内外への説明資料として求められることが多く、正確さと客観性が不可欠です。
5. データ復旧作業に対応しているか
   調査対象データが削除・改ざんされているケースでは、復旧技術の有無が調査結果の明瞭さに直結します。

より詳しくは、以下の記事でも解説しています。

フォレンジック調査会社を選ぶ際の5つのポイント｜費用や期間など特徴を徹底解説

2024.3.5

※この記事は2025年7月に更新されています。 セキュリティ・インシデントの原因究明を行える「デジタルフォレンジック」。日本ではまだまだ聞き慣れない用語ですが、近年デジタル化が進むなかで、ITやセキュリティの重要性は

【31社から厳選】おすすめのフォレンジック調査会社｜デジタルデータソリューション株式会社

数あるフォレンジック調査会社の中でも特におすすめのサービスは、デジタルデータソリューション株式会社のデジタルデータフォレンジックです。上記でご紹介した「フォレンジック調査会社を選ぶ際の5つのポイント」で特に高い評価ができるサービスです。

以下がフォレンジック調査を行っている会社の一覧です。
※クリックすると各会社の基本情報の箇所へジャンプします。

1. デジタルデータソリューション株式会社
2. セキュアワークス株式会社
3. NTTアドバンステクノロジ株式会社
4. 株式会社サイバージムジャパン
5. 情報セキュリティ株式会社
6. 株式会社シーイーシー
7. セコムトラストシステムズ株式会社
8. PwCコンサルティング合同会社
9. GMOサイバーセキュリティ株式会社
10. 株式会社くまなんピーシーネット
11. 株式会社FRONTEO
12. 株式会社ラック
13. RSA Security Japan合同会社
14. 株式会社 網屋
15. SBテクノロジー株式会社
16. NRIセキュアテクノロジーズ株式会社
17. エムオーテックス株式会社
18. グローバルセキュリティエキスパート株式会社（GSX）
19. 株式会社KPMG FAS
20. 株式会社サイバーディフェンス研究所
21. 株式会社 神戸デジタル・ラボ
22. サイバーリーズン合同会社
23. 株式会社SHIFT SECURITY
24. ストーンビートセキュリティ株式会社
25. トレンドマイクロ株式会社
26. 株式会社 PFU
27. 日本IBM株式会社
28. 株式会社日立ソリューションズ
29. 株式会社ブロードバンドセキュリティ
30. 株式会社レオンテクノロジー
31. EY新日本有限責任監査法人

迅速な調査を行うために重要な、自分でできる3つの準備

調査会社へ依頼する前に、以下の点を整理しておくことで、対応がスムーズになります。

①調査機器はスリープモードで管理する

対象となる端末・サーバなどは電源を落とすのではなく、スリープやスタンバイ状態にして現状を維持してください。電源OFFや初期化は証拠の消失につながる恐れがあります。

②調査の目的を明確にしておく

「被害の有無を確認したい」「侵入経路を突き止めたい」「訴訟で使える証拠を取得したい」など、調査目的を事前に言語化しておくと、見積もり精度が高まり、調査の優先順位も明確になります。

③第三者の所有端末の調査の場合：機器所有者本人の同意を確認

調査対象が社内の従業員端末や委託先のPCである場合、調査対象者が本人でないケースでは、同意書や調査承諾書が必要になることがあります。調査対象機器の所有者が誰か、委任範囲が明確かを整理しておきましょう。

フォレンジック調査の事例

以下は実際にフォレンジクス調査を行った事例を紹介します。

パソコン遠隔操作誤認逮捕事件

2012年6月に、4台のPCから都内の幼稚園や子役事務所など、全14件の殺害・爆破予告が送信された。4台のPCの持ち主である男性4人が逮捕された。

捜査が進み、容疑者のPCを詳細に調査したところ、実際は別のPCから遠隔操作によって予告が送信されており、警察は4名の誤認逮捕を認めた。フォレンジック調査でIPアドレス不一致や遠隔操作ウイルスの発見などの要素が発見でき、解決した事件であった。

出典：itmedia.co.jp

森友学園決裁文書改ざん事件

2017年1月7日に、学校法人森友学園に対して国有地を値引き価格で払い下げる文書を提出した。しかし、国有地払い下げに関する決裁文書の改ざんが行われていたことが発覚した。

改ざんされていた文章は、籠池理事長と安倍元首相夫妻の関係や政治家の関与を匂わせるような文面であり、近畿財務局の元職員、赤木俊夫が改ざんを強制されていた事実が発覚した。

出典：nikkei.com

アサヒグループホールディングスサイバー攻撃事件

2025年9月に、大手飲料メーカーであるアサヒグループがサイバー攻撃を受けた事件。フォレンジック調査の結果、攻撃者はグループ内の拠点にあるネットワーク機器を経由してデータセンターのネットワークに侵入し、ランサムウエアが一斉に実行され、ネットワークに接続する範囲で起動中の複数のサーバーや一部のパソコン端末のデータが暗号化されたことが判明。

フォレンジック調査を進めたところ、従業員に貸与している一部のパソコン端末のデータが流出したことが分かった。

出典：asahigroup-holdings.com

まとめ

今回は「情報漏洩の疑いが起きた」「退職者を調査したい」際にフォレンジック調査を依頼できる会社を紹介しました。

現在、企業の個人情報や業務情報の取り扱いは非常にセンシティブな問題になっています。少しでも、心配な点がある場合はすぐにでもフォレンジック調査を行うことをおすすめします。どこに依頼するか迷う時は、今回お伝えした「フォレンジック調査会社を選ぶ際の5つのポイント」を確認してから依頼するようにしましょう。

本記事は、国内外の公的発表・業界資料・専門家の監修に基づいて構成されています。内容は随時更新されており、最新情報をご確認のうえご活用ください。