PostgreSQLを冗長構成(レプリケーション構成)で運用している場合、突然のトラブルに直面することがあります。
焦って操作を誤ると、
- マスターとスタンバイのデータ不整合
- 二重書き込みによる更新衝突
- 永続的な整合性喪失
といった重大な事故を引き起こす可能性があり、安易な復旧は非常に危険です。
本記事では、PostgreSQL冗長構成における代表的な障害パターンと、それに応じた安全かつ確実な対処法をわかりやすく解説します。
PostgreSQLレプリケーション復旧が必要になる原因
PostgreSQLの物理レプリケーションでは、WALを継続的に適用できることが前提です。 この前提が崩れると、スタンバイは自力で追従できなくなり、復旧対応が必要になります。
スタンバイがWALを見失った
スタンバイが長時間停止していた場合や、WAL保持設定が不十分な場合、必要なWALが既に削除されてしまうことがあります。
「requested WAL segment has already been removed」などのエラーが出る場合、スタンバイはそれ以上同期できません。この状態で無理に再起動を繰り返すと、復旧可能性を下げてしまいます。
このケースでは、アーカイブWALが残っていない限り、スタンバイの再構築が必要となります。判断を誤ると復旧に長時間かかるため、早めの専門家相談が重要です。
スタンバイのデータ破損・不整合
ディスク障害やOSクラッシュ、ネットワーク断による異常終了が発生すると、スタンバイ側のデータディレクトリが破損することがあります。
この状態では、たとえWALが揃っていても正しく適用できない可能性があります。破損したデータを使い続けると、後から論理的な不整合が発覚するリスクがあります。
安全を優先するなら、スタンバイは再構築が基本です。原因を切り分けずに復旧を進めると、プライマリ側にも影響が及ぶ恐れがあります。
フェイルオーバ後の再冗長化
フェイルオーバによりスタンバイを昇格させた後、旧プライマリをそのまま起動してしまうのは非常に危険です。
新旧プライマリはWAL履歴が分岐しており、同時に書き込み可能な状態にするとスプリットブレインが発生します。
このケースでは、pg_rewindや再ベースバックアップにより、旧プライマリを正しくスタンバイとして復旧させる必要があります。手順を誤ると、全体復旧が必要になる可能性があります。
レプリケーションスロットの異常
レプリケーションスロットは便利な仕組みですが、スタンバイや論理レプリケーションが停止するとWALファイルが削除されず、ディスク容量を圧迫します。放置するとプライマリDBが停止し、業務全体が止まる恐れがあります。
どのスロットが使用中か把握していない状態で運用を続けると、障害発生時の復旧が難しくなるため注意が必要です。異常を感じた際は、無理な削除や再起動を避け、専門業者による診断を受けることをおすすめします。
「とりあえず操作」は危険。自己判断がデータ消失を招くことも

機器に不具合が起きたとき、焦って自分で操作を試みた経験はありませんか?
一見すると単なるフリーズやエラーのようでも、内部では深刻な異常が進行している可能性があります。この状態で電源の再投入や設定変更を繰り返すと、システムが上書きされ、本来なら救えたはずのデータまでもが復旧困難になることがあります。
特に以下のような状況に当てはまる場合は、自己判断を避け、専門家による適切な診断を受けることが重要です。
- 絶対に失いたくない写真や書類が保存されている
- 大切な業務データが入っている
- 操作に自信がなく、何をすべきか迷っている
こうしたケースでは、早めの対応がデータを守る鍵になります。
そのため、まずは専門業者に相談し、正確な状態を見極めることが最善策といえます。
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復旧方法は原因によって大きく異なります。ここでは代表的な対処法を順に解説します。
スタンバイを再構築する
WALを見失った場合やデータ破損が疑われる場合、最も確実な方法がスタンバイの再構築です。
- スタンバイサーバーのPostgreSQLを停止する
- 既存のデータディレクトリを退避または削除する
- プライマリからpg_basebackupでベースバックアップを取得する
- primary_conninfoを設定し、スタンバイとして起動する
再構築は時間がかかりますが、データ整合性を最優先する場合に適した方法です。
pg_rewindで旧プライマリを再参加させる
フェイルオーバ後に旧プライマリを再利用する場合、pg_rewindを使うことで差分のみを同期できます。
- 旧プライマリを完全に停止する
- 新プライマリが正常稼働していることを確認する
- pg_rewindで新プライマリに追従させる
- standby.signalを作成しスタンバイとして起動する
条件を満たさない場合は実行できないため、事前確認が重要です。
レプリケーションスロットを整理する
不要なレプリケーションスロットは削除し、必要なスロットは監視を強化します。
- 使用していないスロットを削除する
- スタンバイ停止を早期検知する
- 長期停止が想定される構成ではスロット利用を再検討する
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まとめ
PostgreSQLのレプリケーション復旧は、「とりあえず再起動する」「設定を触ってみる」といった対応では解決しないケースが多く、原因を正しく見極めた上で適切な手順を選ぶことが重要です。
スタンバイがWALを見失った場合やデータ破損が疑われる場合は、無理に追従させようとせず、ベースバックアップからの再構築を検討することで、長期的な安定運用につながります。 また、フェイルオーバ後に冗長構成を復旧する際は、pg_rewindなど公式に用意された仕組みを使い、スプリットブレインを確実に防ぐ必要があります。
レプリケーションスロットによるWAL滞留やディスク逼迫も見落とされがちなトラブル要因です。復旧対応と同時に、日常的な監視や設定の見直しを行うことが再発防止につながります。
状況によっては、レプリケーション復旧よりも先にバックアップの確保や全体リストアを優先すべきケースもあります。判断を誤ると、復旧に要する時間や影響範囲が大きく広がるため注意が必要です。
原因の切り分けが難しい場合や、ディスク障害・WAL消失などが絡む場合は、自力での対応にこだわらず、早い段階で専門知識を持つ業者や有識者に相談することが、安全かつ確実な復旧への近道となります。

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