
交通事故の瞬間を客観的に把握できる、ドライブレコーダー(以下、ドラレコ)は、あおり運転への社会的関心が追い風となり、近年需要が急増しています。また低価格化と高性能化も相まって、自家用車へのドラレコ搭載率は半数に近づいているほか、国交省は2022年までに新型車へのドラレコ設置義務化を目指しています。
しかし、事件事故が発生した時のデータが正しく記録・保存されていないと、場合によっては自身が被害者であるにもかかわらず、相手側の理不尽な主張により不利な状況に陥ってしまう可能性も十分考えられます。
この記事ではドライブレコーダーのデータを適切な方法で復元する方法や注意点などを解説します。
ドラレコの役割とデータ復元のメリット
ドラレコの主要な役割は大きく分けて以下の4つです。
- 車上荒らし(盗難)の抑止効果
- 当て逃げした加害者車両の特定
- 交通事故における相手側の過失証明
- および警察・裁判所・保険会社に提出する重要証拠
特に交通事故の状況調査では、当事者同士が感情的になったり、証言が食い違ったりすることは珍しくなく、その際、保険会社や裁判所から提示される“過失割合”が被害者の意に沿わない内容になることがあります。
一方で、ドラレコの映像が参照できれば、事故発生時の状況が一目瞭然であり、場合によっては相手側の過失割合を10対0で認めさせ、しかるべき額面の保険金を業者に請求することができます。
しかし、大変残念なことにドラレコのデータは非常に不安定であり、いつ消失してもおかしくはありません。次の項ではドラレコにおけるデータ障害の原因や種類について解説していきます。
ドライブレコーダーのデータによくある症状
ドライブレコーダーが故障していたあるいはドライブレコーダーのSDカードが故障しているときに、発生しやすい症状として以下のようなものが考えられます。
- 「フォーマットしますか?」「動画が再生できません」と表示される
- データが抜け落ちている・飛んでいる
- ドライブレコーダーが事故の衝撃で損傷・故障している
「フォーマットしますか?」「動画が再生できません」と表示される
SDカードからデータの取り出しができなくなった際に、「フォーマットしますか?」「動画が再生できません」などというエラーメッセージが表示されることがあります。
これらのエラーメッセージが表示されるときは、SDカードか保存しているデータ自体に何らかの異常が発生している可能性が高いです。
指示に従ってフォーマットしてしまうと、SDカードに保存しているデータが消去されてしまうため、フォーマットしないようにしましょう。
データが抜け落ちている・飛んでいる
ドライブレコーダーの仕組みとして、SDカードのデータ保存量が限界になると、古いデータの上に新しいデータを上書きするという性質があります。
長年同じSDカードを利用し続けると、気づかないうちにデータが上書きされ、データが抜け落ちたり飛んでしまっているという現象が起きます。
上書されたデータはデータ復旧業者であっても復旧が難しい可能性があるので、心配な方は一度データ復旧業者に相談しましょう。
対策としてこまめにPCにデータを移したり、容量がいっぱいになる前にSDカード自体を交換することが有効です。
ドライブレコーダーが事故の衝撃で損傷・故障している
事故の衝撃などで、ドライブレコーダーそのものも損傷していることもあり、歪んでSDカードが抜けなくなるケースなどもあります。
この場合に無理やりSDカードを抜こうとするとSDカードがさらに損傷してしまう可能性もあるため、慎重に作業しましょう。もしデータ復旧業者に依頼するのであれば、自分で無理にSDカードを引き抜かず、ドライブレコーダーごと機器を持ち込み、業者で解体してもらう方が安全です。
SDカードが曲がったり折れたりしている場合もデリケートな取り扱いが必要なので、こちらの記事もあわせてご参照ください。
SDカードが故障する主な原因
ドラレコが故障した際には、原因を特定しなければ適切な対処をすることができません。ドラレコのデータが確認できない原因として、主に以下3つの原因が考えられます。
- ディスプレイなど筐体の破損
- 物理障害
- 論理障害
ディスプレイなど筐体の破損
ドラレコ上のディスプレイでSDカードが認識されなくても、別の機器で正常に認識するのであれば、筐体(ドライブレコーダー)側の問題が疑われます。
まずはSDカードがパソコンなど他の機器でも正常に認識できるかを確認しましょう。
SDカードが無事であればデータの確認が可能です。
物理障害
これはドラレコに装着されているSDカードが物理的に破損している障害です。
物理障害の主な症状は以下のようなものが考えられます。
- 熱暴走
- 経年劣化
- 外部の衝撃
熱暴走
ドラレコは直射日光にも夏場の高温にも耐えられるような、頑丈な作りになっています。
しかし、ノーブランド品だったり、もしくは中古品・廉価品の場合は、通常の製品と比較すると保護機能が一段と弱い傾向があり、それだけにデータ消失のリスクも高まってしまいます。
また大手メーカーの製品であっても、想定以上の炎天下に聞きがさらされ続けると、故障してしまうことは十分に考えられます。メンテナンス時は車内環境にも十分気を付けておきましょう。
経年劣化
ドラレコのSDカードは記録と消去を運転中もずっと繰り返しているため、消耗・劣化のスピードが非常に早く、年1回の交換が推奨されています。
もし数年間メンテナンスせず実際に事故に遭遇し、ドラレコを確認したとしても、すでにSDカードが故障していて何も保存されていないということも十分あり得る話です。SDカードの定期的なメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
外部の衝撃
事故の衝撃などでドラレコと一緒にSDカードも破損することがあります。
真っ二つに折れた場合はデータ復旧の可能性は低いですが、へこみや曲がった程度であれば箇所によっては、データ復旧の専門業者で録画データを取り出せる可能性があります。
もしSDカードが物理的に曲がっている場合は自力で元に戻さないようにしましょう。元に戻そうと力を加えることでかえって折れてしまうリスクなどもあるため、曲がった状態のままデータ復旧業者に持っていきましょう。
論理障害
これはドラレコに装着されているSDカードが論理的(データ的)に破損している障害です。
論理障害の症状として、以下のようなものが考えられます。
- データ上書き
- 誤フォーマット
データ上書き
ドラレコで撮影した映像はSDカードに記録されます。しかしSDカードは、すぐに容量を圧迫してしまうため、データは次から次へと上書きされる仕組みとなっています。
たとえば3時間がフル容量のSDカードの場合、事故発生後、ドラレコにSDカードを挿入した状態で、たった3時間ほど乗り続けるだけで、データは完全に上書きされてしまい、事故を収めた映像にアクセスすることは不可能になってしまいます。
事故後は一度ドラレコからSDカードを抜き、データが上書きされて消えてしまわないよう気をつけましょう。
誤フォーマット
ドラレコに搭載されているSDカードは、パソコンで通常使用されるようなSDカードとは規格が異なることがあり、その場合、パソコンはSDカードを正常に認識することは出来ず、「今すぐフォーマットしますか」と表示することがあります(フォーマットするとデータは失われてしまいます)。
もっとも、フォーマット後のデータは通常アクセスが出来ないだけで、理論的にはデータが残っていますが、その後も操作や通電を行うと、残存データは完全に上書きされてしまい、跡形もなく消失してしまいます。
データ消失時の注意点
ドライブレコーダーに所定のデータがない場合、以下の注意点に気を付けてください。
- 事故後はすぐにSDカードを抜いて保管する
- 通電を避ける
- データ復元ソフトの使用は控える
事故後はすぐにSDカードを抜いて保管する
もし事故に遭ってドラレコのデータを確認したいときは、すぐにSDカードを抜いて保管しましょう。もしそのままドラレコをつけたままにしていると、すぐに容量がいっぱいになって事故当時の映像が上書きされてしまう可能性があります。
衝撃でドラレコ自体が歪んでしまっているときは、データ抽出が完了するまではドラレコ自体を停止することをおすすめします。
通電を避ける
ドラレコは通電中、データの上書きと録画を繰り返しています。そのため事故後そのまま使い続けると、当該データが消失してしまいます。ドラレコのデータが必要な際は、さらなる上書きを防ぐために通電は控えてください。
また、パソコン等に接続して操作したり、データを追加するのも避けましょう。
データ復元ソフトの使用は控える
データ復元ソフトは、削除されたデータを復元するソフトウェアです。軽度論理障害に対応可能なほか、取り出したいデータを確認しながら、自ら復元作業を行うことができるというメリットもあります。
ただし、復元ソフトは、物理障害にいっさい対応できません。またドライブレコーダーに採用されているmicroSDカードは、データ復元の難易度が非常に高く、ソフトを使用すると状態が悪化し、データが上書きされてしまう恐れもあります。
データ復元ソフトの危険性については、以下のページで詳しく解説しています。
ドライブレコーダーのデータ復元方法
ドライブレコーダーを復旧するためには、内蔵されているSDカードを復旧する必要があります。
データ復旧の方法は自力で行いえるものもありますが、誤った対処をしてしまうとデータの上書きやフォーマットしてしまう危険があるので、注意が必要です。
確実にデータが取り出したい方や自力での復旧が不安な方は、データ復旧の専門業者に依頼することが一番確実な方法です。
ドライブレコーダーのSDカードのデータ復元方法は以下のようなものがあります。
- 規格を確認の上、適切なPCに接続する
- 機器の再起動を試す
- データ復元ソフトを利用する
- 専門業者に相談する
規格を確認の上、適切なPCに接続する
PCに接続してデータが確認できるか試してみましょう。
SDカードには複数の規格があり、古いPCだと新しいSDカード規格に対応できない可能性もあります。
規格が対応していないと「フォーマットしてください」といったエラーメッセージが表示されることがありますが、フォーマットしてもデータが読み込めるわけではなく、無事だったデータまで消えてしまいます。
そのため、SDカードの規格にPCが対応しているか確認の上で接続しましょう。
機器の再起動を試す
PC側に問題がある場合は、PCを再起動することでSDカードのデータを読み込めるようになることがあります。
ただし、1~2回試してみても読み込みがうまくいかない場合は別の原因がある可能性が高いです。
原因が別にあるにも関わらず、再起動を繰り返してしまうと保存しているデータやSDカードの内部の部品に負荷を与えてしまいます。通電はなるべく控えるようにしましょう。
データ復元ソフトを利用する
先に述べた通り復元ソフトを利用する方法があります。復元ソフトは無料のものから有料のものまで数多く販売されており、業者と比較すると費用を抑えることができます。
しかし、復元率は業者と比べるとかなり低く、機器の状態悪化やデータ破損に繋がる恐れがあります。もし機器に大切なデータが保存されている場合は、データ復旧の専門サービスの利用を検討することをおすすめします。
専門業者に相談する
ドラレコに保存しているデータが必要な場合、データ復旧業者に相談しましょう。専門業者では正常に動かなくなったドラレコからでもデータを取り戻すことができます。
なお、修理業者やメーカの中には、データ復旧サービスを行っていることがありますが、メモリ復旧に対応しているところは殆どありません。安全・確実にデータを復旧したい際には、データ復旧の専門業者に相談しましょう。
データ復旧専門業者の詳細については下記の記事でも詳しく紹介しています。
おすすめデータ復旧専門業者
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復旧費用 | 相談から見積もりまで無料 500GB未満:5,000円〜 500GB以上:10,000円〜 1TB以上:20,000円〜 2TB以上:30,000円〜 |
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対応製品 | パソコン(ノート/デスクトップ)、SSD、RAID機器(NAS/サーバー)、外付けHDD、USBメモリ、ビデオカメラ、SDカード・レコーダー等記憶媒体全般 |
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ドライブレコーダーで使用するSDカードの種類とは?
一般的にドライブレコーダーで使われるSDカードの種類を大きく2つに分けると、以下2つに分類できます。
- SDカード
- MSD(マイクロSDカード)
SDカードの一種としてMSDと呼ばれるSDカードの4分の1ほどの小さなものもあり、変換アダプタを利用することでSDカードと同様に扱うことができます。
SDカードの種類を容量やメーカー別にまとめると、以下のような種類があります。
~2GB | 4GB~32GB | 64GB~2TB | 2TB~128TB | |
SDカード | SDカード | SDHCカード | SDXCカード | SDUCカード |
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microSDカード | microSDカード | microSDHCカード | microSDXCカード | microSDUCカード |
ドライブレコーダーで推奨されているSDカードは容量が大きく耐久性とデータの信頼性があるSDカードです。
安価なものもありますが、何かトラブルが発生した時のためにも信頼できるSDカードを利用しましょう。
ドライブレコーダーの履歴や録画・録音の履歴を削除する方法
SDカードの容量は定期的にチェックして、容量が増えてきたら他の記憶媒体やPC にデータを移行することが、故障してしまった時の被害を軽減することができるでしょう。
また、データ容量が限界の状態で何度も上書き保存させるよりも、一度フォーマットや初期化をしてから再度使用する方が長期的に利用できる可能性が高くなります。
ドライブレコーダーのSDカードに保存している履歴や録画・録音の履歴などのデータを削除する方法は以下のとおりです。
- SDカードフォーマット
- SDカードの初期化
- SDカードに保存しているデータのファイル削除
- SDカードに保存しているデータの消去
これらの方法を実行してしまうと、保存していたデータはすべて削除されてしまう可能性が高いので、必ずバックアップやデータ移行をしたうえで作業するようにしましょう。
まとめ
ドラレコの映像は交通事故による紛争解決などで非常に効力を発揮しますが、通常機器と比べてデータが不安定で失われやすいという側面があります。しかし、このことはあまり知られているわけではありません。
せっかく設置したドラレコが無意味なものにならないよう、データの管理には細心の注意を払っておきましょう。
もしデータが損なわれた際は、技術力のあるデータ復元業者などに、まずは相談してみることをおすすめします。