
中国の新興サーバメーカー・TerraMaster(テラマスター)製のNASは、そのコストパフォーマンスとスペックの高さから、日本国内の利用者も数多く存在します。
しかし、同社は海外モデルであるため、不具合が起こった際は日本国内での適切なサポートを受けにくいという欠点があります。そのためTerraMasterを利用しているユーザーは、障害時の適切な対処法と安全に内部のデータを取りだすデータ復旧方法を正確に把握する必要があります。
そこで本記事では、TerraMaster製NASの障害事例や、障害が発生したときのデータ復旧(サルベージ)方法について紹介します。
TerraMaster製NASの障害事例
TerraMaster製NASで発生する障害事例には以下のようなものがあります。
電源が入らない
TerraMaster製NASの電源が正常に入らない場合、筐体についているLEDは点灯しません。
電源が正常に入らない原因としては下記の2点が考えられます
- 電源ケーブルの接続不良
- 内蔵ストレージ(HDD/SSD)の物理的な障害
1.電源ケーブルの接続不良の場合、TerraMaster製NAS自体に何らかの障害が起きているわけではないのでケーブルを正しく調整することで無事回復します。しかし、2.内蔵ストレージの物理的な障害の場合、NAS自体に致命的な障害が起きていることが考えられるため、個人で対処することは、ほぼ不可能です。
もし起動しないNASに重要なデータが残されており、かつデータ復旧を希望している場合は、専門家であるデータ復旧業者に任せるのが最善の方法だといえるでしょう。
LANランプが赤色に点灯している

F2-210の例 ※ランプの配置はモデルによって異なります
筐体に付いているLANランプが赤色になっている場合は、インターネット接続に何らかの不備があることが考えられます。ただちに接続環境を確認し、正しい設定になっているかを確認してください。
HDDランプが赤色に点灯している
筐体に付いているHDDランプが赤色になっている場合は、搭載しているHDDに何らかの不備や障害が起きていることが疑われます。
まずはHDDが正しく差し込まれているかを確認し、それでも問題が解決しない場合は、データの要不要に応じてメーカーやデータ復旧業者に相談しましょう。
ネットワーク上で認識されない・アクセスできない
電源は入るものの、ネットワーク上にTerraMaster製のNASが表示されない・アクセスできないといった症状が見受けられる場合、筐体の故障は考えにくく、内蔵ストレージ(HDD/SSD)やファームウェアの異常などが考えられます。
この場合、個人で対処することは難しく、自力で作業を続けると障害が悪化する恐れがあるため、注意してください。
データにアクセスできない・見られない
ネットワーク上ではファイルが見えるにも関わらず、アクセスできない・開けないといった場合は、ファイルやデータ自体が壊れているか、内蔵ストレージ(HDD/SSD)に論理的な障害が起きている可能性が考えられます(論理的な障害については以下に詳しく解説しています)。
TerraMaster製NASの故障原因
TerraMaster製NASの障害・故障の原因としては、大きく分けて以下の3つがあります。
論理的な障害
論理的な障害とは、内蔵ストレージ(HDD/SSD)やファイルシステム・データなどに論理的な障害が生じている状態です。たとえば突然のシャットダウンによりデータの書き込みが正しく終了されなかった場合、データの位置情報が散乱し、ファイルデータが開けなくなってしまいます。
仮に、このような状態で使用を続けていると、物理障害を併発する恐れもあるため、すぐに使用を中止しましょう。
論理的な障害のデータ復旧を正確に行うには、一般的に専用ツールを用いたバイナリデータの解析、ないしファイルシステムの修復を行う必要があります。
物理的な障害
物理的な障害とは、筐体や内蔵ストレージ(HDD/SSD)自体が物理的に故障してしまっている状態です。
特にHDDに物理的な障害が発生している場合、個人での対処はほぼ不可能です。この場合、クリーンルームと呼ばれる専用設備内でHDDを開封し、磁気ヘッドなどの交換を行う必要があるため、データの要不要に応じて適切な専門業者に相談しましょう。
電源ケーブルの接続不良
TerraMaster製NASが起動しない場合、筐体や内蔵ストレージなど機器自体には問題が発生しておらず、単純な接続不良(電源ケーブルが抜けているという等)が疑われます。
ケーブルの接続状況を改善して問題が解決するような場合、機器自体には特段異常は起こっていませんのでご安心ください。
しかし、それでも問題が解決しない場合は「物理的・論理的な障害」を疑いましょう。
TerraMaster製NASの復旧・復元における注意点
TerraMaster製NASの復旧を試みる場合、障害を悪化させてしまわないように下記の3点に注意しましょう。
通電・電源のオンオフ
TerraMaster製NASに障害が発生している状況で、通電や電源のオンオフを行うと、内蔵ストレージ(HDD/SSD)に更なる負荷をかけ、障害を悪化させることに繋がります。
また、論理的な障害の場合でも、むやみに作業を行うとデータが上書きされて復旧難易度が上がってしまうため、通電はなるべく控えましょう。
リビルド・HDDの入れ替え
TerraMaster製NASは、RAIDを組んでいることがほとんどです。
その場合、リビルドやHDDの抜き差しはデータの上書きを招く大変危険な行為になります。仮に単体のHDDをPCに繋げるなどしてもデータを見ることはできないため、注意してください。
ファームウェアのアップデート・OSの再インストール
TerraMaster製NASが正常に起動しない場合、OSの再インストールやファームウェアのアップデートを推奨される場合もあります。
しかし、これはあくまでTerraMaster製NASを正常に起動・動作させることを目的とした処置であり、データを保持・復旧することには適さない方法です。
TerraMaster製NASの復旧・復元方法
TerraMaster製NASに障害が発生してしまった場合、データの要不要にあわせて適切な業者を以下の通りに選びましょう。
- データは不要で、機器自体の修理が必要な場合は、メーカー(TerraMaster)や修理業者に相談する。
- データ復旧・復元が必要な場合は、技術力の高いデータ復旧業者に相談する。
TerraMaster製NASの復旧方法は大きく分けて5つあります。相談先は以下のような手順で検討しましょう。
中のデータが必要なく、修理のみが必要な場合
メーカー(TerraMaster)に相談する
中のデータが必要なく、修理のみが必要な場合は、メーカー(TerraMaster)に相談しましょう。ただし、この方法には以下のデメリットが存在します。
- メーカーはデータ復旧の専門家でないため、修理に出すとデータが初期化されてしまう可能性が高い
- 海外メーカーであるため、輸送や対応などに時間が掛かる
- 不適切な操作による故障と判断された場合、保証の適応外となってしまう
- マニュアルが英語のみという場合が多く、トラブル発生時に参考となる資料も現時点では少ない
メーカーに相談するのは、あくまでデータ復旧が不要な場合のみにしておきましょう。
HDDを交換する

D2-310の例 ※ランプの配置はモデルによって異なります
筐体に付いているHDDランプが赤色に点灯する場合、TerraMaster内のHDDに障害が発生している可能性が考えられます。
バックアップを取ってある場合は、新しいHDDに交換することによって以前と同じ状態で使用が可能です(なお、交換時は機器の電源を切らないでください)。
しかしバックアップを取っていない状態でHDDを交換すると、データがすべて消えてしまうため、バックアップを取っていない場合は注意が必要です。また、リビルド(再構築)の際に、HDDの順番を間違えて組み込んでしまうと誤った形での上書きが行われてしまい、データ復元・復旧が難しくなることに注意してください。
データ復元が必要な場合
スナップショットを使う
ファイルの破損、データの削除、誤操作による内容の変更など「論理的な障害」が起こった際は、TerraMaster製NASに搭載されている「スナップショット」(特定の一時点の状態を写真のように切り取って保存する機能)を使うことでデータを復元できる可能性があります。
ただしTerraMaster製NASのスナップショット機能には下記3つのデメリットがあるため、以下の項目に当てはまる場合は別の手段を試しましょう。
- HDDが物理的に壊れていたら使えない
- 参照元となるオリジナルデータや過去のスナップショットがないと完全な形で復元できない(スナップショット≠バックアップ)
- TOS 3.1(TerraMaster製品に用いられるLinuxベースのOS)以前のバージョンには機能が搭載されていない
データ復元ソフトを使用する
データ復元が必要な場合は、データ復元ソフトを使用する方法があります。
メリットとしては「安価かつ個人で手軽に利用できる」ことがあげられますが「物理的な障害には対応できず、障害を悪化させる」というデメリットもあります。
特に企業で取り扱う重要なデータが残されている場合、復元ソフトの使用は極力避けるべきでしょう。
データ復旧業者に相談する
データ復元・復旧が必要な場合で、最も安全かつ正確にデータを取り出す方法が「データ復旧業者」への相談です。
データ復旧業者の場合は、復元ソフトと比較して費用はかかるものの「物理的・論理的な障害」の両方に対応が可能です。しかし、データ復旧業者ごとに技術力には大きな差があり、中には「市販の復旧ソフトをかけるだけ」といった業者もあるため、業者選びを行う際は「対応実績」や「専門設備の有無」など業者の技術力を事前に確認しておくことが大切です。
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まとめ
今回は、TerraMaster製のNASが故障した場合の復旧・データ復元方法について紹介しました。
膨大なデータを管理する必要があるNAS・サーバーはいつ不具合が発生するか分かりません。重要なデータが保存されている場合、データが取り出せなくなってしまう前にバックアップを取っておきましょう。
またTerraMaster製のNASからデータが取り出せないという場合の復旧・復元方法は様々ですが、リスクや注意点を理解した上で専門のデータ復旧業者に相談するなど、データの重要性に応じた正しい対処を行ってください。
【機種参考】
TerraMaster製NASは、ホームビジネスから企業向けまで用途に応じたモデルが複数存在します。
TerraMaster製NASの主な用途と機種は以下の通りです。
用途 | 機種 |
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ホーム/SOHO向け | ・D2-310 ・D4-300 ・D5-300シリーズ |
小規模/中規模ビジネス向け | ・TerraMaster F2シリーズ ・TerraMaster F4シリーズ ・TerraMaster F5シリーズ ・TerraMaster F8シリーズ |
エンタープライズ(企業)向け | ・TerraMaster U4シリーズ ・TerraMaster U8シリーズ ・TerraMaster U12シリーズ ・TerraMaster U16シリーズ |
ビデオ編集用RAIDストレージ | ・TD2 THUNDERBOLT 3 ・TD2 THUNDERBOLT3 PLUS ・D5 THUNDERBOLT 3 ・D8 THUNDERBOLT 3 ・D16 THUNDERBOLT 3 |