※この記事は2024年9月に更新されています。
大切なデータを保存しているMacで、予期しないデータ消失やシステムの不具合が発生すると、とても不安になるものです。データの復旧を試みる際には、慎重に手順を踏むことが重要です。本記事では、Macでデータを失った際に試すべき簡単な復旧方法と、データを安全に取り戻すための注意点について詳しく解説します。
目次
Macが故障する主な原因
Macの故障原因は、主にソフトウェアとハードウェアの問題に分けられます。Macのデータ復旧を成功させるためには、それぞれの問題を理解し、対処法を講じることが重要です。
特に、ハードウェアの問題が疑われる場合、専門のデータ復旧業者の助けを借りることで、データ消失のリスクを最小限に抑えることができます。
ソフトウェアの問題
ソフトウェアの問題には、次のものが含まれます。
- OSの破損や不具合
- 互換性のないアプリケーションの使用
- マルウェア感染
ソフトウェアの問題の多くは、自力での対処できますが、データの消失リスクもあるため、注意が必要です。
OSの破損や不具合
macOSの破損や不具合は、システムの起動や安定性に影響を与え、起動しない、遅い、フリーズするなどの問題を引き起こします。原因としては、アップデートの失敗、システムファイルの削除、ウイルス感染などがあります。解決には、セーフモードでの修復やmacOSの再インストールが必要です。
OSの破損や不具合時の修復手順
- セーフモードで起動: Macの電源を入れ直し、起動音がしたらすぐに「Shift」キーを押し続けて、セーフモードで起動します。
- システム修復: セーフモードで起動後、ディスクユーティリティを使って「First Aid」を実行し、ディスクを修復します。
- macOSの再インストール: 修復がうまくいかない場合は、リカバリーモード(Command + Rキーを押しながら起動)で起動し、macOSを再インストールします。
互換性のないアプリケーションの使用
macOSと互換性のないアプリケーションを使用すると、システム全体に深刻な悪影響を及ぼすことがあります。例えば古いバージョンのmacOSで最新のソフトウェアをインストールしたり、逆に最新のmacOSで古いソフトウェアを使うと、システムの動作が不安定になり、アプリケーションのクラッシュやエラーメッセージが頻繁に発生します。
マルウェア感染
マルウェアは、悪意のある目的で作成されたソフトウェアで、macOSにも深刻な影響を与えます。
マルウェアに感染すると、システムの動作が不安定になり、パフォーマンスが低下するだけでなく、個人情報の漏洩や重要なデータの消失につながる恐れがあります。
ハードウェアの問題
ハードウェアの問題には、次のものが含まれます。
- HDD/SSDの故障や劣化
- メモリ(RAM)の不具合
- ロジックボードの故障
- 電源関連の問題・バッテリーの劣化
HDD/SSDの故障や劣化
データの保存媒体であるHDDやSSDが物理的に故障したり、長期間の使用によって劣化すると、データの読み書きが正常に行えなくなり、Macが動作不良を起こすことがあります。こうしたハードウェアの問題は自力での対応が非常に困難であり、誤った対応を行うとデータ消失のリスクが高まります。
特に「フリーズを繰り返す」「異音がする」などの症状がある場合、早期に対応しないと機器の状態がさらに悪化し、最終的には専門業者でも復旧不可能になる恐れがあります。
そのため、問題が疑われる場合は、無理に自己修理を試みるのではなく、データ復旧の専門業者に早めに相談することを強くおすすめします。
ただ、データ復旧業者は数多く存在し、選ぶのが大変な場合もあります。信頼できる業者を選ぶためには、無料での相談や診断を提供しているかどうかなども考慮して選ぶことが重要です。
データ復旧業者を選ぶポイントについては以下の記事を参照してください。
メモリ(RAM)の不具合
メモリ (RAM) の不具合は、コンピュータシステム全体の動作に大きな影響を与える重大な問題です。
メモリが正常に動作しないと、データの読み書きが正しく行われず、システムが不安定になることがあります。これは特に、複数のアプリケーションを同時に使用したり、大量のデータを処理する作業を行ったりする場合に顕著です。
ロジックボードの故障
ロジックボード(マザーボード)は、コンピュータの主要なハードウェアコンポーネントがすべて接続される中心的な基盤であり、その役割は非常に重要です。
ロジックボードが故障すると、コンピュータ全体の機能が停止し、起動しない、または不安定な動作を引き起こす可能性があります。
電源関連の問題・バッテリーの劣化
電源供給や内部電源管理システムが不安定になると、Macが起動しなかったり、突然シャットダウンしたりすることがあります。バッテリーの充電不良や電源の突然の落ちも考えられます。バッテリーが劣化している場合は交換が必要になることがあり、MacBookのバッテリー状態は「システム設定」>「バッテリー」>「バッテリーの状態」で確認できます。
ハードウェアの問題が疑われる場合は、自己修復を避け、早めに専門のデータ復旧業者に相談することをおすすめします。
Mac故障時の注意点
Mac故障時の注意点は次の通りです。
過度な電源のオン/オフや再起動は避ける
Macが正常に起動しない場合、電源のオン/オフや再起動を繰り返すのは避けましょう。エラー状態で何度も通電すると、破損が進行し、状態がさらに悪化する可能性があります。
また、電源を落とす際には正しい順序で操作する必要があり、誤った手順で行うと回路が暴走する恐れもあります。
個人での対応リスク
Mac上のデータ消失時に復旧ソフトを使うと、自分で手軽に作業ができ、コストも抑えられますが、軽度のソフトウェア障害(論理障害)にしか対応できません。
また、原因が不明の場合や使用方法を誤ると、症状を悪化させる危険があります。ハードウェア障害(物理障害)がある場合には、復旧ソフトやリセット機能の使用は避けるべきです。これらの操作は、データ消失や機器の物理的な破損を引き起こすリスクがあります。
すぐに試せるMacのデータ復旧・復元方法
Macのデータ復旧方法の対処法は次の通りです。
これらの方法でデータが復元できない場合は、データ復旧の専門業者に依頼することを検討してください。専門的な技術と設備を使用することで、より高度なデータ復旧が可能になる場合があります。
ゴミ箱からの復元
ゴミ箱からの復元は、削除されたファイルがまだゴミ箱に残っている場合にすぐに試せる方法です。ゴミ箱は一時的に削除されたファイルを保管する場所で、誤って削除したファイルを簡単に復元できます。この方法では、ファイルシステムの深刻な変更を行う必要がないため、最も安全で簡単な復元手段です。
- MacのFinderを開き、ゴミ箱をクリックして開きます。
- 復元したいファイルを見つけて右クリックし、「戻す」を選択します。これにより、ファイルは元の保存場所に戻ります。
- または、復元したいファイルを選択し、ファイルをドラッグして、任意の場所にドロップすることで、手動で復元することも可能です。
注意点: ゴミ箱を空にしてしまった場合や、ファイルがゴミ箱にない場合、この方法ではデータを復元できません。さらに、ファイルの復元を試みる前に、新しいデータを書き込むと、元のファイルが上書きされるリスクがあります。
Time Machineバックアップからの復元
Time Machineは、macOSに標準で備わっているバックアップ機能で、定期的にMac全体のバックアップを取ります。このバックアップからデータを復元することで、誤って削除してしまったファイルや失ったデータを取り戻すことができます。また、Time Machineはファイルの履歴を自動的に保存するため、過去の特定の時点にシステムを戻すこともできます。
- 「移行アシスタント」を開きます。これは「アプリケーション」フォルダの「ユーティリティ」内にあります。
- 「続ける」をクリックし、復元オプションとして「Time Machineバックアップから」を選択します。
- 接続されているバックアップディスクから復元したいバックアップを選択し、「続ける」をクリックしてデータの転送を開始します。
注意点
Time Machineバックアップを使用する場合、バックアップが最新であることを確認してください。バックアップが古いと、失われたデータが含まれていない可能性があります。そもそも、バックアップがない場合、この方法では復元できません。
データ復元ソフトの使用
データ復元ソフトは、削除されたファイルや失われたパーティションを検出し、復元を試みるためのツールです。
一般的なデータ復元ソフトの使用手順は次の通りです。
- 信頼できるデータ復元ソフトウェアをインターネットからダウンロードし、Macにインストールします。
- ソフトウェアを起動し、復元したいドライブやパーティションを選択します。
- 「スキャン」をクリックして、削除されたファイルや失われたデータの検索を開始します。
- スキャン結果から復元したいファイルを選び、「復元」ボタンをクリックして安全な場所に保存します。
注意点: データ復元ソフトウェアを使用すると、新しいデータが書き込まれて既存の削除されたデータが上書きされるリスクがあります。ソフトウェアの使用は慎重に行いましょう。
ターミナルコマンドを使用した復元
ターミナルコマンドを使うと、Macのディスクやファイルシステムに問題がないかを確認し、もし問題があれば修復できます。
たとえば、fsck_hfsというコマンドを使うと、HFSという種類のファイルシステムをチェックして、エラーがあれば直してくれます。これは、Macの中でファイルやデータが保存されている部分を確認して、壊れているところがあれば修正する、ということです。
- Macをシングルユーザーモードで起動します。電源を入れた直後にCommand + Sキーを押し続けます。
- ターミナル画面が表示されたら、コマンド「fsck -fy」を入力してファイルシステムをチェックします。
- コマンドが完了したら、問題が見つかれば自動的に修正が試みられます。
- 修復が完了したら「reboot」と入力してシステムを再起動します。
注意点: ターミナルでの操作は、誤ったコマンドを入力するとシステムにダメージを与えるリスクがあります。初心者にはおすすめしません。慎重に操作してください。
iCloudバックアップからの復元
iCloudバックアップは、Mac上のデータをクラウドに保存しておき、必要なときに復元するための方法です。iCloud.comにアクセスすることで、誤って削除したファイルやデータを復元できます。
- WebブラウザでiCloud.comにアクセスし、Apple IDでログインします。
- 「設定」アイコンをクリックし、ページの下部にある「詳細設定」から「最近削除した項目を復元」を選びます。
- 復元したいファイルを選択し、「復元」をクリックしてデータを戻します。
注意点
iCloudバックアップはストレージの容量に依存するため、大量のデータをバックアップしていない場合は、全てのファイルが復元できないことがあります。
ディスクユーティリティを使用した復元
ディスクユーティリティは、macOSに最初から搭載されているツールで、Macのディスクやパーティションの管理や修復をすることができます。もしMacがうまく起動しなかったり、ディスクに問題がある場合は、ディスクユーティリティを使って修復を試してみるといいでしょう。
この方法は、軽度なディスクエラーやファイルシステムの問題を解決するのに役立ちます。
- Macをリカバリーモードで起動します。電源を入れた直後にCommand + Rキーを押し続けます。
- リカバリーモードのメニューからディスクユーティリティを選択し、「続ける」をクリックします。
- 左側のリストから修復したいディスクを選び、上部の「First Aid」ボタンをクリックします。
- 「実行」を選択し、ディスクのチェックと修復プロセスを開始します。完了するまで待ちます。
- 必要に応じて、バックアップイメージがある場合は、それを選択してデータを復元します。
注意点
ディスクユーティリティによる修復は、一部のファイルシステムエラーのみを対象としています。ハードウェア的な障害や深刻なシステムエラーがある場合、この方法では完全な修復は期待できません。
ディスクの修復が失敗した場合は、さらなるデータ損失を防ぐため、早めにデータ復旧専門業者に相談することを検討してください。