
QNAP(キューナップ)製のNASは、企業・個人問わず幅広いシーンで利用されています。本記事では、QNAP製NASのよくある障害事例や、障害が発生した際のデータ復旧(サルベージ)方法を解説します。
この記事の目次
QNAP製NASの障害事例
QNAP製のNASでよく起こる障害にはどのようなものがあるのでしょうか。障害事例と考えられる原因を紹介します。
電源が入らない・アクセスができない
機器自体の電源が入らない、もしくは電源を入れたにも関わらずQNAP製のNASにアクセスできない障害が発生することがあります。NASの電源が入らない・アクセスできない障害の場合、次のような原因が考えられます。
原因① 電源が供給できていない
電源ケーブルが抜けている・電源スイッチがオフになっているなど、電源が供給できていないことがよくあります。電源が供給できている場合は電源ボタン側の電源ランプが点灯します。まずは、QNAP製品の電源ランプが点灯しているかを確認しましょう。
原因② BIOSやマザーボード、メモリの故障
QNAP製のNASで正常に電源を供給できているものの、起動時に鳴るはずの短いビープ音が鳴らない場合、BIOSやマザーボード、メモリの故障が考えられます。システムを起動途中の場合は、しばらく待ってから再度動作を確認してください。
原因③ ファームウェアの破損
QNAP製NASで正常に電源を供給できている、かつ短いビープ音は鳴るものの、その次に長いビープ音が鳴らない場合、ファームウェアが破損している可能性があります。
原因④ 内蔵ハードディスク(HDD)の故障
QNAP製のNASが正常に起動し起動時のビープ音がするものの、ハードディスクをマウントできていない場合、ハードディスク自体が故障している可能性があります。ランプが赤く点灯している場合はハードディスク自体の故障と考えてよいでしょう。
エラーメッセージが表示される

D2-310の例 ※ディスプレイの有無はモデルによって異なります
一部のQNAP製のNASでは、障害が発生すると本体ディスプレイ(LCDパネル)にエラーメッセージを表示し、故障内容を通知するものもあります。たとえば、ディスプレイに「SYSTEM BOOTING」と表示されている場合、内蔵ハードディスクに障害が発生している可能性があります。
NAS本体のランプが点灯している

TS-453Beの例 ※ランプの数や位置はモデルによって異なります
QNAP製のNASには、点灯・点滅しているランプの種類によって、機器の状態と主な故障原因を推測することができます。ただし、ランプの点灯状態だけでは複数の原因が考えられ、原因が特定できないまま安易にデータ復旧作業を行うのはリスクを伴うため注意が必要です。
もしHDDランプが赤色に点灯している場合は、内蔵ハードディスクに障害が発生している可能性が高く、障害の悪化を避け、安全にデータを復旧するためになるべく早い段階でNASの電源を落として保管したほうがよいでしょう。
ステータスランプの色と主な状態・障害の一例は以下の通りです。
ランプの色 | 主な状態・障害 |
---|---|
0.5秒ごとに緑と赤に交互に点滅 |
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赤 |
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0.5秒ごとに赤く点滅 |
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0.5秒ごとに緑に点滅 |
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NASからビープ音(ブザー音)がする
QNAP製のNAS本体からビープ音がする場合は、音の種類によって障害の状態と主な原因を推測することができます。ランプの点灯と同様に、もし内蔵ハードディスクの障害が疑われる場合は、通電を続けることで故障状態が進行しデータ復旧の難易度があがってしまうため、なるべく早い段階でNASの電源を落としましょう。
ビープ音の種類と主な状態・障害の一例は以下の通りです。
ビープ音の種類 | 主な状態・障害 |
---|---|
短いビープ音(0.5秒)×1 |
|
長いビープ音(1.5秒)×2 |
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長いビープ音(1.5秒)×1 |
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QNAP製NASのデータ復旧における注意点
QNAP製のNASに障害が発生した場合、安全にデータを復旧するために作業時に注意すべき点があります。
RAIDの再構築(リビルド)によるデータ再構築はNG
RAIDの再構築(リビルド)を試して故障したディスクのデータを復旧する行為は避けるべきです。同時期に購入したハードディスクは同時期に故障することも多く、正常だったハードディスクにもリビルドを実行したことで負荷がかかり、立て続けに障害が発生するケースがあるからです。
複数ドライブで障害が発生すると、QNAP製NASの復旧が不可能に陥るリスクがあります。故障原因が正確にわからない場合、知識や技術力に自信がない場合は、個人での作業を控えましょう。
ハードディスク単体でのパソコン接続はNG
QNAP製のNASではRAID構成を用いて複数のハードディスクを1つのドライブとして扱っています。そのため、故障したハードディスク以外のディスクを単体でPCに接続したとしても、データにアクセスできないばかりか、ディスク内のシステムデータが破損してしまう可能性があります。PCに単体のハードディスクを接続する行為は避けてください。
ハードディスクの入れ替えや交換はNG
QNAP製NASでは、複数のハードディスクを1つのドライブとして認識していることに加え、ディスクにデータを書き込むときも、システムの規則に従って記録されていきます。よって、QNAP製のNASからハードディスクを取り出して、交換したり入れ替えたりした際に、順番を間違えたり違う場所にディスクを入れてしまったりすると、システムの規則が乱れてしまいます。データの破損や上書きされてしまうリスクがあるため、ハードディスクの入れ替えや交換は避けましょう。
QNAP製NASのデータ復旧方法
QNAP製のNASに障害が発生した場合、適切な手順を踏んで安全にデータを復旧しましょう。焦らず対処することが大切です。
STEP1. 障害箇所を確認
障害が発生したら、まずNASの状態を確認し、原因を突き止めます。次の箇所をチェックして状態を確認します。
ステータスランプ | NASの状態によって緑色か赤色に点灯します。 |
---|---|
LANランプ | ネットワークのアクセス状況によってオレンジ色に点灯します。 |
USBランプ | USBポートの接続状況によって青色に点灯します。 |
HDDランプ | HDDの障害状況によって赤色に点灯します。 |
ディスプレイ表示(一部モデル) | 障害の詳しい内容を表示します。通知の場合もあります。 |
STEP2. ランプの点灯状況やエラーメッセージに沿って対処する
QNAP製NASのランプの点灯状況や、表示されるメッセージに沿って対処します。例えば、HDDランプが赤色に点灯している場合は、内蔵ハードディスクに障害が発生している可能性が高いため、できるだけ早く電源を落として保管しましょう。
ステータスランプが緑色と赤色に交互に点滅する場合はハードディスクのフォーマットやRAIDの再構築(リビルド)が実行されている可能性があります。ディスプレイ(LCDパネル)表示のあるモデルの場合、エラーが発生すると「System Error! Pls. Check Logs」のメッセージが表示されます。エラー表示がされた場合は、「Enter」を押して、メッセージを参照し、詳細の内容を確認しましょう。ディスプレイに表示されたメッセージの意味について、詳細はQNAPの公式マニュアルからも確認できます。
STEP3. NASをシャットダウンし電源ケーブルを抜く
エラーを示すランプも点灯しておらず、障害を示すメッセージも表示されていないのに、QNAP製のNASに不具合が発生している場合は、一度、NAS本体をシャットダウンして電源ケーブルをコンセントから抜いた状態で、1分ほど放置します。その後、改めて電源を入れます。
STEP4. 上記方法で解決しない場合は専門業者へ依頼
機器のシャットダウンと電源ケーブルを抜く作業を行っても不具合が解決しない場合は、システム障害もしくは内蔵ハードディスクが故障している可能性が高いため、一切のQNAP製NASの復旧作業を停止します。その後、自分の目的にあわせて専門の窓口に相談をしましょう。
目的 | 相談先 |
---|---|
内部のデータは不要で、機器自体を修理したい場合 | メーカーのサポート窓口 |
内部のデータが必要な場合 | データ復旧の専門業者 |
注意点として、何度も電源をオン・オフしたり、再起動を繰り返したりすると、正常な他のハードディスクにも不具合が発生する場合があります。もし、QNAP製のNASに保存されているのが大切なデータであれば、できるだけ何もせずに現状を維持した状態でデータ復旧の専門業者に相談するのが賢明です。
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対応製品 | RAID機器(NAS/サーバー)、パソコン(ノート/デスクトップ)、外付けHDD、SSD、USBメモリ、ビデオカメラ、SDカード・レコーダー等記憶媒体全般 |
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QNAP製NASの概要・機能
QNAPは2004年に台湾で設立されたメーカーです。QNAP製のNASは、他社製品よりも比較的リーズナブルな価格帯で、初心者にも扱いやすい高い操作性が人気です。エンタープライズ・ミドルレンジ向けの製品もあり、法人、個人問わず幅広く使用されています。
QNAP製NASには次のような機能が搭載されているのが特徴です。
スナップショット(過去データ)の自動保存
QNAP製のNASには、定期的にスナップショット(過去データ)を自動保存していく機能があります。QNAP製NASは、ボリューム外にスナップショットを保存する仕組みのため、ボリュームの容量がスナップショットで圧迫されないように工夫されています。日々のデータを守るのはもちろん、ランサムウェアのような外部脅威からもデータを守るための機能になっています。
拡張アプリケーションが豊富
QNAP製のNASには多種多様な拡張アプリケーションが用意されています。外部から社内や自宅にあるNASにアクセスできるアプリや、スマートフォン向けのアプリ、自動でフォルダ同期を行うアプリなど、利便性の高いものが多数揃っているのが特徴です。
まとめ
QNAP製NASのよくある障害事例や障害が発生した際の復旧方法を解説しました。
障害の発生時は、自己判断で作業を行うことは非常にリスクを伴います。通電を続けることにより、不具合の生じていないハードディスクまで破損し、取り返しのつかないことになりかねません。内部のデータが不要で、機器自体を修理したい場合はメーカーのサポート窓口、大切なデータであれば、データ復旧の専門業者に相談するのが一番でしょう。
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参考機種
・TurboNAS
・Enterprise NAS/Thunderbolt NAS(TS/TVSシリーズ)
・デュアルコントローラNAS(ESシリーズ)
・SAS NAS(TES/TVS/TDSシリーズ)